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IBJのニュース
■業績見通しと中期経営計画
1. 2018年12月期の業績見通し
IBJ<6071>の2018年12月期の連結業績は、売上高が前期比12.2%増の10,620百万円、営業利益が同17.2%増の1,750百万円、経常利益が同17.1%増の1,749百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.9%増の1,180百万円と2ケタ増収増益となる見通し。会社計画ではライフデザイン事業を前期並みの水準と保守的に見ている。逆算すれば、婚活事業については売上高で前期比20%増、セグメント利益で10%増の成長を見込んでいることになる。
婚活事業の内訳をみると、コーポレート事業については期末加盟事業所数で前期末比28.9%増の2,100社を目指していく。引き続き営業チャネルを全国各地域で広げていくほか、異業種とのネットワークも広げていきながら加盟事業所数を伸ばしていく戦略だ。売上高では25%増収を見込んでいる。
コミュニティ事業では、『婚シェルジュ』の専任担当制導入の効果も出始めていることから、会員数は今後上向きに転じるものと見ており、期末時点で過去ピークであった1.9万人(2016年7~9月)までの回復を目指している。売上高では若干の増収を見込んでいる。引き続き競争が激しい市場環境を考えるとややハードルは高い印象があるものの、2018年中にネイティブアプリをリリースする予定になっており、差別化戦略が市場で認知されるようになれば、新規会員数の増加によって目標を達成する可能性もある。
イベント事業では動員数、売上高ともに前期比25%増を目標としている。2017年はイベントスタッフの育成に注力するため新規出店を抑えていたが、2018年は積極的な店舗展開により売上規模を拡大していく方針となっている。2018年2月に大阪・なんば店、3月には東京・上野店を新規オープンしており、貸会場も含めると53会場となっている。2018年の出店計画は特に立てていないが、条件に見合う立地場所があればFC店も含めて出店を進めていくことにしている。
ラウンジ事業の売上高は前期比15%増となる見通し。新規出店として2018年2月に大阪・なんば店、3月に東京・上野店をオープンしており、店舗数は前期末比2店舗増の14店舗となっている。直営ラウンジの出店については、今後も「日本結婚相談所連盟」加盟店とも連携しながら、有力候補地があれば出店を検討していくことになる。このためカウンセラーの育成にも注力していく方針で、2018年1月より新たに人材育成の専門部署となる教育管理部を設置し、人材投資も積極的に進めていく。
2022年に成婚組数の3%を獲得し、売上高300億円、営業利益50億円を目指す
2. 中期経営計画について
(1) 中期経営計画の概要
同社は2月26日付で新・中期経営計画(2018年-2022年)を発表した。経営目標としては、「日本の成婚組数の3%をIBJから創出する」ことを掲げ、最終年度となる2022年12月期に売上高300億円、営業利益で50億円の達成を目指していく。事業セグメント別の売上高では、婚活事業で200億円、ライフデザイン事業で100億円を目標としている。年平均売上成長率は26%となり、加速度的に成長を実現していくため婚活事業や周辺領域での戦略的なM&Aも実行していく計画となっている。
現在の国内の成婚組数は62万組となっており、今後も同水準が続くとすれば5年後に1.8万組以上の成婚組数を目指していくことになる。同社グループの成婚組数は2017年に4,688組で、2018年は6,130組に拡大する見込みとなっている。このため、今後3倍以上に成婚組数を拡大していく計算となる。目標を達成していくため、同社では「日本結婚相談所連盟」の加盟事業所数をさらに拡大し、婚活会員数を拡大していく。特に、関西支社や東海支社を拠点に地方の結婚相談所や個人の独立開業需要を掘り起し、ネットワークの拡充を進めていく。
婚活するに当たっては、最初はハードルが低い婚活サイト・アプリや婚活パーティーなどへの参加から始まるが、そこでパートナーが見つからなければ、結婚相談所で婚活をしていくことになる。婚活サービスによって結婚した人の割合は2013年の4.7%から2016年には11.3%と3年で2.4倍にまで拡大しており、今後も上昇傾向が続くことが予想される。
婚活サービスを一気通貫で提供している同社にとっては、今後も市場環境は追い風が続く見通しであり、そのなかでいかに競争力を維持向上できるかが成長の鍵を握ることになる。このため、同社はシステムとヒトへの投資も今後も積極的に行っていく方針だ。システムについては2017年にIBJお見合いシステムアプリをリリースしたほか、2018年には「PARTY☆PARTY」のネイティブアプリもリリースし、会員の利便性向上につなげている。ブライダルネットも2018年中にネイティブアプリをリリースする予定であり、今後も各サービスにおいて利便性や顧客満足度の向上につながるシステム開発を続けていくことになる。ヒトへの投資では、ラウンジ事業において蓄積した成婚メソッドを加盟店にも波及させるIBJメソッドスクールを毎月開催しており、「日本結婚相談所連盟」のお見合い件数及び成婚者数の増加につながっている。今後も加盟店に対して成婚メソッドを共有していくことで、競合他社との差別化を図っていく方針だ。また、成婚メソッドについては、ブライダルネットの『婚シェルジュ』の育成にも活用し始めており、今後、ブライダルネットの会員数増加に寄与するものと期待される。
