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property technologiesのニュース
*15:06JST propetec Research Memo(6):中期経営計画初年度は順調な立ち上がり
■業績動向
1. 2024年11月期第2四半期の業績動向
property technologies<5527>の2024年11月期第2四半期の業績は、売上高19,004百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益280百万円(同56.6%減)、経常利益142百万円(同76.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益20百万円(同94.8%減)と増収減益となった。一見すると苦戦のようだが、前年同期に再開発物件の売上高が計上されたこと、期初予想との比較では売上高で314百万円、営業利益で70百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で10百万円の超過達成となったことから、中期経営計画初年度として順調なスタートを切ったと言える。
日本経済は、社会経済活動の正常化により設備投資や個人消費が堅調に推移し、働き方改革や雇用環境の改善により一定の賃上げ傾向が見受けられるなど緩やかな回復基調で推移している。一方、エネルギーや原材料価格の高騰により様々な面で物価が上昇しているうえ、日本銀行によるマイナス金利解除による家計や企業への影響にも注視する必要があり、先行きは不透明な状況が続いている。同社が属する中古住宅流通市場においては、2022年末に行われた日本銀行による長期金利誘導を背景とした金利上昇懸念から、繁忙期となる2023年1月以降の需要が拡大せず、秋口の繁忙期である同年9月まで厳しい状況が続いた。このため4~5月の閑散期以降多くの事業者が在庫調整に向けて値下げを行ったが、同社の前期決算期間と同じ2022年12月から2023年11月の首都圏中古マンションの成約件数は微増に留まり、同期間末の流通在庫は前年同期比20%近い増加となったようだ。しかし、2024年11月期に入ってからは、流通在庫水準は引き続き高水準が続いているものの、成約件数は徐々に勢いを取り戻しつつある。
このような環境下、同社は後述する中期経営計画に沿って中古住宅再生事業に注力し、仲介会社経由のマンション買取再販事業の拡大を図る一方、リアル(実取引)で築き上げてきたデータベース、仲介会社との取引ネットワーク、AI査定をはじめとするテクノロジーなどの経営資源を有機的に結び付けたプラットフォーム「KAITRY(カイトリー)」を効率的に運用することで差別化を図った。特に一般顧客からの直接仕入につながるiBuyer(オンライン買取)機能が効果的で、加えて金融機関向けSaaSモデル「KAITRY finance」も4行社が新たに導入して早くも計7行社となった。この結果、売上高は、前年同期に1棟の再開発物件があった反動で微増に留まったが、それを除くと2ケタ増となることから、厳しい環境のなかで順調に売上高を確保できたと言える。その原動力となったのは期初想定を上回る中古マンションの販売であり、2024年11月期第2四半期3ヶ月間における販売決済数は過去最高となっている。
利益面では前期開発案件の剥落によって、営業利益は大幅な減益となった。売上総利益率は、好採算だった前年同期の再開発物件がなくなったこと、一部の中古マンションで仕入から販売までの期間が伸びたことによる採算低下により下がっている。一部中古マンションの売上総利益率の低下は、販管費の抑制によってカバーされており、この販管費については、増収を続けていくことを前提に増加する予算となっていたが、一部未使用の費用があったようだ。なお、非連結子会社からの一時的な配当金がなくなったため、経常利益の減益幅は営業利益より広がった。期初予想との比較で売上高が過達になったのは、戸建住宅事業は想定どおりだったが、中古住宅再生事業で販売数が想定以上に伸びたことが要因である。この販売数の伸びによって第2四半期累計期間に獲得した中古マンション販売に係る売上総利益額は前期を上回っている。営業利益の過達は、この売上総利益額の確保と販管費の抑制でカバーしたことによる。なお、期初予想に織り込まれている先行費用2億円については、もとより下期で使用する予定である。
会社別では、中古住宅再生事業のホームネットは、拠点展開するエリアごとに、顧客ニーズの強い地域、価格帯、商品内容をきめ細かく分析し、厳選された仕入と販売に努めるとともに、「KAITRY(カイトリー)」の活用促進や仲介会社への情報提供機能を強化した。物件仕入件数は厳選しつつ強化も図り553件(前年同期比23.2%減)、物件販売件数は引き続き好調で619件(同20.0%増)、売上高は15,695百万円(同5.4%増)、営業利益は339百万円(同53.7%減)となった。一方、戸建住宅を扱うファーストホームとサンコーホームは、引渡件数が合計99件(同20.8%減)となり、売上高は3,292百万円(同11.9%減)、営業損失は4百万円(前年同期は23百万円の営業損失)となった。注文住宅の業界は住宅ローン金利の上昇懸念や建設資材・物流コストの増加、人手不足による人件費高騰などにより引き続き厳しい環境にあったが、顧客ニーズに合った土地の仕入強化、一級建築士監修のミニマルな規格住宅「SQUARE(スクエア)」の開発、OB紹介の回復、価格転嫁などを推し進めることで増益を確保した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 2024年11月期第2四半期の業績動向
