Gunosyのニュース
Gunosy、通期売上高・営業利益ともに計画上振れで着地 KPI改善と広告需要期のニーズの取り込みなどが奏功
2022年5月期 通期サマリー
竹谷祐哉氏(以下、竹谷):代表取締役社長の竹谷でございます。本日はオンラインでの決算説明会となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、決算説明を始めさせていただければと思います。
2022年5月期の通期サマリーです。売上高は89.98億円、営業利益が4.12億円と、いずれも計画比で上振れています。要因としては、「Gunosy Ads」が3月に広告需要期だったことと、広告宣伝費を計画よりも抑制したため営業利益が大幅に上振れたことによるものです。
業績予想上振れの背景
業績予想上振れの背景をご説明します。KPI改善の効果、広告需要期のニーズを確実に取り込めたことにより、売上が想定より上振れています。マクロ環境の不透明さが増している背景を踏まえ、利益確保を優先し、広告宣伝費については計画比1.6億円抑制しています。
スライドのグラフに、広告宣伝費の推移を掲載しています。QonQで約1.6億円の抑制となり、結果として連結営業利益が予想より約2.1億円上振れています。
上振れた要因:ユーザーあたり収益性の向上
上振れた要因のうち、ユーザーあたり収益性の向上についてご説明します。ユーザーあたり収益性は期中を通じて改善しています。DAUはマクロ環境などの不透明さの高まりや、売上高の計画達成を考慮し、広告宣伝費を抑制したため微減となっています。
上振れた要因:グノシー継続率の改善
上振れた要因のうち、「グノシー」継続率の改善についてです。2022年5月時点で、新規ユーザーの割合が全体のユーザー構成のうち約33パーセントまで増加しています。広告宣伝投資再開後の新規ユーザーの継続率は通期で安定的に改善しています。
「slice」KPI進捗
「slice」のKPI進捗です。AUMの推移をご覧いただいておわかりのとおり、圧倒的な成長を継続しています。デフォルト率もしっかりと低い水準をキープしていますので、非常に健全かつ力強い状態だと思います。
登録ユーザー数は1,200万ユーザーを超えており、前回公表時点で700万ユーザーだったところから大きく進捗していることが確認できると思います。カード月間発行枚数は2022年1月開示で月間20万枚でしたが、現在は大幅に伸長しています。
「slice」のトピックス
「slice」のトピックスを2つご紹介します。金融市場の変化により、資金調達環境が厳しくなっている背景がありますが、そのような中でも5,000万ドルの大型資金調達を実施しています。加えて、取締役派遣の完了に伴い、当社の持分法適用関連会社となっています。
2022年5月期Q4連結業績
2022年5月期通期決算の概要です。まず、第4四半期連結業績からご説明します。第4四半期はQonQで増収増益で着地しています。先ほどご説明した内容と重なる部分がありますが、広告需要期の3月を含めた売上高の上振れに伴い、広告宣伝費を抑制したことが主な要因となっています。
通期売上高はYonYで増収となっていますが、広告宣伝費を前年から約6億円ほど増加させた影響で減益となっています。
アクティブユーザー数(MAU)
アクティブユーザー数(MAU)です。スライドのグラフのブルーの部分ですが、「グノシー」は広告宣伝費の抑制に伴い、QonQで微減となっています。グラフのオレンジの部分の「ニュースパス+auサービスToday」は安定的に推移しています。
売上高構成
売上高構成です。「Gunosy Ads」は3月の広告需要期もあり、QonQで大幅増収となっています。加えて、「ゲームエイト」も過去最高の売上高を更新しています。
コスト構造の推移
コスト構造の推移です。先ほどもお伝えしたとおり、広告宣伝投資はQonQで1.6億円減少しています。また、中長期的な成長に向けた組織作りとして人材採用に力を入れており、結果として人件費はやや増えています。その他のコストは引き続き厳格にコントロールできています。
ゲームエイト
「ゲームエイト」についてです。第4四半期は大型タイトルのリリースがあり、国内・海外ともに順調に推移し、過去最高の売上高を更新しています。
一方で、2023年3月期第1四半期は掲載タイトルの攻略需要の低下に伴い、減収減益を見込んでいます。中長期的にしっかりと成長ドライバーを作っていきたいという意思があり、その獲得に向けた投資を継続しています。
グノシー
各事業の概況をご紹介します。まず、「グノシー」です。「知っておくとよい情報」として6月に参議院選挙の特集を行っています。
また、組織体制の強化として、KPIの動きやユーザー行動を深く理解し、より質の高い施策をスピーディに実施するための「プロダクトマネジメントGr」を新設しています。ミッションは、ユーザー理解の促進や企画立案、企画から開発へのスムーズな連携の実現です。
auサービスToday
