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高島のニュース
*14:21JST 高島 Research Memo(1):2024年3月期は増収・営業減益、のれん償却費がかさむ
■要約
高島<8007>は、建材セグメント、産業資材セグメント、電子・デバイスセグメントの3セグメント※で事業を展開している。バリューチェーンの上流工程である企画・設計から下流の施工・サポートまでの幅広い範囲にわたって顧客ニーズに合わせて商流をデザインし、顧客の省エネ化、省力化に貢献するとともに、サステナビリティ社会の実現に寄与している「サステナの先進商社」である。直近10年間の親会社株主に帰属する当期純利益は10億円以上と安定した業績で、堅実な収益基盤と財務基盤を構築している。同社は、中期経営計画「サステナV(バリュー)」と2021年11月に開示した上場維持基準の適合に向けた計画書の下、戦略的投資の実行による持続的成長企業への転換に注力している。同計画書においてはROE(自己資本利益率)を8.0%以上、ROIC(投下資本利益率)の基準を6.0%以上と具体的に設定しており、資本コストを意識した事業活動・投資活動を行うなかで、今後のさらなる企業価値向上が期待される。
※ほかに賃貸不動産セグメントがあるが、規模が小さいため割愛している。なお、2024年1月に賃貸不動産を売却したことに伴い、2025年3月期から賃貸不動産セグメントは消滅する見通し。
1. 業績動向
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比13.1%増の90,120百万円、営業利益で同0.9%減の1,748百万円となった。電子・デバイスセグメントのみ市場減速の影響を受け苦戦を強いられたものの、建材セグメントと産業資材セグメントがそろって増収となったことが連結ベースのトップラインを押し上げた。これらのセグメントでは、既存事業の伸長に加えて、M&Aで連結子会社化した新エネルギー流通システム(株)、(株)信防エディックス、岩水開発(株)も業績の拡大に寄与した。営業利益に関しては、岩水開発ののれん償却費用がかさんだことや、好業績のなかで従業員への還元を拡充したことなどを受け、販管費が膨らんだことが影響した。岩水開発ののれん償却費用が増大したことに関しては、PPA(Purchase Price Allocation)の実施により償却期間が短くなったことなどが要因である。営業減益の要因は、M&A実施に伴う会計処理などであり、各事業自体は総じて順調に推移したと言える。
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.3%増の94,000百万円、営業利益で同14.4%増の2,000百万円と増収増益を見込んでいる。建材セグメント、産業資材セグメント、電子・デバイスセグメント、全てのセグメントで増収増益を見込む。特に、建材セグメントと産業資材セグメントに関しては、連結子会社化した企業とのシナジーを生かし、同社が提供するソリューションの機能強化・拡充に注力することにより業績を拡大させていく方針だ。電子・デバイスセグメントに関しては、事業環境の見通しは厳しいものの、営業活動を引き続き強化することにより業績を拡大させていく。連結ベースの営業利益に関しては、増収効果に加えて、岩水開発のM&A関連費用が減少すること、同社を連結子会社化した効果が通年で発揮されてくることなども増益要因となる見通しだ。
2. 中期経営計画
同社は2020年12月、2023年3月期を最終年度とする前中期経営計画「サステナX(クロス)」を発表した。「サステナX(クロス)」はその前の中期経営計画「サステナ2020」の基本戦略である「ダントツ戦略」「生産性の向上」「コーポレート・ガバナンスの強化」を踏襲しつつ、「ダントツ戦略のさらなる進化」「生産性向上による強靭なコスト競争力獲得」「コーポレート・ガバナンスの強化」によって、バリューチェーンにおける設計から施工・サポートに至るまで各機能の形成・拡充を一層強く推進し、長期的な成長基盤の確立に向けて、事業構造・ポートフォリオの転換を図ってきた(最終年度である2023年3月期に親会社株主に帰属する当期純利益を1,400百万円にするという目標は達成)。
