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新日本製薬のニュース
■業績動向
1. 2020年9月期業績
新日本製薬<4931>の2020年9月期の業績は売上高33,728百万円(前期比0.5%増)、営業利益3,329百万円(同16.2%増)、経常利益3,295百万円(同16.5%増)、当期純利益2,122百万円(同16.3%増)となった。2020年9月期はマイナスの要因が多かった。2019年9月期の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動、消費増税後の消費マインドの低下、さらにコロナ禍に伴う購買志向の変化に加えて、緊急事態宣言によって直営店舗販売・卸売販売及び海外販売おいて影響を受けた。しかし、化粧品を中心に販売拡大に取り組み、増収での着地となった。直営店舗販売・卸売販売及び海外販売はコロナ禍の影響を受けているが、売上構成比ではそれ程大きくない事業分野であることから、全体としてはコロナ禍の影響は限定的であったようだ。これにより売上高は期初計画には届かなかったが過去最高を更新した。利益面については直営店舗・卸売販売において店舗の臨時休業や外出自粛による客数の減少による影響を受けたが、一方で通信販売においては、主力商品であるパーフェクトワン オールインワン美容液ジェルシリーズの販売が堅調に推移した。広告投資などは週単位で分析しており、投資タイミングを見極めて広告投資を一時的に抑えたことにより広告宣伝費が前期比1.6%減少したほか、フルフィルメントコスト(以下:FFコスト)※の効率化が計画以上に進捗したことで前期比8.3%減となったことも増益に貢献した。これにより営業利益、経常利益、当期純利益の各利益は期初計画を上回る増益で着地した。
※通信販売やECサイトにおいて発生する、受注、決済、ピッキング、配送などの一連の業務にかかるコストのこと。
チャネル別売上高では、通信販売の売上高は30,875百万円(前期比0.2%増)となった。同社の主力商品であるパーフェクトワン オールインワン美容液ジェルシリーズの販売が堅調に推移したことに加えて、オールインワンジェルと併用可能な季節限定商品の販売が好調だった。季節特有の悩みやトレンドを踏まえた商品展開により、クロスセルが通年で好調だったことから購買単価の引き上げにつながっている。また、国内EC販売における新規顧客の獲得施策や外部ECモールへの積極的な広告投資により国内外EC売上高が3,444百万円(同22.3%)と好調に推移した。なお、季節限定商品における売上高は2019年9月期より約330百万円増加しているもようだ。
直営店舗販売・卸売販売の売上高は2,145百万円(前期比0.3%減)となった。バラエティショップやGMSを中心に取扱店舗数の増加や売場の拡大施策に継続的に取り組むも、コロナ禍の影響による店舗の臨時休業や外出自粛による客数が減少した。しかし、結果的に前期並みの水準で着地した。
海外販売の売上高は707百万円(前期比15.1%増)となった。2020年9月期第1四半期は中国を中心に好調に推移していたが、第2四半期においてコロナ禍に伴い中国国内の物流停止や中国向け輸出の延期等が生じ、販売活動が一部影響を受けた。しかし、中国がいち早く経済活動を再開させたほか、海外EC販売の伸長により売上高は2ケタの伸びとなっている。
FFコストの効率化とその他販管費減が増益に貢献。依然としてFFコストの効率化余地は大きな成長要因の一つ
2. 営業利益増減要因
化粧品の売上拡大による増収効果(1.3億円)とFFコスト削減による効率化(4.1億円)、広告宣伝費の抑制(1.6億円)、その他販管費の減少(3.8億円)が増益要因であり、特にFFコスト効率化とその他販管費減が増益に貢献している。広告宣伝費などのマーケティング投資は、売上拡大に向けて2020年9月期上期に積極的に実施した一方、下期は消費者動向を見極めるため一時的に抑制し、減少した。またFFコストは送料有料化施策による発送配達費の削減と、決済方法の切り替え誘導による決済手数料の削減が起因し前期比8.3%減、コールセンターコストは同7.3%減と効率化が進んでいる。
同社において化粧品の売上拡大は当然のことながら、このFFコストの効率化が成長要因の一つとして注目しておきたい分野であると弊社では考えている。2019年4月より送料有料化施策を進めたことにより、これまで自社負担であった発送費の削減につながっている。これによる消費者の買い控えは起こっておらず、反対にまとめ買いによって送料負担の増加を和らげている。そのほか、決済方法の切り替え誘導においても代引きからクレジットによる後払いにシフトさせることにより、同社の決済手数料を削減させている。同社の顧客はシニア層も多いことからクレジットに抵抗がある顧客は依然として多い。しかし、支払いを代引き払いで行う顧客が8割だった2期前の2018年9月期時点から足元では6割まで低下してきており、依然としてFFコストの効率化余地は大きいだろう。また、コールセンターコストにおいては、リピーターなどの優良顧客も多く、顧客の意見などを商品に反映させるため専門的な顧客対応が必要となり、自社で一定の人員を置くことは必要である。一方で、コールセンター業務を従来の6割程度外部にアウトソーシングすることにより、受注状況等によってコミュニケーターの配置状態を変更することが可能となり、コストコントロールを臨機応変に行えるようになった。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