「auサービスToday」についてご説明します。auユーザーの利便性向上を目的に、おすすめタブのリニューアルを実施しています。UI、UX、アルゴリズムの継続的な改善により、期中を通じてユーザーあたりの収益性は良好に推移しています。
アドネットワークの状況
「アドネットワーク」の状況です。前四半期まで組織の強化を行っていました。それに伴いメディア開拓が進んでおり、インプレッションの獲得については高水準をマークし順調に推移しています。
ゲームエイトの進捗
「ゲームエイト」の進捗です。ゲームパブリッシャーへのソリューション支援拡大を進めています。また、組織体制強化を推進し、グローバル展開も検討しています。
YOU IN
新規事業の「YOU IN」です。こちらも引き続き事業を推進しており、オンライン・オフラインどちらのチャネルでも複数の販路の開拓に成功しています。
引き続き、カジュアルギフトの需要が強いと理解していますので、ホテルや結婚式場などのフォーマルなギフトシーンへの対応と、ウェルビーイングを目指した自分利用の促進を目指しています。
月次の売上高推移については正確な数値は公表していませんが、12月から5月はしっかりと伸びていることが確認できると思います。
「slice」プロダクトアップデート
「slice」のプロダクトアップデートです。インドの主要な小口決済インフラであるUPI機能を追加しています。これにより、ユーザーのエンゲージメント向上を目指しています。UPI機能の詳細は、スライドの図をご覧ください。
投資ポートフォリオ
投資事業についてご説明します。スライドに、現状の投資ポートフォリオを掲載しています。全体の投資の累計額は約50億円規模となっています。グロース企業に対する金融環境、市場環境が厳しくなっている背景がありますが、当社のポートフォリオは全体で高い健全性を維持できていると認識しています。
約5,000万ドルの資金調達を実施したsliceと、MONOKABUがEXIT済の案件となっています。
投資ポートフォリオ
投資ポートフォリオです。スライドの図は、累計投資額に対して推定評価額に売却額を加えた推移を表しています。2019年5月から記載していますが、投資倍率としては5倍程度の高い水準となっていることがわかります。
中期目標(2021年7月公表)
木村新司氏:代表取締役会長の木村でございます。私からは、中期経営計画の進捗と来期予想についてご説明させていただきます。
中期経営計画については、2021年7月に公表したとおりです。グループ全体で時価総額1,000億円を目指すところは変わらず、この計画を進めていきたいと思っています。
経営環境について
短期的な環境は少しずつ変わっていますので、策定時点より主に以下の点について経営環境の認識をアップデートしています。ご一読いただけますようお願いします。
経営環境の変化も踏まえた当面の投資方針について
経営環境の変化も踏まえた、当面のグループ全体での事業への投資方針についてご説明します。足元は連結単体の営業黒字を意識した成長投資を実施していきますが、それぞれの事業に資本を振り分けていくことを考えています。
メディア事業、ゲームエイトグループ、投資事業、新規事業に分け、それぞれ指針、課題、成長余地、資本リターンをスライドに記載しています。
その中でも投資事業に関しては、成長余地と資本リターンが「中‐高」程度だと認識していますので、引き続き投資を続けていきたいと考えています。2024年5月期までに、最大15億円ほど投資していこうと思っています。
現状、メディア事業は成長余地と資本リターンが「低‐中」、ゲームエイトグループも成長余地は「低‐中」、資本リターンは「中‐高」となっています。それぞれ営業黒字をキープした中で投資のタイミングが来るように継続率などの改善を進め、ゲームエイトグループでは新規事業も進めていこうと考えています。
また、グループ全体で新規事業を管理していますが、成長の著しいものが出てきたところで投資を実施していけたらと考えています。
中期計画数値のアップデート
中期経営計画のアップデートです。経営環境の変化を見据えた投資方針の変更に伴い、2023年5月期は2022年5月期第2四半期開示の計画を下回る想定です。簡単にご説明しますと、1年目は中期経営計画の数値目標から上振れて着地しており、計画では売上高87億9,000万円のところ89億9,800万円で、粗利についても達成しています。
2年目の今期は売上高96億7,000万円の計画に対し90億円、粗利42億6,000万円の計画に対し36億1,800万円と、想定を下回る着地を予想しています。これは2022年5月期から広告宣伝投資を抑制している影響による下振れとなっています。3年目の数値目標は維持していきたいと考えています。
2023年5月期通期 業績予想(連結)
2023年5月期の通期の業績予想です。前期の売上高は90億円ほどでしたが、2023年5月期の通期予想は売上高が90億円、営業利益が2億円、経常利益がマイナス3億1,200万円、当期純利益が5億4,700万円と、当期純利益は前年比で大きく増益となる予定です。
