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全研本社、生産年齢人口減少という社会課題に対しソリューションを提案 IT・人材事業を中心に更なる成長へ
会社概要
林順之亮氏(以下、林):みなさま、こんにちは。全研本社株式会社、代表取締役社長の林順之亮でございます。本日は土曜のこの時間よりご視聴いただき、誠にありがとうございます。弊社について初めてお聞きになる方も多いと思いますが、みなさまに知っていただくよい機会だと思っているため、どうぞよろしくお願いします。
本日は、会社概要や業績をはじめ、この度参入する介護事業についてもご説明します。当社は、IT・語学・不動産という3つのセグメントで事業を展開しており、現状としてはITがメインの企業になります。子会社のサイシードは、伸びしろの高いAI関連の事業を行っており、従業員数は2022年3月末時点で436名です。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):まず、お人柄を知っていただきたいと思いますので、ご質問します。林社長のこれまでの経歴、また、座右の銘などがありましたらお聞きしたいです。
林:私は20代前半で独立し、30代前後で起業しました。ちょうど20年ほど前に、オンラインのパソコン教室に関するフランチャイズ事業で、全研本社にジョインしました。座右の銘は「上りのエスカレーターに乗る」です。
会社紹介
弊社は教育事業として、47年前に創業しました。その後、教育事業からIT事業への業態転換に成功した会社です。「そこにない未来を創る」というビジョンのもと、日本の生産年齢人口減少という社会課題に対し、長年培ってきたIT・教育のアセットを使って、さまざまなソリューションの提案を行っています。
事業の変遷
当社の沿革です。当社は1975年に創業し、2000年からIT事業に参入しています。ITの中でも特にコンテンツマーケティング事業を主力とし、順調に成長を続けてきた祖業の語学シナジーを活かすことで、2018年には海外IT人材事業へと進出しました。そして、昨年6月16日に東証マザーズに上場しており、今年の4月には、市場再編によりグロース市場へと移行しています。
坂本:御社の社名からITの会社とはイメージできませんが、なぜ「全研本社」という社名になったのかを教えていただきたいです。
林:1975年に創業者は「ワールドミネル」という名前で子ども英会話事業を起業しましたが、教育事業の多角展開によって「全国教育研究所」という社名に変更しました。その後、さまざまな販売会社の事業買収によって、次々とたくさんの販売会社ができるようになり、販売会社と本社を区別するという意味で社名に「本社」を付け、「全研本社」となりました。
坂本:何社かはあると思いますが、「本社」が付いている上場企業は、けっこう珍しいと思います。
林:おっしゃるとおりです。
事業の概要
売上構成としては、ITセグメントが8割を占めています。また、そのうち5割以上は、主力のコンテンツマーケティング事業が占めており、利益についてもITセグメントが8割以上となっています。
ITセグメント概要
各セグメントごとの事業・サービスを簡単にご紹介します。まずITセグメントについてです。コンテンツマーケティング事業はWebマーケティング戦略を提案し、メディアの開発から運用まで、クライアントの集客支援をメインに行っています。海外IT人材事業は、IT人材不足に悩むクライアントと海外IT人材とのマッチング、受け入れや定着のサポートまでを一気通貫で行っています。
メディア事業は、美容業界に特化した求人メディアや、健康・美容の商材と各企業をつなぐメディア運営などを行っています。AI事業は、チャットボットやFAQシステムなどの開発・提供を行っており、最近ではワクチンの予約システムが業績向上に非常に大きく貢献しています。
語学セグメント概要
語学セグメントでは、法人に向けた英会話教育や海外留学斡旋、また、海外人材のための日本語学校の運営などを行っています。
不動産セグメント概要
不動産セグメントです。新宿西口の好立地に2棟のオフィスビルを所有しており、現在全フロア満室で運用を行っています。
ビジネスフロー
スライドには、当社のビジネスフローに関する図を示しています。当社が展開する事業は法人向けが大半であり、ITセグメントのコンテンツマーケティング事業では、クライアントの制作費と月額の運用費が収益のメインになっています。メディア事業は掲載料、海外IT人材事業は人材紹介料、AI事業は初期費用と運用費が収益のメインとなっています。
語学セグメントは、法人向けと個人向けの両方を展開しており、授業料や教材費が主な収益となっています。また、不動産セグメントは、オフィスビルの家賃収入が収益のメインです。
主力事業の概要
ITの主力である、コンテンツマーケティング事業のビジネスモデルや強みをご説明します。弊社のコンテンツマーケティング事業では、ニーズが顕在化している検索の市場において、各企業の特徴が一目でわかる集客メディアを制作しています。
