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―米テックなど大手企業の取り組み続々、ニデック今期最高益予想の要因の一つにも―
AIへの関心が続くなか、その基盤となる データセンターにも投資家の熱い視線が注がれている。株式市場では物色の裾野が広がり、半導体関連株はもちろん、データセンターの増加で需要増が見込まれる電力や電気工事関連、電線、空調といったテーマが脚光を浴び買いが流入した。こうしたなか、今後物色が向かいそうなテーマの一つとして「液体冷却(液冷・水冷)」に注目したい。空調よりもデータセンター内の熱を効率的に排出できる方法として大きな可能性を秘めており、大手企業を中心に動きが出ている。
●サーバー丸ごと浸す方法も
ニデック <6594> [東証P]が4月に発表した24年3月期連結決算は純利益が前の期比2.8倍と急拡大。続く25年3月期も前期比3割増の1650億円と3期ぶり最高益更新を見込んだ。中国EV市場を含む世界的な自動車生産の増加が引き続き追い風となるが、加えて今後の成長の牽引役として位置づけられたのがデータセンター向け水冷モジュールだ。生成AIの普及に伴うデータセンターの需要増に対応する狙いがある。米サーバー大手スーパー・マイクロ・コンピューター
データセンターでは故障の原因となるサーバーが発する熱の排出が重要で、これまでは空調で冷却するのが一般的だった。ただ、AIを処理するためのサーバーの高性能化によって発熱量が増え、それとともに空調の稼働率が上がり消費電力がアップするという状況が生じた。この解決のため、新たな冷却方法として液体冷却への期待が高まっているのだ。空気よりも熱伝導率の高い液体を使うことで、空調よりも効率が良くなるとされる。
液体冷却システムを採用する動きはマイクロソフト
●海外の関連銘柄は急騰相次ぐ、1年で12倍化も
液体冷却に絡む銘柄は海外市場では既に盛り上がりをみせている。スーパーマイクロはAIブームが始まった昨年初めごろは株価が100ドル近辺で推移していたが、そこから上昇基調を強め今年に入って1200ドル台に急騰。およそ1年で12倍化した。データセンター向け冷却装置を製造する米バーティブ・ホールディングス
同様に他の関連銘柄の値動きも見ると、欧州では仏電機大手シュナイダー・エレクトリックが約1.6倍、スウェーデン機械メーカーのアルファ・ラバルが約1.5倍に上昇。台湾IT機器メーカーのギガバイト・テクノロジーはおよそ3.5倍まで値上がりする場面があった。
●“国内初”の三桜工、関連銘柄さまざま
日本株の関連銘柄からも目が離せない。前述のKDDIの液浸冷却システム開発には三菱重、NECネッツエスアイ <1973> [東証P]の2社も参画している。同システムは従来の空気冷却に比べて消費電力を94%削減することを実現した。大成建設 <1801> [東証P]は国内企業と共同で開発した液浸冷却システム「爽空sola」を手掛ける。こちらも冷却にかかる消費電力は従来の空気冷却と比べ10分の1程度になるという。また、富士通 <6702> [東証P]が水冷関連製品を扱うほか、「マウス」ブランドで知られるパソコンメーカーのMCJ <6670> [東証S]が傘下企業で水冷ソリューションを展開している。
今年に入って関連リリースを出した企業では、ENEOSホールディングス <5020> [東証P]が2月、サーバー用液浸冷却液「ENEOS IXシリーズ」の販売を始めると発表した。KDDIや米インテル
自動車部品メーカーの三櫻工業 <6584> [東証P]も2月に水冷式の冷却装置を開発したと明らかにした。サーバーラックの背面に取り付けて使うもので、このタイプ(リアドア式冷水熱交換器)の製品の開発は日本企業としては同社が初という。このほか、科学・工学向け高性能コンピューターのソリューションを提供するHPCシステムズ <6597> [東証G]は4月に水冷システムを採用した製品を開発したと発表。日本板硝子 <5202> [東証P]は今月3日に開発中の液浸冷却対応の多心光コネクターを展示会で初展示すると明らかにした。
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