sliceは持分法投資損益で赤字取込みの想定ですが、シリーズCラウンドに伴う特別利益を計上予定です。入り組んだ構造になっていますので、詳細については後ほどご説明します。
Q2開示の中期経営計画との差分に関して
先ほど簡単にお伝えした2022年5月期第2四半期開示の中期経営計画との差分に関して、2点お伝えします。「Gunosy Ads」の売上高で4.6億円、「ゲームエイト」の売上高で2.2億円、合計6.7億円の差分が出ています。粗利に関しては6.4億円の差分です。
先ほどお伝えしたとおり、「Gunosy Ads」は広告宣伝費の投資を想定の半分程度に抑制した分で売上高が減少しています。
「ゲームエイト」に関しては既存のスマホゲームタイトルの減衰による売上高の減少と、海外事業のボラティリティを考慮した計画となっています。そのため、竹谷からお伝えしたとおり、「ゲームエイト」は新規事業の強化を計画しています。
方針:メディア事業
ここからは各事業の方針をご説明します。メディア事業はUI/UXの向上により、継続率と収益性の向上を目指していきます。また、KDDIとの連携という独自資源を活用し、独自価値を創出します。
投資の方針としては、利益確保、投資対効果の向上を優先し、広告宣伝投資は引き続き抑制しながら収益性の向上などが見えてきたところで再度拡大していこうと考えています。
「グノシー」「auサービスToday」「ニュースパス」のそれぞれの戦略はスライドのとおりです。「グノシー」のハイライトとしては要約コンテンツを開発しています。機械学習で記事の内容を自動的に要約できるようなシステムを作っており、それを「グノシー」に取り込むことで読みやすいニュースコンテンツを作りたいと考えています。
そのほかの分野では、KDDIとのキャンペーン施策、パーソナライズ、記事配信アルゴリズムの改善を引き続き行っていきます。
方針:ゲームエイトグループ
ゲームエイトグループの方針です。スマートフォンゲーム市場の成熟化など経営環境の変化を見越し、CEOを創業者の西尾健太郎からCOOの沢村俊介へ経営体制を変更します。既存事業を安定的に運営して収益を出しながら、新規事業を西尾がマネージしていく体制に移していくことが目的です。
「ゲームエイト」の戦略としては、国内・海外メディアのPVの安定的なシェア獲得、Web3や経営支援領域での新規事業開発が挙げられます。また子会社のSmarpriseでは、IPなど既存事業で培った強みを活かした新規事業開発を順調に推進しています。
方針:投資事業
投資事業の方針です。これまで50億円弱を投資してきました。sliceは戦略投資先として中長期の重要な成長ドライバーになってくれたと思っています。引き続きインドと日本にて投資を検討し、next sliceの発掘を目指したいと考えています。
経営方針として、昨今の金利上昇によりレイターステージの企業への資金調達環境の悪化を見越し、シードステージからアーリーステージの企業を中心に投資を検討していくことを考えています。
投資方針としては、2024年5月期までにトータルで最大15億円程度を目安に投資を実行していきます。これまでインドと日本で投資してきましたが、インドではsliceへの戦略的な投資集中を行ってきました。これは非常にうまくいっており、今後は会社の安定を考えてポートフォリオの一部の分散を進めていこうと考えています。
sliceはこれまでどおり非常によく成長していくと考えていますが、安定性を考え、インドのスタートアップ市場全体の成長を取り込めるように切り替えていく方針を取りたいと思っています。日本に関してはこれまでどおり、よい企業があれば投資するというセレクティブな投資を進めていきます。
sliceに関して
sliceに関しては、成長を維持しながら収益性も意識した成長戦略へシフトしていきます。先ほどお伝えしたとおり、金利の環境が大きく変化しており、スタートアップの資金調達環境は日本よりも海外が大きく影響を受けていると認識しています。
したがって、積極的に投資を実施し規模の拡大を優先する方針から、高い成長を維持しつつデジタルクレジット事業の黒字化を目指す方針に切り替えていきます。こちらは今期中の単月黒字化に向け、非常に順調に進んでいます。
通期業績予想(連結)に関する補足説明
連結の通期業績予想について補足します。少し複雑ですので、スライドをご覧いただければと思います。持分法投資損益の取り込みにより、経常利益は赤字となる見込みです。
連結営業利益は2億円ほどの黒字で、連結経常利益で3.1億円ほどの赤字となっています。こちらはsliceに対する持分法投資損益によるもので、通期ベースでは赤字ですが、今期中の黒字化を計画しています。また、のれんも一部取り込んでいます。
