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日機装のニュース
日機装株式会社(本社:東京都渋谷区、以下「日機装」)は、慢性維持透析用の透析装置や急性期医療用の血液浄化装置の治療の準備や後片付けの作業を効率化する、自動化機能の研究開発に取り組んでいます。作業を「より簡単に、短時間で確実に」行えるようにすることで、医療従事者の負担軽減や医療ミスの防止、治療の質の向上につなげる狙いです。こうした取り組みのうち、血液浄化装置に関する発明について、宮崎県発明協会を通じて九州地方発明表彰(主催:公益社団法人発明協会)に応募したところ、本日19 日、主催団体から最高位「文部科学大臣賞」と「実施功績賞」の受賞が発表されました。本発明で得られた技術は、救急・集中治療分野で使用される血液浄化装置へ応用したほか、今後、慢性維持透析で使用される透析装置など他分野へも応用できるものです。
写真1:7 つのポンプが並ぶ血液浄化装置の前面
写真2:ポンプが回転してチューブを巻き込みながら装着する直前の状態
■作業効率化の背景
血液浄化装置は、救急医療や慢性疾患治療など幅広い分野で使用されています。体外循環治療の制御を行う装置で、患者から取り出された血液を浄化器またはフィルターに送り、血液中の病因物質や余分な水分を取り除きます。浄化された血液は、再び患者の体内に戻されるか、必要に応じて新鮮な血液(血漿)と交換されます。このような治療は、主に救急医療の分野で行われ、特に重篤な毒物中毒、腎不全、肝不全、心臓手術後の合併症、および重症の感染症など緊急時の幅広い治療で活用されています。
当社が製造する血液浄化装置は、体液量を調整したり、薬剤を注入したりするためのポンプを最大7つ搭載しており、各ポンプにチューブを装着する必要があります。
装置の側面に取り付けられている円盤状のポンプ の ロータ によって、チューブが自動的に巻き取られて装着される仕組みです。しかし、チューブが装置に対して外側にそれた状態で取り付けられると、ロータと外枠に挟まれて上手く巻き取れず正しく装着できません。その際には、もう一度手で取り外して付け直すなど、作業時間にロスが発生します。こうした準備作業のやり直しは、迅速さが求められる急性期医療の現場で大きな障壁となります 。
また、ロータに挟まれることによりチューブが傷つくと、チューブから液漏れが発生するなどトラブルが発生するおそれもあります。このため、作業者の手間を減らしつつ、短時間で確実にポンプへチューブを装着する技術が重要な課題となっていました。
このため本発明では、所定の位置にチューブをセットした後、より確実にポンプのロータが自動でチューブを巻き取って装着できることを目指しました。
写真3:チューブが外側にそれていたことで、ポンプがチューブを挟み込んでしまった取付失敗例
写真4:取付部品によってチューブが装置側に押し付けられて、ポンプがスムーズにチューブを巻き込んで装着できた例
■受賞した発明内容
今回、日機装が文部科学大臣賞を受賞した発明は、チューブをポンプのチューブ装着部へ差し込むための取付部品 の開発です。チューブが装置の側面に押し付けられるよう土台に傾斜を付けることで、チューブがスムーズに差し込まれる仕組みになっています。取付部品は7つのチューブをまとめて保持するカセット式で、治療準備作業の効率化を促進しています。
本発明により、回路の装着のやり直しによる時間のロスや治療の遅滞を防ぐことができます。迅速さが求められる急性期医療の現場での治療の質の向上につなげ、ポンプロータへのチューブ挟み込みによる傷付きも防いでいます。また、医療従事者の人繰りが厳しくなったコロナ禍においては、準備作業の省力化が医療現場の機能維持に貢献しました。
左図:取付部品によってチューブに傾斜をつけることで、ポンプの中のロータへスムーズにチューブを差し込むことができる
右図:取付部品が無いと、チューブが外側にそれて巻き込み時にポンプ内のロータと外枠に挟まれることがある
■実績と今後の展開
今回発明した取付部品は、2019年に販売開始した血液浄化装置に搭載されており、得られた技術は、慢性透析の透析装置などへの応用を視野に入れております。慢性透析の患者数は急性期の血液浄化より多く(2021年現在、日本国内の透析患者数は34.9万人)、加えて、一度にたくさんの患者が治療を行うため、治療準備に対する医療従事者の負荷は大きくなります。こうした負担軽減につなげる狙いです。日機装は安全で確実な透析治療や血液浄化治療を提供するため、さらなる効率化に取り組んでまいります。
■地方発明表彰について
大正10年に開始した地方発明表彰は、実施効果が高い、優れた発明、考案、または意匠を生み出した技術者・研究開発者を顕彰するもので、全国を8地方に分けて実施しています。受賞者の一覧は、公益社団法人発明協会のホームページをご覧ください。
