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ワコムのニュース
■業績の動向
1. 2019年3月期決算の概要
ワコム<6727>の2019年3月期決算は、売上高89,499百万円(前期比8.8%増)、営業利益4,152百万円(同17.7%増)、経常利益4,149百万円(同15.7%増)、親会社株主に帰属する当期利益3,851百万円(同63.1%増)と増収・大幅増益で着地した。同社は2018年10月に通期の業績予想を上方修正した。その修正予想との比較では、売上高は0.6%、営業利益は3.8%、経常利益は5.8%、それぞれ上回った。
親会社株主に帰属する当期利益は、前期比較でも修正予想比較でも、ともに大幅に上回ったが、これは、繰延税金資産の回収可能性の見直しにより、税金費用が減少したことによる。
売上高は89,499百万円と前期比8.8%の増収となり、過去最高を更新した。売上高の期初予想は85,000百万円だったが、第2四半期決算に際して89,000百万円に上方修正され、最終的にはそれをさらに上回った。セグメント別の内訳では、ブランド製品事業の売上高はクリエイティブビジネスの一部モデルで起きた競争激化や期前半の供給力不足などから前期比、予想比ともにマイナス(未達)となったが、テクノロジーソリューション事業が前期比30%超の大幅増収になると同時に予想に対しても大きく上振れとなり、全社ベースの売上高を押し上げた。
こうした売上高の動向を反映して、利益面でも売上高同様、ブランド製品事業の前期比減益・予想比未達をテクノロジーソリューション事業の前期比増益・予想比上振れで吸収するという構図となった。
新中計において『販管費の最適化』が重点取り組み事項の1つとして掲げられていることに象徴されるように、同社は経費のコントロールやコスト構造の改善に精力的に取り組んでいる。2019年3月期は取り組みの効果が発現し、販管費総額は前期比1,937百万円減少した。売上高販管費率は29.4%と、2018年3月期の34.3%から大幅に低下し、5期ぶりに30%を下回った。
販管費削減の内容を見ると、人件費は役員減少やCADソフトウェア事業の譲渡などにより減少した。販促・広告宣伝費は新製品リリースに際しても効果や必要性を吟味して実施し、削減につなげた。外注費はグローバル基幹業務システム関連の経費の減少が貢献した。その他の減少は前期にあった貸倒引当金繰入額がなくなったことなどにより減少した。こうした経費削減モードの中にあっても研究開発費は前期並みの水準を維持した。
前述のように営業利益は前期比17.7%(625百万円)の増益となったが、その増減要因分析(通期ベース、前期比較)は以下のようになる。各要因の上期(第2四半期累計期間。以下同じ)と下期の内訳としては、テクノロジーソリューション事業の利益は下期に一段と拡大したが、ブランド製品事業の減益幅拡大のペースの方が大きかった。販管費削減は下期も順調に進み、上期実績以上の削減額を下期に上積みした。為替影響額は第2四半期決算ではプラス影響となったが下期に円高方向に進んだことで通期ベースでは若干ながらマイナス影響となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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1. 2019年3月期決算の概要
ワコム<6727>の2019年3月期決算は、売上高89,499百万円(前期比8.8%増)、営業利益4,152百万円(同17.7%増)、経常利益4,149百万円(同15.7%増)、親会社株主に帰属する当期利益3,851百万円(同63.1%増)と増収・大幅増益で着地した。同社は2018年10月に通期の業績予想を上方修正した。その修正予想との比較では、売上高は0.6%、営業利益は3.8%、経常利益は5.8%、それぞれ上回った。
親会社株主に帰属する当期利益は、前期比較でも修正予想比較でも、ともに大幅に上回ったが、これは、繰延税金資産の回収可能性の見直しにより、税金費用が減少したことによる。
売上高は89,499百万円と前期比8.8%の増収となり、過去最高を更新した。売上高の期初予想は85,000百万円だったが、第2四半期決算に際して89,000百万円に上方修正され、最終的にはそれをさらに上回った。セグメント別の内訳では、ブランド製品事業の売上高はクリエイティブビジネスの一部モデルで起きた競争激化や期前半の供給力不足などから前期比、予想比ともにマイナス(未達)となったが、テクノロジーソリューション事業が前期比30%超の大幅増収になると同時に予想に対しても大きく上振れとなり、全社ベースの売上高を押し上げた。
こうした売上高の動向を反映して、利益面でも売上高同様、ブランド製品事業の前期比減益・予想比未達をテクノロジーソリューション事業の前期比増益・予想比上振れで吸収するという構図となった。
新中計において『販管費の最適化』が重点取り組み事項の1つとして掲げられていることに象徴されるように、同社は経費のコントロールやコスト構造の改善に精力的に取り組んでいる。2019年3月期は取り組みの効果が発現し、販管費総額は前期比1,937百万円減少した。売上高販管費率は29.4%と、2018年3月期の34.3%から大幅に低下し、5期ぶりに30%を下回った。
販管費削減の内容を見ると、人件費は役員減少やCADソフトウェア事業の譲渡などにより減少した。販促・広告宣伝費は新製品リリースに際しても効果や必要性を吟味して実施し、削減につなげた。外注費はグローバル基幹業務システム関連の経費の減少が貢献した。その他の減少は前期にあった貸倒引当金繰入額がなくなったことなどにより減少した。こうした経費削減モードの中にあっても研究開発費は前期並みの水準を維持した。
前述のように営業利益は前期比17.7%(625百万円)の増益となったが、その増減要因分析(通期ベース、前期比較)は以下のようになる。各要因の上期(第2四半期累計期間。以下同じ)と下期の内訳としては、テクノロジーソリューション事業の利益は下期に一段と拡大したが、ブランド製品事業の減益幅拡大のペースの方が大きかった。販管費削減は下期も順調に進み、上期実績以上の削減額を下期に上積みした。為替影響額は第2四半期決算ではプラス影響となったが下期に円高方向に進んだことで通期ベースでは若干ながらマイナス影響となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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