H.U.グループホールディングスのニュース
【QAあり】H.U.グループHD、健康経営銘柄に加えGPIF採用の日本株ESG指数構成銘柄すべてに選定 国内外の評価高まる
H.U.グループの理念体系
竹内成和氏(以下、竹内):H.U.グループホールディングス株式会社、取締役 代表執行役会長 兼 社長 兼 グループCEOの竹内です。私からは、当社グループのサステナビリティマネジメントに関する全般的なことに関しまして、最近のアップデート事項を中心にお話しします。
こちらは当社グループの理念体系です。当社グループでは、「ヘルスケアにおける新しい価値の創造を通じて、人々の健康と医療の未来に貢献する」というMissionのもと、2030年のありたい姿をVisionとして掲げ、臨床検査や臨床検査薬を中心とした事業活動に取り組んでいます。
事業活動を通じて健康で豊かな社会の実現に貢献していくことは、当社グループの大きな責務であり、サステナビリティの根幹をなすものです。
つまり、グループの理念体系に基づいた企業活動を実践することが、サステナビリティの実現につながると考えており、その実現を目指し、株主や従業員などの幅広いステークホルダーとの良好な関係の構築に注力しています。
H.U.グループ サステナビリティ・ロードマップ
当社グループのサステナビリティの実現に向けた道のりが、こちらのスライドにお示しした「H.U.グループ サステナビリティ・ロードマップ」であり、昨年5月の決算発表で公表しました。2023年度からの2ヶ年の目標で、全部で11項目となります。
CO2排出量削減と廃プラスチックのリサイクル率向上は、継続して取り組むべき重要課題との認識から、前ロードマップに引き続き、現行のロードマップにも織り込みました。また、人的資本経営の重要性に鑑み、人的資本関連の目標を5つ設定しました。
さらに、これまでの投資家のみなさまからのご意見も反映し、一層のコーポレートガバナンスの強化を目指して、ガバナンス関連の目標を初めて設けました。なお、ガバナンスの目標への対応はすでに終了しており、後ほどお話しさせていただきます。
現サステナビリティ・ロードマップの考え方
現行のサステナビリティ・ロードマップの考え方についてご説明します。策定にあたっては、投資家のみなさまからのご意見、世界の潮流、規制環境など、外部の視点と当社グループの18のマテリアリティを考慮しました。
また、中期経営計画の期間との整合性を取るため、現行のロードマップは従来の3ヶ年と異なり、2023年度からの2ヶ年としています。
なお、現行のロードマップ終了後の2025年度からは、経営計画とロードマップを同じ期間で策定していく予定です。
H.U.グループのサステナビリティ推進体制
こちらが、サステナビリティの取り組みを推進するグループ体制です。当社では、代表執行役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を最高機関とする体制のもと、5つの関連部会を中心にサステナビリティ活動に取り組んでいます。
サステナビリティ活動の計画、実行、進捗状況などは、関連部会からサステナビリティ委員会に定期的に報告されています。その中でも重要な事項については、サステナビリティ委員会から取締役会に報告されており、取締役会ではサステナビリティ関連の多くのアジェンダが議論されています。
今年度は、マテリアリティのアップデートやロードマップ策定などの議論に加え、サステナビリティ関連のさらなるリテラシー強化を目指し、外部の有識者を招いて「環境」、「人的資本」、「サステナビリティ・ガバナンス」をテーマとした取締役対象の勉強会・意見交換会を3度にわたって実施しました。
当社の取締役会では、今後も幅広くサステナビリティの議論を行っていく予定です。
H.U.グループのコーポレートガバナンス体制
サステナビリティ推進体制を支えるコーポレートガバナンス体制についてご説明します。
当社は、監督と執行が明確に分離している指名委員会等設置会社であるものの、さらなるコーポレートガバナンスの強化を目指し、昨年6月に粟井佐知子氏を社外取締役に迎えることで9名中2名が女性取締役となり、ボードダイバーシティの一層の促進を図りました。
