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*13:35JST TrueData Research Memo(5):2025年3月期も増収増益の見込み(1)
■今後の見通し
1. 2025年3月期の業績見通し
True Data<4416>の2025年3月期の業績は、売上高1,791百万円(前期比12.4%増)、営業利益100百万円(同56.4%増)、経常利益98百万円(同57.6%増)、当期純利益87百万円(同46.5%増)を見込む。売上高は、既存領域においてストック型売上高を着実に積み上げながら、新領域のスケール化(規模拡大)を図ることにより、2ケタ成長を計画している。ストック型売上高については予想売上高のうち87.6%の1,568百万円を見込んでおり、2024年3月期比で14.7%増と高成長を継続する計画である。内訳としては消費財メーカー向けの主力サービスである「イーグルアイ」で847百万円、小売業向けサービスである「ショッピングスキャン」等で367百万円としており、その他を「ドルフィンアイ」及びその他ストック型売上によって達成する計画だ。「イーグルアイ」については2024年3月期比で9.3%増と高い成長を目指す。施策としては、同社が「ホワイトゾーン」と位置付ける準大手や中堅消費財メーカーをターゲットとして販売拡大を図る考えである。大手とは異なり、データ活用のノウハウ習得やインフラ整備が途上、あるいは未整備のメーカーをポテンシャル顧客と捉え、現場ニーズに合わせたソリューションを展開することで顧客拡大につなげる。ショッピングスキャン等においても2024年3月期比で22.1%増と高い成長を目指す。これは2024年3月期にスーパーマーケット等の複数の小売業から獲得した受注を反映したものであるが、それ以外にも2023年9月にサービスを開始した「SalesSensor」の受注に向けた活動が実を結びつつあるとのことであり、2025年3月期の業績に織り込まれている。
利益面については、営業利益で2024年3月期比56.4%増と大幅な増益を計画する。2024年3月期は成長投資に伴う販管費の増加により営業利益率は前期比1.3ポイント減の4.0%となったが、2024年3月期に受注した、計画を超えるスポット型売上がストック型売上に転換して貢献する見込みであること、並びに同社の実力を考慮すれば、2025年3月期における営業利益率5.6%達成は十分可能と弊社では見ている。同社は2026年3月期の数値目標として営業利益率8.0%超を目指しており、成長加速フェーズにある2025年3月期をその前段階と位置付け、利益率向上に注力すると考えられる。なお、同社によれば、2025年3月期については前期のような大規模な人材投資やシステム投資は現時点では計画しておらず、利益率を高めながら事業の成長に合わせて必要な投資を進める考えである。
2. 2025年3月期の重点施策
同社は2025年3月期の重点施策として、前期まで推進してきた4つの施策をこれまでの進捗に合わせる形で目標を引き上げ、施策内容を再設定し、掲げている。
(1) クライアントに選ばれるデータプラットフォームとして小売業のDXを推進【リテールDX領域】
2024年3月期の成果として「ショッピングスキャン」の受注が順調に進捗し、2025年3月期の業績への貢献が期待できることを踏まえ、小売業、特にドラッグストア、スーパーマーケット、ホームセンター、コンビニエンスストア等をターゲットとしてデータ活用ソリューションの受注拡大を図り、小売業の購買ビッグデータに関する「面」の拡大・深耕を目指す。「ショッピングスキャン」等の既存サービスに加え、「SalesSensor」や「Potential Scan」等のAIを活用した新サービスについても積極的に販促する計画で、現時点で既に顧客からの引き合いは高まっており、業績への貢献が期待される。
(2) 将来の成長のタネである新領域の立ち上げ【ビジネスアナリティクス領域・広告領域】
ビジネスアナリティクス領域においては、2024年3月期は「POS分析クラウド」が計画を超える受注を獲得し、スポット型売上高の増加に寄与した。2025年3月期は導入顧客からの要望に基づく設定を行うことで利便性を高める改善を行うとともに、初期導入段階における各種設定時のコスト、運用段階におけるコストなどを低減すべく、モノづくりに関わるプロセス整備を上期に実施する。よりスムーズにサービスを提供するための工夫やコスト構造の効率化(利益率の改善)を図ったうえで下期の販売に注力し、スケール化を推進する考えだ。広告領域においては、2024年3月期にYouTube広告の効果検証を行う「Poswell」や楽天グループ<4755>のマーケティングソリューションにおけるメニュー「Instore Tracking」とのデータ連携をリリースするなど、アライアンスパートナーとの協業が進んでいることから、2025年3月期において売上高への貢献が期待される。海外領域においては、2022年に業務提携したベトナムのFPT Software Co., Ltdグループ企業との間でベトナムにおけるEC及び実店舗におけるデータマーケティングに関する新サービスの立ち上げを進めている。ベトナムに進出する日本企業の現地におけるマーケティングをデータ分析により支援するもので、2025年3月期中のサービスリリースを目指して準備を進めている。
