大日本塗料のニュース
大日本塗料、通期売上高・利益予想を上方修正 技術センターの活用等、主要施策を推進し中計達成を目指す
Part Ⅰ. 決算実績・業績予想
永野達彦氏:みなさま、こんにちは。管理本部長の永野でございます。本日はお忙しいなか、ご参加いただきまして誠にありがとうございます。2022年度第2四半期決算概要および業績予想について、ポイントを絞ってご説明したいと思います。よろしくお願いいたします。
1.2022年度 第2四半期決算実績 ①連結損益計算書
連結損益計算書です。増収微増益でした。売上高は348億5,500万円で、価格是正により前年比20億3,700万円の増収となりました。一方、売上総利益は前年比6,200万円増、営業利益は前年比2,700万円増の微増益にとどまりました。原材料価格の高騰により、売上原価率がアップしたことが要因です。
②設備投資・減価償却費・研究開発費
設備投資額が9億8,100万円増えています。このうちの約8億円は土地で、関係会社の技術開発強化や物流効率化を目的としたものです。
スライドに記載した営業所移転に伴う土地建物の取得は耐震対応のことで、大きな要因は先にご説明したとおりです。
③セグメント別売上高
セグメント別売上高の増減額について簡単にご説明します。売上高は、前年比20億3,700万円増で、このうち国内塗料が前年比16億3,600万円の増収です。これは価格是正によるものです。
海外塗料は前年比4,400万円の増収にとどまりました。海外は自動車プラスチック用の塗料が中心ですが、主要顧客の生産が伸びなかったことが要因です。照明機器は前年比3億400万円の増収で、価格是正と数量増によるものです。
④国内分野別・海外地域別売上高
売上高の状況について、国内塗料は一般と工業に分け、海外塗料は地域別に分けて表に示しています。
増減額についてご説明します。国内塗料について、一般用分野は前年比10億2,100万円の増収となりました。構造物塗料が牽引し、増収額全体のうち8割強を占めています。工業用分野は前年比4億6,700万円の増収で、金属焼付用塗料や粉体塗料の好調によるものです。
一方で海外塗料は、東南アジア、北中米ともに低調に推移しました。中国はロックダウンの影響が大きく、減収となりました。
⑤セグメント別営業利益
利益面について、増減額をご説明します。全体では、営業利益が前年比2,700万円増の微増ですが、内訳はセグメントごとに濃淡がありました。詳細は次のスライドでご説明します。
⑥連結営業利益(実績)の増減要因
一番左の棒グラフの17億5,000万円は2021年度中間実績です。一番右は2022年度中間実績で、17億7,000万円と前期比2,000万円の微増です。内訳は、国内塗料が前期比2億4,000万円の減益、海外塗料が前期比7,000万円の減益、照明機器が前期比3億円の増益となりました。
国内塗料について、減益の要因としては販売数量が伸び悩んだことが挙げられ、主に工業用分野で苦戦いたしました。
原材料価格の上昇は、18億3,000万円の減益要因となりました。内訳は、原油ナフサ系が約30パーセント、亜鉛が10パーセント、残りの60パーセントは、需給の逼迫等もありましたが、酸化チタン、エポキシ、油脂、各種添加剤といったさまざまな原材料費がアップしました。
それに対して、「製品構成・子会社等」はプラス16億4,000万円とありますが、このうち約15億7,000万円が価格是正によるものです。原材料価格による18億3,000万円の減益に対して8割強の打ち返しができました。残りは関係会社やスペシャリティにおける増益分や運賃のアップなども入っています。
海外塗料は前期比7,000万円の減益で伸び悩んでいます。照明機器は前期比3億円の増収です。LED関連の価格是正と販売数量の拡大の影響が半分ずつくらい寄与しました。
⑦連結貸借対照表
バランスシートについては、3月から変更があった部分についてご説明します。流動資産の受取手形、売掛金及び契約資産が3月末比で18億8,400万円増加しました。これは、4月から一部商流の変更があったためです。資金調達の一環として、バランスシートの外で債権の流動化として出ていたものが売上債権に戻ってきました。
棚卸資産も3月末比で11億5,000万円増加しました。このうちの約9割が原材料価格の上昇によるもので、残り1割は前倒し調達によるものです。
有形固定資産が3月末比で12億6,300万円増えているのは、設備投資で言及した土地の分です。それに伴い、29億円借入金が増えています。
売上債権が増えているのは決して回収条件が悪化したわけではありません。実態は変わっておらず、借入金残高71億5,000万円は月商の1.2ヶ月程度であるため心配はしていません。
⑧連結キャッシュ・フロー計算書