また、同じく昨年6月に社外取締役に就任した吉田仁氏が、指名委員会の委員に加わり、社内取締役による指名委員会委員の兼任が解消されました。これにより、監査委員会、指名委員会、報酬委員会はすべて社外取締役で構成されることとなり、委員会の独立性が向上いたしました。
役員報酬制度の改定①(2023年7月改定)
ロードマップの目標にも対応するこれら2つのガバナンス改革に加え、より一層のコーポレートガバナンスの強化を目指して行ったのが、役員報酬制度の改定です。
本改定は、〝Healthcare for You〟を表す社名に込めた「一人ひとりと向き合い、すべての人に最適なヘルスケアを届けたい」という想いを実現するとともに、グローバル経営の推進等を目的としたものでもあります。
本改定にあたり、スライドにお示しする「執行役報酬の基本原則」を新たに制定しました。投資家をはじめとした外部のみなさまからのご意見や、役員報酬に関する近時の潮流を反映した当該原則には、ペイ・フォー・パフォーマンスやグローバル志向、非財務評価の適切な反映などが謳われており、昨年7月からこの原則に従った報酬プログラムにより運用されています。
役員報酬制度の改定②
こちらは、役員報酬プログラムの概要をチャートで示したものです。
従来の報酬体系からの主な変更点は2つあります。1つ目は、固定的な金銭による基本報酬の割合を減少させ、変動および株式報酬の比率を高めた点です。2つ目は、業績連動型株式ユニットのKPIに連動した株式報酬は、これまでは売上高や営業利益などの業績が評価基準でしたが、株主目線をより一層取り入れるべく、「相対TSR」および「ESG指標」を評価基準とした点です。
なお、ESG指標には、当社グループの事業特性、サステナビリティ関連の各取り組みの優先順位、全体的なバランスなどを考慮し、「MSCI ESG格付け」、「CDP 気候変動」、「ホワイト500の認定」の3つを採用しました。
当社グループは、今後も株主・投資家のみなさまからの貴重なご意見を踏まえながら、さらなるコーポレートガバナンスの強化に向けて取り組みを進めていきます。私からのご説明は以上です。
環境・エネルギー領域のサステナビリティ・ロードマップの進捗
木村博昭氏(以下、木村):私からは、環境に対する取り組みについて、最近のアップデート事項を中心にご説明します。
まずは、環境・エネルギー領域のサステナビリティ・ロードマップと進捗状況です。CO2削減のScope1・2については、主要拠点における省エネルギー活動の推進と全国事業拠点の統廃合により、排出量は前年より減少する見込みですが、目標達成に向けては取り組みをより一層加速させる必要があると考えています。
Scope3については、現在集計中ですが、こちらもさらなる努力が必要です。
なお、廃プラスチックリサイクル率は、今年度の目標を達成できる見込みです。
Scope1・2に対する今後の具体的な取り組み
Scope1・2に対する今後の具体的な取り組みについてご説明します。スライドに記載の3つを軸として、CO2削減活動をさらに強化します。
まず、省エネルギー活動については、H.U. Bioness Complexのエリア別の空調コントロール制御やボイラー配管の断熱など、エネルギー削減に有効な対策を一層強化します。また、全国の事業拠点の統廃合を継続して推進します。
次に、再生可能エネルギー比率の向上では、昨年5月に再エネを利用した最新のビルに本社を移転しましたが、今後も全国の事業所においてグリーン電力購入を積極的に進めます。これらの施策で不十分な場合、非化石証書購入によるカーボンオフセットも積極的に活用していきます。
Scope3に対する今後の具体的な取り組み
続いて、Scope3に対する今後の具体的な取り組みについてご説明します。Scope3においては、主要取引先においてCO2削減活動に取り組んでいることを確認していますが、今後は、一次および二次取引先への働きかけを一層強化します。
具体的には、定型フォーマットによる情報収集、お取引先との密な情報交換による連携強化、カテゴリーごとの削減活動の推進を図っていきます。
「環境方針」の改訂および「生物多様性に対する考え方」の策定
こちらは、「環境方針」の改訂と「生物多様性に対する考え方」の策定についてのご説明です。
昨今では、気候変動に加え、生物多様性の保全に向けて対応していくことも、企業に強く求められています。このような状況の中、当社グループがこの重要課題の解決に取り組んでいくことをコミットすべく、「環境方針」の改訂を行い、生物多様性の保全に取り組んでいくことを方針に明記しました。
