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イーエムシステムズのニュース
■要約
EMシステムズ<4820>は、薬局を中心に、クリニック、介護施設向けに、業務処理用コンピュータシステムの開発・販売を行うITサービス会社である。主力事業である薬局向け調剤業務処理用コンピュータシステムは16,233薬局で利用されており、市場シェアの32.5%を占め業界トップ。ストック型ビジネスモデルに業界内でいち早く移行を開始した。2019年2月及び3月には介護/福祉システム事業強化のためのM&Aを実施し、ヘルスケア分野全般に関するサービス体制が整った。医科・調剤・介護/福祉の垣根を超えた共通情報システム基盤「MAPsシリーズ」は、完全ストック型・クラウド化が特徴であり、次世代戦略サービスとして既に出荷が始まっている。
1. 事業概要
同社では調剤向けの調剤業務処理用コンピュータシステムの開発・販売を行う「調剤システム事業及びその関連事業」、クリニック向けの医療業務処理用コンピュータシステムや電子カルテシステムなどの開発・販売を行う「医科システム事業及びその関連事業」「介護/福祉システム事業」及び「その他の事業」の4事業を展開している。
主力は「調剤システム事業及びその関連事業」であり、薬局向けの調剤業務処理用コンピュータシステムを開発、販売し、付帯するサプライの供給、保守メンテナンスサービスを行う。全社売上高の76.6%(2020年3月期)、全社営業利益の103.7%(同)を占める大黒柱である。主要製品は薬局向け医療業務処理用コンピュータシステム(製品名:「Recepty NEXT」)。ユーザーの薬局数は16,233件(2020年3月末、シェア32.5%)と業界1位である。同社の強みの1つは、ストック型ビジネスモデルを確立したことである。業界内でいち早く売切り制から初期導入費を抑えた従量課金制度を採用したため、同業他社製品に比べ価格競争力が高い。また同業他社が販売代理店制をとっているのに対して、同社は直販が主体の製販一体体制でありユーザーサポート力の高さに定評がある。
2. 2020年3月期通期業績
2020年3月期通期業績は、売上高14,023百万円(前期比6.8%増)、営業利益1,583百万円(同39.6%減)、経常利益2,179百万円(同32.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,393百万円(同29.3%減)となり、期初の計画通り増収減益の決算となった。期初予想からは、売上高で6.4%増、営業利益で16.5%増と、上回る結果となった。売上高が好調に推移したのは、介護サービス事業者向けのシステム事業の拡大及び消費税増税やWindows7のサポート終了によるハードリプレイスの駆け込み需要の影響が大きかった。また、調剤システム、医科システム、介護/福祉システムともに課金売上が順調に増加した。営業利益に関しては、当初からの戦略通りハードウェア提供方法の変更に伴う粗利の減少、介護事業の販管費の増加などにより減益となった。
3. 今後の見通し
2020年12月期の連結業績は決算期の変更に伴い9ヶ月間の決算になる。売上高10,092百万円(前期比28.0%減)、営業利益1,127百万円(同28.8%減)、経常利益1,556百万円(同28.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,082百万円(同22.3%減)と減収減益予想となるが、前期9ヶ月(2019年4月−12月)と比較すると売上高は2.1%減となる見込みだ。これは、ビジネスモデルの変革を行う過渡期であるためである。同社は従来のシステム・ハード・サポートの三位一体販売からシステム重視の販売にシフトし、完全ストック型ビジネスへの切り替えを行っている。戦略としては、新製品「MAPsシリーズ」による新規顧客開拓及び他社リプレイスの促進が基本となるが、対面営業が制限されるなか、マーケティング戦略を駆使して取り組む方針だ。開発に関しては、リリース済みの「MAPs for CLINIC」「MAPs for PHARMACY」の機能拡張による製品競争力の強化、介護/福祉システム「MAPs for NURSING CARE」の年内のリリースなどが重点となるだろう。弊社では、新型コロナウイルスの同社業績への影響は軽微であり、課金売上などストック型の構成比が高いビジネスモデルのため、例年通り期初予想をしっかり超えてくると考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<YM>