連結キャッシュ・フロー計算書です。バランスシートのご説明がこちらのスライドにも示されています。バランスシート上の収支ズレの拡大を財務キャッシュ・フローでカバーしています。
2.事業環境認識 ①2022年度における各セグメントの見通し
2022年度における各セグメントの見通しについて、キーワードだけ簡単にご説明します。国内塗料は、製品価格の是正が順調に進展しており、下半期も期待しています。課題は建材用塗料となります。
海外塗料は、自動車の生産減少からは回復傾向ですが、地域によりばらつきがあります。取引先の中で跛行性の問題が絡んでおり、当社にとっては良い風が吹いていない状況です。
照明機器は、価格是正の浸透で利益率が非常に良くなっています。ホテルや百貨店で需要が回復基調になり、追い風が吹いています。
工業用分野が一般用分野に比べて伸びていないため、全体として製品価格の是正に引き続き取り組みます。足元、リスクファクターはあるため、油断をせずに対応していきます。
②主要な原材料価格の見通し
折れ線グラフで国産ナフサと亜鉛建値の推移を示しました。足元では、ナフサ、亜鉛ともに下落トレンドで、特にナフサはタイムラグの問題もあります。
例えば、モノマーは3ヶ月後に影響を受け、樹脂においては影響が出るのはもっと先です。あるいは、為替に絡む価格上昇圧力がいまだに根強く、油断できません。
ご存じのとおり、足元では鋼材の高騰によって石油缶やドラムの価格が上がってきており、そのようなリスクファクターが依然として残っている状況です。
3.2022年度 業績予想 ①連結損益計算書(予想)
通期予想についてです。2022年度の修正予想として、売上高は前期比50億5,100万円増の720億円、営業利益は前期比6億1,600万円増の38億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比12億6,800万円増の33億円です。こちらは先般発表したとおり、西九条の旧本社跡地の売却益約7億4,000万円が入る見込みです。
②設備投資・減価償却費・研究開発費(予想)
設備投資について、下期は特に大きな投資を予定していません。
③セグメント別売上高(予想)
セグメント別売上高の予想です。前期比の増減額については、売上高全体で50億5,100万円増、国内塗料は36億7,700万円増、海外塗料は4億1,000万円増、照明機器は8億4,300万円増で、国内塗料と照明機器においては価格是正効果としてそれなりの予想ができています。
④国内分野別・海外地域別売上高(予想)
国内分野別・海外地域別売上高の予想です。国内塗料の一般分野は前期比20億8,800万円増で、その7割強が構造物というイメージです。工業分野は前期比12億9,000万円増で、その8割弱が金属焼付用塗料と予想しています。海外塗料は前期比4億1,000万円増で、通期でまだ本格的な回復は見込んでいません。
⑤セグメント別営業利益(予想)
営業利益は、全体で前期比6億1,600万円の増加を見込んでいます。詳細は次のスライドでご説明します。
⑥連結営業利益(予想)の増減要因
営業利益の前期実績は31億8,000万円でしたが、2022年度は38億円の予想で6億2,000万円の増益予想です。内訳としては、国内塗料は前期比1億9,000万円減、海外塗料は前期比1億6,000万円増、照明機器は前期比6億2,000万円増となっています。
国内塗料は、2022年5月に比べて2億5,000万円程度改善しています。販売数量は5月時点でプラス7,000万円と想定していましたが、やはり工業用がなかなか上手くいかず、一般用で跳ね返す予定としつつも苦しい予想でマイナス1億円としています。
原材料価格の上昇としてはマイナス39億円を見込んでおり、5月の予想に比べると7億7,000万円ほど影響が拡大する見通しです。39億円のマイナスのうち約21億円が下期分で、内訳としては原油ナフサ系が約20パーセント、亜鉛がほぼ横這いで約10パーセント、酸化チタンが14パーセント、その他エポキシや容器・鋼材の高騰に伴うものです。従前は原油ナフサや亜鉛の影響が大きかったのですが、上期に続き、下期もそれ以外の要因がさらに増しています。
製品構成・子会社等はプラス38億3,000万円で、そのうち単価アップが約36億円となっており、90パーセント以上を打ち返せる見込みです。5月のプラス要因・マイナス要因の関係としては、単価アップが85パーセント程度で、国内の減益幅が予想比で縮まりました。
海外塗料は、2022年度は前期比1億6,000万円増と通期増益の見込みです。中間期が減益にも関わらず通期で増益となる理由としては、2021年度下期は半導体の影響で赤字だったためです。
照明機器は前期比6億2,000万円増で、5月時点より約3億円増えています。LEDの7億3,000万円が大きな要因で、そのうち価格是正効果が3億5,000万円程度です。数量は3億8,000万円程度で、質・量ともに改善しています。