<日機装会社概要>
会社名: 日機装株式会社
本社所在地: 東京都渋谷区恵比寿 4丁目 20番 3号恵比寿ガーデンプレイスタワー 22階
創業: 1953年12月26日
代表者: 代表取締役社長 甲斐 敏彦
事業内容: 産業用特殊ポンプ・システム、医療機器、航空機部品等の製造 ・販売
URL: https://www.nikkiso.co.jp/
写真1:7 つのポンプが並ぶ血液浄化装置の前面
写真2:ポンプが回転してチューブを巻き込みながら装着する直前の状態
■作業効率化の背景
血液浄化装置は、救急医療や慢性疾患治療など幅広い分野で使用されています。体外循環治療の制御を行う装置で、患者から取り出された血液を浄化器またはフィルターに送り、血液中の病因物質や余分な水分を取り除きます。浄化された血液は、再び患者の体内に戻されるか、必要に応じて新鮮な血液(血漿)と交換されます。このような治療は、主に救急医療の分野で行われ、特に重篤な毒物中毒、腎不全、肝不全、心臓手術後の合併症、および重症の感染症など緊急時の幅広い治療で活用されています。
当社が製造する血液浄化装置は、体液量を調整したり、薬剤を注入したりするためのポンプを最大7つ搭載しており、各ポンプにチューブを装着する必要があります。
装置の側面に取り付けられている円盤状のポンプ の ロータ によって、チューブが自動的に巻き取られて装着される仕組みです。しかし、チューブが装置に対して外側にそれた状態で取り付けられると、ロータと外枠に挟まれて上手く巻き取れず正しく装着できません。その際には、もう一度手で取り外して付け直すなど、作業時間にロスが発生します。こうした準備作業のやり直しは、迅速さが求められる急性期医療の現場で大きな障壁となります 。
また、ロータに挟まれることによりチューブが傷つくと、チューブから液漏れが発生するなどトラブルが発生するおそれもあります。このため、作業者の手間を減らしつつ、短時間で確実にポンプへチューブを装着する技術が重要な課題となっていました。
このため本発明では、所定の位置にチューブをセットした後、より確実にポンプのロータが自動でチューブを巻き取って装着できることを目指しました。
写真3:チューブが外側にそれていたことで、ポンプがチューブを挟み込んでしまった取付失敗例
写真4:取付部品によってチューブが装置側に押し付けられて、ポンプがスムーズにチューブを巻き込んで装着できた例
■受賞した発明内容
今回、日機装が文部科学大臣賞を受賞した発明は、チューブをポンプのチューブ装着部へ差し込むための取付部品 の開発です。チューブが装置の側面に押し付けられるよう土台に傾斜を付けることで、チューブがスムーズに差し込まれる仕組みになっています。取付部品は7つのチューブをまとめて保持するカセット式で、治療準備作業の効率化を促進しています。
本発明により、回路の装着のやり直しによる時間のロスや治療の遅滞を防ぐことができます。迅速さが求められる急性期医療の現場での治療の質の向上につなげ、ポンプロータへのチューブ挟み込みによる傷付きも防いでいます。また、医療従事者の人繰りが厳しくなったコロナ禍においては、準備作業の省力化が医療現場の機能維持に貢献しました。
左図:取付部品によってチューブに傾斜をつけることで、ポンプの中のロータへスムーズにチューブを差し込むことができる
右図:取付部品が無いと、チューブが外側にそれて巻き込み時にポンプ内のロータと外枠に挟まれることがある
■実績と今後の展開
今回発明した取付部品は、2019年に販売開始した血液浄化装置に搭載されており、得られた技術は、慢性透析の透析装置などへの応用を視野に入れております。慢性透析の患者数は急性期の血液浄化より多く(2021年現在、日本国内の透析患者数は34.9万人)、加えて、一度にたくさんの患者が治療を行うため、治療準備に対する医療従事者の負荷は大きくなります。こうした負担軽減につなげる狙いです。日機装は安全で確実な透析治療や血液浄化治療を提供するため、さらなる効率化に取り組んでまいります。
■地方発明表彰について
大正10年に開始した地方発明表彰は、実施効果が高い、優れた発明、考案、または意匠を生み出した技術者・研究開発者を顕彰するもので、全国を8地方に分けて実施しています。受賞者の一覧は、公益社団法人発明協会のホームページをご覧ください。
<日機装会社概要>
会社名: 日機装株式会社
本社所在地: 東京都渋谷区恵比寿 4丁目 20番 3号恵比寿ガーデンプレイスタワー 22階
創業: 1953年12月26日
代表者: 代表取締役社長 甲斐 敏彦
事業内容: 産業用特殊ポンプ・システム、医療機器、航空機部品等の製造 ・販売
URL: https://www.nikkiso.co.jp/
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