同時に「生物多様性に対する考え方」も策定し、グループの目指す方向性を具体的にお示ししました。
生物多様性関係性マップ(LTS)
この課題解決に向けて当社グループとして具体的に何ができるかを検討するために、まずはグループの事業と生物多様性の関わりについて現状を把握する必要があることから、「生物多様性関係性マップ」を作成しました。
LTS版とIVD版をそれぞれ作成しており、こちらのスライドにはLTS版を記載しています。LTSのバリューチェーンを軸に、生態系サービスからどのような恩恵を受けて事業活動を営んでいるか、一方で事業活動がどのように自然の状態を変化させているのかを、マップのかたちでまとめました。
生物多様性関係性マップ(IVD)
こちらがIVD版の生物多様性関係性マップです。これら2つのマップから、当社グループの主要事業が「依存」、または「影響」を与える主要項目として、水資源や気候変動が共通項目としてクローズアップされました。
気候変動に加え、水資源の取り組みを行うことが生物多様性の保全につながると考えますが、今後、さらなる分析をした上で、取り組みを開始していく予定です。環境に対する取り組みについてのご説明は以上です。
お取引先とのサステナビリティ意見交換会(目標と実績)
多田功氏(以下、多田):サプライチェーンマネジメント部会より、サステナブル調達に向けた取り組みについてご説明します。
サプライチェーンマネジメント部会では、2023年度として「海外事業会社2社のお取引先へのSAQ(国連グローバルコンパクト セルフ・アセスメント質問票)の実施」と、「意見交換会の実施」を主な活動として推進してまいりました。本日は意見交換会にフォーカスしてご説明します。
スライドには意見交換会の目標と実績を記載しました。2023年度は、お取引先11社と意見交換会を実施し、スライド中段右側に記載の「3ヶ年で30社」というKPIに向かって順調に進んでいます。
今年度は「人権」と「環境」を軸として、SAQのスコア別に意見交換会を実施するお取引先を任意に選定しました。スコア上位のお取引先においては、先進的な取り組みを見聞きさせていただくことで、当社グループとしてノウハウや知識を蓄積し、また、スコアが低いお取引先の活動に助言することで、サプライチェーン全体のレベルアップを図ってきました。
実際に、SAQの内容について勘違いされている部分や、理解されていない点がありましたが、意見交換会の中でそれらについての気づき・理解が深まり、双方にとって非常に有意義であったと感じています。
今年度の活動をベースに、時代の潮流からGHG排出量削減のモニタリングによるScope3対応の推進と、人権デューデリジェンスを見据えて、来年度の活動計画を立てていきたいと思います。
お取引先とのサステナビリティ意見交換会(課題と今後の取り組み)
2023年度は「人的資本」、「人権」、「環境」のテーマで意見交換を行いましたが、健康経営やハラスメントに代表される人権侵害への対応と、環境面におけるGHG排出量削減活動については、どのお取引先も共通して取り組まれていることが確認できました。
一方で、人的資本における人材開発やダイバーシティへの対応は、企業規模により対応に濃淡がある印象でした。この点は、今後の取り組み支援も視野に入れて意見交換を行っていきます。
また、昨年度に実施した10社のお取引先を含め、二次お取引先以降のサプライヤーへの働きかけは、共通した継続課題であると強く感じました。
スライド右側に、来年度以降の主な取り組みを3点挙げています。1つ目は、当社グループにおける人材育成やハラスメントに対する活動の仕組み、体制を紹介し、取り組みの参考にさせていただこうと考えています。
2つ目は、GHG排出量削減についてです。調査・予実管理のために、定型フォーマットを提供するとともに、関連する情報・資料を提供し、各社と情報共有スキームを確立していきたいと考えています。調達資材については、特にロジスティクスの改善を図り、Scope3カテゴリ4の削減を推進していきたいと考えています。
3つ目は、廃棄物の削減についてです。SRLのラボや富士レビオの工場で消費される使い捨て資材について、サプライヤーとの循環型サプライチェーンの構築を図り、環境負荷軽減により一層貢献していきたいと考えています。