例えば、〇〇市でRC住宅を建てることに興味・関心を持ったユーザーが、「〇〇市」と地域を限定した上で「RC住宅」と入力し検索を行ったとします。検索すると、これまでは全国を網羅したような大きなポータルサイトが検索上位にヒットしていましたが、〇〇市のRC住宅のみをより詳しく、専門性の高いコンテンツをもって説明するメディアは1つも存在していない状況でした。
そこで、我々はその部分に特化したメディアを制作し、関心のあるユーザーに対して精度の高いコンテンツを提供しています。興味・関心度の高いユーザーを厳選して集めているため、コンバージョンが非常に高いユーザーをクライアント企業へ送客できるというモデルになっています。
集客メディアの業界ポジショニング(例:不動産市場)
スライドの図は、住宅や不動産市場を例として、当社が手がける集客メディアのポジショニングについて表したものになります。スライド右上が大手のポータルサイトです。たくさんの企業が掲載されており、検索数も非常に多いのですが、簡単な情報しか掲載されていないという特徴があります。
これは資料請求を目的とした「リード提供モデル」、つまり、問い合わせのリードを提供したら課金されるというシステムであるため、とにかくたくさんの企業を載せて、たくさんの問い合わせが発生すればマネタイズできるというモデルになります。一方、弊社では「商品の魅力や営業力がないと、最終的にコンバージョンまで持っていくことはなかなか難しい」という企業の声をたくさん受けています。
そのような中、我々がかなり厳選したコンテンツを提供することで、興味度の高いユーザーを最終的にクライアントへ送客することになるため、営業力がなくても非常に高い確率でコンバージョンを実施できるモデルとなっています。スライド左下は当社集客メディアです。検索数自体は少ないですが、非常に専門性が高いものになっています。
例えば、工業ライター、医療ライター、美容ライターといった、それぞれ精度の高い記事を書ける人をたくさん集めており、商品力やサービス力があっても営業力が低いような会社に非常に重宝されています。納得感のあるユーザーを送客できるため、「マーケティングDX」であると考えています。成約率が高い集客メディアであるため、大手から中小まで、非常に大きなニーズがあると考えています。
当社はこのような集客メディアを、これまで数千サイトレベルで開発・運用してきました。
馬渕磨理子:集客メディアについて、少しイメージが湧きにくいのですが、おすすめサイトやランキングサイトといったものになりますか?
林:かなり異なると思います。いわゆる専門メディアであり、さまざまなエリア、つまり狭域なマーケット、非常に小さなマーケットに対するメディアになります。すごくわかりやすく言いますと、例えばBtoBにおいて、一般の人はあまり聞いたことがないような有孔鋼板、ビル負荷試験などのマーケットです。先ほどもお伝えしましたが、「八王子 RC住宅」と検索した時は、専門性がかなり高いメディアが出てきます。
今までIT会社において、そのような狭い領域にかなり労力のかかるコンテンツでメディアを立ち上げるという慣習はありませんでした。営業力の弱い会社が、最終的に高くコンバージョンする確率のユーザーを送客してもらえるというメディアがなかなか存在しなかったため、ランキング、おすすめといった、いわゆる安直にクリックさせればよいとするメディアとは、まったく違うタイプのものになります。
坂本:専門性の高いサイトを提供することでコンバージョンを上げ、おそらく他のサイトにない情報が上がってくるため重宝されると思いますが、専門性の高い記事を掲載するとなると、やはり専門性の高い人自身が作らないといけないと思います。どのようなかたちでコンテンツを提供しているのでしょうか? 専門のライターがいるのかなど、細かく教えてください。
林:当社は自社で「ライターステーション」という、ライターを集める求人サイトを開発・運用しており、「ライター 求人」などで検索すると上位に出てきます。このサイトには何千人といった応募があり、厳選してSランク、Aランク、Bランク、Cランクという、いろいろなレベルのライターが来ています。
中には、「現役の新聞記者です」「美容ライターとして編集の仕事を行っています」といった方もいます。そのような方はSランク、Aランクに位置しており、そのまま即SOHOで使うことができます。Bランク、Cランクの方は、月に500円、1,000円などをいただいて指導するようなコンテンツを提供しています。その後Aランクに上がると、仕事を提供するという流れになります。
現在約1,100名が登録し、正社員は140名くらいとなっており、内部にはITやSEOなどに精通したライターがいます。約1,200名体制で実施しているため、相当なマンパワーを備えている状況です。
坂本:人数が多いため、狭域なコンテンツを提供できるということでしょうか?
