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クリーク・アンド・リバー社のニュース
*17:06JST C&R社 Research Memo(6):クリエイティブ分野(日本)と会計・法曹分野が増収増益に(1)
■クリーク・アンド・リバー社<4763>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) クリエイティブ分野(日本)
クリエイティブ分野(日本)の売上高(社内取引含む、以下同様)は前期比15.2%増の34,977百万円、営業利益は同4.7%増の2,878百万円となり、過去最高を更新した。シオングループほか2社を子会社化したことにより、売上高で約25億円増加し、のれん償却(70百万円)後の営業利益も約1億円の増益要因になったと見られる。既存事業ベースでは約7%増収、営業利益は横ばい水準にとどまった。新卒社員の増加による研修費用や未稼働分の人件費増で85百万円、収益認識会計基準の影響(第1四半期)によりWeb分野で30百万円の減益要因となったこと、またゲーム分野でも受託開発案件の収益性が低下したことなどが利益の伸び悩みにつながった。
領域別業績の前期比伸び率を同社が開示している売上構成比から試算すると、映像(テレビ、映画)分野は32.3%増収、50.5%増益となった。M&A効果を除いても増収増益だったと見られる。テレビ放送各局の番組制作需要を的確に捉えた自社企画・制作番組が堅調に推移した。ゲーム分野は12.2%増収、2.8%増益となった。旺盛な受託開発ニーズに対応すべく業界未経験者の育成や外国籍人材の積極的な採用を進めたことで2ケタ増収が続いたものの、好採算案件が減少したことやプロジェクトの規模縮小といった動きもあり、利益面では微増益にとどまった。Web分野(紙媒体含む)は2.9%増収、12.7%減益となった。売上高は企業や官公庁のWeb開発並びにプロモーション案件の受託が拡大した一方で、人材派遣についてはやや停滞する格好となった。利益面では、新卒の稼働遅れによる未稼働人件費の増加や収益認識会計基準の影響により減益となった。
電子書籍・YouTube等分野は23.2%減収、14.9%減益となった。電子書籍の取次販売やYouTube関連ビジネスについては堅調に推移したものの、「漫画LABO」によるオリジナル電子コミックの販売減が減収減益要因となった。YouTube関連は広告収入が単価下落の影響で減少したものの、企業やテレビ番組のYouTubeチャンネルの運用受託でカバーした。総チャンネル数(ネットワークするYouTubeクリエイターのチャンネル含む)は前期末比横ばいの500チャンネルとなっており、ゲームやライフスタイル等のクリエイターを中心に営業窓口を拡大しながら新規案件の獲得を進めた。
新規エージェンシー・その他分野(建築、AI/DX、ライフサイエンス、CXO、アスリート、舞台芸術、XR等)の売上高は15.2%増と伸長したが、引き続き投資が先行し1億円弱の損失を計上したと見られる。CXO分野の登録者数が1,900名程度まで増加するとともに紹介案件も増え始め、増収に貢献した。また建築分野では、一級建築士等の紹介及び設計・建築の受託案件が堅調に推移した。新規サービスとなるVR建築展示場「XR EXPO(R)」やメタバース空間での住宅展示場プラットフォーム「超建築メタバース」については、目立った進捗がなく普及するまでにしばらく時間を要する見通しだ。XR(VR/AR/MR)分野においては、「ファストVR」の販売が堅調に推移したほか、XR導入支援等のコンサルティング等を行い、ハードからコンテンツまで一貫したソリューションの開発・販売実績を積み重ねている。
(2) クリエイティブ分野(韓国)
クリエイティブ分野(韓国)の売上高は前期比2.7%増の3,553百万円、営業損失は41百万円(前期は16百万円の損失)となった。主力となるテレビ局向け人材派遣(エージェンシー)事業の売上高は、テレビ局の業績不振による派遣コスト削減の影響により同0.2%減の3,339百万円と低迷が続いたものの、オリジナルデジタルコミック(Webtoon)の配信やグッズ販売・映像化等の二次利用を中心としたコンテンツ事業が同98.2%増の210百万円となり、増収要因となった。利益面では、人材派遣事業で利益を確保したものの、コンテンツ事業の制作コスト負担が重く損失が続く状況となっている。
(3) 医療分野
医療分野では、子会社のメディカル・プリンシプル社(出資比率100.0%、10月決算)で「民間医局」ブランドによる医師紹介事業を中心に、医学生・研修医を対象とした合同説明会「レジナビFair」や「レジナビFairオンライン」、臨床研修情報サイト「レジナビ」、若手医師向け情報収集サイト「民間医局コネクト」等のサービスを提供している。また、その子会社として2021年6月に介護事業を含む効果的な地域医療周辺サービス事業や新規クリニック経営支援サービスを展開すべく、(株)コミュニティ・メディカル・イノベーション(出資比率100.0%)を設立している。
