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井関農 Research Memo(5):2022年12月期第2四半期はライフスタイルの変化を的確に捉え、海外事業が好調

配信元:フィスコ
投稿:2022/09/29 17:15
■業績動向

1. 2022年12月期第2四半期の業績概要
井関農機<6310>の2022年12月期第2四半期の業績は、売上高で前年同期比0.1%増の86,721百万円、営業利益で同45.6%減の2,567百万円、経常利益で同39.6%減の3,328百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同37.5%減の2,578百万円だった。

国内売上高については、前年同期比8.1%減の57,542百万円となった。コロナ禍における需要喚起策として実施された経営継続補助金がなくなった反動で前年同期をわずかに下回った。また、米価が下落したことを受け、顧客の購買意欲も低調だったことも要因として挙げられる。品目別の売上高はトラクタなどの整地用機械が前年同期比2.1%減の14,394百万円、田植機などの栽培用機械が同14.0%減の5,543百万円、コンバインなどの収穫調製用機械が同12.2%増の5,415百万円だった。一方、補修用部品・修理整備などのメンテナンス収入は前年並みを維持した。これは、アフターサービスの充実によって顧客との信頼関係を構築するという同社の従来からの姿勢が、厳しい市場環境の下で業績を下支えした格好だ。これを受けて、作業機・補修用部品・修理収入は同11.1%減の21,029百万円に踏みとどまった。

海外売上高については、前年同期比21.4%増の29,178百万円と前期に引き続き好調だった。北米地域においては、昨年のコンパクトトラクタ急伸の反動があったものの、受注残に迅速に対応したこと、新規受注が堅調に推移したことを受けて好調に推移し売上高は前年同期比7.7%増の8,400百万円となった。欧州地域は、2020年から継続するコロナ禍によるライフスタイルの変化に柔軟に対応したことによって、個人向けのコンパクトトラクタ、ハンドヘルド製品などが好調に推移した。また、プロ向けの景観整備用機械に対する需要が戻ったことが業績を押し上げ、売上高は同31.5%増の14,200百万円となった。アジア地域においては、排出ガス5次規制に伴う出荷集中があったことを受け、韓国が業績を牽引した。

利益については、コロナ禍により同社製品の原材料となる鉄、アルミ、樹脂などの価格が上昇し売上総利益を圧迫したほか、サプライチェーンの混乱による販管費の増加が営業利益を押し下げた。また、前年同期の営業利益が国内で経営継続補助金に伴う需要喚起などの一時的要因によって伸長した分、反動も大きかった。ただ、5ヶ年単位で見てみると、営業利益は通常の水準であるうえ、海外で2022年初め、国内で2022年6月に実施した販売価格の改定が下期の業績に寄与すると見込んでいる。

2022年12月期第2四半期のトピックスとして国内市場においては、環境保全型スマート農業推進の一環としてスタートアップ企業である有機米デザイン(株)へ出資を行った。同社はこれまでも農林水産省が掲げる「みどりの食料システム戦略」に対応する形で自動操舵機能を搭載した製品の投入や、センサーにより施肥量の調整が可能な田植機を市場に投入してきた。今回のスタートアップ企業との協業によって、外部のノウハウを取り入れながらイノベーションを迅速に実行していく構えだ。

海外市場は、欧州においてISEKIドイツ社を連結対象にし、販売体制の強化を進めるとともに経営面でのさらなる協力を図っていく。また、現地ニーズに合わせた農機の調整に関してもより密接に連携し、地域密着型の事業を推進する計画である。今後は、ISEKIドイツ社とプレミアムターフケア社(イギリス)、ISEKIフランス社の3社を中心にサプライチェーンの効率化と販売体制の強化を推進する。また、欧州全域でカーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素化が進んでいることに対応するため、乗用電動モーアの試験的な投入も実施した。今後は、日本においても農機の電動化が進むことが予想され、海外市場で実績のある同社は、良好なスタートを切れると弊社は考える。そのほか、タイではTAFE社がOEM供給しているインド製の小型トラクタ(27馬力)を投入した。アジア市場に対応し、低価格・高耐久となっており、今後の伸びが期待される。タイは畑作農機に対する需要が旺盛であり、畑作に対応可能なモデルとなっている。

2. 財務状況と経営指標
2022年12月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比13,645百万円増加の201,330百万円となった。主な増減要因を見ると、受取手形、売掛金及び契約資産が12,786百万円、棚卸資産が3,247百万円増加した一方で、現金及び預金が1,601百万円減少した。

負債合計は同11,342百万円増加の132,466百万円となった。主な増加要因を見ると、仕入債務が5,183百万円、短期借入金及び長期借入金が5,174百万円増加した。純資産合計では、同2,302百万円増加の68,863百万円となった。主な増加要因を見てみると、当期純利益の計上によって利益剰余金が1,900百万円、為替換算調整勘定が536百万円増加した。

経営指標を見ると、流動比率と固定比率はそれぞれ106.1%、144.6%となっている。自己資本比率は33.3%だった。

2022年12月期第2四半期のROAと売上高営業利益率はそれぞれ1.7%、3.0%となった。これらの収益性を表す指標について弊社は、改善の余地があると考える。新中期経営計画では、固定費率の改善を目標の1つとして掲げており、ROAと売上高営業利益率の向上に期待したい(新中期経営計画では2025年12月期の営業利益率を5%と設定)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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配信元: フィスコ
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