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シンバイオ製薬 Research Memo(3):「トレアキシン®」は悪性リンパ腫の標準療法として浸透

配信元:フィスコ
投稿:2019/03/19 15:13
シンバイオ製薬<4582>の会社概要

2. 開発パイプラインの動向
(1) 「トレアキシン®」(一般名:ベンダムスチン)
「トレアキシン®」は悪性リンパ腫向けの抗がん剤となる。悪性リンパ腫とは白血球の一種であるリンパ球ががん化(腫瘍化)し、リンパ節や臓器にかたまり(腫瘤)ができる病気で、全身に分布するリンパ節やリンパ節以外の臓器(胃、腸、甲状腺、脊髄、肺、肝臓、皮膚、眼など)からも発生し、血液がんの中でも最も多い疾患で国内における年間発生数は10万人に約10人と言われている。悪性リンパ腫は主にホジキンリンパ腫(HL)と非ホジキンリンパ腫(NHL)に分かれており、日本では約90%がNHLで占められており、症状の進行速度によって低悪性度、中悪性度、高悪性度に分類され、様々な病型がある。

これらの中で現在、販売承認を取得しているのは再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫(NHL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、未治療(初回治療)の低悪性度NHL/MCLとなっている。特に2016年に未治療の低悪性度NHL/MCLの販売承認を取得したことにより同分野での使用が広がりを見せ始め、2018年7月に日本血液学会の診療ガイドラインに「トレアキシン®」と「リツキサン®」の併用療法(BR療法)が標準治療法として推奨されたことで、名実ともに標準療法としてその地位を確立しつつある。未治療の低悪性度NHL分野では従来、標準療法としてR-CHOP療法※があったが、2017年第4四半期(10月−12月)における市場浸透率で見ると、BR療法が逆転しており、2018年第3四半期(7月−9月)時点では全体の56%をBR療法で占めるまでになっている。同社ではR-CHOP療法に対してBR療法の薬効が大きく上回っていることから、未治療領域での市場浸透率は少なくとも75%まで引き上げていくことが可能と見ている。

※R-CHOP療法:リツキサン®とほか4剤を組み合わせた多剤併用療法


また、現在の開発パイプラインとしては5本が進んでいる。このうち、既存の凍結乾燥注射剤タイプの「トレアキシン®」の適応拡大として、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を適応症とした第3相臨床試験については、予定症例数60例のうち35例(2019年2月6日時点)まで被験者登録が終わっている。順調に進めば2019年秋頃にすべての症例登録が完了し、2020年の製造販売申請、2021年後半の販売開始を目指している。DLBCLは悪性リンパ腫の中でも発生数が最も多いため、承認されれば「トレアキシン®」の販売増に大きく寄与することになる。

「トレアキシン®」の液剤タイプであるRTDに関しては現在、販売承認の申請準備を進めており、2019年第3四半期までに承認申請を行い、2020年第3四半期の承認取得及び2021年第1四半期の発売を予定している。また、RIについては2018年11月に安全性の確認を主目的とした臨床試験を開始しており(予定症例数36例)、安全性の確認が取れれば販売承認申請が可能で、2022年の承認取得及び発売を目指している。適応症については既に承認済みのすべての適応症のほか、再発・難治性のDLBCLも対象に含まれる。なお、RTD/RI製剤は米国市場で既にテバ(米)が「BENDEKA®」として販売しており、2017年時点でベンダムスチン市場の97%のシェアを獲得するなど、既にほとんどが液剤タイプに切り替わっている。溶解作業が不要なほか、RI製剤については投与時間も短く患者負担も大幅に軽減されるためで、日本でも早期の販売承認を望む声は強い。

既存の凍結乾燥剤タイプについては、国内の独占販売期間が2020年で終了するため、後発医薬品が開発される可能性があるが、RTD/RI製剤が上市されれば機能面での差が大きいことから、事実上、独占販売期間を2031年まで伸ばすことが可能となる。なお、RTD/RI製剤が上市された場合の薬価は従来品と同水準となるが、仕入先がイーグル・ファーマシューティカルズ社に変わるため、利益率に関しては既存品よりも良化する可能性が高いと弊社では見ている。

