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早稲田アカデミーのニュース
■会社概要
2. 事業内容
早稲田アカデミー<4718>の事業セグメントは教育関連事業と不動産賃貸事業とに分かれているが、売上高の99%超は教育関連事業で占められており、不動産賃貸事業の売上高は100百万円前後と業績に与える影響は極めて軽微となっている。
教育関連事業では小学生から高校生までを対象とした進学塾「早稲田アカデミー」を首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城)で展開している。ブランド名としては「早稲田アカデミー」(2019年3月末113校)のほか、難関中学高校受験専門塾「ExiV(エクシブ)」(同5校)、小中学生向け受験塾の「国研」(同1校)、個別指導塾の「MYSTA(マイスタ)」(同12校)、「早稲田アカデミー大学受験部」(同10校)、最難関中学受験専門塾の「SPICA(スピカ)」(同1校)、明光ネットワークジャパン<4668>との提携によって2012年より開始した「早稲田アカデミー個別進学館」(同12校)など合計154校を直営で展開している。そのほか、2017年より小中学生向けの英語塾として開校した「多読英語教室 English ENGINE」(同2校)を運営している。
子会社では、野田学園が医歯薬学系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を都内で2校展開している。野田学園を子会社化した背景は、大学受験において理系で高いレベルの指導ノウハウを持つ講師をそろえており、文系主体であった同社の「大学受験部」とのシナジーが得られやすかったことが挙げられる。また、水戸アカデミーでは、茨城県内で小中学生を対象とした進学塾「水戸アカデミー」を1校運営しており、県内の難関公立高校である水戸第一高校の合格者数で高い実績を持つ。水戸アカデミーを子会社化した背景は、難関公立進学校の受験を目指す塾生の獲得強化を進めるなかで、茨城県内で強いブランド力を持つ水戸アカデミーとの連携によるシナジーが期待できることが挙げられる。なお、水戸アカデミーでは2018年より新たに高校生部門も開始、難関大学への合格者数拡大にも注力していく。集学舎では千葉県内で小中高校生を対象とした進学塾「QUARD」を4校展開しており、うち高校部門については東進衛星予備校の映像授業を行っている。中学部が主力で県立千葉高を始めとする難関公立高校で高い合格実績を有している。集学舎についても、水戸アカデミーとほぼ同様の目的で子会社化している。また、集学舎は千葉県内で高いブランド力を有しているものの、人材採用が厳しくなるなかで新たな校舎展開が難しくなっていたため、同社グループに入ることで人的リソースを強化し、校舎の増設を進めていくことも可能になると見ている。既に、中途採用に関しては2019年3月期よりグループ採用がスタートしている。
校舎数に関してはここ数年、M&Aを実施したことで増加傾向にあり、2019年3月末時点で161校となっている。2019年3月期の期中平均塾生数は前期末比4.1%増の37,988名となり、構成比率は小学部で51%、中学部で40%、高校部で9%となっている。ここ数年は、小学部の構成比率がKコース(公立進学コース)の好調もあって上昇傾向にある(2015年3月期は46%)。なお、教師に関しては正社員教師のほか同社の教務研修によって育成された非常勤講師も多数の授業を担当している。
教育関連事業では英語教育に対する取り組みにも注力している。2012年に「東大・医学部・バーバードに一番近い小学生たちの英語塾」をコンセプトに、年長から小4生(現在は小6生)を対象とした英語英才講座「早稲田アカデミーIBS(Integrated Bilingual School)」を開講し、世界に通用するグローバル人材を育成するプログラムとして注目度が高まっている。現在は中学生まで対象としたカリキュラム(国立ラボDual Express ENGLISH)のほか、2017年からは小中学生を対象とした「多読英語教室 早稲田アカデミー English ENGINE」を開校している。
その他にも現役教師の研修用教材となるeラーニング「教師力養成塾e-講座」を提供しているほか、インスクール・ビジネスとして学校や教育委員会から依頼を受け、受託授業なども手掛けている。これらは、進学塾で培った指導ノウハウと社内外の研修・講演等で培った研修ノウハウを組み合わせたものとなっており、今後も幅広く公教育支援への取り組みを推進していく方針となっている。
3. 同社の強み