EMシステムズ<4820>は、薬局を中心に、クリニック、介護施設向けに、業務処理用コンピュータシステムの開発・販売を行うITサービス会社である。主力事業である薬局向け調剤業務処理用コンピュータシステムは16,233薬局で利用されており、市場シェアの32.5%を占め業界トップ。ストック型ビジネスモデルに業界内でいち早く移行を開始した。2019年2月及び3月には介護/福祉システム事業強化のためのM&Aを実施し、ヘルスケア分野全般に関するサービス体制が整った。医科・調剤・介護/福祉の垣根を超えた共通情報システム基盤「MAPsシリーズ」は、完全ストック型・クラウド化が特徴であり、次世代戦略サービスとして既に出荷が始まっている。
1. 事業概要
同社では調剤向けの調剤業務処理用コンピュータシステムの開発・販売を行う「調剤システム事業及びその関連事業」、クリニック向けの医療業務処理用コンピュータシステムや電子カルテシステムなどの開発・販売を行う「医科システム事業及びその関連事業」「介護/福祉システム事業」及び「その他の事業」の4事業を展開している。
主力は「調剤システム事業及びその関連事業」であり、薬局向けの調剤業務処理用コンピュータシステムを開発、販売し、付帯するサプライの供給、保守メンテナンスサービスを行う。全社売上高の76.6%(2020年3月期)、全社営業利益の103.7%(同)を占める大黒柱である。主要製品は薬局向け医療業務処理用コンピュータシステム(製品名:「Recepty NEXT」)。ユーザーの薬局数は16,233件(2020年3月末、シェア32.5%)と業界1位である。同社の強みの1つは、ストック型ビジネスモデルを確立したことである。業界内でいち早く売切り制から初期導入費を抑えた従量課金制度を採用したため、同業他社製品に比べ価格競争力が高い。また同業他社が販売代理店制をとっているのに対して、同社は直販が主体の製販一体体制でありユーザーサポート力の高さに定評がある。
2. 2020年3月期通期業績
2020年3月期通期業績は、売上高14,023百万円(前期比6.8%増)、営業利益1,583百万円(同39.6%減)、経常利益2,179百万円(同32.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,393百万円(同29.3%減)となり、期初の計画通り増収減益の決算となった。期初予想からは、売上高で6.4%増、営業利益で16.5%増と、上回る結果となった。売上高が好調に推移したのは、介護サービス事業者向けのシステム事業の拡大及び消費税増税やWindows7のサポート終了によるハードリプレイスの駆け込み需要の影響が大きかった。また、調剤システム、医科システム、介護/福祉システムともに課金売上が順調に増加した。営業利益に関しては、当初からの戦略通りハードウェア提供方法の変更に伴う粗利の減少、介護事業の販管費の増加などにより減益となった。
3. 今後の見通し
2020年12月期の連結業績は決算期の変更に伴い9ヶ月間の決算になる。売上高10,092百万円(前期比28.0%減)、営業利益1,127百万円(同28.8%減)、経常利益1,556百万円(同28.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,082百万円(同22.3%減)と減収減益予想となるが、前期9ヶ月(2019年4月−12月)と比較すると売上高は2.1%減となる見込みだ。これは、ビジネスモデルの変革を行う過渡期であるためである。同社は従来のシステム・ハード・サポートの三位一体販売からシステム重視の販売にシフトし、完全ストック型ビジネスへの切り替えを行っている。戦略としては、新製品「MAPsシリーズ」による新規顧客開拓及び他社リプレイスの促進が基本となるが、対面営業が制限されるなか、マーケティング戦略を駆使して取り組む方針だ。開発に関しては、リリース済みの「MAPs for CLINIC」「MAPs for PHARMACY」の機能拡張による製品競争力の強化、介護/福祉システム「MAPs for NURSING CARE」の年内のリリースなどが重点となるだろう。弊社では、新型コロナウイルスの同社業績への影響は軽微であり、課金売上などストック型の構成比が高いビジネスモデルのため、例年通り期初予想をしっかり超えてくると考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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