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三井化学 Research Memo(1):『2025長期経営計画』は順調な滑り出し

配信元:フィスコ
投稿:2018/07/05 15:01
■要約

三井化学<4183>はエチレンプラントを擁する総合化学メーカー。1997年に三井東圧化学(株)と三井石油化学工業(株)が対等合併し、現在の三井化学株式会社となった。石油化学や基礎化学品の分野で培った高い技術力をベースに様々なファインケミカル製品を開発し、モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージング及び基盤素材の4セグメントで事業を展開している。

1. 2018年3月期は4セグメントすべてで全般的に収益が拡大し、増収増益で着地
同社の2018年3月期決算は、売上高1,328,526百万円(前期比9.6%増)、営業利益103,491百万円(同1.3%増)と増収増益となった。売上高は成長3領域と基盤素材の4事業すべてで需要拡大や市況上昇により増収となった。利益面では、数量差と交易条件のプラス寄与で固定費他のマイナス寄与をカバーし、営業利益以下の増益を実現した。固定費他のマイナス寄与は成長3領域それぞれでの積極的な研究開発費投入や基盤事業での大規模定修が要因だ。これらは将来の成長のための言わば必要経費とも言え、これを全社的な販売数量の増加できっちりカバーした点で、利益の質の面でも好決算だったと弊社では考えている。

2. 『2025長期経営計画』の取り組みは各事業セグメントで順調に進捗
同社は2026年3月期に売上高2兆円、営業利益2,000億円の達成を目指す『2025長期経営計画』に取り組んでいる。初年度の2018年3月期は、業績において順調な滑り出しとなったが、成長に向けた諸々の取り組みも着実に進んでいる。モビリティではソリューション提案力向上に向けてアーク<7873>を連結子会社化したほか、能力増強投資にも取り組んだ。ヘルスケアでは歯科材料事業Kulzerの減損処理を行い反転への基礎を固めた。フード&パッケージングでは農薬の新規5原体のうちの2つについて世界農薬大手とライセンス契約を締結した。基盤素材ではフル販売・フル稼働を達成して300億円超の営業利益を確保した。

3. 2019年3月期通期は販売数量の増加などにより、3期連続最高益更新の見通し
2018年3月期について同社は、売上高1,480,000百万円(前期比11.4%増)、営業利益106,000百万円(同2.4%増)と増収増益を予想している。達成されれば3期連続で最高益更新となる。営業増益の要因別内訳は、交易条件と固定費他のマイナス寄与を、数量差のプラス寄与で吸収して増益というものだ。前期に引き続いて数量差が増益のメインエンジンとなっていることは、同社の想定通りの展開が続いていることを示唆していると言えるだろう。弊社では基盤素材の利益見通しがやや控え目だと考えているが、まずは進捗を見守りたい。2019年3月期はアークとの実体的な協業の進捗度合いと、Kulzerの業績回復・反転の状況が注目ポイントだと考えている。

■Key Points
・2025長期経営計画初年度の2018年3月期は順調な滑り出し。販売数量の拡大で利益の質の面でも狙いどおりに推移
・2019年3月期は各セグメントとも、実現可能性の高い業績予想とみる
・アークの子会社化でトータルソリューション提案力がアップ。両社の実体的な協業の進展に注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

<NB>
配信元: フィスコ
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