property technologies<5527>の2024年11月期第2四半期の業績は、売上高19,004百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益280百万円(同56.6%減)、経常利益142百万円(同76.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益20百万円(同94.8%減)と増収減益となった。一見すると苦戦のようだが、前年同期に再開発物件の売上高が計上されたこと、期初予想との比較では売上高で314百万円、営業利益で70百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で10百万円の超過達成となったことから、中期経営計画初年度として順調なスタートを切ったと言える。
日本経済は、社会経済活動の正常化により設備投資や個人消費が堅調に推移し、働き方改革や雇用環境の改善により一定の賃上げ傾向が見受けられるなど緩やかな回復基調で推移している。一方、エネルギーや原材料価格の高騰により様々な面で物価が上昇しているうえ、日本銀行によるマイナス金利解除による家計や企業への影響にも注視する必要があり、先行きは不透明な状況が続いている。同社が属する中古住宅流通市場においては、2022年末に行われた日本銀行による長期金利誘導を背景とした金利上昇懸念から、繁忙期となる2023年1月以降の需要が拡大せず、秋口の繁忙期である同年9月まで厳しい状況が続いた。このため4~5月の閑散期以降多くの事業者が在庫調整に向けて値下げを行ったが、同社の前期決算期間と同じ2022年12月から2023年11月の首都圏中古マンションの成約件数は微増に留まり、同期間末の流通在庫は前年同期比20%近い増加となったようだ。しかし、2024年11月期に入ってからは、流通在庫水準は引き続き高水準が続いているものの、成約件数は徐々に勢いを取り戻しつつある。
このような環境下、同社は後述する中期経営計画に沿って中古住宅再生事業に注力し、仲介会社経由のマンション買取再販事業の拡大を図る一方、リアル(実取引)で築き上げてきたデータベース、仲介会社との取引ネットワーク、AI査定をはじめとするテクノロジーなどの経営資源を有機的に結び付けたプラットフォーム「KAITRY(カイトリー)」を効率的に運用することで差別化を図った。特に一般顧客からの直接仕入につながるiBuyer(オンライン買取)機能が効果的で、加えて金融機関向けSaaSモデル「KAITRY finance」も4行社が新たに導入して早くも計7行社となった。この結果、売上高は、前年同期に1棟の再開発物件があった反動で微増に留まったが、それを除くと2ケタ増となることから、厳しい環境のなかで順調に売上高を確保できたと言える。その原動力となったのは期初想定を上回る中古マンションの販売であり、2024年11月期第2四半期3ヶ月間における販売決済数は過去最高となっている。
利益面では前期開発案件の剥落によって、営業利益は大幅な減益となった。売上総利益率は、好採算だった前年同期の再開発物件がなくなったこと、一部の中古マンションで仕入から販売までの期間が伸びたことによる採算低下により下がっている。一部中古マンションの売上総利益率の低下は、販管費の抑制によってカバーされており、この販管費については、増収を続けていくことを前提に増加する予算となっていたが、一部未使用の費用があったようだ。なお、非連結子会社からの一時的な配当金がなくなったため、経常利益の減益幅は営業利益より広がった。期初予想との比較で売上高が過達になったのは、戸建住宅事業は想定どおりだったが、中古住宅再生事業で販売数が想定以上に伸びたことが要因である。この販売数の伸びによって第2四半期累計期間に獲得した中古マンション販売に係る売上総利益額は前期を上回っている。営業利益の過達は、この売上総利益額の確保と販管費の抑制でカバーしたことによる。なお、期初予想に織り込まれている先行費用2億円については、もとより下期で使用する予定である。
会社別では、中古住宅再生事業のホームネットは、拠点展開するエリアごとに、顧客ニーズの強い地域、価格帯、商品内容をきめ細かく分析し、厳選された仕入と販売に努めるとともに、「KAITRY(カイトリー)」の活用促進や仲介会社への情報提供機能を強化した。物件仕入件数は厳選しつつ強化も図り553件(前年同期比23.2%減)、物件販売件数は引き続き好調で619件(同20.0%増)、売上高は15,695百万円(同5.4%増)、営業利益は339百万円(同53.7%減)となった。一方、戸建住宅を扱うファーストホームとサンコーホームは、引渡件数が合計99件(同20.8%減)となり、売上高は3,292百万円(同11.9%減)、営業損失は4百万円(前年同期は23百万円の営業損失)となった。注文住宅の業界は住宅ローン金利の上昇懸念や建設資材・物流コストの増加、人手不足による人件費高騰などにより引き続き厳しい環境にあったが、顧客ニーズに合った土地の仕入強化、一級建築士監修のミニマルな規格住宅「SQUARE(スクエア)」の開発、OB紹介の回復、価格転嫁などを推し進めることで増益を確保した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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