そして、2023年3月には次期中期経営計画として「サステナV(バリュー)」(2024年3月期~2026年3月期)を策定した。超長期的な目標として2050年に「カーボンニュートラル社会の実現」を掲げ、市場の成長機会を捉えた価値創造により、サステナ社会への適応と持続的成長を同時に実現することを目指している。数値目標としては、2026年3月期に連結売上高1,100億円、親会社株主に帰属する当期純利益19億円、ROE8%以上、ROIC6.0%以上などを掲げている。各事業のキャッシュや政策保有株式売却などにより創出したキャッシュと、外部資金を有効に活用することで、親会社株主に帰属する当期純利益及びROEを高めていく。
3. 上場維持基準の適合に向けた取り組み
東京証券取引所(以下、東証)の市場区分の見直しに伴い同社は、2021年11月に上場維持基準の適合に向けた計画書を提出した。プライム市場の上場維持基準を充たすことを目標に、これまでの堅実経営から戦略的投資を実行することで持続的成長企業への転換に注力してきた。その結果、同社は2024年3月31日時点をもって全ての上場維持基準への適合を完了した。未達であった流通株式時価総額については、2025年3月末までの適合完了を目標としていたが1年前倒しで達成した。流通株式時価総額の基準を充たしたことにより、経過措置終了前に全上場維持基準への適合を完了した格好だが、同社は今後も企業価値と株主価値の持続的な向上に注力していく方針だ。同計画書の数値目標に関しては、2026年3月期までに親会社株主に帰属する当期純利益19億円(2022年11月と2023年12月に上方修正しており、当初予想比4億円増)、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上、流通株式時価総額100億円以上、1日平均売買代金2,000万円以上を達成することを目標として掲げている。企業価値向上に向けて「資本配分方針」「投資リターンを伴う持続的な利益成長」「株主還元策の充実」「IR体制の確立」「コーポレートガバナンス・コードへの対応」を基本方針とし、各種施策を着実に実行していく構えだ。
■Key Points
・2024年3月期は増収営業減益、岩水開発ののれん償却費用などが影響
・2025年3月期は増収増益を見込む
・2024年3月31日をもってプライム市場上場維持全基準を充足
・中期経営計画「サステナV(バリュー)」の下で引き続き企業価値の向上に注力
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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高島<8007>は、建材セグメント、産業資材セグメント、電子・デバイスセグメントの3セグメント※で事業を展開している。バリューチェーンの上流工程である企画・設計から下流の施工・サポートまでの幅広い範囲にわたって顧客ニーズに合わせて商流をデザインし、顧客の省エネ化、省力化に貢献するとともに、サステナビリティ社会の実現に寄与している「サステナの先進商社」である。直近10年間の親会社株主に帰属する当期純利益は10億円以上と安定した業績で、堅実な収益基盤と財務基盤を構築している。同社は、中期経営計画「サステナV(バリュー)」と2021年11月に開示した上場維持基準の適合に向けた計画書の下、戦略的投資の実行による持続的成長企業への転換に注力している。同計画書においてはROE(自己資本利益率)を8.0%以上、ROIC(投下資本利益率)の基準を6.0%以上と具体的に設定しており、資本コストを意識した事業活動・投資活動を行うなかで、今後のさらなる企業価値向上が期待される。
※ほかに賃貸不動産セグメントがあるが、規模が小さいため割愛している。なお、2024年1月に賃貸不動産を売却したことに伴い、2025年3月期から賃貸不動産セグメントは消滅する見通し。
1. 業績動向
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比13.1%増の90,120百万円、営業利益で同0.9%減の1,748百万円となった。電子・デバイスセグメントのみ市場減速の影響を受け苦戦を強いられたものの、建材セグメントと産業資材セグメントがそろって増収となったことが連結ベースのトップラインを押し上げた。これらのセグメントでは、既存事業の伸長に加えて、M&Aで連結子会社化した新エネルギー流通システム(株)、(株)信防エディックス、岩水開発(株)も業績の拡大に寄与した。営業利益に関しては、岩水開発ののれん償却費用がかさんだことや、好業績のなかで従業員への還元を拡充したことなどを受け、販管費が膨らんだことが影響した。岩水開発ののれん償却費用が増大したことに関しては、PPA(Purchase Price Allocation)の実施により償却期間が短くなったことなどが要因である。営業減益の要因は、M&A実施に伴う会計処理などであり、各事業自体は総じて順調に推移したと言える。