中間期の営業利益は予想比5億2,300万円増でしたが、先般修正した通期予想では期初予想比5億円増で、下期の増加分が少ないという見方もできます。こちらについては、特に国内塗料の販売数量でやや苦戦していることや、為替も含めていろいろなリスクファクターが残っているため、このように修正しています。
4.株主還元
株主還元についてです。1株当たりの配当金は25円を維持する予定です。
PartⅡ.中期経営計画の進捗状況
里隆幸氏:ここからは中期経営計画の進捗状況を中心に、経営戦略全般についてご説明します。
1.中期経営計画の概要
来年度が最終年度となる中期経営計画について、そのコンセプトと5つの基本施策をスライドに示しています。
お伝えしたように、今期の業績予想として売上高を720億円、営業利益を38億円に上方修正しました。しかし、こちらを達成しても来期の最終年度目標に向けては営業利益でさらに28億円の上積みが必要で、特に18億円が必要となる国内塗料がもっともハードルの高いセグメントとなっています。
前回の説明会では、今期に取り組んでいる価格是正を完遂し、来期にその価格を維持できれば10億円の上積みが可能とご説明しましたが、今期の価格是正は想定以上に順調に推移しており、12億円から13億円の上積みが期待できます。残りの5億円から6億円については、基本施策の取り組みを通じた数量ベースの販売増加や、売上原価率の低減によって創出していきたいと考えています。
2.主要施策の進捗状況 ①提供価値の強化(技術センターの活用)
他のセグメントの状況を含め、施策の進捗状況についてご説明します。提供価値の強化として、技術センターを活用し収益アップに向けた取り組みを行っています。顧客を施設へ招き、顧客とともに課題に対する研究・開発を行う場として活用している技術センターは、前期から収益貢献を追求するフェーズへ移行しました。
2023年度に、スライドに記載の両センターあわせて5億円の総利益貢献を目標としており、2022年度は通期計画2億7,000万円に対して上期は1億6,000万円程度の総利益貢献とここまでは順調な運営ができていると考えております。
現在実績として上がっているテーマとしては、コーティング技術センターでは、ラボでの試験塗装を通じて各顧客にカスタマイズした塗装仕様の開発を中心に進めており、特に粉体塗料の採用事例が多くあがっています。
足元では、CO2削減が期待できるコーティング技法のニーズが高まっていることから、インクジェット加飾システムやインモールドコーティング技法の活用を含めて、提案力を強化していきます。防食技術センターでは、橋梁や鉄塔、その他構造物の補修といったメンテナンス関連のニーズが高く、導入した大型の構造体塗装スペースや環境試験室が活用されています。
両センターともに、より広範なお客さまのニーズに応えられるよう、必要に応じて追加投資も行い、利用循環性を高めていきたいと考えています。技術センターについては、機関投資家やアナリストのみなさまのご要望がありましたら、見学会の実施も検討したいと思っています。
②価格競争力の強化
「提供価値の強化」とならんで、重要施策と位置づける「価格競争力の強化」についてご説明します。前期と今期においては原材料価格上昇の影響を強く受け、残念ながら総額としては原材料コストの低減は実現していません。当社が取り組んでいる内容としては、基本である塗料配合の見直しのほか、原料のまとめ購買により輸送コストの低減やボリュームディスカウントを生むことで、原材料コストの低減を獲得しています。
外部環境が大きく変化する中で、社内体制のテコ入れやテーマの入れ替えを実施しており、引き続き原材料高の影響の緩和に向けて努めていきます。製造コストの圧縮策としては、4月に実施した国内の塗料子会社2社の合併をもって、生産集約はいったん完了しました。
今後は各拠点における製造ラインのレイアウト変更や設備更新を中心に生産効率化に努めていくとともに、燃料の転換や産業廃棄物の削減といった環境負荷低減に向けた取り組みにも注力していきます。
③販売体制の強化
最大手グループと比較して、改善余地があると認識する当社の営業体制や、販売ネットワークに対する取り組みとなります。特に、2025年の「大阪・関西万博」をはじめとする今後の大型物件獲得に向けては、この10月より社内の営業組織体制の一部にテコ入れして、全社横断的な営業活動を強化、推進していきます。
これは、販売ネットワークの拡充強化を目的としてこれまで実施してきた、代理店への訪問活動によって得られた声を反映したものでもあります。当社にとって、国内塗料マーケットにおける販売代理店が果たす役割は、非常に大きいと認識しています。
今後も引き続き、当社と販売代理店とがWin-Winの関係を築いていけるよう、リレーション強化や販促方法の改善を検討していきます。