サプライチェーンマネジメント部会からのご説明は以上です。
H.U.グループにおける人的資本経営 基本スタンス
山本幸史氏(以下、山本):私からは、当社グループの人的資本経営についてご説明します。
まずは、当社グループにおける人的資本経営の基本スタンスについてです。当社グループでは、スライド最下部に記載している「会社の力とは、個人の力の総和である」を人事理念としています。
この理念のもと、従業員一人ひとりが当社の掲げる価値観・行動様式を日々体現し、成長を実感しながら、Mission・Visionを叶える関係を整えることを、人的資本経営の基本として掲げています。
昨今では環境変化が常態化し、変化のスピードが加速しています。その中で、いかに社会環境が変わろうとも、当社グループが社会やお客さまに価値を提供し続けるためには、多様な人材一人ひとりが活き活きと充実した日々を過ごせる環境を整えていくことが重要だと考えています。
人的資本にかかるマネジメント体制
こちらが、人的資本にかかるマネジメント体制のスライドになります。これまでは「人権・人材部会」が、人権、ダイバーシティ、労働安全衛生、人材育成の4つのサステナビリティ関連方針に紐づくさまざまな目標設定や、目標達成に向けた活動を推進してきました。
その後、2022年度に「人権・人材部会」を「人的資本部会」に移行してからは、経営戦略、事業戦略とサステナビリティ戦略の一体化を目指し、人的資本部会とホールディングスの人事本部が一体となって人的資本関連テーマの議論を行うとともに、戦略立案・実行・進捗管理も行っています。
当社グループでは、代表執行役社長が人事担当役員となっており、ともにディスカッションを重ねています。人事・人材戦略を展開する際には「長期的に社員と企業が成長し、価値を提供し続けられることに寄与する施策であるか」という観点から、経営陣もコミットしたかたちで推進しています。
これまでの人材戦略の歩み
次に、近年における、当社グループの人材戦略の歩みについてご説明します。人的資本経営の実践は人事戦略と密接に関係しており、いかに計画的かつ継続して進めていけるかが重要だと考えています。
当社は2017年以降、人事制度に関わるさまざまな施策を展開してきました。2017年の「価値観・行動様式」の定義や人事制度体系の統一に始まり、2019年には退職金・年金制度を改定しました。2020年には、現在取り組んでいる中期経営計画を策定する一方で、福利厚生制度や働き方改革を中心とした人事制度の改定も行っております。
2021年は、中期経営計画の推進に向けて、2020年に設立した営業子会社であるH.U.フロンティアを含めた、当社グループの人事制度関連規定の統一などを行いました。そして2022年からは、今後10年を見据えて当社グループの人事制度の抜本的改革に着手し、2024年4月からの導入を予定しています。
新人事制度 コンセプト
そして、この4月からスタートする新人事制度のコンセプトが、こちらのスライドになります。
先ほどお伝えした「会社の力とは、個人の力の総和である」という人事理念のもと、当社グループは、社会のため、そして会社やチームのために、より高みを目指す「プロフェッショナルな集団」であり、かつ「個人の成長と事業の成長が好循環する場」であるということを、社員が実感できるグループを目指しています。
そのためには、さらなるマネジメント力の強化と、主体的に動ける「自立・自走・自責」を体現する人材を増やすことが必要だと考え、「自立・自走・自責」の浸透と社員の意識・行動変革を促すための仕組みの1つとして、新人事制度をスタートします。
この制度の運用・浸透によって社員の行動が変わることで、当社グループのVision に掲げる「人々の健康に寄り添い、信頼とイノベーションを通じて、ヘルスケアの発展に貢献するグループを目指す」、ひいては、Missionである「ヘルスケアにおける新しい価値の創造を通じて、人々の健康と医療の未来に貢献する」の実現に向けて取り組んでいきます。
新人事制度のねらい・目指す姿
新人事制度のねらい・目指す姿について、スライド左側に記載の4つの制度区分に沿ってご説明します。