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.3%増の94,000百万円、営業利益で同14.4%増の2,000百万円と増収増益を見込んでいる。建材セグメント、産業資材セグメント、電子・デバイスセグメント、全てのセグメントで増収増益を見込む。特に、建材セグメントと産業資材セグメントに関しては、連結子会社化した企業とのシナジーを生かし、同社が提供するソリューションの機能強化・拡充に注力することにより業績を拡大させていく方針だ。電子・デバイスセグメントに関しては、事業環境の見通しは厳しいものの、営業活動を引き続き強化することにより業績を拡大させていく。連結ベースの営業利益に関しては、増収効果に加えて、岩水開発のM&A関連費用が減少すること、同社を連結子会社化した効果が通年で発揮されてくることなども増益要因となる見通しだ。
2. 中期経営計画
同社は2020年12月、2023年3月期を最終年度とする前中期経営計画「サステナX(クロス)」を発表した。「サステナX(クロス)」はその前の中期経営計画「サステナ2020」の基本戦略である「ダントツ戦略」「生産性の向上」「コーポレート・ガバナンスの強化」を踏襲しつつ、「ダントツ戦略のさらなる進化」「生産性向上による強靭なコスト競争力獲得」「コーポレート・ガバナンスの強化」によって、バリューチェーンにおける設計から施工・サポートに至るまで各機能の形成・拡充を一層強く推進し、長期的な成長基盤の確立に向けて、事業構造・ポートフォリオの転換を図ってきた(最終年度である2023年3月期に親会社株主に帰属する当期純利益を1,400百万円にするという目標は達成)。
そして、2023年3月には次期中期経営計画として「サステナV(バリュー)」(2024年3月期~2026年3月期)を策定した。超長期的な目標として2050年に「カーボンニュートラル社会の実現」を掲げ、市場の成長機会を捉えた価値創造により、サステナ社会への適応と持続的成長を同時に実現することを目指している。数値目標としては、2026年3月期に連結売上高1,100億円、親会社株主に帰属する当期純利益19億円、ROE8%以上、ROIC6.0%以上などを掲げている。各事業のキャッシュや政策保有株式売却などにより創出したキャッシュと、外部資金を有効に活用することで、親会社株主に帰属する当期純利益及びROEを高めていく。
3. 上場維持基準の適合に向けた取り組み
東京証券取引所(以下、東証)の市場区分の見直しに伴い同社は、2021年11月に上場維持基準の適合に向けた計画書を提出した。プライム市場の上場維持基準を充たすことを目標に、これまでの堅実経営から戦略的投資を実行することで持続的成長企業への転換に注力してきた。その結果、同社は2024年3月31日時点をもって全ての上場維持基準への適合を完了した。未達であった流通株式時価総額については、2025年3月末までの適合完了を目標としていたが1年前倒しで達成した。流通株式時価総額の基準を充たしたことにより、経過措置終了前に全上場維持基準への適合を完了した格好だが、同社は今後も企業価値と株主価値の持続的な向上に注力していく方針だ。同計画書の数値目標に関しては、2026年3月期までに親会社株主に帰属する当期純利益19億円(2022年11月と2023年12月に上方修正しており、当初予想比4億円増)、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上、流通株式時価総額100億円以上、1日平均売買代金2,000万円以上を達成することを目標として掲げている。企業価値向上に向けて「資本配分方針」「投資リターンを伴う持続的な利益成長」「株主還元策の充実」「IR体制の確立」「コーポレートガバナンス・コードへの対応」を基本方針とし、各種施策を着実に実行していく構えだ。
■Key Points
・2024年3月期は増収営業減益、岩水開発ののれん償却費用などが影響
・2025年3月期は増収増益を見込む
・2024年3月31日をもってプライム市場上場維持全基準を充足
・中期経営計画「サステナV(バリュー)」の下で引き続き企業価値の向上に注力
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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