林:おっしゃるとおりです。
集客メディアの事例
スライドは、当社が手がけているメディアの中のほんの一例です。例えばBtoB、先ほどもお伝えした、有孔鋼板やビルの負荷試験など、聞いたことがないようなものがたくさんあります。ジャンルで言いますと、電気や機械、土木、建設など、かなり巨大なマーケット群になります。
注文住宅にはRC住宅、狭小住宅、二世帯住宅など、いろいろなものがあります。「エリア×〇〇住宅」といったように、狭い領域で専門的なメディアを立ち上げることは今までなかったため、今当社はこのマーケットにおいて独壇場で成長することができている状況です。
坂本:サイトと言うと、おそらく相当な数になると思います。
林:おっしゃるとおりです。例えばインプラント、美容整形、学校・資格などがあります。コロナ禍でマスクをするようになったことで、インプラント、歯科矯正、美容整形などのニーズが跳ね上がり、それに合わせてさまざまなジャンルに対応している状況です。現在運用しているメディア数は、約1,300に及びます。
主力事業の特徴と強み①
主力事業の特徴と強みをご説明します。まずスライド左側の図についてです。当社はコンサルティングが決め手となる、高付加価値な集客モデルです。コンサルティングとは何かと言うと、クライアントに対してヒアリングをかなり長く行い、どの優位性なら競合に勝てるのかを分析します。扱う業種がさまざまなため、関連する法律も多岐にわたります。例えば、景品表示法や医療法、宅地建物取引業法です。
当社は弁護士や司法試験合格者などの法律家を、正社員として4名ほど抱えています。コンサルティングからリーガルチェックに至るまで、非常に高いレベルのサービスを行っているため、他社にとっては、これらすべてが大きな参入障壁になっているのではないかと考えています。
また、高収益を叶える仕組みをご説明します。集客メディアを自社所有で運営しており、記事広告のようなビジネスモデルであるため、制作費と運用費の両方をいただくリカーリングモデルによって、高収益を継続して積み上げることができています。
続いて、スライド右側の図についてです。主な運用メディアの約半分は、個人に訴求するBtoCとなっており、ジャンルも多岐にわたっています。
主力事業の特徴と強み②
先ほどご説明しましたが、競合の参入障壁の1つに豊富なマンパワーがあります。弊社のライター募集サイト「ライターステーション」には、約1,100名の外部ライターが登録しています。これは、弊社が仕事を出せると思っているレベルの人が1,100人で、それ以外の予備軍となる候補者も入れると相当数になります。
コロナ禍による在宅ワークの加速や、編集社勤務の正社員が副業を認められている背景もあり、専門性の高いライターを優位に集め続けられる状況ができています。そのため、さまざまな業態の専門性の高いコンテンツ制作が可能になっています。
また、自社でライター採用サイトを運営しているため、人材を無料で獲得できるところが大きな強みだと考えています。
主力事業の特徴と強み③
マーケット拡大の背景は、2015年に導入された「検索アルゴリズム」で、GPSと連動した検索結果画面への変更が挙げられます。それまでの地方のエリアマーケットは、フリーペーパーが席巻していました。今は、フリーペーパーの割引チケットをちぎって、お店に入って出すという光景はあまり見ないと思います。スマホで「〇〇市 美容室」や「〇〇 エステ」で検索するなど、がらりと変わりました。
これによって、私たちがターゲットとするマーケットが激増しました。全国でさまざまな狭域なメディアを制作し、ニーズに応えられる当社の体制は、市場背景も追い風になってきた状況です。
2022年6月期第3四半期 連結決算ハイライト
足元の業績として、2022年6月期第3四半期の決算についてご説明します。第3四半期は前年同期比で増収増益となりました。売上高は57億円となり、前期比12億円のプラスです。増収に伴い、営業利益は19億円となり、前期比10億円のプラスとなりました。
2022年6月期第3四半期 連結決算ハイライト(セグメント別)