まずは、①等級制度についてです。従来よりも等級段階を細分化して、従業員が成長・昇格する機会を増やすことで、成長実感を得る機会の増加につなげます。また、マネジメントを主体とする管理職だけでなく、専門性を有する社員を専門職として登用します。いわゆる「キャリアの複線化」を行うことで、社員の「得意」を活かせる選択肢を増やします。社員がモチベーションを高めて高品質なアウトプットにつなげることで、社員自身と会社の双方にとってメリットのある制度運用を目指していきたいと思っています。
②評価制度では、社員に期待する役割責任・成果・行動を見直し、成果とそこに至るプロセスを振り返り、自身の成長を実感できる機会を提供します。
③報酬制度では、職種別に市場水準をベンチマークして魅力的な報酬水準を確保するとともに、個人のパフォーマンスによる賞与の変動幅を大きくしてメリハリを強化しました。これにより、パフォーマンスの高い社員にはより高い報酬で報いることで公平性を担保し、社員の成長・チャレンジを促していきます。
④定年後のエルダー社員制度では、重要かつ難易度の高い役割を引き続き担う社員について、役割に応じた高い報酬で働き続けてもらえる仕組みを加えました。本人のやりがいを高めつつ、定年前の社員との公平性も確保します。
これらの取り組みにより、「頑張れば、頑張っただけ報われて成長を実感できる。自身の市場価値も上がる制度」とすることで、社員の「自立・自走・自責」を促進します。併せて、仕事を通じて自己実現できる「働くことが楽しい会社」を目指していきたいと思います。
そして、優秀な人材に選ばれる会社を目指し、継続的な企業成長・価値向上につなげていきます。
社員のキャリア形成のための支援策
当社で実施している社員のキャリア形成のための支援策について、スライド上部の青文字で示した「施策(代表例)」を左側から順にご紹介します。先に述べた人材育成方針「自立・自走・自責のキャリア形成」をもとに、成長・学習機会を提供しています。
「CAREERSHIP」は、いわゆるカフェテリア方式の教育プラットフォームです。基礎から専門分野まで、160以上の幅広い講座を自由に学べる環境を整えています。
公募型教育の「H.U.ビジネスカレッジ」では、1年かけてビジネスの基礎を学び、リーダーを育てています。DX教育としては「DX推進人材育成プログラム」を展開し、全社員のデジタルリテラシーの向上と高度専門人材の育成を進めています。
また、社内転職制度「アドキャリ」では、数多くのポジションを用意し、自身のキャリアを自身で築く機会を提供しています。こちらは、社内公募とFA制度を組み合わせた制度です。
これらの施策を通じ、キャリア開発や主体的なキャリア形成にチャレンジできる環境を整えています。
2024年度末までの目標として、従業員1人あたりの年間教育時間を30時間以上にすることを掲げています。今後も従業員一人ひとりの主体的なキャリア実現、エンゲージメントの向上を実現すべく、支援策の充実を図っていきます。
リーダー人材の育成および階層別の後継者育成
リーダー人材の育成および階層別の後継者育成が、こちらのスライドになります。2022年1月から第1期がスタートした「H.U.ビジネスカレッジ」のビジネス基礎プログラムは、2024年2月現在で受講生が100名を超えています。
「H.U.ビジネスカレッジ」では、論理的思考、マーケティング、財務会計、経営戦略、企業法務などの基礎を1年かけて学んでいきます。参加者はグループ内のさまざまな企業や組織から集まっており、会社間や部門間、役割の垣根を超えた学びの場となっています。グループの一員としての連帯感を醸成するとともに、視座を高めて見識の幅を広げ、自身の思い描く未来のキャリアを実現できることを最大限後押ししています。
また、新人事制度の運用の担い手である部長・課長層は、全員が管理職適性検査を受検して自身の適性や傾向をしっかりと自覚した上で、集合型の管理職教育を受講します。これによって、一人ひとりのマネジメント力の強化につなげています。今後は、将来の経営幹部の育成にも力を入れていきます。
エンゲージメントサーベイを活用したPDCAサイクルの確立
こちらのスライドでは、エンゲージメントサーベイを活用したPDCAサイクルを示してします。当社グループはMission・Visionの実現に向け、従業員の意識・行動変革を推進するための施策検討の判断材料の1つとしてエンゲージメントサーベイを実施し、情報を定点観測しています。
現在は、エンゲージメントサーベイ実施後に結果を分析し、各社の課題を特定しています。その後、具体的なアクションプランを策定・実行することで、エンゲージメントの向上を図っています。