一方、親会社株主に帰属する当期純利益は5.47億円ほどの黒字です。sliceに関する持分変動利益の計上で、2022年6月のシリーズCラウンドにより約5,000万ドルほどの資金を調達していたと思いますが、それに伴う持分比率の変動で9.8億円ほどの特別利益を計上予定です。こちらは資金調達が行われたことでこのような利益が計上されています。
現在の経営陣のご紹介
経営体制についてご説明します。取締役はスライドのとおりです。2021年12月には任意の報酬委員会から任意の指名報酬委員会へ移行するなど、ガバナンスの強化を継続的に推進しています。
今後の社外投資をさらに強化するための体制変更
今後は社外投資をさらに強化していきたいと思っており、これまで最高財務責任者を務めていた間庭裕喜を最高投資責任者とし、投資に集中でき、攻めと守りの役割を明確に分離して大胆な意思決定と適切なガバナンスを両立できる体制を構築していきます。現執行役員の岩瀬辰幸を後任の最高財務責任者としてアポイントしています。
ゲームエイトグループ
先ほどもお伝えしましたが、ゲームエイトグループは創業者でGunosy取締役である西尾を代表取締役社長から代表取締役会長へ、現取締役COOの沢村を新役職の代表取締役社長CEOへ体制変更しました。
創業期から企業ステージが変化したことを受け、最適な経営体制を検討した結果、攻めと守りの両面でゲームエイトの成長を支えてきた沢村がCEOに就任することが最適と判断しました。西尾は会長職として沢村をサポートしつつ、グループ経営への役割を今まで以上に担い、既存・新規問わず事業機会の創出に注力していきます。
質疑応答:「Gunosy Ads」の売上反転のトリガーについて
質問者:「Gunosy Ads」について、当面は先行投資が続きそうなイメージですが、次に売上が反転する場合は何をトリガーにしようと考えているのかを教えてください。
竹谷:「Gunosy Ads」の売上の反転には、基本的にはユーザー獲得と継続率の改善、収益性の改善が非常に重要な要素だと認識しています。冒頭でもお伝えしたとおり、収益性についてはYonYでしっかりと改善傾向を示しており、継続率についても改善傾向となっています。また、ユーザー1人あたりの収益性は、昨年より良好な状態であるという認識です。
これらの改善が進めば広告宣伝費の増加も検討したいと考えていますが、まずは自力でプロダクトを改善しながら投資対効果の高い状態にすることにより収益を上げるという考え方が1つあります。
スライドにも記載していますが、KDDIとの連携について「グノシー」でよりよい連携ができないかを現場で協議しています。またこのようなかたちで決定事項などがあれば、収益が反転するトリガーになる可能性もあると認識しています。
質疑応答:人員計画について
質問者:人員計画についてです。直近で258名ということですが、中期的にはどのように計画しているのでしょうか? 離職および採用の両面からどのように組み立てているかを教えてください。
竹谷:この2年間くらいが入れ替わりの時期で、退職者数が比較的多く、それに伴い昨期は組織を再構築するために人材を獲得する期間となったと認識しています。結果として、コストの部分でもお伝えしましたが、人件費が増加しています。
昨期は一定の人材を獲得できたと考えており、今期も重要なポジションについては募集していますが、昨期と比較すると限定的な人数の増加にとどまると考えています。
質疑応答:sliceの業績予想について
質問者:御社の企業価値に占めるsliceのポーションが非常に大きくなっていますが、sliceの業績予想や企業価値の見方が非常に難しいところがあります。収益構造や保有資産などについて、可能な範囲でよいのですが、もう少し定量的なものはないでしょうか? 業績予想が非常に難しいところがありますので、ヒントになることがあれば教えてください。
間庭裕喜氏:私どもとしても可能な範囲で開示を拡充していけるように検討したいと思っています。しかし、出資契約に基づいて、開示できるものとできないものが当然あります。上場会社として開示しなければならないものについては、監査法人を含めて協議する中で今回開示していますが、今後は投資家のみなさまのご理解が深まるような開示となるよう努めていきたいと思います。
この大前提の下で、足元については先ほど木村からもお伝えしましたが、slice側が成長と収益性の両立を今期の計画で立てており、定性的な表現となってしまいますが、その方針においては非常に順調に推移していることをあらためてお伝えします。
また、先ほどお伝えしましたとおり連結の経常利益でマイナス3億円となっておりますが、この大部分はsliceの純利益を持分等損益として取り込んだものと考えていただいてけっこうです。
ただし、黒字化に向けての展開が非常に順調なため、この絶対数値に引っ張られるというよりは、来期以降は経常利益の貢献でもみなさまにご安心いただける好材料を提供できるのではないかと期待しています。
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