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ワコムのニュース
■ワコム<6727>の業績の動向
2. ブランド製品事業の動向
2019年3月期のブランド製品事業は、売上高45,443百万円(前期比5.7%減)、セグメント利益4,445百万円(同31.3%減)と減収減益で着地した。修正予想との比較でも、売上高は1.2%、セグメント利益は19.2%、それぞれ下回った。
ブランド製品事業について、期初予想は売上高50,300百万円、セグメント利益9,700百万円となっていた。しかし上期においてはディスプレイ製品に関する供給体制の問題で機会損失が発生したことや、ペンタブレット製品における中低価格帯モデルでの競争激化などの影響で通期見通しを下方修正した。その後下期に入り、ディスプレイ製品ではエントリーモデルの発売で攻勢に出たものの、ペンタブレット製品の競争激化やモバイル製品のライフサイクル後期入りに伴う減収基調は継続し、最終的には前述のように45,443百万円の売上高で着地した。
利益面では、売上高について述べたところと同様に、ペンタブレット製品において競争激化による減収が減益をもたらしたほか、エントリーモデル投入が増収に貢献したディスプレイ製品の収益性は低下したとみられることから、利益率が相対的に高いペンタブレット製品の売上高構成割合の低下によってプロダクトミクスが悪化し、減益につながった。これらの結果、売上高セグメント利益率は2018年3月期の13.4%から2019年3月期は9.8%へと大きく低下し、前期比30%を超える大幅減益となった。
製品別サブセグメントの動向は以下の通り。
ペンタブレット製品の売上高は前期比10.7%減の20,883百万円となった。2018年1-3月期に投入した中低価格帯の新製品が競合激化の影響から浸透が進まなかったことや、プロ向け製品もリリースから2年が経過してわずかながら減収となったことで、ペンタブレット製品全体では前期比2ケタの減収となった。
ディスプレイ製品の売上高は前期比10.5%増収の14,410百万円となった。上期には供給体制不備があって機会損失を招いたものの、この問題は下期には解消した。また2019年1月に投入した価格が7万円を切る同社初のエントリーモデルが市場から好評をもって迎えられ、順調な販売となったことで、前期比2ケタ増収となった。
モバイル製品の売上高は前期比33.7%減の2,602百万円となった。既存の主力製品が製品ライフサイクル後期に入ったことが大幅減収の直接の要因だ。モバイル製品はOSや記憶装置付きの液晶タブレットという構成であるため、ペン入力が可能な他社のタブレット・ノートPCと競合関係にある。したがって同社はモバイル製品について、5G通信技術を取り巻くモバイル環境におけるユーザー・ワークフローの中期的な変化も視野に入れて、商品企画の根本的なところから見直しを進めているとみられる。こうした状況が現行の環境を前提としたモデルチェンジの遅れ、ひいては業績面での前期比大幅減収へとつながった。
以上の結果、クリエイティブビジネス全体の売上高は前期比6.1%減の37,895百万円となった。
コンシューマビジネスの売上高は前期比28.9%減の2,354百万円となった。ウインドウズ・インク対応スタイラス製品Bamboo Inkが発表から1年を超えたことから売りが低下したことや、Bamboo Folioなどのデジタル文具の販売が伸びなかったことが主因で販売が減速した。
ビジネスソリューションの売上高は前期比15.4%増の5,194百万円となった。金融機関向け液晶サインタブレットや教育機関向け液晶タブレットの販売が米国で伸長し、増収に寄与した。
スマートフォン向け、タブレット・ノートPC向けがいずれも好調に推移し、大幅増収増益。計画対比でも大きく上振れて着地
3. テクノロジーソリューション事業の動向
2019年3月期のテクノロジーソリューション事業は、売上高44,056百万円(前期比30.9%増)、セグメント利益7,395百万円(同30.3%増)と大幅増収増益で着地した。期中の業績見通し修正に際してテクノロジーソリューション事業の業績見通しも上方修正されたが、その修正予想との比較でも、売上高は2.5%、セグメント利益は7.2%、それぞれ上回った。
テクノロジーソリューション事業のうちスマートフォン向け売上高は前期比56.0%増の18,265百万円となった。このサブセグメントでは韓国サムスン電子のGalaxy Noteシリーズ向けにペン・センサーシステムを販売している。2018年3月期はGalaxy Note 7のリコール問題の影響が残って販売が期待ほどには伸びなかったが、2019年3月期は継続モデルGalaxy Note 8向けに加えて、最新モデルのGalaxy Note 9向けに機能強化したデジタルペンも供給されたことから大幅増収となった。
タブレット・ノートPC向け売上高は前期比17.6%増収の25,791百万円となった。この事業ではアクティブES(AES)方式のデジタルペンをタブレット/ノートPCメーカーに対してOEM供給している。タブレット/ノートPCの分野ではデジタルペンの搭載が加速しており、ペン搭載モデルが着々と増加している。そうした状況の中で、同社のAESペンは性能面で高い評価を獲得して各納入メーカーの納入モデル数/供給量が増加しており、これが2019年3月期の増収につながった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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2. ブランド製品事業の動向