セグメント別の前年同期比です。ITセグメントは増収増益です。売上高は46億円となり、前期比13億円のプラスとなりました。増収に大きく影響したのは「コロナワクチン予約システム」の売上で、約11億円となりました。増収に伴い、セグメント利益は20億円となり、前期比9億円のプラスです。
語学セグメントは減収となりましたが、黒字転換です。売上高は5億円となり、前期比8,000万円のマイナスとなりました。これは、主に英会話スクール事業の譲渡によるものです。不動産セグメントは、大きな変動はありません。
四半期別業績推移
直前四半期比は、減収減益となりました。売上高は1億4,000万円のマイナス、営業利益も1億4,000万円のマイナスとなりました。減収の主な要因は、ITセグメントにおける「コロナワクチン予約システム」の売上減少です。減益は減収に比例したものです。
3回目のワクチン接種が、ほぼ一周しつつある状況下で、「4回目を全国民に打たせるのか?」という議論もある中、この売上減少はある意味で国としてはよい方向だと考えています。まったく減るものではなく、小さく続いている状況になっています。
収益の分解情報 〜ITセグメント事業別
ITセグメントの売上高を事業別に分解したグラフです。
直前四半期比では、コンテンツマーケティング事業は増収となりました。BtoB業種への戦力の集中が功を奏しました。コロナ禍で中止されていた展示会などが再開されても、Web広告のニーズは引き続き高く、好調です。また、メディア事業も増収となりましたが、季節要因によるものです。
AI事業は減収となりました。「コロナワクチン予約システム」の提供が一部で終了しているためです。AI事業の減収の影響を受けて、ITセグメント全体としては減収となりました。
収益の分解情報 〜ストック/フロー別
売上高をストック/フロー別に分解した場合、およその割合はストックが7でフローが3になります。
2022年6月期業績予想に対する進捗率
通期の業績予想に対する進捗率をご説明します。利益は通期予想を超えていますが、売上は計画を少し上回る進捗です。これもやはり「コロナワクチン予約システム」の状況が影響しています。予算策定段階よりも提供団体数が上回り、増収増益となったことが計画の上振れにつながりました。
バランスシートの状況
バランスシートの状況です。総資産は147億円で、純資産は118億円となりました。自己資本比率は80.3パーセントです。
主な指標①
主力のコンテンツマーケティング事業の状況をご報告します。
このグラフが四半期の推移です。第3四半期は、新規公開メディア数が103件で23件の増加、運用メディア数は1,296件で28件の増加となりました。ともに増加している主な要因は、BtoB業種へとターゲット市場をシフトしたためです。また、メディアの平均継続期間は、36ヶ月を超える水準を維持しています。
主な指標②
集客メディアを業種別に見ると、BtoB業種は20パーセントから37パーセントへと順調にシェアを伸ばしました。BtoB業種とは、電気・機械・土木・建設など非常に多岐にわたる、巨大なマーケットです。
一方、住宅関連メディアは、新型コロナウイルスで輸入材が入手困難となるウッドショックの影響を受けて減少しました。また、取引先が地方で減少している理由は、ウッドショックの影響を受けたのが地方取引先が多かったためです。
トピックス
第3四半期のトピックスは2点です。1点目は、子会社サイシードによる「コロナワクチン予約システム」の提供です。2021年3月の提供開始以降、大きく売上を伸ばしました。今期は累計11億円の売上を計上しています。
2点目は、新規参入の介護事業についてです。今年3月に介護事業を譲り受ける契約を締結し、4月に子会社となる全研ケア株式会社を設立しました。介護事業の本格稼働は、7月からとなります。後ほど詳しくご説明します。
質疑応答:新型コロナウイルスの予約システムについて
坂本:新型コロナウイルスの予約システムについて1点おうかがいします。御社の業績に大きく貢献されていると思いますが、他社も同じようなシステムをお持ちだったと思います。御社は、多くの団体とお付き合いがありますが、何か戦略や強みはありますか?
