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ダイヘンのニュース
―求められるインフラの拡充、東京都は新築建物への設置義務化を検討―
脱炭素化の流れが世界的に加速するなか、自動車メーカーの電気自動車(EV)へのシフトが本格化してきた。2022年度に発売されるモデルはトヨタ自動車 <7203> [東証P]の「bZ4X」、SUBARU <7270> [東証P]の「SOLTERRA(ソルテラ)」をはじめ、日産自動車 <7201> [東証P]と三菱自動車工業 <7211> [東証P]が共同開発した軽EVなど目白押し。ホンダ <7267> [東証P]は30年までにグローバルで30車種のEVを展開し、年間生産200万台超を目指すとしている。こうした状況を踏まえて政府は普及拡大に向けて支援を強化する構えで、そのひとつが充電インフラの整備だ。
●商業施設や駐車場も補助対象に
経済産業省は3月に充電器設置への補助を拡充すると発表し、同月末から順次、申請受付を開始した。これまでの補助制度では急速充電器の設置場所は高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、道の駅などに限られていたが、新たに商業施設や月極駐車場、マンションなどが加わり、戸建て住宅を除いて原則すべてのエリアが対象となった。設備の更新・入れ替えについては、従来の急速充電だけでなく普通充電も対象とする。補助額については口数に応じて補助するスキームとし、例えば高速道路のサービスエリアに6口の充電器を設置する場合の補助額は、上限をこれまでの600万円から1800万円に引き上げた。既に欧州や中国ではEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)が急速に普及しており、日本は出遅れ感が否めないが、政府はインフラを整備することで巻き返しを図る考えだ。
また、東京都の小池百合子知事は4月22日の定例記者会見で、建物を新築する場合はEVなどゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)用充電設備の設置を義務づける方向で検討を開始することを明らかにした。50年の二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする目標を掲げた「ゼロエミッション東京戦略」の一環とみられ、各種の駐車場などで充電設備が整えられるような補助制度に加え、既に設けているものを更に後押しする必要があるとの考えを示している。こうしたことから EV充電器の拡大に弾みがつくとみられ、関連銘柄に改めて注目しておきたい。
●東光高岳は今期の売上増を見込む
東光高岳 <6617> [東証P]は電力機器事業が主力で、23年3月期通期の連結営業利益は資源価格高騰の影響などから前期比4.9%減の44億円となる見通し。ただ、急速充電器の売り上げは増えるとみており、エネルギーソリューション事業の売上高は同49.4%増を予想している。株価は5月6日に年初来高値となる1716円をつけたあとは上げ一服となっているが、PERやPBRには割安感もあり上値を試す展開が期待できそうだ。
新電元工業 <6844> [東証P]は半導体製品や電装品、電源の製造・販売などを手掛け、EV向けの急速・普通充電器も展開している。今期はEV化の進展などモビリティ分野を中心にパワーエレクトロニクス製品の需要が緩やかに回復するとみており、23年3月期通期の連結営業利益は前期比2.5%増の57億円を見込む。株価は2800円近辺で底堅さをみせ、足もとでは25日移動平均線と75日移動平均線とのゴールデンクロス(GC)が視野に入りつつあるなどテクニカル妙味が増している。
ダイヘン <6622> [東証P]は変圧器や溶接機、半導体製造装置向け電源の大手で、EV充電システムではプラグイン急速充電器、ワイヤレス充電システム、超小型EV用ワイヤレス充電システムをラインアップしている。半導体関連投資の更なる増加や経済正常化に伴う設備投資の回復を期待し、23年3月期通期の連結営業利益は前期比16.3%増の165億円を予想している。株価は4月27日につけた年初来安値3530円で下げ止まり、中期トレンドを示す75日移動平均線をうかがう動きとなっていることから目が離せない。
ニチコン <6996> [東証P]はアルミ電解コンデンサーの大手で、経営の新たな柱であるNECST(Nichicon Energy Control System Technology)事業では蓄電システムやV2H(Vehicle to Home)、EV用急速充電器に注力している。23年3月期通期の連結営業利益は前期比21.4%増の78億円となる見通しで、コンデンサー事業とNECST事業の売り上げ増を予想している。株価は4月12日につけた年初来安値1039円を底に下値を切り上げる展開で、足もとでは25日移動平均線と75日移動平均線とのGCが実現した。
このほかでは、平河ヒューテック <5821> [東証P]、モリテック スチール <5986> [東証S]、豊田自動織機 <6201> [東証P]、シンフォニア テクノロジー <6507> [東証P]、日東工業 <6651> [東証P]、ジーエス・ユアサ コーポレーション <6674> [東証P]、菊水電子工業 <6912> [東証S]などがEV充電器を手掛けている。
●エネチェンジ、技研製などにも注目
このほど世界初となる超小型EV専用の機械式駐車場「EVエコパーク」を開発した技研製作所 <6289> [東証P]にも注目したい。これは省スペースで大容量、スピーディーな入出庫など通常の「エコパーク」が提供する機能に、駐車中に自動充電できるという付加価値を新たに持たせた点が特長。超小型EV40台を一般的な平置き駐車場に止めると400平方メートル程度の土地が必要となるが、直径9.5メートル・高さ15メートルの円筒型である「EVエコパーク」では約5分の1となる占有面積わずか約80平方メートルで収容できるという。
ENECHANGE <4169> [東証G]は21年12月期第4四半期から提供を開始した「エネチェンジEV充電サービス」に注力しており、早期目標として23年6月末までに3000台の受注を掲げている。また、同サービスの更なる普及拡大を目的に、今年3月には日東工業と業務提携。日東工のEV普通充電器「Pit-2G(ピット・ツージー)」と同社が開発したEVドライバー向け専用システムを連携させることで利便性を向上させ、公共性の高いEV充電インフラの構築を目指す。
これ以外では、急速充電ステーションの最適配置に関する解析調査で実績のある構造計画研究所 <4748> [東証S]、二次電池温度検知用センサーを手掛ける大泉製作所 <6618> [東証G]、急速充電器の開発評価を行うHIOKI <6866> [東証P]などのビジネス機会も拡大しそうだ。
株探ニュース
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