(3) 消費財メーカーのDXに貢献(データ活用ステージに進むホワイトゾーン)【データマーケティング領域】
2024年3月期には、データの活用が進んでいない準大手や中堅の消費財メーカーが現場で使いやすいソリューションの開発や、それらメーカーを顧客として取り込むための販売チャネルの多様化に取り組んできた。2025年3月期はそれらを武器に「イーグルアイ」拡販のための営業活動を本格的に推進する。メーカー側にとっても既に大手で実施しているようなデータ活用のノウハウを得ることは、DX推進による売上拡大・業務改善という大きなメリット獲得につながると考えられる。同社はメーカー各社を個別に攻略するのではなく、メーカー各社を顧客基盤として抱える企業と協業する形で販売チャネルを構築することにより、ホワイトゾーンにおける受注を一気に拡大する方針である。
(4) 「人と組織の成長」「事業運営基盤の整備」による成果の最大化
「人と組織の成長」として社員の学びと専門性向上への支援を充実するほか、専門のコーチによる次世代リーダー育成、チームビルディング、女性リーダーのエンパワーメントを促進する。同社は「人材」を最も重要な経営資産と捉えており、特にビッグデータのハンドリングや分析、顧客のマーケティング業務への落とし込みといった専門領域に関するノウハウやAI等の先端テクノロジーを活用できる人材の育成が同社のビジネスの競争力に直結するとしている。ビッグデータのハンドリングに関するスキルの向上を社内のOJTにより対応するほか、先端テクノロジーや専門的な分析手法等はOJTに加えて社外での教育機会を社員に提供している。また、社員の資格取得を奨励し、同社にて定めた認定資格を取得した際にはストック型の資格手当を給付する等、社員の専門性を高める土壌づくりに力を入れている。さらに、次世代リーダー育成や女性リーダーのエンパワーメントについては、社内でキャリアコーチング等のプログラムを提供し、リーダーシップ開発をサポートしている。「事業運営基盤の整備」では2024年3月期までに営業推進のための社内業務・情報システム整備を完了したため、2025年3月期はサービスの内容改善に注力する。前述の「POS分析クラウド」も同様であるが、顧客のサービス導入時に得られた改善要望を踏まえ、顧客に対応することで満足度の高いサービスを提供するほか、サービス提供までのプロセスを見直すことで対応コストの低減やスムーズなサービス提供を図る。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<SO>
1. 2025年3月期の業績見通し
True Data<4416>の2025年3月期の業績は、売上高1,791百万円(前期比12.4%増)、営業利益100百万円(同56.4%増)、経常利益98百万円(同57.6%増)、当期純利益87百万円(同46.5%増)を見込む。売上高は、既存領域においてストック型売上高を着実に積み上げながら、新領域のスケール化(規模拡大)を図ることにより、2ケタ成長を計画している。ストック型売上高については予想売上高のうち87.6%の1,568百万円を見込んでおり、2024年3月期比で14.7%増と高成長を継続する計画である。内訳としては消費財メーカー向けの主力サービスである「イーグルアイ」で847百万円、小売業向けサービスである「ショッピングスキャン」等で367百万円としており、その他を「ドルフィンアイ」及びその他ストック型売上によって達成する計画だ。「イーグルアイ」については2024年3月期比で9.3%増と高い成長を目指す。施策としては、同社が「ホワイトゾーン」と位置付ける準大手や中堅消費財メーカーをターゲットとして販売拡大を図る考えである。大手とは異なり、データ活用のノウハウ習得やインフラ整備が途上、あるいは未整備のメーカーをポテンシャル顧客と捉え、現場ニーズに合わせたソリューションを展開することで顧客拡大につなげる。ショッピングスキャン等においても2024年3月期比で22.1%増と高い成長を目指す。これは2024年3月期にスーパーマーケット等の複数の小売業から獲得した受注を反映したものであるが、それ以外にも2023年9月にサービスを開始した「SalesSensor」の受注に向けた活動が実を結びつつあるとのことであり、2025年3月期の業績に織り込まれている。
利益面については、営業利益で2024年3月期比56.4%増と大幅な増益を計画する。2024年3月期は成長投資に伴う販管費の増加により営業利益率は前期比1.3ポイント減の4.0%となったが、2024年3月期に受注した、計画を超えるスポット型売上がストック型売上に転換して貢献する見込みであること、並びに同社の実力を考慮すれば、2025年3月期における営業利益率5.6%達成は十分可能と弊社では見ている。同社は2026年3月期の数値目標として営業利益率8.0%超を目指しており、成長加速フェーズにある2025年3月期をその前段階と位置付け、利益率向上に注力すると考えられる。なお、同社によれば、2025年3月期については前期のような大規模な人材投資やシステム投資は現時点では計画しておらず、利益率を高めながら事業の成長に合わせて必要な投資を進める考えである。