林:まず端的には、他社に先んじて参入したことがとても大きな要因です。日本全国の市町村や職域接種を行っている大企業に対して、非常に積極的な営業展開をより早く行い、先にシェアを獲得しました。実際、先にシェアを取れば、いちいちシステムを変える状況ではなくなると考えました。
坂本:確かに、1回目に使った方は、3回目までだいたい使っていただくことが多いです。
林:その通りで、当たり前のようになるということです。
中期成長戦略
林:ここからは、当社の中期展望と成長戦略についてご説明します。中期展望の課題として、1つ目は「コンテンツマーケティング事業の更なる拡大」です。2つ目に「語学事業の黒字化」、3つ目に「海外IT人材事業の拡大」を掲げています。
事業環境(ITセグメント)
コンテンツマーケティング事業の市場環境をご説明します。
インターネット広告市場は、2019年にテレビ広告を超える規模となりました。2021年には、2.5兆円の規模になっています。インターネット広告には、オウンドメディアや検索連動型、成果報酬型など、さまざまな種類がありますが、当社のターゲットは、これらを合わせた約2.5兆円の広告市場です。
今後、「サードパーティークッキー(3rd Party Cookie)」のサポートが打ち切られることによって、リターゲティング広告などが規制されていきます。このリターゲティング広告の巨大な市場の取り込みが、弊社の非常に大きな期待となっています。
コンテンツマーケティング事業の成長 ①全体像
このような市場環境を背景としたコンテンツマーケティング事業の全体像です。1つ目は契約顧客数の拡大、2つ目は単価の向上、3つ目が継続期間の長期化です。これらの実現で、さらに安定的に成長させていきたいと考えています。
コンテンツマーケティング事業の成長 ②契約顧客数の拡大
契約顧客数拡大のために、ニッチ市場、つまりメディアが少ない市場の開拓を推し進めます。新型コロナウイルスが広がり、はじめにWeb広告のニーズが高まったのは住宅不動産業種でした。夫婦で長く会話する時間が増え、住み替えや借り換えをはじめ、リフォームで自宅にサウナやゴルフレンジを作ってみたり、さまざまな住宅の不動産ニーズが急上昇しました。
加えて、住宅展示場を開けないため、ネットへの広告投資が非常に加速化した背景があります。コロナ前は、ビッグサイトなどでの年1回の展示会で集客していたBtoBの業種が、今もっとも成長しています。Webで広告を打って、成果につながることを知り始めた状況です。この需要は、新型コロナウイルスが収束した後も続いていくと見込んでいます。
このように、市場を見極めて、柔軟な市場開拓の継続が可能です。どのような分野にも小さなメディアで参入できるため、景気・不景気の状況や市場環境に合わせて、ターゲット市場をスイッチできるのも、非常に大きな強みです。
スライド中央のセグメント市場は、特定のエリアに区切って展開する市場を指します。「Zoom」を使ったオンライン営業は、コロナ禍ですっかり定着し、今後も続いていくと思われます。地域の垣根なく積極的に営業できるようになったのも、弊社にとって追い風となっています。
また、弊社はアウトバウンドをメインで営業していましたが、今はインバウンド型営業も伸びてきている状況です。
コンテンツマーケティング事業の成長 ③インバウンドマーケティングメディア
集客方法やマーケティングに関する記事を数多く掲載している「キャククル」というメディアを2019年からスタートしています。記事を読んでいただいたマーケティング担当者からの集客相談につながっているため、より一層、インバウンド型営業を強化していきます。
語学事業の黒字化:縮小均衡しオンライン化対応
語学セグメントの黒字化については、拠点や事業体制の見直しを進めた結果、四半期累計で黒字化を達成し、当期の着地見込みでも黒字を想定しています。
この語学セグメントは、留学事業で培った海外大学の開拓のノウハウや日本語教育など、今後の成長事業と位置づけている海外人材事業と強いシナジーがあり、その成長を支える事業です。
海外IT人材事業の拡大 ① IT人材需給による海外IT人材ニーズの拡大
