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酒井重工業のニュース
*14:43JST 酒井重 Research Memo(3):国内シェア70%超を誇るロードローラのトップメーカー
■事業概要
1. 事業内容
酒井重工業<6358>の主たる事業は、道路舗装などに使われるロードローラの製造・販売で、ロードローラ関連が売上高の約95%を占める。また、「道路建設機械事業を通じて世界の国土開発という社会事業に貢献する」を企業理念に掲げている。
一口でロードローラと言っても、性能や大きさなどは多岐にわたっている。同社の製品数はプラットフォームだけでも20種ほどあり、これにバリエーションを加えた最終製品数は70~80種に及ぶ。大きさも約1トンから20トン(大型土木向け)と幅広い。中心の価格帯は500万円(中型ローラ)~1,000万円(大型ローラ)だが、ロードカッタなど数千万円するものもある。なお、生産は見込み生産であり、受注生産は行っていない。製品の耐用年数は20~30年であるが、ここまで使い切る顧客は少なく、多くの場合は法定償却(6~7年)後に買い換え需要が発生する。また、償却済み機材の多くは中古品として海外(特に発展途上国)へ転売される。
2023年3月期の地域区分別売上高は、国内15,208百万円(売上高構成比率48.3%)、北米7,751百万円(同24.7%)、アジア7,796百万円(同24.8%)、その他703百万円(同2.2%)であった。また、2024年3月期第1四半期の地域区分別売上高は、国内2,798百万円(同37.2%)、北米2,301百万円(同30.5%)、アジア2,092百万円(同27.8%)、その他337百万円(同4.5%)となっている。
2. 特色、強み
既述のとおり同社はロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーであるが、以下のような特色や強みを持っている。
(1) 専業メーカーとしての長い歴史
同社の最大の特色(強み)は、ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーとしての長い歴史であろう。言い換えれば、選択と集中によるグローバルニッチ戦略によって専門性を高め、独自の技術を蓄積してきたことだ。
(2) 技術力
単に「道路を固める、舗装する」と言っても、それぞれの土地の土質・土壌などによって必要な圧力・回転力等(締固め技術)は異なる。そのため、工事会社はそれぞれの工事現場(地盤等)に合った異なる種類のロードローラを必要とする場合も多い。同社は、長い間ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーとして歩んできたことから、この「締固め技術」について高い技術力を誇っており、同業他社が追い付くことは容易ではない。
(3) 信用力
経験工学と実績に裏付けられた信用力も同社の強みだ。地下の締固め品質を確保する技術についてはブラックボックスであり、後発メーカーや非専業メーカーが容易に真似できるものではない。例えば、高温で運ばれてくるアスファルト合材は限られた時間のなかで施工する必要があることに加え、施工不良の場合は再施工という大きな代償を伴う。また、道路や盛土の施工品質問題の発生は遅効性があり、完工時の締固め品質はブラックボックスになる傾向にある。このような経験工学においては、長年使い慣れたブランドであることと、豊富な現場経験による長年の知見が蓄積されていることが強みとなっており、これらの点において多くの顧客から信頼を得ている。
3. シェア及び競合
(一社)日本建設機械工業会のデータによれば、2022年度の国内建設機械出荷額は3.5兆円、このうち同社の主要製品であるロードローラ等の道路機械は2.3%となっている。この道路機械市場で、同社のシェアは70%超とトップメーカーとなっている。競合先としては日立建機<6305>などがあるが、専業メーカーではない。また、海外メーカーも一部進出しているものの存在感は薄い。したがって、国内においては、市場の浮沈がそのまま同社の業績につながっているとも言える。
世界市場(海外市場)では、正確な統計がないものの、同社のシェア(生産台数ベース)は5~6%と推定される。ただし、これは全世界をベースにしたもので、同社が主戦場としている日本、ASEAN、北米の市場に限ればシェアは15%程度のようだ。なお、世界市場での主な競合はCaterpillar、FAYAT SAS、HAMM AG、Volvo Personvagnar ABなどであるが、ロードローラの専業メーカーは見当たらない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<SO>