2. 2025年3月期の重点施策
同社は2025年3月期の重点施策として、前期まで推進してきた4つの施策をこれまでの進捗に合わせる形で目標を引き上げ、施策内容を再設定し、掲げている。
(1) クライアントに選ばれるデータプラットフォームとして小売業のDXを推進【リテールDX領域】
2024年3月期の成果として「ショッピングスキャン」の受注が順調に進捗し、2025年3月期の業績への貢献が期待できることを踏まえ、小売業、特にドラッグストア、スーパーマーケット、ホームセンター、コンビニエンスストア等をターゲットとしてデータ活用ソリューションの受注拡大を図り、小売業の購買ビッグデータに関する「面」の拡大・深耕を目指す。「ショッピングスキャン」等の既存サービスに加え、「SalesSensor」や「Potential Scan」等のAIを活用した新サービスについても積極的に販促する計画で、現時点で既に顧客からの引き合いは高まっており、業績への貢献が期待される。
(2) 将来の成長のタネである新領域の立ち上げ【ビジネスアナリティクス領域・広告領域】
ビジネスアナリティクス領域においては、2024年3月期は「POS分析クラウド」が計画を超える受注を獲得し、スポット型売上高の増加に寄与した。2025年3月期は導入顧客からの要望に基づく設定を行うことで利便性を高める改善を行うとともに、初期導入段階における各種設定時のコスト、運用段階におけるコストなどを低減すべく、モノづくりに関わるプロセス整備を上期に実施する。よりスムーズにサービスを提供するための工夫やコスト構造の効率化(利益率の改善)を図ったうえで下期の販売に注力し、スケール化を推進する考えだ。広告領域においては、2024年3月期にYouTube広告の効果検証を行う「Poswell」や楽天グループ<4755>のマーケティングソリューションにおけるメニュー「Instore Tracking」とのデータ連携をリリースするなど、アライアンスパートナーとの協業が進んでいることから、2025年3月期において売上高への貢献が期待される。海外領域においては、2022年に業務提携したベトナムのFPT Software Co., Ltdグループ企業との間でベトナムにおけるEC及び実店舗におけるデータマーケティングに関する新サービスの立ち上げを進めている。ベトナムに進出する日本企業の現地におけるマーケティングをデータ分析により支援するもので、2025年3月期中のサービスリリースを目指して準備を進めている。
(3) 消費財メーカーのDXに貢献(データ活用ステージに進むホワイトゾーン)【データマーケティング領域】
2024年3月期には、データの活用が進んでいない準大手や中堅の消費財メーカーが現場で使いやすいソリューションの開発や、それらメーカーを顧客として取り込むための販売チャネルの多様化に取り組んできた。2025年3月期はそれらを武器に「イーグルアイ」拡販のための営業活動を本格的に推進する。メーカー側にとっても既に大手で実施しているようなデータ活用のノウハウを得ることは、DX推進による売上拡大・業務改善という大きなメリット獲得につながると考えられる。同社はメーカー各社を個別に攻略するのではなく、メーカー各社を顧客基盤として抱える企業と協業する形で販売チャネルを構築することにより、ホワイトゾーンにおける受注を一気に拡大する方針である。
(4) 「人と組織の成長」「事業運営基盤の整備」による成果の最大化
「人と組織の成長」として社員の学びと専門性向上への支援を充実するほか、専門のコーチによる次世代リーダー育成、チームビルディング、女性リーダーのエンパワーメントを促進する。同社は「人材」を最も重要な経営資産と捉えており、特にビッグデータのハンドリングや分析、顧客のマーケティング業務への落とし込みといった専門領域に関するノウハウやAI等の先端テクノロジーを活用できる人材の育成が同社のビジネスの競争力に直結するとしている。ビッグデータのハンドリングに関するスキルの向上を社内のOJTにより対応するほか、先端テクノロジーや専門的な分析手法等はOJTに加えて社外での教育機会を社員に提供している。また、社員の資格取得を奨励し、同社にて定めた認定資格を取得した際にはストック型の資格手当を給付する等、社員の専門性を高める土壌づくりに力を入れている。さらに、次世代リーダー育成や女性リーダーのエンパワーメントについては、社内でキャリアコーチング等のプログラムを提供し、リーダーシップ開発をサポートしている。「事業運営基盤の整備」では2024年3月期までに営業推進のための社内業務・情報システム整備を完了したため、2025年3月期はサービスの内容改善に注力する。前述の「POS分析クラウド」も同様であるが、顧客のサービス導入時に得られた改善要望を踏まえ、顧客に対応することで満足度の高いサービスを提供するほか、サービス提供までのプロセスを見直すことで対応コストの低減やスムーズなサービス提供を図る。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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