(2) 新たな取り組み施策
新たな施策として3つの取り組みを進めていく方針を明らかにしている。1つ目は、AI・ロボット技術を活用した最先端の婚活サービスの提供だ。具体例としては、ロボット受付システムが挙げられる。人的リソースをヒトの手でしかできない部分に集中することで、今まで以上に細やかな婚活サービスの提供を実現できると見ている。ロボット受付システムについては2018年中にも導入していく計画となっている。
2つ目は、シニア層をターゲットにした婚活サービスの本格始動である。シニア層は旅行を趣味にしている人が多く、旅行を機会とした自然なパートナーとの出会いの場を提供していくことになる。同サービスは子会社のかもめと「PARTY☆PARTY」のコラボレーション企画となり、2018年中にも開始する予定となっている。
3つ目は、国際結婚をターゲットにした新たな婚活サービスの提供だ。国際化が進むなかで今後は国際結婚のニーズも高まることが予想される。一方で、国際結婚は離婚率が高いという側面もある。文化の違いや理想と現実のギャップが大きいことが原因と見られるが、こうした課題を解決するソリューションも合わせて提供していくことができれば、収益化していくことは可能と見られる。具体的なサービス開始時期はまだ決まっておらず、今後の動向が注目される。
(3) M&A資金調達のため新株予約権を発行
同社は中期経営計画と合わせて、第3者割当による新株予約権(第3回、第4回)の発行も発表した。すべて行使されれば50億円程度の資金調達が可能となる。株式の希薄化率は約8%となるが、下限行使価額が1,400円(第3回)と1,750円(第4回)に設定されており、株価が同水準を上回らない限りは行使が理論上進まないと見られるため、行使価額を下回る水準での新株予約権行使による株価下落リスクはないものと弊社では考えている。
なお資金調達の目的は、中期経営計画の達成に必要となる婚活事業及び周辺領域におけるM&Aや資本業務提携である。M&Aの規模については、過去に同社が行ったものよりも大規模な案件を視野に入れている。対象先としては、既存事業とのシナジーを重視し、それらに関連した企業、また既存事業との直接的なシナジーを生じさせるだけでなく、会員ネットワークの拡大につながる個人顧客データベースを保有する企業、同社サービスの技術的な補完や新たな技術サービスの提供が可能なIT企業を想定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2018年12月期の業績見通し
IBJ<6071>の2018年12月期の連結業績は、売上高が前期比12.2%増の10,620百万円、営業利益が同17.2%増の1,750百万円、経常利益が同17.1%増の1,749百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.9%増の1,180百万円と2ケタ増収増益となる見通し。会社計画ではライフデザイン事業を前期並みの水準と保守的に見ている。逆算すれば、婚活事業については売上高で前期比20%増、セグメント利益で10%増の成長を見込んでいることになる。
婚活事業の内訳をみると、コーポレート事業については期末加盟事業所数で前期末比28.9%増の2,100社を目指していく。引き続き営業チャネルを全国各地域で広げていくほか、異業種とのネットワークも広げていきながら加盟事業所数を伸ばしていく戦略だ。売上高では25%増収を見込んでいる。
コミュニティ事業では、『婚シェルジュ』の専任担当制導入の効果も出始めていることから、会員数は今後上向きに転じるものと見ており、期末時点で過去ピークであった1.9万人(2016年7~9月)までの回復を目指している。売上高では若干の増収を見込んでいる。引き続き競争が激しい市場環境を考えるとややハードルは高い印象があるものの、2018年中にネイティブアプリをリリースする予定になっており、差別化戦略が市場で認知されるようになれば、新規会員数の増加によって目標を達成する可能性もある。
イベント事業では動員数、売上高ともに前期比25%増を目標としている。2017年はイベントスタッフの育成に注力するため新規出店を抑えていたが、2018年は積極的な店舗展開により売上規模を拡大していく方針となっている。2018年2月に大阪・なんば店、3月には東京・上野店を新規オープンしており、貸会場も含めると53会場となっている。2018年の出店計画は特に立てていないが、条件に見合う立地場所があればFC店も含めて出店を進めていくことにしている。
ラウンジ事業の売上高は前期比15%増となる見通し。新規出店として2018年2月に大阪・なんば店、3月に東京・上野店をオープンしており、店舗数は前期末比2店舗増の14店舗となっている。直営ラウンジの出店については、今後も「日本結婚相談所連盟」加盟店とも連携しながら、有力候補地があれば出店を検討していくことになる。このためカウンセラーの育成にも注力していく方針で、2018年1月より新たに人材育成の専門部署となる教育管理部を設置し、人材投資も積極的に進めていく。
2022年に成婚組数の3%を獲得し、売上高300億円、営業利益50億円を目指す