具体的には、当社グループが重要視する指標と相関が強く、現時点で問題が見られる項目に注目することで、課題の優先順位付けを行います。その後、データで示す課題が実際に組織内で問題になっているのかの仮説検証・確認を行い、各個社・組織別のアクションを特定し、実行に移すことで課題解決を進めています。
グループ内では、各社の結果にばらつきが大きく、個社ごとに課題やアクションが異なります。悪い要因の特定だけではなく、グループ内の良い要因を横展開していくことも含めて、愚直に進めていきます。
エンゲージメントサーベイの結果および今後の対応
直近の2023年12月に実施した、エンゲージメントサーベイの結果および今後の対応についてご説明します。
取り組みの浸透によって、社員の関心もかなり高まってきています。その結果、回答率は2021年度と比べて10パーセント向上し、全員まであとわずかとなる98パーセントとなりました。
エンゲージメント調査全体における非好意的を除いた回答割合では、74パーセントと微増しています。また、当社グループが重要視している「企業理念への共感」については、各社でばらつきがあるものの、2021年度と変わらず90パーセントと高水準を維持しています。
今後の対応としては、今回のサーベイ結果をもとに抽出した課題への具体的な改善アクションを、2024年4月以降に各事業会社で開始します。さらに、2024年度以降は、毎年1回エンゲージメントサーベイを実施し、実施した取り組みの効果検証と新たな施策検討につなげていきます。
ダイバーシティの推進
次に、ダイバーシティの推進についてご説明します。当社がダイバーシティ&インクルージョンに取り組む理由は2つあります。1つは「すべての従業員が自分らしく働くことのできる環境と風土の醸成」、もう1つは「継続的な企業の成長およびグローバルな競争力の強化」です。
ダイバーシティ推進施策をより加速させるべく、2022年度にダイバーシティ推進の専門部署を新設しました。2023年度からは「人を想像し、未来を創造する」というコンセプトを掲げて、全社でダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。
今後も女性活躍推進、障がい者の活躍推進のみならず、個人の尊重を重視し、さまざまな価値観を持つ社員を支援できるように施策を展開していきます。
ダイバーシティに係る具体的な取り組み
当社グループの人的資本経営について、最後にご紹介するスライドが、こちらのダイバーシティに係る具体的な取り組みです。
まず、前回の説明会で課題として挙げていた「男性育児休業・休暇取得率」については、2024年度末に90パーセントの取得率達成を目指し、研修や制度導入などの施策を通じて、従業員の育児休業を継続的に支援する取り組みを行っています。2023年度は75パーセントの目標を上回る見込みで推移しています。
先ほどお伝えしたダイバーシティ専門部署を中心に、今まで以上にダイバーシティ&インクルージョンを社内に浸透させるべく、2023年度は「知る」をテーマとした知識理解と職場でのコミュニケーションを重視した施策を展開しました。
2024年度以降は、介護・障がいへの知識理解を深める施策を展開するとともに、職場での実践につながるよう、コミュニティの形成などの施策を展開していく予定です。
なお、ダイバーシティ推進の土台として、社員一人ひとりが心身ともに健康である環境を整える「健康経営」が重要だと考えていますが、ちょうど先日、社員の健康管理を経営的な視点から考えて戦略的に取り組んでいる企業を経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄2024」に選ばれました。これまでの地道な取り組みの結果だと捉えています。
今後も、当社の掲げる〝Healthcare for You〟に込められた想いのもと、従業員のフィジカル・メンタル両面の健康への取り組みを継続し、この土台をさらに強固なものとして、ダイバーシティをより一層推進していきたいと考えています。
常に社員の変化・動向を把握し、社員一人ひとりのやりがい・働きがいにつながるように日々ブラッシュアップしながら、社員の成長・パフォーマンス向上、ひいては会社の成長につなげていきます。人的資本経営についてのご説明は以上です。