同社の最大の強みは、首都圏において私立最難関高校と言われる開成高校や早慶付属高校に毎年、業界トップの合格者数を輩出できるシステムを確立している点にある。具体的には、これら志望校へ合格させるためのカリキュラム・教材が完成しており、合格に直結する指導法を教師に習得させるための教育研修システムが整備されている。また、塾生たちのやる気を引き出し学習意欲を高めるための「学習する空間づくり」や、互いに競い合い切磋琢磨する学習環境を提供していること、さらには「志望校への合格」という共通目標を全社一丸となって達成していくため、教師だけでなく事務職も含めたインセンティブの設定、人事評価制度を導入していることも高い合格実績を維持し続けている要因になっている。
同社の基本戦略である「合格実績戦略」という、顧客にとって明確でわかりやすい差別化を推進することでブランド力を向上させ、その結果として「難関校に行くなら早稲田アカデミー」という流れを高校受験では確立している。今後は中学受験や大学受験、また、公立の高校受験においても同様の戦略によって塾生数を伸ばしながら、収益を拡大していく方針となっている。
4. 主要株主と提携状況
同社の主要株主を見ると、2019年3月末現在の筆頭株主はナガセ<9733>で出資比率は18.93%、第2位に英進館(株)11.29%、第4位に明光ネットワークジャパン<4668>5.22%と同業他社が上位に入っている。
このうち、ナガセとは社会人研修事業の委託等の取引があるほか、ナガセの子会社で中学受験指導の草分け的存在である(株)四谷大塚と1997年に提携塾契約を締結している。提携内容は、小学部で使用する教材類を四谷大塚から購入し、カリキュラムも準拠して指導すること、並びに四谷大塚の実施する公認テスト会場として同社が代行的な業務を行うことができることなどが定められている。
第2位株主の英進館は、九州を地盤とする進学塾で、慶応義塾女子高やラ・サール高の入試対策用特別講座や夏期合宿、講師研修などの共同開催を行うなど事業面も協業関係にある。また、第4位株主の明光ネットワークジャパンとは、個別指導塾である「早稲田アカデミー個別指導館」で提携している。ここ数年、学習塾業界の再編統合の動きが活発化しているが、同社においてはシナジーが見込まれるM&A案件であれば検討し、中長期的には現状の経営体制の中での成長を目指していく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業内容
早稲田アカデミー<4718>の事業セグメントは教育関連事業と不動産賃貸事業とに分かれているが、売上高の99%超は教育関連事業で占められており、不動産賃貸事業の売上高は100百万円前後と業績に与える影響は極めて軽微となっている。
教育関連事業では小学生から高校生までを対象とした進学塾「早稲田アカデミー」を首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城)で展開している。ブランド名としては「早稲田アカデミー」(2019年3月末113校)のほか、難関中学高校受験専門塾「ExiV(エクシブ)」(同5校)、小中学生向け受験塾の「国研」(同1校)、個別指導塾の「MYSTA(マイスタ)」(同12校)、「早稲田アカデミー大学受験部」(同10校)、最難関中学受験専門塾の「SPICA(スピカ)」(同1校)、明光ネットワークジャパン<4668>との提携によって2012年より開始した「早稲田アカデミー個別進学館」(同12校)など合計154校を直営で展開している。そのほか、2017年より小中学生向けの英語塾として開校した「多読英語教室 English ENGINE」(同2校)を運営している。
子会社では、野田学園が医歯薬学系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を都内で2校展開している。野田学園を子会社化した背景は、大学受験において理系で高いレベルの指導ノウハウを持つ講師をそろえており、文系主体であった同社の「大学受験部」とのシナジーが得られやすかったことが挙げられる。また、水戸アカデミーでは、茨城県内で小中学生を対象とした進学塾「水戸アカデミー」を1校運営しており、県内の難関公立高校である水戸第一高校の合格者数で高い実績を持つ。水戸アカデミーを子会社化した背景は、難関公立進学校の受験を目指す塾生の獲得強化を進めるなかで、茨城県内で強いブランド力を持つ水戸アカデミーとの連携によるシナジーが期待できることが挙げられる。なお、水戸アカデミーでは2018年より新たに高校生部門も開始、難関大学への合格者数拡大にも注力していく。集学舎では千葉県内で小中高校生を対象とした進学塾「QUARD」を4校展開しており、うち高校部門については東進衛星予備校の映像授業を行っている。中学部が主力で県立千葉高を始めとする難関公立高校で高い合格実績を有している。集学舎についても、水戸アカデミーとほぼ同様の目的で子会社化している。また、集学舎は千葉県内で高いブランド力を有しているものの、人材採用が厳しくなるなかで新たな校舎展開が難しくなっていたため、同社グループに入ることで人的リソースを強化し、校舎の増設を進めていくことも可能になると見ている。既に、中途採用に関しては2019年3月期よりグループ採用がスタートしている。