そのほか「トレアキシン®」の経口剤(開発コード「SyB C-0501」)について、進行性固形がんを適応症とした第1相臨床試験を2018年1月より開始したほか、全身性エリテマトーデス(SLE)※を適応症とした前臨床試験を2018年7月より開始している。

※自分の免疫システムが誤って自分の正常な細胞を攻撃してしまう自己免疫性疾患の1つで、全身の様々な臓器に炎症や組織障害が生じる病気で難病に指定されている。日本の患者数は約6~10万人。


(2) リゴセルチブ(注射剤/経口剤)
リゴセルチブはユニークなマルチキナーゼ阻害作用(がん細胞の増殖、浸潤及び転移に関与する複数のキナーゼを阻害することによりがん細胞を死に至らしめる作用)を有する抗がん剤で、高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)※を適応症として開発が進められている。

※MDSとは、骨髄にある造血幹細胞の異常により、正常な血液細胞を造ることができなくなる病気で、正常な血液細胞が減少し、貧血、感染症、出血などの症状が出るほか、急性骨髄性白血病に移行することでも知られている。骨髄の状況を検査し、白血病移行期間の予測判定を行い、期間の長さ等によって4段階に分類している。高リスク分類は25%白血病移行期間で0.2年、50%生存期間中央値で0.4年となっている。国内の患者数は約1.1万人。


MDSの治療法は支持療法※、免疫抑制療法、化学療法、造血幹細胞移植などがあり、唯一の根治療法は造血幹細胞移植となっており、化学療法では「アザシチジン」が第一選択薬として使用されている。国内では日本新薬が「ビダーザ®」の商品名で販売しており、薬価ベースで年間150~160億円の売上規模となっている。

※輸血や薬剤により血球の不足を補う治療法。


現在の開発状況は、注射剤で再発・難治性の高リスクMDSを適応症とした国際共同第3相試験がオンコノバで進められており(目標症例数360例)、日本では同社が目標症例数50例に対して40例(2019年2月6日時点)まで被験者登録が終わっており、2019年中に終了する予定となっている。

また、経口剤でも単剤で再発・難治性の高リスクMDSを適応症とした第1相臨床試験を進めているが、今後は「アザシチジン」との併用による開発に切り替えていく予定となっている。2018年の米国血液学会にてオンコノバが「アザシチジン」との併用療法による第2相臨床試験の結果を発表し、未治療の高リスクMDSに対して良好な忍容性と優れた全奏効率及び完全寛解※を示す結果が得られたためだ。完全寛解では29例中10例(34%)に達しているが、「アザシチジン」単独療法では15%の水準であり、2倍以上の効果を示したことになる。

※すべての病変(がん)が消失し、新たながんが出現していない状態が続いていることを指す。


この結果を受けて、オンコノバは2018年12月にSPA※をFDAに申請している。2019年上半期中にFDAと協議を終え、未治療の高リスクMDSを対象に「アザシチジン」との併用による国際共同第3相臨床試験を行う計画となっている。主要評価項目は、全奏効率(全症例数に対する完全寛解及び部分寛解の比率)となる見込みだ。第2相臨床試験と同程度かそれに近い水準であれば承認の可能性は極めて高いと思われる。このため同社もFDAがSPAを承認後、国際共同臨床試験に参加する計画となっている。早ければ2019年下半期にも開始される可能性があり、開発に成功すれば「ビダーザ®」と同規模の売上水準が期待できることになる。

※SPA(特別プロトコル査定):第2相臨床試験後に、第3相臨床試験について対象疾患、目的、試験デザイン、エンドポイント(主要及び副次評価項目)、解析方法などに関してFDAと事前に合意し、試験終了後は合意内容を変更せずにそのまま承認審査での承認要件として認める制度。同制度を利用することで、試験結果の評価及び審査についてエンドポイントが達成されていれば、承認の可能性が高まり審査のプロセスと時間が短縮される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ
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