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ジオマテックのニュース
■業績動向
1. 2018年3月期業績
ジオマテック<6907>の2018年3月期連結決算は、売上高が7,046百万円(前期比18.1%減)、営業利益は96百万円(同33.8%減)、経常利益は98百万円(同56.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は79百万円(前期は2,266百万円の損失)となった。
製品別で、主力である帯電防止膜は新規機種用のスマートフォン向けが増加したものの、タブレット端末は全体的に需要が鈍化したため大幅に減少。タッチパネル関連製品では、カーナビゲーション用が抵抗膜式から静電容量式に需要がシフトしている状況が続いていることから苦戦した。
他方、試作品は引き合いが活発化。不振の中国子会社においても試作品は拡大しており、中国は言わば成長に向けての端境期にある状況だ。試作品が本格生産に移行した際には利益向上が見込めるようになる。
他方、2017年3月期に金成工場と赤穂工場の建物、機械装置など合わせて3,031百万円の減損を実施したことで減価償却費が軽減。2017年3月期は796百万円だったのが、2018年3月期は432百万円に圧縮した。
このようにフローでは我慢する状態にあると言えるが、キャッシュは潤沢であるなど財務面が良好な状態には変わりがない。期末の自己資本比率は68.2%で、前期末の52.7%から改善している。
2. 2019年3月期業績見通し
2019年3月期は、売上高が前期比0.7%減の7,000百万円、営業利益は同58.6%減の40百万円、経常利益は同39.3%減の60百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同37.1%減の50百万円を想定している。
売上高から材料費や外注加工費を差し引いた同社が重視する経営指標の加工高は6,100百万円(前期比0.1%減)と前期並みを見込む。
製品別では、帯電防止膜が前期並みで推移するとみられるほか、タッチパネル向けは引き続き軟調を想定。ただ、車載向けのカバーパネルは引き合いが活発化していることから、増加を見込んでいる。
カギを握りそうなのは、中国子会社の動向だ。試作品の引き合いが活発化しているものの、これらの量産化に関して想定に織り込んでいない。一部で量産がスタートしており、試作品から量産へのシフトが進む製品が増えれば、収益見通しの上振れ余地が生じそうだ。
■今後の展望と課題
ジオマテック<6907>の現時点における収益基盤は、FPDに関連するビジネスが全体のおよそ3分の2を占めており、ディスプレイ産業への依存度が高い。そのため、この分野のモンスター製品の動向に収益が左右されやすく、中長期的な視点でみると、安定した収益基盤を構築する必要がある。
創業来、大きな産業サイクルの影響を受けてきた。逆風が吹くたびに潤沢なキャッシュ・フローで乗り切っていたが、今後は風に頼らず自身で能動的に厳しい環境に対処する、言わば、攻めの経営に転じた。それは、これまでほとんど投じていなかった広告宣伝など販売促進費を年間50百万円計上するようになったことからもうかがえるだろう。
現在、同社を取り巻く収益環境は、スマートフォンの需要こそ拡大基調にあるが、ひと頃に比べて成熟化しているほか、低価格化が進んでおり、楽観視できない。スマートフォンはOLEDが本格採用され出していることも脅威となる材料だ。一方では、力を注いでいる車載向け薄膜加工の案件が増加していることは注目ポイントである。こうした点を踏まえ、ディスプレイを堅持しつつ、車載向けと新たな製品・分野への販売促進と技術開発力の強化に取り組む。
既存事業については、汎用性の高い自動化、半自動化による生産性の向上と低コスト化などに努め、同時に、事業ポートフォリオを高付加価値製品群の比重を高め、薄膜技術の応用を液晶産業一極から幅広い分野に広げていく。益率が高い高付加価値製品や試作品に注力し、同時に取引先を拡大させる構えだ。
具体的には、三井金属鉱業<5706>が開発したファンアウト・パネルレべルパッケージ用ガラスキャリア付き微細回路形成用材料「HRDP®」に使用される機能性が高い多層薄膜の量産技術を確立し、提供することになった。また、透明で電気を流す透明ヒーターは、車載、鉄道などのほか高速道路の監視カメラなどに採用されていて、北海道など寒冷地の高速道路で安全を守っている。
そのほか、 透明電導膜、金属膜、金属反射膜、光学多層膜、反射防止膜、赤外線・紫外線カット膜、遮光膜、デフロスター、加飾膜、撥水・親水膜、温度計測膜など多種多様な技術を幅広い産業分野で応用を進める。
透明なドームに人が近づくと下のライトが点灯する静電容量型近接センサーや、円筒の内部の成膜(コーティング)など、高度な技術で誕生した製品が注目されているものの、今後も「試作から量産まで」をモットーに、関連する市場や製品の技術・知識の融合により、新しい技術を構築する考えだ。
■株主還元
2018年3月期の配当は、減益決算となりながらも、年間30円の配当を継続。2019年3月期も年30円配を見込む。今後も安定的に配当を出すことで株主に応えていく考えを示している。
■情報セキュリティー対策
顧客とNDA(秘密保持契約)を結んでいるため、厳格に情報を管理している。とりわけ、情報にアクセスする権限について、社内で制限を徹底。関係者以外では、たとえ役員であっても権限がなければアクセスできないなど、情報漏れがないように細心の注意を払っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