H.U.グループ サステナビリティ・ロードマップの進捗
村上敦子氏:サステナビリティ担当役員として、最後に私から総括を述べます。
スライドには、2023年度から2024年度の2ヶ年におけるサステナビリティ・ロードマップの進捗を記載しています。2024年度末の目標達成に向け、策定から約1年が経過した現時点では、ガバナンスに関する2つの目標をすでに達成しており、全般としてロードマップの進捗は概ね順調に推移しています。
ただし、先ほど木村からもお話ししたとおり、CO2総排出量の削減については達成に向けてさらなる努力が必要と認識しています。2024年度末までに11項目すべての目標を達成すべく、今後も全社一丸となって取り組みを加速させていきます。
国内の主要なESG等評価
当社グループの主要な国内ESG等の評価について、こちらのスライドで示しています。日本国内では着実に評価を上げており、現在は「健康経営銘柄」と「DX銘柄」の両方に選定されています。
グローバルの主要なESG評価
続いて、当社グループの主要なグローバルESG評価です。「MSCI ESG格付け」では、2年連続で最上位の「AAA」評価を獲得し、つい先ごろの2024年2月に結果が公表された「CDP 気候変動」では、3年連続でリーダーシップレベルの「A-」評価を獲得しました。
また、GPIFが採用している日本株を対象とした6つのESG指数すべての構成銘柄に、今年度初めて選定されました。当社グループのESGに対する取り組みは着実に前進しており、その結果が、これらの評価の維持・向上につながったと考えています。
多様なサステナビリティ課題の顕在化・複雑化
昨今では、多様なサステナビリティ課題が顕在化・複雑化し、企業の存続を脅かすリスクが高まっていると言われています。企業の対応の難易度が増してきているものの、これらの新たな課題にも一つひとつ対応していきつつ、グループの理念体系に基づく企業活動を通じて社会課題の解決に着実に取り組むことが、グループの持続的成長と企業価値向上につながると考えています。
今後も、みなさまとのエンゲージメントを継続的に実施し、株主・投資家のみなさまをはじめとしたステークホルダーとの良好な関係の構築に努め、社会の持続可能性と当社の持続可能性の両立の実現を目指していきます。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:子会社における新人事制度の導入ついて
質問者:富士レビオやSRLなどの子会社を含め、グループ全体で等級・報酬制度などが統一された人事制度を導入するのでしょうか?
山本:富士レビオ、SRL、H.U.フロンティアなどの事業会社のグレーディングや報酬の仕組みは、すべてを統一していきます。
その他のグループ会社は、この4月ではなく、時期をずらしながら最終的には2025年度を目標に、統一化を図っていくプランで進める予定です。
質問者:富士レビオ、SRL、H.U.フロンティアなどの各子会社は、それぞれビジネスモデルが異なるため、画一的な制度を導入した際に不都合が起きてしまわないかという懸念がありますが、この点について、どのように対応されるのでしょうか? 各子会社の事情に合わせた柔軟な運用を予定されているのでしょうか?
山本:複数のグループ会社を束ねる際に1本のメジャーメントで組織やポジションを格付ける「ジョブ型」という方法があり、国内外のグローバル企業でも多く導入されていることからも、この手法を使っていきます。
したがって、組織のビジネスモデルが違っていたとしても、1本のメジャーメントの中での位置づけは等級によって差をつけていきます。グループ各社によって規模感も違ってきますが、この指標を使いながら導入していきます。
もう1つ特徴的な点は、職種によって給与テーブルを変えていることです。市場よりも高い水準を担保しながら、既存の従業員が外部と比べても魅力的に感じられ、さらに外部から見ても、市場よりも高い報酬水準が魅力の1つとして訴求できるかたちで設計しているとご理解いただければと思います。
質問者:SRLは国内を中心に事業を展開されている一方、富士レビオは海外子会社もあり海外エクスポージャーも大きいため、国によって人事制度を多少変えるなど柔軟に対応したほうが良いのではないかと思います。日本と海外の文化の違いには、どのように対応される予定ですか?
