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ムサシのニュース
■業績動向
1. 2018年3月期決算の概要
ムサシ<7521>の2018年3月期決算は、売上高37,298百万円(前期比5.8%増)、営業利益960百万円(同13.3%減)、経常利益1,059百万円(同14.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益742百万円(同5.1%減)と増収減益で着地した。
同社は衆院選実施後の2017年10月31日に、衆院選による収益拡大を反映して通期予想を上方修正したが、その予想に対しては売上高、利益ともに未達となった。投資有価証券売却益180百万円を特別利益として計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益の減益幅は縮小した。
同社は選挙システム機材事業の売上高が国政選挙の有無で大きく変動し、それによって全社の業績も大きく動く特性がある。期初は2016年7月の参院選の反動減を理由に、減収減益予想でスタートしたが、2017年10月に衆院選が実施されたことを受けて、通期業績見通しが上方修正された。選挙システム機材部門の売上高は期待以上に伸長し、部門売上高は過去最高を記録した。印刷システム機材をはじめそれ以外の部門が前期比減収となったものの、富士フイルム<4901>の子会社から洋紙事業等を承継したエム・ビー・エス(株)を2017年9月に連結子会社化したことで、連結売上高は前期比増収を確保した。
利益面では、選挙システム機材販売の伸長によって利益も拡大し、期初予想に対する上方修正をけん引した。前期比較においても、参院選のあった2017年3月期を上回る利益に達したと弊社では推定している。しかしながら、印刷システム機材の不振で選挙システム機材の増益効果が減殺され、上方修正時に期待された前期比営業増益の達成はならなかった。
選挙システム機材は同社の強みをいかんなく発揮。一方、印刷システム機材は業界構造の変化で収益が悪化
2. 事業セグメント別動向
(1) 情報・印刷・産業システム機材セグメント
情報・印刷・産業システム機材セグメントは、売上高21,541百万円(前期比6.3%減)、営業損失281百万円(前期は13百万円の利益)となった。
同セグメントは単独ベースの情報・産業システム機材と印刷システム機材、及び一部の子会社の収益で構成されている。「文書デジタル化事業」の収益は情報・産業システム機材の内数となっている。情報・産業システム機材はスキャナー等の電子化機器の販売は順調だったが、文書デジタル化事業の売上高(連結)は3,351百万円にとどまり、前期比、予想比ともに下振れで着地した。印刷システム機材は、レーザー加工機などの印刷後加工分野の機器販売は伸長したが、CTPなど主力印刷機や印刷材料の販売が前期比減収となり、採算性も低下した。利益面では印刷システム機材の減収影響と収益性低下で、セグメント営業利益は281百万円の損失となった。
(2) 金融汎用・選挙システム機材セグメント
金融汎用・選挙システム機材セグメントは、売上高7,018百万円(前期比13.7%増)、営業利益1,110百万円(同18.8%増)と増収増益となった。
同セグメントは単独ベースの金融汎用システム機材と選挙システム機材の2つの部門で構成されている。金融汎用システム機材はセキュリティ機器や外貨処理システムの販売は堅調に推移したが、全体的には金融機関及び流通市場における設備投資抑制の影響で主力の貨幣処理機が伸び悩み、前期比微減収となった。選挙システム機材は2017年10月に衆院選が実施されたことで、売上高は前期比21.7%増の4,829百万円となった。同社は期初の段階では国政選挙を想定しておらず1,500百万円の予想だったが衆院解散を受けて4,178百万円に上方修正した。実績はその修正予想を15.6%上回り、選挙システム機材部門の売上高としては過去最高を更新した。
(3) 紙・紙加工品
紙・紙加工品セグメントは売上高8,531百万円(前期比44.7%増)、営業損失7百万円(前期は1百万円の利益)で着地した。
医薬品や化粧品向け紙器用板紙の販売は好調だったが印刷用紙の販売が需要減退の影響で減収となった。しかしながら、2017年9月1日付で連結子会社化したエム・ビー・エス(株)の売上高が7ヶ月分算入されたことで前期比増収を確保した。利益面では、印刷用紙の減収の影響と、エム・ビー・エス(株)ののれん代償却負担により、わずかではあるが営業損失となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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1. 2018年3月期決算の概要