2. 中期経営計画について
(1) 中期経営計画の概要
同社は2月26日付で新・中期経営計画(2018年-2022年)を発表した。経営目標としては、「日本の成婚組数の3%をIBJから創出する」ことを掲げ、最終年度となる2022年12月期に売上高300億円、営業利益で50億円の達成を目指していく。事業セグメント別の売上高では、婚活事業で200億円、ライフデザイン事業で100億円を目標としている。年平均売上成長率は26%となり、加速度的に成長を実現していくため婚活事業や周辺領域での戦略的なM&Aも実行していく計画となっている。
現在の国内の成婚組数は62万組となっており、今後も同水準が続くとすれば5年後に1.8万組以上の成婚組数を目指していくことになる。同社グループの成婚組数は2017年に4,688組で、2018年は6,130組に拡大する見込みとなっている。このため、今後3倍以上に成婚組数を拡大していく計算となる。目標を達成していくため、同社では「日本結婚相談所連盟」の加盟事業所数をさらに拡大し、婚活会員数を拡大していく。特に、関西支社や東海支社を拠点に地方の結婚相談所や個人の独立開業需要を掘り起し、ネットワークの拡充を進めていく。
婚活するに当たっては、最初はハードルが低い婚活サイト・アプリや婚活パーティーなどへの参加から始まるが、そこでパートナーが見つからなければ、結婚相談所で婚活をしていくことになる。婚活サービスによって結婚した人の割合は2013年の4.7%から2016年には11.3%と3年で2.4倍にまで拡大しており、今後も上昇傾向が続くことが予想される。
婚活サービスを一気通貫で提供している同社にとっては、今後も市場環境は追い風が続く見通しであり、そのなかでいかに競争力を維持向上できるかが成長の鍵を握ることになる。このため、同社はシステムとヒトへの投資も今後も積極的に行っていく方針だ。システムについては2017年にIBJお見合いシステムアプリをリリースしたほか、2018年には「PARTY☆PARTY」のネイティブアプリもリリースし、会員の利便性向上につなげている。ブライダルネットも2018年中にネイティブアプリをリリースする予定であり、今後も各サービスにおいて利便性や顧客満足度の向上につながるシステム開発を続けていくことになる。ヒトへの投資では、ラウンジ事業において蓄積した成婚メソッドを加盟店にも波及させるIBJメソッドスクールを毎月開催しており、「日本結婚相談所連盟」のお見合い件数及び成婚者数の増加につながっている。今後も加盟店に対して成婚メソッドを共有していくことで、競合他社との差別化を図っていく方針だ。また、成婚メソッドについては、ブライダルネットの『婚シェルジュ』の育成にも活用し始めており、今後、ブライダルネットの会員数増加に寄与するものと期待される。
(2) 新たな取り組み施策
新たな施策として3つの取り組みを進めていく方針を明らかにしている。1つ目は、AI・ロボット技術を活用した最先端の婚活サービスの提供だ。具体例としては、ロボット受付システムが挙げられる。人的リソースをヒトの手でしかできない部分に集中することで、今まで以上に細やかな婚活サービスの提供を実現できると見ている。ロボット受付システムについては2018年中にも導入していく計画となっている。
2つ目は、シニア層をターゲットにした婚活サービスの本格始動である。シニア層は旅行を趣味にしている人が多く、旅行を機会とした自然なパートナーとの出会いの場を提供していくことになる。同サービスは子会社のかもめと「PARTY☆PARTY」のコラボレーション企画となり、2018年中にも開始する予定となっている。
3つ目は、国際結婚をターゲットにした新たな婚活サービスの提供だ。国際化が進むなかで今後は国際結婚のニーズも高まることが予想される。一方で、国際結婚は離婚率が高いという側面もある。文化の違いや理想と現実のギャップが大きいことが原因と見られるが、こうした課題を解決するソリューションも合わせて提供していくことができれば、収益化していくことは可能と見られる。具体的なサービス開始時期はまだ決まっておらず、今後の動向が注目される。
(3) M&A資金調達のため新株予約権を発行
同社は中期経営計画と合わせて、第3者割当による新株予約権(第3回、第4回)の発行も発表した。すべて行使されれば50億円程度の資金調達が可能となる。株式の希薄化率は約8%となるが、下限行使価額が1,400円(第3回)と1,750円(第4回)に設定されており、株価が同水準を上回らない限りは行使が理論上進まないと見られるため、行使価額を下回る水準での新株予約権行使による株価下落リスクはないものと弊社では考えている。
なお資金調達の目的は、中期経営計画の達成に必要となる婚活事業及び周辺領域におけるM&Aや資本業務提携である。M&Aの規模については、過去に同社が行ったものよりも大規模な案件を視野に入れている。対象先としては、既存事業とのシナジーを重視し、それらに関連した企業、また既存事業との直接的なシナジーを生じさせるだけでなく、会員ネットワークの拡大につながる個人顧客データベースを保有する企業、同社サービスの技術的な補完や新たな技術サービスの提供が可能なIT企業を想定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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