1. 事業内容
酒井重工業<6358>の主たる事業は、道路舗装などに使われるロードローラの製造・販売で、ロードローラ関連が売上高の約95%を占める。また、「道路建設機械事業を通じて世界の国土開発という社会事業に貢献する」を企業理念に掲げている。
一口でロードローラと言っても、性能や大きさなどは多岐にわたっている。同社の製品数はプラットフォームだけでも20種ほどあり、これにバリエーションを加えた最終製品数は70~80種に及ぶ。大きさも約1トンから20トン(大型土木向け)と幅広い。中心の価格帯は500万円(中型ローラ)~1,000万円(大型ローラ)だが、ロードカッタなど数千万円するものもある。なお、生産は見込み生産であり、受注生産は行っていない。製品の耐用年数は20~30年であるが、ここまで使い切る顧客は少なく、多くの場合は法定償却(6~7年)後に買い換え需要が発生する。また、償却済み機材の多くは中古品として海外(特に発展途上国)へ転売される。
2023年3月期の地域区分別売上高は、国内15,208百万円(売上高構成比率48.3%)、北米7,751百万円(同24.7%)、アジア7,796百万円(同24.8%)、その他703百万円(同2.2%)であった。また、2024年3月期第1四半期の地域区分別売上高は、国内2,798百万円(同37.2%)、北米2,301百万円(同30.5%)、アジア2,092百万円(同27.8%)、その他337百万円(同4.5%)となっている。
2. 特色、強み
既述のとおり同社はロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーであるが、以下のような特色や強みを持っている。
(1) 専業メーカーとしての長い歴史
同社の最大の特色(強み)は、ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーとしての長い歴史であろう。言い換えれば、選択と集中によるグローバルニッチ戦略によって専門性を高め、独自の技術を蓄積してきたことだ。
(2) 技術力
単に「道路を固める、舗装する」と言っても、それぞれの土地の土質・土壌などによって必要な圧力・回転力等(締固め技術)は異なる。そのため、工事会社はそれぞれの工事現場(地盤等)に合った異なる種類のロードローラを必要とする場合も多い。同社は、長い間ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーとして歩んできたことから、この「締固め技術」について高い技術力を誇っており、同業他社が追い付くことは容易ではない。
(3) 信用力
経験工学と実績に裏付けられた信用力も同社の強みだ。地下の締固め品質を確保する技術についてはブラックボックスであり、後発メーカーや非専業メーカーが容易に真似できるものではない。例えば、高温で運ばれてくるアスファルト合材は限られた時間のなかで施工する必要があることに加え、施工不良の場合は再施工という大きな代償を伴う。また、道路や盛土の施工品質問題の発生は遅効性があり、完工時の締固め品質はブラックボックスになる傾向にある。このような経験工学においては、長年使い慣れたブランドであることと、豊富な現場経験による長年の知見が蓄積されていることが強みとなっており、これらの点において多くの顧客から信頼を得ている。
3. シェア及び競合
(一社)日本建設機械工業会のデータによれば、2022年度の国内建設機械出荷額は3.5兆円、このうち同社の主要製品であるロードローラ等の道路機械は2.3%となっている。この道路機械市場で、同社のシェアは70%超とトップメーカーとなっている。競合先としては日立建機<6305>などがあるが、専業メーカーではない。また、海外メーカーも一部進出しているものの存在感は薄い。したがって、国内においては、市場の浮沈がそのまま同社の業績につながっているとも言える。
世界市場(海外市場)では、正確な統計がないものの、同社のシェア(生産台数ベース)は5~6%と推定される。ただし、これは全世界をベースにしたもので、同社が主戦場としている日本、ASEAN、北米の市場に限ればシェアは15%程度のようだ。なお、世界市場での主な競合はCaterpillar
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<SO>
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