校舎数に関してはここ数年、M&Aを実施したことで増加傾向にあり、2019年3月末時点で161校となっている。2019年3月期の期中平均塾生数は前期末比4.1%増の37,988名となり、構成比率は小学部で51%、中学部で40%、高校部で9%となっている。ここ数年は、小学部の構成比率がKコース(公立進学コース)の好調もあって上昇傾向にある(2015年3月期は46%)。なお、教師に関しては正社員教師のほか同社の教務研修によって育成された非常勤講師も多数の授業を担当している。
教育関連事業では英語教育に対する取り組みにも注力している。2012年に「東大・医学部・バーバードに一番近い小学生たちの英語塾」をコンセプトに、年長から小4生(現在は小6生)を対象とした英語英才講座「早稲田アカデミーIBS(Integrated Bilingual School)」を開講し、世界に通用するグローバル人材を育成するプログラムとして注目度が高まっている。現在は中学生まで対象としたカリキュラム(国立ラボDual Express ENGLISH)のほか、2017年からは小中学生を対象とした「多読英語教室 早稲田アカデミー English ENGINE」を開校している。
その他にも現役教師の研修用教材となるeラーニング「教師力養成塾e-講座」を提供しているほか、インスクール・ビジネスとして学校や教育委員会から依頼を受け、受託授業なども手掛けている。これらは、進学塾で培った指導ノウハウと社内外の研修・講演等で培った研修ノウハウを組み合わせたものとなっており、今後も幅広く公教育支援への取り組みを推進していく方針となっている。
3. 同社の強み
同社の最大の強みは、首都圏において私立最難関高校と言われる開成高校や早慶付属高校に毎年、業界トップの合格者数を輩出できるシステムを確立している点にある。具体的には、これら志望校へ合格させるためのカリキュラム・教材が完成しており、合格に直結する指導法を教師に習得させるための教育研修システムが整備されている。また、塾生たちのやる気を引き出し学習意欲を高めるための「学習する空間づくり」や、互いに競い合い切磋琢磨する学習環境を提供していること、さらには「志望校への合格」という共通目標を全社一丸となって達成していくため、教師だけでなく事務職も含めたインセンティブの設定、人事評価制度を導入していることも高い合格実績を維持し続けている要因になっている。
同社の基本戦略である「合格実績戦略」という、顧客にとって明確でわかりやすい差別化を推進することでブランド力を向上させ、その結果として「難関校に行くなら早稲田アカデミー」という流れを高校受験では確立している。今後は中学受験や大学受験、また、公立の高校受験においても同様の戦略によって塾生数を伸ばしながら、収益を拡大していく方針となっている。
4. 主要株主と提携状況
同社の主要株主を見ると、2019年3月末現在の筆頭株主はナガセ<9733>で出資比率は18.93%、第2位に英進館(株)11.29%、第4位に明光ネットワークジャパン<4668>5.22%と同業他社が上位に入っている。
このうち、ナガセとは社会人研修事業の委託等の取引があるほか、ナガセの子会社で中学受験指導の草分け的存在である(株)四谷大塚と1997年に提携塾契約を締結している。提携内容は、小学部で使用する教材類を四谷大塚から購入し、カリキュラムも準拠して指導すること、並びに四谷大塚の実施する公認テスト会場として同社が代行的な業務を行うことができることなどが定められている。
第2位株主の英進館は、九州を地盤とする進学塾で、慶応義塾女子高やラ・サール高の入試対策用特別講座や夏期合宿、講師研修などの共同開催を行うなど事業面も協業関係にある。また、第4位株主の明光ネットワークジャパンとは、個別指導塾である「早稲田アカデミー個別指導館」で提携している。ここ数年、学習塾業界の再編統合の動きが活発化しているが、同社においてはシナジーが見込まれるM&A案件であれば検討し、中長期的には現状の経営体制の中での成長を目指していく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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