売上高は前期比3.6%増の5,417百万円と過去最高を更新したものの、営業利益は同3.4%減の1,293百万円と3期ぶりの減益となった。新型コロナウイルスワクチン接種案件の一巡で275百万円の減収減益要因となったためで、同要因を除けば増益だったことになる。主軸の医師紹介事業は、全国各地での慢性的な医師不足を背景に、安定成長が続いた。また、「レジナビFair」も大規模会場でのリアル開催を再開しコロナ禍前の水準まで回復したほか、オンライン開催も適宜開催するなどして増収に貢献した。クリニック経営支援サービスは顧客先が2施設と変わらず、売上高は横ばい水準にとどまったが、2025年2月期以降に既存顧客で多施設展開する計画を立てているようで、今後の動向が注目される。なお事業別の売上高は、エージェンシー事業が同1.6%増の4,261百万円、「レジナビFair」を中心としたプロデュース事業が同11.3%増の824百万円、その他が同12.9%増の331百万円となった。その他については、医師向けの保険販売代理店事業(医師賠償責任保険)が含まれている。同社の販売する保険商品は団体割引が適用されており、個人で契約するよりも料金が20%安くなるため、「民間医局」の会員数増加とともに販売額も伸長した。
(4) 会計・法曹分野
会計分野は子会社のジャスネットコミュニケーションズ(株)(出資比率100.0%)、法曹分野は(株)C&Rリーガル・エージェンシー社(同90.0%)でエージェンシー事業を中心に展開している。売上高は前期比7.9%増の2,488百万円と過去最高を更新し、営業利益も同7.2%増の171百万円と3期連続の増益となった。
同社が開示している分野別売上構成比から試算した会計分野の売上高は前期比10.3%増の2,141百万円、営業利益は同10.2%増の139百万円となった。コロナ禍が一巡し、企業の会計業務に関わる人材需要が回復してきたことに加え、セミナー開催等による認知度向上を図り、会計士や税理士等の登録者数増加に取り組んできたことが増収増益要因となった。一方、法曹分野については若干の減収、利益は横ばい水準にとどまった。弁護士登録数は前期末の約2.2万人から着実に増加したものの、紹介案件数が伸び悩んだ。同社はマネジメント体制に課題があったと見ており、既に改善施策を実施済みであり2025年2月期以降の施策の刷新により、売上の回復を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
2. 事業セグメント別動向
(1) クリエイティブ分野(日本)
クリエイティブ分野(日本)の売上高(社内取引含む、以下同様)は前期比15.2%増の34,977百万円、営業利益は同4.7%増の2,878百万円となり、過去最高を更新した。シオングループほか2社を子会社化したことにより、売上高で約25億円増加し、のれん償却(70百万円)後の営業利益も約1億円の増益要因になったと見られる。既存事業ベースでは約7%増収、営業利益は横ばい水準にとどまった。新卒社員の増加による研修費用や未稼働分の人件費増で85百万円、収益認識会計基準の影響(第1四半期)によりWeb分野で30百万円の減益要因となったこと、またゲーム分野でも受託開発案件の収益性が低下したことなどが利益の伸び悩みにつながった。
領域別業績の前期比伸び率を同社が開示している売上構成比から試算すると、映像(テレビ、映画)分野は32.3%増収、50.5%増益となった。M&A効果を除いても増収増益だったと見られる。テレビ放送各局の番組制作需要を的確に捉えた自社企画・制作番組が堅調に推移した。ゲーム分野は12.2%増収、2.8%増益となった。旺盛な受託開発ニーズに対応すべく業界未経験者の育成や外国籍人材の積極的な採用を進めたことで2ケタ増収が続いたものの、好採算案件が減少したことやプロジェクトの規模縮小といった動きもあり、利益面では微増益にとどまった。Web分野(紙媒体含む)は2.9%増収、12.7%減益となった。売上高は企業や官公庁のWeb開発並びにプロモーション案件の受託が拡大した一方で、人材派遣についてはやや停滞する格好となった。利益面では、新卒の稼働遅れによる未稼働人件費の増加や収益認識会計基準の影響により減益となった。
電子書籍・YouTube等分野は23.2%減収、14.9%減益となった。電子書籍の取次販売やYouTube関連ビジネスについては堅調に推移したものの、「漫画LABO」によるオリジナル電子コミックの販売減が減収減益要因となった。YouTube関連は広告収入が単価下落の影響で減少したものの、企業やテレビ番組のYouTubeチャンネルの運用受託でカバーした。総チャンネル数(ネットワークするYouTubeクリエイターのチャンネル含む)は前期末比横ばいの500チャンネルとなっており、ゲームやライフスタイル等のクリエイターを中心に営業窓口を拡大しながら新規案件の獲得を進めた。