1. 2020年9月期業績
新日本製薬<4931>の2020年9月期の業績は売上高33,728百万円(前期比0.5%増)、営業利益3,329百万円(同16.2%増)、経常利益3,295百万円(同16.5%増)、当期純利益2,122百万円(同16.3%増)となった。2020年9月期はマイナスの要因が多かった。2019年9月期の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動、消費増税後の消費マインドの低下、さらにコロナ禍に伴う購買志向の変化に加えて、緊急事態宣言によって直営店舗販売・卸売販売及び海外販売おいて影響を受けた。しかし、化粧品を中心に販売拡大に取り組み、増収での着地となった。直営店舗販売・卸売販売及び海外販売はコロナ禍の影響を受けているが、売上構成比ではそれ程大きくない事業分野であることから、全体としてはコロナ禍の影響は限定的であったようだ。これにより売上高は期初計画には届かなかったが過去最高を更新した。利益面については直営店舗・卸売販売において店舗の臨時休業や外出自粛による客数の減少による影響を受けたが、一方で通信販売においては、主力商品であるパーフェクトワン オールインワン美容液ジェルシリーズの販売が堅調に推移した。広告投資などは週単位で分析しており、投資タイミングを見極めて広告投資を一時的に抑えたことにより広告宣伝費が前期比1.6%減少したほか、フルフィルメントコスト(以下:FFコスト)※の効率化が計画以上に進捗したことで前期比8.3%減となったことも増益に貢献した。これにより営業利益、経常利益、当期純利益の各利益は期初計画を上回る増益で着地した。
※通信販売やECサイトにおいて発生する、受注、決済、ピッキング、配送などの一連の業務にかかるコストのこと。
チャネル別売上高では、通信販売の売上高は30,875百万円(前期比0.2%増)となった。同社の主力商品であるパーフェクトワン オールインワン美容液ジェルシリーズの販売が堅調に推移したことに加えて、オールインワンジェルと併用可能な季節限定商品の販売が好調だった。季節特有の悩みやトレンドを踏まえた商品展開により、クロスセルが通年で好調だったことから購買単価の引き上げにつながっている。また、国内EC販売における新規顧客の獲得施策や外部ECモールへの積極的な広告投資により国内外EC売上高が3,444百万円(同22.3%)と好調に推移した。なお、季節限定商品における売上高は2019年9月期より約330百万円増加しているもようだ。
直営店舗販売・卸売販売の売上高は2,145百万円(前期比0.3%減)となった。バラエティショップやGMSを中心に取扱店舗数の増加や売場の拡大施策に継続的に取り組むも、コロナ禍の影響による店舗の臨時休業や外出自粛による客数が減少した。しかし、結果的に前期並みの水準で着地した。
海外販売の売上高は707百万円(前期比15.1%増)となった。2020年9月期第1四半期は中国を中心に好調に推移していたが、第2四半期においてコロナ禍に伴い中国国内の物流停止や中国向け輸出の延期等が生じ、販売活動が一部影響を受けた。しかし、中国がいち早く経済活動を再開させたほか、海外EC販売の伸長により売上高は2ケタの伸びとなっている。
FFコストの効率化とその他販管費減が増益に貢献。依然としてFFコストの効率化余地は大きな成長要因の一つ
2. 営業利益増減要因
化粧品の売上拡大による増収効果(1.3億円)とFFコスト削減による効率化(4.1億円)、広告宣伝費の抑制(1.6億円)、その他販管費の減少(3.8億円)が増益要因であり、特にFFコスト効率化とその他販管費減が増益に貢献している。広告宣伝費などのマーケティング投資は、売上拡大に向けて2020年9月期上期に積極的に実施した一方、下期は消費者動向を見極めるため一時的に抑制し、減少した。またFFコストは送料有料化施策による発送配達費の削減と、決済方法の切り替え誘導による決済手数料の削減が起因し前期比8.3%減、コールセンターコストは同7.3%減と効率化が進んでいる。
同社において化粧品の売上拡大は当然のことながら、このFFコストの効率化が成長要因の一つとして注目しておきたい分野であると弊社では考えている。2019年4月より送料有料化施策を進めたことにより、これまで自社負担であった発送費の削減につながっている。これによる消費者の買い控えは起こっておらず、反対にまとめ買いによって送料負担の増加を和らげている。そのほか、決済方法の切り替え誘導においても代引きからクレジットによる後払いにシフトさせることにより、同社の決済手数料を削減させている。同社の顧客はシニア層も多いことからクレジットに抵抗がある顧客は依然として多い。しかし、支払いを代引き払いで行う顧客が8割だった2期前の2018年9月期時点から足元では6割まで低下してきており、依然としてFFコストの効率化余地は大きいだろう。また、コールセンターコストにおいては、リピーターなどの優良顧客も多く、顧客の意見などを商品に反映させるため専門的な顧客対応が必要となり、自社で一定の人員を置くことは必要である。一方で、コールセンター業務を従来の6割程度外部にアウトソーシングすることにより、受注状況等によってコミュニケーターの配置状態を変更することが可能となり、コストコントロールを臨機応変に行えるようになった。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
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