④海外事業の強化
海外事業においては、中国事業におけるコスト増加や、東南アジア市場および北中米市場における新型コロナウイルス感染症による影響からの回復の遅れにより、現時点では来期の中期経営計画目標の達成が厳しい状況と見込んでいます。
こうした中、現在の最重要課題は中国事業の再建であり、早期の黒字回復に向け、現地だけでなく本社サイドも深く経営に関与していきます。中国では環境規制が強まっていることから、現地生産が可能となった粉体塗料や水系塗料等の環境対応製品を中心に拡販に努めていきます。
東南アジア市場や北中米市場においては、どちらも主要な既存顧客の生産稼働率に大きく業績が左右されるという課題があります。東南アジアにおいては、自動車部品向けの新規獲得のほかに、プラント設備のメンテナンス需要の開拓に取り組んでおり、北中米市場においては、日系以外のユーザーとの取引増加により、事業基盤の拡大を図っていきます。
⑤照明機器事業の強化
照明機器事業は、主要な取引先が百貨店などの商業施設やホテルなどの宿泊施設向けであることから、当社グループの中では新型コロナウイルス感染症による影響を最も大きく受けた事業でした。
しかし、今期に実施した価格是正の浸透と行動制限の緩和に伴う商業施設や宿泊施設の市況回復を受け、ここにきて事業は急回復しており、来期においても中期経営計画目標を上回ることが期待されます。
施策としても、これまで取り組んできたオンラインセミナーや製品説明会、展示会への出展等のマーケティング施策が奏功し、新規顧客の開拓や新分野への展開が進むなど、成果が着実に表れてきています。今後さらなる成長に向けて、生産体制や技術力の強化、物流の見直し等を検討していきます。
3.ESG経営の推進
当社の成長戦略を具現化し、中長期的な企業価値向上を実現する手段として、ESG経営の推進に取り組んでいきます。昨年秋に設置したサステナビリティ委員会の中で、当社におけるESGに関する方針や、定量的なものを含めた取り組み目標について協議してきました。
スライドにはその一部として、CO2排出量に関する目標を示しています。創立100周年の2029年度までに、2021年度比30パーセントの排出量削減を目標としました。生産効率化を通じた削減のほか、再生可能エネルギーへの切り替えなどの総合的な方策により、実現に向けて努めていきます。
また、事業を通じた環境への貢献を高めるために、当社独自の環境対応製品の基準を定義しました。販売数量や開発テーマにKPIを設定することで、環境対応製品の比率向上に努めていきます。
環境対応製品基準のポイントとしては、水性塗料や粉体塗料など塗料の組成に有機溶剤を含まないものに限らず、当社が強みを持つ被塗物を長期的に保護する「重防食塗料」、スライドでは高耐久・高耐候塗料と記載している塗料も対象とした点です。
これは、当社の持つ耐久性が極めて高い塗料を塗装することで、例えば橋梁や鉄塔などの塗料が塗られるお客さまの製品の寿命を延ばす、あるいは寿命の中での塗替え回数を減らすことで、製品ライフサイクルを通じた環境負荷の低減が可能になるという考えです。
このように、当社の強みと環境や社会への貢献が重なる取り組みに注力することで、当社が目指す持続的な成長企業に向け、前進できるものと考えています。
4.トピックス 近年におけるDNTグループの物件採用事例
近年におけるDNTグループの物件採用事例をご紹介します。塗料では、高層ビルのカーテンウォールとよばれる帳壁部分に、当社のふっ素粉体塗料が数多く採用されています。スライドには載せていませんが、先月開催された「いちご一会とちぎ国体」の会場となった栃木県総合運動公園の競技施設には建築・構造物用塗料が採用されるなど、継続的に大型物件を獲得できている状況です。
照明機器では得意とする「魅せる照明」の例として、大阪電気通信大学寝屋川キャンパスと心斎橋PARCOの事例をご紹介します。大阪電気通信大学の例では、学科の壁を超えた学びの交流を生む吹き抜けの空間を、アッパーライトでボリューム感を出しています。そしてシャープなライン照明で照らしあげることで建築が持つデザイン美を印象的に浮かび上がらせる工夫を凝らしています。
なお、心斎橋PARCOについては、照明機器のほか、外装には当社の塗料が採用されており、今後もグループ間で連携した物件採用に力を入れていきたいと考えています。
説明会資料の29ページ以降は当社グループの事業概要などを掲載しておりますので、ご参考としていただければ幸いでございます。以上で、ご説明を終わります。長時間お付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。
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