新規エージェンシー・その他分野(建築、AI/DX、ライフサイエンス、CXO、アスリート、舞台芸術、XR等)の売上高は15.2%増と伸長したが、引き続き投資が先行し1億円弱の損失を計上したと見られる。CXO分野の登録者数が1,900名程度まで増加するとともに紹介案件も増え始め、増収に貢献した。また建築分野では、一級建築士等の紹介及び設計・建築の受託案件が堅調に推移した。新規サービスとなるVR建築展示場「XR EXPO(R)」やメタバース空間での住宅展示場プラットフォーム「超建築メタバース」については、目立った進捗がなく普及するまでにしばらく時間を要する見通しだ。XR(VR/AR/MR)分野においては、「ファストVR」の販売が堅調に推移したほか、XR導入支援等のコンサルティング等を行い、ハードからコンテンツまで一貫したソリューションの開発・販売実績を積み重ねている。
(2) クリエイティブ分野(韓国)
クリエイティブ分野(韓国)の売上高は前期比2.7%増の3,553百万円、営業損失は41百万円(前期は16百万円の損失)となった。主力となるテレビ局向け人材派遣(エージェンシー)事業の売上高は、テレビ局の業績不振による派遣コスト削減の影響により同0.2%減の3,339百万円と低迷が続いたものの、オリジナルデジタルコミック(Webtoon)の配信やグッズ販売・映像化等の二次利用を中心としたコンテンツ事業が同98.2%増の210百万円となり、増収要因となった。利益面では、人材派遣事業で利益を確保したものの、コンテンツ事業の制作コスト負担が重く損失が続く状況となっている。
(3) 医療分野
医療分野では、子会社のメディカル・プリンシプル社(出資比率100.0%、10月決算)で「民間医局」ブランドによる医師紹介事業を中心に、医学生・研修医を対象とした合同説明会「レジナビFair」や「レジナビFairオンライン」、臨床研修情報サイト「レジナビ」、若手医師向け情報収集サイト「民間医局コネクト」等のサービスを提供している。また、その子会社として2021年6月に介護事業を含む効果的な地域医療周辺サービス事業や新規クリニック経営支援サービスを展開すべく、(株)コミュニティ・メディカル・イノベーション(出資比率100.0%)を設立している。
売上高は前期比3.6%増の5,417百万円と過去最高を更新したものの、営業利益は同3.4%減の1,293百万円と3期ぶりの減益となった。新型コロナウイルスワクチン接種案件の一巡で275百万円の減収減益要因となったためで、同要因を除けば増益だったことになる。主軸の医師紹介事業は、全国各地での慢性的な医師不足を背景に、安定成長が続いた。また、「レジナビFair」も大規模会場でのリアル開催を再開しコロナ禍前の水準まで回復したほか、オンライン開催も適宜開催するなどして増収に貢献した。クリニック経営支援サービスは顧客先が2施設と変わらず、売上高は横ばい水準にとどまったが、2025年2月期以降に既存顧客で多施設展開する計画を立てているようで、今後の動向が注目される。なお事業別の売上高は、エージェンシー事業が同1.6%増の4,261百万円、「レジナビFair」を中心としたプロデュース事業が同11.3%増の824百万円、その他が同12.9%増の331百万円となった。その他については、医師向けの保険販売代理店事業(医師賠償責任保険)が含まれている。同社の販売する保険商品は団体割引が適用されており、個人で契約するよりも料金が20%安くなるため、「民間医局」の会員数増加とともに販売額も伸長した。
(4) 会計・法曹分野
会計分野は子会社のジャスネットコミュニケーションズ(株)(出資比率100.0%)、法曹分野は(株)C&Rリーガル・エージェンシー社(同90.0%)でエージェンシー事業を中心に展開している。売上高は前期比7.9%増の2,488百万円と過去最高を更新し、営業利益も同7.2%増の171百万円と3期連続の増益となった。
同社が開示している分野別売上構成比から試算した会計分野の売上高は前期比10.3%増の2,141百万円、営業利益は同10.2%増の139百万円となった。コロナ禍が一巡し、企業の会計業務に関わる人材需要が回復してきたことに加え、セミナー開催等による認知度向上を図り、会計士や税理士等の登録者数増加に取り組んできたことが増収増益要因となった。一方、法曹分野については若干の減収、利益は横ばい水準にとどまった。弁護士登録数は前期末の約2.2万人から着実に増加したものの、紹介案件数が伸び悩んだ。同社はマネジメント体制に課題があったと見ており、既に改善施策を実施済みであり2025年2月期以降の施策の刷新により、売上の回復を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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