<TN>
1. 2018年3月期業績
ジオマテック<6907>の2018年3月期連結決算は、売上高が7,046百万円(前期比18.1%減)、営業利益は96百万円(同33.8%減)、経常利益は98百万円(同56.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は79百万円(前期は2,266百万円の損失)となった。
製品別で、主力である帯電防止膜は新規機種用のスマートフォン向けが増加したものの、タブレット端末は全体的に需要が鈍化したため大幅に減少。タッチパネル関連製品では、カーナビゲーション用が抵抗膜式から静電容量式に需要がシフトしている状況が続いていることから苦戦した。
他方、試作品は引き合いが活発化。不振の中国子会社においても試作品は拡大しており、中国は言わば成長に向けての端境期にある状況だ。試作品が本格生産に移行した際には利益向上が見込めるようになる。
他方、2017年3月期に金成工場と赤穂工場の建物、機械装置など合わせて3,031百万円の減損を実施したことで減価償却費が軽減。2017年3月期は796百万円だったのが、2018年3月期は432百万円に圧縮した。
このようにフローでは我慢する状態にあると言えるが、キャッシュは潤沢であるなど財務面が良好な状態には変わりがない。期末の自己資本比率は68.2%で、前期末の52.7%から改善している。
2. 2019年3月期業績見通し
2019年3月期は、売上高が前期比0.7%減の7,000百万円、営業利益は同58.6%減の40百万円、経常利益は同39.3%減の60百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同37.1%減の50百万円を想定している。
売上高から材料費や外注加工費を差し引いた同社が重視する経営指標の加工高は6,100百万円(前期比0.1%減)と前期並みを見込む。
製品別では、帯電防止膜が前期並みで推移するとみられるほか、タッチパネル向けは引き続き軟調を想定。ただ、車載向けのカバーパネルは引き合いが活発化していることから、増加を見込んでいる。
カギを握りそうなのは、中国子会社の動向だ。試作品の引き合いが活発化しているものの、これらの量産化に関して想定に織り込んでいない。一部で量産がスタートしており、試作品から量産へのシフトが進む製品が増えれば、収益見通しの上振れ余地が生じそうだ。
■今後の展望と課題
ジオマテック<6907>の現時点における収益基盤は、FPDに関連するビジネスが全体のおよそ3分の2を占めており、ディスプレイ産業への依存度が高い。そのため、この分野のモンスター製品の動向に収益が左右されやすく、中長期的な視点でみると、安定した収益基盤を構築する必要がある。
創業来、大きな産業サイクルの影響を受けてきた。逆風が吹くたびに潤沢なキャッシュ・フローで乗り切っていたが、今後は風に頼らず自身で能動的に厳しい環境に対処する、言わば、攻めの経営に転じた。それは、これまでほとんど投じていなかった広告宣伝など販売促進費を年間50百万円計上するようになったことからもうかがえるだろう。
現在、同社を取り巻く収益環境は、スマートフォンの需要こそ拡大基調にあるが、ひと頃に比べて成熟化しているほか、低価格化が進んでおり、楽観視できない。スマートフォンはOLEDが本格採用され出していることも脅威となる材料だ。一方では、力を注いでいる車載向け薄膜加工の案件が増加していることは注目ポイントである。こうした点を踏まえ、ディスプレイを堅持しつつ、車載向けと新たな製品・分野への販売促進と技術開発力の強化に取り組む。
既存事業については、汎用性の高い自動化、半自動化による生産性の向上と低コスト化などに努め、同時に、事業ポートフォリオを高付加価値製品群の比重を高め、薄膜技術の応用を液晶産業一極から幅広い分野に広げていく。益率が高い高付加価値製品や試作品に注力し、同時に取引先を拡大させる構えだ。
具体的には、三井金属鉱業<5706>が開発したファンアウト・パネルレべルパッケージ用ガラスキャリア付き微細回路形成用材料「HRDP®」に使用される機能性が高い多層薄膜の量産技術を確立し、提供することになった。また、透明で電気を流す透明ヒーターは、車載、鉄道などのほか高速道路の監視カメラなどに採用されていて、北海道など寒冷地の高速道路で安全を守っている。
そのほか、 透明電導膜、金属膜、金属反射膜、光学多層膜、反射防止膜、赤外線・紫外線カット膜、遮光膜、デフロスター、加飾膜、撥水・親水膜、温度計測膜など多種多様な技術を幅広い産業分野で応用を進める。
透明なドームに人が近づくと下のライトが点灯する静電容量型近接センサーや、円筒の内部の成膜(コーティング)など、高度な技術で誕生した製品が注目されているものの、今後も「試作から量産まで」をモットーに、関連する市場や製品の技術・知識の融合により、新しい技術を構築する考えだ。
■株主還元
2018年3月期の配当は、減益決算となりながらも、年間30円の配当を継続。2019年3月期も年30円配を見込む。今後も安定的に配当を出すことで株主に応えていく考えを示している。
■情報セキュリティー対策
顧客とNDA(秘密保持契約)を結んでいるため、厳格に情報を管理している。とりわけ、情報にアクセスする権限について、社内で制限を徹底。関係者以外では、たとえ役員であっても権限がなければアクセスできないなど、情報漏れがないように細心の注意を払っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
<TN>
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