2019年3月期のブランド製品事業は、売上高45,443百万円(前期比5.7%減)、セグメント利益4,445百万円(同31.3%減)と減収減益で着地した。修正予想との比較でも、売上高は1.2%、セグメント利益は19.2%、それぞれ下回った。
ブランド製品事業について、期初予想は売上高50,300百万円、セグメント利益9,700百万円となっていた。しかし上期においてはディスプレイ製品に関する供給体制の問題で機会損失が発生したことや、ペンタブレット製品における中低価格帯モデルでの競争激化などの影響で通期見通しを下方修正した。その後下期に入り、ディスプレイ製品ではエントリーモデルの発売で攻勢に出たものの、ペンタブレット製品の競争激化やモバイル製品のライフサイクル後期入りに伴う減収基調は継続し、最終的には前述のように45,443百万円の売上高で着地した。
利益面では、売上高について述べたところと同様に、ペンタブレット製品において競争激化による減収が減益をもたらしたほか、エントリーモデル投入が増収に貢献したディスプレイ製品の収益性は低下したとみられることから、利益率が相対的に高いペンタブレット製品の売上高構成割合の低下によってプロダクトミクスが悪化し、減益につながった。これらの結果、売上高セグメント利益率は2018年3月期の13.4%から2019年3月期は9.8%へと大きく低下し、前期比30%を超える大幅減益となった。
製品別サブセグメントの動向は以下の通り。
ペンタブレット製品の売上高は前期比10.7%減の20,883百万円となった。2018年1-3月期に投入した中低価格帯の新製品が競合激化の影響から浸透が進まなかったことや、プロ向け製品もリリースから2年が経過してわずかながら減収となったことで、ペンタブレット製品全体では前期比2ケタの減収となった。
ディスプレイ製品の売上高は前期比10.5%増収の14,410百万円となった。上期には供給体制不備があって機会損失を招いたものの、この問題は下期には解消した。また2019年1月に投入した価格が7万円を切る同社初のエントリーモデルが市場から好評をもって迎えられ、順調な販売となったことで、前期比2ケタ増収となった。
モバイル製品の売上高は前期比33.7%減の2,602百万円となった。既存の主力製品が製品ライフサイクル後期に入ったことが大幅減収の直接の要因だ。モバイル製品はOSや記憶装置付きの液晶タブレットという構成であるため、ペン入力が可能な他社のタブレット・ノートPCと競合関係にある。したがって同社はモバイル製品について、5G通信技術を取り巻くモバイル環境におけるユーザー・ワークフローの中期的な変化も視野に入れて、商品企画の根本的なところから見直しを進めているとみられる。こうした状況が現行の環境を前提としたモデルチェンジの遅れ、ひいては業績面での前期比大幅減収へとつながった。
以上の結果、クリエイティブビジネス全体の売上高は前期比6.1%減の37,895百万円となった。
コンシューマビジネスの売上高は前期比28.9%減の2,354百万円となった。ウインドウズ・インク対応スタイラス製品Bamboo Inkが発表から1年を超えたことから売りが低下したことや、Bamboo Folioなどのデジタル文具の販売が伸びなかったことが主因で販売が減速した。
ビジネスソリューションの売上高は前期比15.4%増の5,194百万円となった。金融機関向け液晶サインタブレットや教育機関向け液晶タブレットの販売が米国で伸長し、増収に寄与した。
スマートフォン向け、タブレット・ノートPC向けがいずれも好調に推移し、大幅増収増益。計画対比でも大きく上振れて着地
3. テクノロジーソリューション事業の動向
2019年3月期のテクノロジーソリューション事業は、売上高44,056百万円(前期比30.9%増)、セグメント利益7,395百万円(同30.3%増)と大幅増収増益で着地した。期中の業績見通し修正に際してテクノロジーソリューション事業の業績見通しも上方修正されたが、その修正予想との比較でも、売上高は2.5%、セグメント利益は7.2%、それぞれ上回った。
テクノロジーソリューション事業のうちスマートフォン向け売上高は前期比56.0%増の18,265百万円となった。このサブセグメントでは韓国サムスン電子のGalaxy Noteシリーズ向けにペン・センサーシステムを販売している。2018年3月期はGalaxy Note 7のリコール問題の影響が残って販売が期待ほどには伸びなかったが、2019年3月期は継続モデルGalaxy Note 8向けに加えて、最新モデルのGalaxy Note 9向けに機能強化したデジタルペンも供給されたことから大幅増収となった。
タブレット・ノートPC向け売上高は前期比17.6%増収の25,791百万円となった。この事業ではアクティブES(AES)方式のデジタルペンをタブレット/ノートPCメーカーに対してOEM供給している。タブレット/ノートPCの分野ではデジタルペンの搭載が加速しており、ペン搭載モデルが着々と増加している。そうした状況の中で、同社のAESペンは性能面で高い評価を獲得して各納入メーカーの納入モデル数/供給量が増加しており、これが2019年3月期の増収につながった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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