海外IT人材事業についてご説明します。経済産業省によると、日本のIT人材は10年以内に最大で79万人が不足すると予想されています。人口減少を補うのは、テクノロジーと海外人材だと考え、テクノロジーの発展に欠かせない海外人材マーケットの成長を見込んで参入しています。
海外IT人材事業の拡大 ②海外IT人材 供給サイドと需要サイドのマッチング
現在、当社は世界三大IT都市と評されるインドのベンガルールで、上位30大学と提携し、インド人学生と日本企業をマッチングするための「ジャパンキャリアセンター」を大学内に開いています。
コロナ禍でオンラインでの採用活動を続けた結果、現在98社の取引実績となり、内定人員数は197名となりました。待ちに待った入国緩和により、3月下旬より内定者が続々と入国しています。
また、今期に取り組んでいる海外人材と日本企業の人事をマッチングするプラットフォームの開発によって、さらに事業拡大を図っていきます。例えば、日本企業の自己紹介動画を英語で作成し、それを見たインド人学生がプラットフォーム上でエントリーし、オンライン面接まで実施できます。このほか、翻訳や日本語教育事業でも、課金が可能な非属人的な事業モデルです。
中期成長戦略イメージ
私たちの中期成長戦略でのイメージ図です。主力事業であるコンテンツマーケティング事業と、成長事業である海外IT人材事業を中心に、成長戦略を描いています。この2つで、企業価値をさらに向上させていくことを考えています。
坂本:ご質問したいのですが、足元の業績は、新型コロナウイルスのワクチン予約システムの好影響がかなりあったという話や、御社の強みなどを先ほどうかがいました。
その前にもご説明があったとおり、新型コロナウイルスがだいぶ収束してくるのはよいことですが、会社にとっては業績が少し落ち込む可能性があるとイメージする方は多いと思います。今後、成長が続くのでしょうか? その後の新規事業につなげてでもいいので、お答えいただけたらと思います。
林:サイシードのコロナワクチン予約システムの提供という事業が少し減速していくだけで、先ほどお伝えしたように、アフターコロナになって、特に「Zoom」の解禁が非常に大きく、全国にオンライン営業を仕掛けることができます。これが、主力であるコンテンツマーケティング事業の成長に、非常に大きな加速要因となっています。
また、私たちの事情だけではなく、全国の広告予算がかなり緩んでくるはずです。この2年間、締めに締めて耐え忍んできたというのが世界各国のマーケット事情ですので、ここが解禁されることによって、非常に大きな加速要因になると考えています。あとは、入国ができるようになったことで、海外IT人材の事業もかなり伸ばしていけると考えています。
譲受事業・サービス
この度、新規参入する介護事業についてご説明します。当社は、埼玉県久喜市にある介護施設3拠点を譲り受けます。入居サービスや訪問介護等のサービスを行っている施設です。
スキーム・スケジュール
3月16日に事業譲受契約を締結し、4月1日に子会社、全研ケア株式会社を設立しました。介護事業を運営するのは、この全研ケアとなります。今年7月1日より、介護事業をスタートさせる予定です。
なぜ介護なのか
なぜ介護事業に参入するのかという点についてご説明します。2030年には、日本の総人口の3分の1が高齢者になると言われています。今後、ますます労働人口の減少が進み、介護業界においては、2040年に69万人の介護する側の人材が不足すると言われています。女性・シルバー人材でも限界がありますので、海外人材の活用が不可欠な時代がすぐそこに来ています。
しかしながら、海外人材を日本の介護事業に受け入れるにあたっては、語学面のハードルがあります。当社は、長年培ってきた外国人に対しての日本語教育のノウハウを活かすことができます。
参入コンセプト
参入コンセプトです。当社はすでに海外IT人材の受け入れや日本語教育で実績があり、それを活かして3方向に事業を進めます。