ムサシ<7521>の2018年3月期決算は、売上高37,298百万円(前期比5.8%増)、営業利益960百万円(同13.3%減)、経常利益1,059百万円(同14.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益742百万円(同5.1%減)と増収減益で着地した。
同社は衆院選実施後の2017年10月31日に、衆院選による収益拡大を反映して通期予想を上方修正したが、その予想に対しては売上高、利益ともに未達となった。投資有価証券売却益180百万円を特別利益として計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益の減益幅は縮小した。
同社は選挙システム機材事業の売上高が国政選挙の有無で大きく変動し、それによって全社の業績も大きく動く特性がある。期初は2016年7月の参院選の反動減を理由に、減収減益予想でスタートしたが、2017年10月に衆院選が実施されたことを受けて、通期業績見通しが上方修正された。選挙システム機材部門の売上高は期待以上に伸長し、部門売上高は過去最高を記録した。印刷システム機材をはじめそれ以外の部門が前期比減収となったものの、富士フイルム<4901>の子会社から洋紙事業等を承継したエム・ビー・エス(株)を2017年9月に連結子会社化したことで、連結売上高は前期比増収を確保した。
利益面では、選挙システム機材販売の伸長によって利益も拡大し、期初予想に対する上方修正をけん引した。前期比較においても、参院選のあった2017年3月期を上回る利益に達したと弊社では推定している。しかしながら、印刷システム機材の不振で選挙システム機材の増益効果が減殺され、上方修正時に期待された前期比営業増益の達成はならなかった。
選挙システム機材は同社の強みをいかんなく発揮。一方、印刷システム機材は業界構造の変化で収益が悪化
2. 事業セグメント別動向
(1) 情報・印刷・産業システム機材セグメント
情報・印刷・産業システム機材セグメントは、売上高21,541百万円(前期比6.3%減)、営業損失281百万円(前期は13百万円の利益)となった。
同セグメントは単独ベースの情報・産業システム機材と印刷システム機材、及び一部の子会社の収益で構成されている。「文書デジタル化事業」の収益は情報・産業システム機材の内数となっている。情報・産業システム機材はスキャナー等の電子化機器の販売は順調だったが、文書デジタル化事業の売上高(連結)は3,351百万円にとどまり、前期比、予想比ともに下振れで着地した。印刷システム機材は、レーザー加工機などの印刷後加工分野の機器販売は伸長したが、CTPなど主力印刷機や印刷材料の販売が前期比減収となり、採算性も低下した。利益面では印刷システム機材の減収影響と収益性低下で、セグメント営業利益は281百万円の損失となった。
(2) 金融汎用・選挙システム機材セグメント
金融汎用・選挙システム機材セグメントは、売上高7,018百万円(前期比13.7%増)、営業利益1,110百万円(同18.8%増)と増収増益となった。
同セグメントは単独ベースの金融汎用システム機材と選挙システム機材の2つの部門で構成されている。金融汎用システム機材はセキュリティ機器や外貨処理システムの販売は堅調に推移したが、全体的には金融機関及び流通市場における設備投資抑制の影響で主力の貨幣処理機が伸び悩み、前期比微減収となった。選挙システム機材は2017年10月に衆院選が実施されたことで、売上高は前期比21.7%増の4,829百万円となった。同社は期初の段階では国政選挙を想定しておらず1,500百万円の予想だったが衆院解散を受けて4,178百万円に上方修正した。実績はその修正予想を15.6%上回り、選挙システム機材部門の売上高としては過去最高を更新した。
(3) 紙・紙加工品
紙・紙加工品セグメントは売上高8,531百万円(前期比44.7%増)、営業損失7百万円(前期は1百万円の利益)で着地した。
医薬品や化粧品向け紙器用板紙の販売は好調だったが印刷用紙の販売が需要減退の影響で減収となった。しかしながら、2017年9月1日付で連結子会社化したエム・ビー・エス(株)の売上高が7ヶ月分算入されたことで前期比増収を確保した。利益面では、印刷用紙の減収の影響と、エム・ビー・エス(株)ののれん代償却負担により、わずかではあるが営業損失となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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