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次のレーザーテックを探せ! 「グローバルニッチ」を制す大化け期待の8銘柄 <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2021/01/30 19:30

―過剰流動性相場に変化なし、世界を駆ける圧倒的な“商品力”が株価を変える―

●バランスを崩した時は押し目買い好機

 東京株式市場は実質2月相場入りとなった1月28日に日経平均株価が一時600円を超える下落となり、終値ベースでも437円安と昨年7月末以来約半年ぶりの下げ幅を記録した。そして週末29日も波乱モードは続いた。前日の米株高で朝方は高かったもののその後は上値の重さが露呈、後場は下値模索の動きが急速に強まり、結局前日の下げを上回る534円安で着地している。

 20日の米バイデン新政権発足を受け、米追加経済対策への期待感などがいったんは投資資金を誘引する格好となったが、その翌日から利益確定を急ぐ動きが顕在化した。大統領と上院・下院を民主党が制す“トリプルブルー”による米株高という思惑は目先裏切られた形となり、東京市場もそのネガティブな流れを引き継いでいる。

 しかし冷静に考えれば、今の相場を支えている過剰流動性に変化はない。FRBをはじめ世界の中央銀行に大規模な緩和政策路線を変更する気配はみられない。これまでにも株式市場は何度もバランスを崩しては態勢を立て直し、結果として下値を切り上げる形で鉄壁の長期上昇波を構築してきた。

●ヘッジファンドの「ロング」解消が波乱演出

 目先の急落は株式需給による影響が大きく、空売りポジションを取る米系ヘッジファンドの苦境が反映されたという見方が強い。米国ではゲーム専門店ゲームストップの株価がSNSを介して集団化した小口個人投資家の資金攻勢により仕手化した。これが、ショートポジションを取るヘッジファンドの踏み上げを誘い、結果として当該ヘッジファンドはロング・ショート戦略で買い持ちしていた“勝ち組銘柄”を合わせ切りする必要性に迫られた。これはおそらく氷山の一角と思われ、ヘッジファンドの損失覚悟の空売り買い戻しに合わせて発生しているロングポジションの解消が、全体相場の波乱を演出している。

 しかし、どんなに悪天候であってもほどなく雨は上がり虹がかかる。嵐が過ぎれば遅かれ早かれ全体相場はバランスを立て直す。それが超金融相場における不滅のセオリーであり、これまで何十回と繰り返されてきた相場の風景である。ヘッジファンドの投げが一巡すれば、そこは有望株の“赤札市”となる。ここは弱気転換する場面ではなく、したたかに押し目買いを狙うチャンスである。

●レーザーテック時価総額はマッハで1兆円

 こうした場面での投資戦略としては、目先のファンダメンタルズに惑わされないこともひとつのポイントとなる。新型コロナウイルスの影響で足もとの企業業績はイレギュラーバウンドしやすく、投資する側の視界を曇らせる。それを避ける意味では、外部環境に左右されない業績数字ではない強みを有する企業を狙っていくのが有効な作戦だ。高度な技術力や製品を持つ企業は、それだけ成長に向けた伸びしろを持っており、中期スタンスで投資するのに絶好の対象となる。特定分野で圧倒的な商品シェアを誇り、世界を相手に常に有利に戦いを進めることができる グローバルニッチトップ企業は、その代表格といってよい。

 半導体製造装置関連ではマスクブランクス検査装置を手掛けるレーザーテック <6920> が、グローバルニッチトップを象徴する銘柄としてその株価変貌ぶりが話題となった。同社はマスクブランクス検査装置で世界シェアをほぼ独占しており、前期はEUV露光装置向けで高水準の需要を獲得して業績拡大が加速した。株価は2019年6月に2000円を下回って推移していたが、その後約1年半で1万5690円の高値を形成している。時価総額はあっという間に1兆3000億円を上回り、2000社を超える東証1部上場企業のなかで現在ランキング100位前後まで急浮上している。

 このレーザーテックのように、ニッチ分野で他社の追随を許さない戦略商品を擁する企業は株価変貌の種子を手に握りしめているようなものだ。それが開花すれば株価の居どころも大きく変わることになる。経済産業省では昨年6月、世界市場の特定分野で勝ち抜いている企業や変化する国際情勢のなかで、サプライチェーン上の重要性を増している部素材などの事業を有する優良企業を選定し6年ぶりに「2020年版グローバルニッチトップ企業100選」として発表した。全部で113社、このうち上場企業は40社あまりに及ぶ。そして同省では、この対象企業の知名度向上や海外展開を支援する方針を明示するとともに、次のグローバルニッチを制する予備軍企業の奮起を促す構えにある。

●大化けの夢を内包するニッチトップ8銘柄

 今回のトップ特集では、世界に誇れるニッチトップ商品を持ち、レーザーテックを想起させる中期株価変貌の可能性を秘めた8銘柄をエントリーした。全体相場が不安定な今だからこそ、大化けの夢を託せる銘柄にじっくりと資金を寝かせてみるのも一法だ。