海外介護人材に対して日本語教育や異文化教育を行い、それを受け入れる日本人スタッフに対して異文化教育ややさしい日本語の話し方の教育を推し進め、さらに、介護施設を運営するだけでなく、他の介護事業所と海外人材のマッチングを行っていきたいと考えています。
海外人材の受け入れや日本語教育を提供する会社は他にもありますが、働く場所までフルサポートというのが当社の強みです。
受入不安に対するソリューション
日本の受け入れ側としては、当然ながらいろいろな不安要素があると考えました。例えば「スムーズに意思疎通ができるだろうか?」「生活習慣の違いで困るのではないか?」「任せられる仕事の範囲がかなり限定されるのではないか?」といったものです。
これらの不安を解消するために、私たちはM&Aで得た介護施設を自ら運営することによって、海外人材を投入して、フラグシップモデルを作りたいと考えています。このフラグシップモデルを見ていただいて、受け入れの不安を解消できれば、他の介護事業者も、海外人材の受け入れがかなり加速してくるのではないかと考えました。
また、その先では、人材が不足する他の産業にも横展開することを検討しています。サービス業・卸売業・製造業・医療・教育など、さまざまなモデルに横展開することが可能です。
坂本:介護事業に新しく参入されるということですが、これは御社の今まで行ってきた海外との人材マッチングを含めて、海外の方に介護で働いていただくことも、ITもあると思うのですが、そのようなシナジーの生ませ方はあると思います。今後の介護事業の展望といいますか、どう拡大させていくのかというイメージがあれば教えてください。
林:当社は、介護事業を運営することで売上・利益を上げ続けていくことがメインではありません。インドネシアを中心に、現地で提携している先の介護人材を日本の介護業者に安定供給します。日本の人口減少社会を食い止めるための事業に、ITや介護、それ以外の分野にも、祖業の語学事業のシナジーと今のテクノロジーの力を組み合わせて、当社の強みを活かして、その事業で伸ばしていきたいという考えです。
坂本:次々と介護事業をいたずらに件数を増やしていくということではないのですね。
林:おっしゃるとおりです。
坂本:その先のビジネスのためにいったん介護事業に取り組んで、試してみないとわからない部分もあるので、というテストマーケティングより、もう少し進んでいると思いますが、その一環というイメージですね。
事業目的
林:介護事業に参入する目的は、海外人材の受け入れを通して、生産年齢人口の減少による労働力減少の解消を推し進めるというところに尽きます。
当社の強み① インドネシア企業との独占契約
次に、当社の強みを2点ご紹介します。1つ目の強みは、当社はインドネシア企業2社とすでに独占契約を締結しており、インドネシアでの日本語教育と介護教育の体制が整っているという点です。
1社目の学修堂は、インドネシアで1987年より日本語教育を行っており、日本語教材の出版やインドネシア人材の送り出し事業を行っている会社です。
2社目のダルマワンは、介護の専門高校を運営しています。「ダルマワンパーク」という広大な敷地内に専門高校や介護施設があり、生徒たちは座学だけでなく、実際の介護施設で実習を行うことができます。これらの会社から日本に人材を送る際は、必ず当社を通すという契約を締結しています。
当社の強み➁ 日本における受入・定着支援
2つ目の強みは、受け入れ定着サポートのノウハウがあるという点です。これまで培ってきた日本語教育・文化教育を、介護人材向けに展開します。
2019年から始まった特定技能ビザの対象に介護が含まれるのですが、このビザでの在留期間は、トータル5年しかないです。定着支援の1つとして、介護ビザへの切り替えを目指して、国家資格である介護福祉士を取れるところまでサポートするというものです。
また、受け入れる側の日本人スタッフに対しても、異文化への理解を深めるプログラムや、簡潔でわかりやすく外国人が理解できる日本語をマスターしていただく教育も推進しています。
GLOBAL INBOUND PLATFORM