山本:現時点では、まず国内のみを対象として制度を導入していく予定です。他方、「ジョブ型」を導入する意味としては「グローバル対応」を見据えています。
当社グループには欧米を中心に海外子会社がありますが、そちらに対しても1本のメジャーメントを使いながら、統合できるものは統合していきます。また、将来的には、経営幹部に対して別の切り口で統一した制度を導入することも、現在検討を始めている状況です。
質疑応答:エンゲージメントサーベイ結果における課題と今後の取り組みについて
<!-- H.U.グループホールディングス_30.jpg →
質問者:直近のエンゲージメントサーベイの結果において、特に課題として認識している事項は何ですか? 課題に対する今後の取り組みについても教えて下さい。
山本:今回のエンゲージメントサーベイでは、「企業理念への共感」および「成長の機会」を課題として認識しています。「成長の機会」は、我々が重要視している指標の1つです。こちらは、我々が想定した数字よりも若干低いと思っています。
「企業理念への共感」は、従業員の約7割が好意的もしくは中立的な回答をしている状況ですので、決して悪くはありません。しかし、我々は人事理念で「会社の力とは、個人の力の総和である」と謳っているため、その観点ではまだ不足感があると捉えています。
これまでに、さまざまな教育制度を提供してきています。その先には、新人事制度の導入を1つのきっかけに、コンセプトとしている「自立・自走・自責」の促進という大きな目標があります。
こちらを中心として進めていくにあたり、我々にとってキーとなるのは管理職のマネジメント力と捉えています。すでに今年度から管理職のマネジメント力強化に向けた教育を進めています。
今後はさまざまな課題感を共有しながら管理職のさらなるマネジメント力強化に努めていくことによって、エンゲージメントサーベイの結果改善につなげていきたいと思っています。
質疑応答:PFAS(有機フッ素化合物)に対する今後の取り組みについて
質問者:現在「PFAS」が非常に話題になっており、血液検査に対するニーズも高まっているのではないかと思います。臨床検査薬メーカーである御社は、これに関して何か注目されていることはありますか?
竹内:現在は、環境中の有機フッ素化合物の含有を含めたPFAS検査が行われていますが、血中におけるフッ素あるいはフッ素化合物などの検査は、当社では行っていません。ただし、昨今さまざまな話題に挙がるところではあるため、将来的にどうかという話ではなく「現段階ではやっていない」という回答になります。
質疑応答:メディパル社とのジョイントベンチャーについて
質問者:メディパルホールディングスとのジョイントベンチャーについて、2025年3月までに業務移管が完了する予定ですが、車両の削減は順調に進んでいるのでしょうか? 現在は、稼働前と比べてどの程度CO2の削減が進んでいますか? また、本削減による御社グループへの貢献度はどの程度でしょうか?
木村:ジョイントベンチャー(JV)の設立によってシェア・ロジスティクスによる集配機能の最適化が進むにつれ、当然ながら車両台数の削減も進行しています。具体的な数字は捉え方が難しいですが、当社グループのScope1でご説明すると、グループの車両が(Scope3対象の)JVに移動することによって、1ヶ月あたり約130トンのCO2が削減される見込みです。
なお、当社グループのScope1が全体に占める割合は2.5パーセントしかないため、本プロジェクトによる削減量はあまり大きくありません。しかし、CO2を確実に削減していく上で重要なプロジェクトであると認識していますので、今後もしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
質疑応答:サプライチェーン上の人権リスクについて
質問者:サプライチェーン上の人権リスクを特定・評価する企業が増えてきています。こちらについて、今後の御社の考えや計画を教えてください。
多田:過去にはアパレル業界や自動車業界において、特定地域での強制労働などが問題視されましたが、当社においては、直接のお取引先(Tier1)が大きなリスクを抱えている状況ではない、という確認が取れています。
ただし、Tier2と呼ばれるお取引先、もしくはそれ以降のお取引先に遡るとリスクがある可能性も考えられます。そのため今後の対応として、Tier2以降のお取引先の情報をTier1からご教示いただくなど、ヒアリングによるデータベース化をすでに始めています。
今後はSAQや意見交換会を組み合わせたかたちで、リスクの特定・評価を実施していけるようにしたいと考えています。
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