ソディック <6143> 【NC放電加工機】

 放電加工機メーカーで数値制御するNC装置を自社で開発している。商品競争力は抜群で世界トップの地位を固めている。新型コロナ感染拡大の影響により20年12月期業績は大幅な落ち込みを余儀なくされたもようだが、想定以上に中国の経済回復が顕著で業績は期中に上方修正しているほか、21年12月期の収益復元に期待がかかる。放電加工機以外でも金属3Dプリンターなど工作機械分野の商品ラインアップが充実。「ものづくり」へのこだわりが強く研究開発に余念がない。

日精エー・エス・ビー機械 <6284> 【ストレッチブロー成形機】

 ペットボトルやプラスチック容器成形機を製造販売しており世界トップクラス。海外向けが全体の90%を占め、インドに大規模製造拠点を有しているのが特徴。ストレッチブロー成形機はコロナ禍にあって安全かつ衛生的なプラ容器ニーズを取り込んでいる。リサイクル素材を使ったペットボトルの透明度や強度を高める技術なども注目されている。業績の伸びが著しく、21年9月期は営業34%増益を見込むほか、22年9月期も2ケタ利益成長トレンド継続の公算大。

ニッポン高度紙工業 <3891> [JQ]【アルミ電解コンデンサー用セパレーター】

 セパレーター(絶縁紙)専業大手で、アルミ電解コンデンサー用は世界シェア6割という圧倒的な商品競争力を誇っており、足もとでは5G関連投資やデータセンター増設需要が追い風となっている。高分子固体コンデンサー用は5G基地局向けなどで高水準の需要を取り込むほか、キャパシタ用セパレーターは今後、電気自動車(EV)向けで受注獲得が見込まれる。業績面も21年3月期は急回復局面にあり、営業利益段階で前期比2.5倍の25億円を見込む。

ユニオンツール <6278> 【プリント配線板用超硬ドリル】

 超硬ドリルの大手メーカーで、プリント配線板向け(PCBドリル)では世界シェアの約3分の1を同社製品が占める。髪の毛よりも細いドリルの量産を実現するなどその技術力の高さは一頭地を抜いている。超硬ドリルはあらゆる電子回路基板に必須であり世界的にも同社株に対する注目度は高い。20年12月期業績は低調ながら、5G関連投資やデータセンターの増設需要、更に自動車の電装化やスマートフォンのハイエンド化などを背景に来期以降の回復に期待が高まる。

NITTOKU <6145> [JQ]【精密FAライン設備】

 コイル製造用自動巻線機の最大手メーカーであるとともに搬送機も手掛け、自動化ラインのプラットフォームを提供し、企業のFAライン投資需要にフォーカスして需要を取り込んでいる。海外では中国向けなどで実績が高いが、コロナ禍にあって国内でも省人化ニーズが高まっており、化学メーカーや医療機器メーカーからの引き合いが活発だ。21年3月期は大幅減益が余儀ない状況ながら、22年3月期については好採算の自動化ラインの寄与で収益V字回復が期待される。

技研製作所 <6289> 【サイレントパイラー】

 油圧式杭圧入引抜機「サイレントパイラー」のトップメーカー。豪雨などの自然災害の増加が顕著となるなか、防災・減災工事の現場で活用され国土強靱化の国策に乗る。同商品による圧入工法は海外でも実績が高く、最近では米ニューヨーク市の複合型マンション建設事業での採用や米ミネソタ州の最大都市ミネアポリスを通る鉄道「グリーンライン」の延伸事業で採用されている。21年8月期営業利益は前期比26%増の31億5000万円予想と回復色が強まる。

第一稀元素化学工業 <4082> 【自動車触媒用材料】

 自動車排ガス浄化触媒や燃料電池向けで強みを持つ電材向けジルコニウム化合剤大手メーカー。同社のジルコニウム化合物はグローバルベースであらゆる産業と密接にかかわり、ニッチトップである自動車触媒は触媒材料に使われる貴金属の活性化や長寿命化に必要不可欠となっている。また、電気自動車(EV)向け2次電池材料でも貢献度が高い。セラミックコンデンサー向け材料など電子材料も幅広く展開し引き合いも旺盛。当面は5G関連で活躍余地が大きい。

マニー <7730> 【眼科ナイフ】

 手術用縫合針(アイレス針)や外科手術関連製品(サージカル製品)で高い競争力を誇り、白内障手術などに使われる眼科ナイフでは独自の研磨技術を駆使して世界トップの実力を有する。新型コロナの影響に伴い病院の手術数が減少していることは収益環境に向かい風といえるが、眼科ナイフはアジアや欧州向けで需要開拓が進んでいるほか、デンタル関連製品も中国向け中心に売り上げを確保している。21年8月期は営業利益段階で前期比3割の伸びを見込む。

株探ニュース
配信元: 株探
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