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propetec Research Memo(1):「KAITRY」とSaaSをテコに中古住宅再生事業の成長加速を狙う

配信元:フィスコ
投稿:2024/02/19 15:51
*15:51JST propetec Research Memo(1):「KAITRY」とSaaSをテコに中古住宅再生事業の成長加速を狙う ■要約

1. 中古マンションの買取再販が主軸、テクノロジーへの知見も深くシステム開発も行う
property technologies<5527>は、中古住宅再生事業と戸建住宅事業を展開しており、主軸の中古住宅再生事業では、中古マンションを買い取って、リノベーションにより価値を高めたうえで再販するマンション買取再販事業を中心に行っている。戸建住宅事業では、注文住宅請負を中心に一部建売住宅の建築販売も行っている。主軸の中古住宅再生事業では、蓄積してきた取引データやAI等テクノロジーを活用した効率的な運用によりマンション買取再販を拡大することに加えて、テクノロジーを背景に日本最大級の不動産買取ポータルサイト「KAITRY」を運営するiBuyerビジネスや、不動産業務を効率化するSaaSプロダクトを外販する業務支援SaaSサービスも展開している。これら取引・サービスは相互にシナジーもあり、同社は、中古マンションを買取再販するリアルな不動産事業をコアに、こうした「リアル(住まい)×テクノロジー」を通じて、「誰もが」「いつでも」「何度でも」「気軽に」住み替えることができるサステナブルな未来を創造していくことを目指している。

2. リアルなネットワーク、データとテクノロジーによる仕組み、組織文化が強み
同社の強みは、リアルなネットワーク、データとテクノロジーによる仕組み、組織文化という独自の優位性を構築しているところにある。リアルなネットワークの強みは、全国17拠点(うち戸建住宅事業2拠点)で約1万2千件に及ぶ物件の引き渡し実績と、年々拡大している全国の仲介会社、金融機関とのネットワークにある。そうした取引先から日々入る情報や査定依頼は、同社の物件と査定価格のデータの起点になっており、情報を活用する様々なシステムの開発につながっている。なかでもAI査定システムは、同社内向けに5秒で査定価格を提示できるなど非常にスピーディで競争力が強い。このため、成長が期待されるiBuyerビジネスやSaaSサービスのキーシステムにもなっている。組織文化では、社員がテクノロジー活用の本質を理解し、機械(テクノロジー)と人の分業によって創り出した時間を顧客目線のタスクに注力するとともに、テクノロジーが得意とする高付加価値のサービス開発に全社を挙げて取り組む体制が構築されている。

3. 中期経営計画を策定、ビジネスの質的向上を背景に2026年11月期売上高600億円・営業最高益更新を目指す
こうした強みを構築し、一定規模に成長したことを受け、同社は中期経営計画「VISION2026」を策定した。2026年11月期に、マンション引渡数年間2,000戸、売上高600億円規模(2023年11月期比1.6倍)、営業利益28億円(2023年11月期比2.1倍(過去最高益))、直仕入販売割合7.5%~10%、在庫期間200日を目指す。このため、リアルの拠点拡大に加え、SaaSによる仲介会社との連携強化及び「KAITRY」の飛躍的拡大により、中古住宅再生事業の成長を加速する方針である。ただし、成長にはビジネスの質的向上が必要であり、そのための成長戦略として、テクノロジーを駆使して仕入と販売の質的向上を進め、データベース拡張による情報網羅性向上や査定精度向上などによりコアコンピタンスの強化を図る。さらに中長期的にも、リアルビジネスで安定成長を維持しながら、SaaSプロダクトのさらなる拡張や「KAITRY」の飛躍的拡大を続けることで、事業領域を拡大していく考えである。

4. 2023年11月期は環境悪化、2024年11月期は先行投資で減益だが、中期経営計画を着実に進行
2023年11月期の業績は、売上高が36,965百万円(前期比4.7%減)、営業利益が1,324百万円(同43.8%減)と減収減益だった。これは、2022年末からの金利先高観を背景に2023年初より心理的な購買抑制が顕著となり、流通在庫の増加と相まって販売が伸び悩んだことが要因である。2023年6月以降中古マンション成約数は前年比プラスに転じているが、流通在庫が高止まりする中、在庫を抱える他社が値下げ販売を行ったところ、同社は戦略的に値下げをせずに対応した。その結果、販売は契約数では昨対比10.1%増加したものの、決済数で昨対比5%の減少となり減収となった。上場初年度であった同社は増収を見込んで予算を組んでいた成長投資等の負担が重く営業利益以下の減益となった。2024年11月期の業績見通しについて同社は、売上高40,400百万円(前期比9.3%増)、営業利益1,230百万円(同7.2%減)と見込んでいる。中期経営計画実現に向けた先行投資の増加2億円のため減益予想となったが、業界の在庫調整が進展するなか、前期並みの需給緩和を前提にしているため保守的な予想といえる。一方、査定数やネットワーク、システム開発など成長戦略に沿って着実に進行しているため、先行きに大きな懸念は少ないと考える。

■Key Points
・中古マンションの買取再販が主軸で、テクノロジーへの知見も深い
・強みはネットワーク、データとテクノロジーによる仕組み、組織文化
・中期経営計画を策定、2026年11月期に売上高600億円規模を目指す
・2023年11月期は減益だが、成長戦略が着実に進行しており懸念は少ない

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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配信元: フィスコ
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