海外人材事業の展望をイメージで表したものです。当社のITと語学のアセットを活用し、労働力不足の日本に海外人材を受け入れるプラットフォーム企業になりたいと思っています。日本では、海外人材の受け入れと定着にあたっては、仕事と生活の両面での支援が必要になるため、採用やキャリアアップ、生活面でのサポートを推進します。
一方、海外では、日本への就職・留学のサポートを検討中で、また、海外に日本を知ってもらうための「JAPAN MESSE」も行っていきたいと考えています。
以上、介護事業参入についてのご説明でした。
公式Twitterアカウントのご案内
IR Twitterをご案内します。個人投資家のみなさまに当社を知っていただくことが今のステージの重要課題と捉え、今回のセミナー参加のように、個人投資家のみなさまに向けた積極的な情報発信に取り組み続けたいと考えています。
その1つとして、昨年11月より公式Twitterを始めました。IR関連・PR関連から事業紹介、社内の様子など、幅広い情報を発信しています。興味をお持ちの方は、ぜひフォローしてください。どうぞよろしくお願いいたします。
質疑応答:株主還元について
坂本:では、質疑応答に続いていきたいと思います。まず、よく個人投資家から質問がある株主還元についてです。僕の考えとしては、成長している企業は、キャッシュがあっても配当するよりは成長に使うべきだと思うのですが、株主優待と配当の予定がありましたら教えてください。
林:私たちは47年も続けている会社ですから、株主に対しての利益還元は非常に重要な課題だと考えています。優待も当然、今後の検討課題であると考えています。
質疑応答:自治体へのAI商品の提供について
坂本:今後の成長戦略について、「資料になかったのですが、自治体へのAI商品の提供があるというトピックがあったかと思います。ここについて教えてください」という質問が来ています。
林:これは、新型コロナワクチンの予約システムの提供という特需で、普通、このBtoG市場への参入は簡単ではありません。市町村のクライアントに口座を開くということは、非常に難しいのです。
坂本:入札資格など、いろいろありますね。
林:それが、向こうからも問い合わせいただいて、一気に数百の団体を開拓することができました。ここに対して当社のAIの、Q&Aシステムやチャットボット、そのような既存の商品を提供することで、ワクチンの減収もいずれプラスに変えていきたいと思っています。
また、職域接種で大企業の開拓もできたので、そこに対しても、これから主力事業を伸ばしていくことができます。今まではワクチンの対応が忙しすぎて、主力事業に取り組んでいる場合ではないというくらい、全社員をワクチンに投入していったので、これから収束に伴って、そこで開拓した市場に大きく攻めていきます。
質疑応答:M&Aについて
坂本:次のアクセスをするということですね。そこは本業の部分を伸ばすというところなのですが、ワクチンも落ち着いたということで、御社はキャッシュがかなりあるところと、介護事業も譲り受けて、おそらくM&Aのようなかたちだとは思うのですが、今後、新しい軸が立てられる状況にあると思います。
そのような中でM&Aを想像される方はいるかと思いますが、イメージとして、御社ではどういうパーツをつけたいというのがありましたら、可能な限りで教えていただけたらと思います。
林:現事業に即シナジーが起こる事業をメインに、すでにたくさんのM&Aを検討している状況です。例えば、当社は、日本で就職したいインドの大学生を1万人以上、当社のプラットフォームに登録しました。
コロナ禍で競合も参入できない中、当社はインドでコツコツと開拓してきて、供給する人材はたくさんいるのです。
当社がすでに開拓しているような、外国人ITエンジニアがほしい、あるいは介護人材がほしいという、例えば人材紹介会社や派遣会社のようなところと提携や買収ができれば、一気にここに売ることができます。それはM&Aを実施した時点で、即、売上をイメージできます。わかりやすく言うと、そのようなシナジーがある会社や事業とのM&Aを推し進めたいと思っています。
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