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森下仁丹のニュース
「日本生薬学会 第69回年会」において発表
森下仁丹株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長 森下雄司、以下「当社」)は、近畿大学薬学総合研究所・同大アンチエイジングセンター(本部:東大阪市、学長 細井美彦)の森川敏生教授との共同研究において、当社の独自素材であるローズヒップエキスに含まれるティリロサイドに、高脂血症などの脂質異常症を予防する働きがあることを明らかにしました。この成果について、2023年9月9日(土)~10日(日)に東北医科薬科大学で開催される「日本生薬学会 第69回年会」にて発表いたします。
【背景と目的】
「ローズヒップ由来ティリロサイド」(以下ティリロサイド)は、ローズヒップの種子に含まれるポリフェノールの一種です。当社はティリロサイドの機能性にいち早く着目して研究を進め、ティリロサイドがマウスの体重増加を抑制することや、その作用機序として、ティリロサイドが肝臓や筋肉での脂質代謝機能を高めることを明らかにしています¹⁾²⁾。また、ティリロサイドを配合した食品を12週間摂取させるヒト臨床試験を行い、腹部脂肪面積や体重が減少することも確認しています³⁾。
近畿大学薬学総合研究所・同大アンチエイジングセンターの森川敏生教授との共同研究では、ティリロサイドの脂質代謝機能を高める作用のメカニズムについて、主に細胞や動物を用いた実験での検証を進めています。今回その一環として、ティリロサイドがコレステロールの代謝にどのような影響を及ぼすかについて検討を行いました。
【研究概要】
コレステロールは生命にとって重要な脂質の一つであり、身体を構成する細胞を包む細胞膜や各種ホルモン、ビタミンDなどの原料になることから、生体内での代謝は厳密にコントロールされています。 コレステロールは、食品を摂取することによる外因性のものと、肝臓で合成される内因性のものに大別されますが、肝臓で合成されたコレステロールは、中性脂肪やapoBというタンパク質と一緒に、ミクロソームトリグリセリド転送タンパク(MTP)の働きにより超低密度リポタンパク質(VLDL)を形成して肝臓から血中へ分泌されます。血中VLDLは、リポプロテインリパーゼ(LPL)や肝性リパーゼ(HTGL)などの酵素によって分解されて低密度リポタンパク質(LDL)となり、末梢組織にコレステロールや中性脂肪を運搬します。(図1)。
しかし、肥満や生活習慣の変化によりそのコントロールが乱れると、脂質異常症になり動脈硬化などのリスクが増大することが知られています。
そこで、近畿大学・森川教授との共同研究の一環として、中性脂肪の代謝を高める作用のあるティリロサイドが、コレステロールの代謝にどのように影響するのかについて検討を行いました。
ヒトの肝臓由来の細胞であるHepG2細胞をコレステロールに変換される物質を含む培養液で培養すると、細胞内でコレステロールの合成が進み、培養液中のコレステロール含量が増加します。ここにティリロサイドを添加しておくと、ティリロサイドの濃度が上がるにつれて培養液中のコレステロール濃度が低下しました(図2a)。さらに、コレステロールや中性脂肪と共にVLDLが合成されるときに必要なタンパク質apoBの培養液中の濃度も測定したところ、ティリロサイド濃度に依存してapoB濃度が低下していました(図2b)。これら結果から、ティリロサイドには肝臓からのVLDL分泌を低下させる働きがあると考えられたため、マウスを使った検討を実施しました。
先述のとおり、肝臓から分泌されたVLDLは血液中でLPLなどの酵素で分解されるため、LPLの働きを止めた状態で血液中のVLDL濃度変化を測定すれば、肝臓からのVLDL分泌量を評価できます。VLDLはコレステロールの他に中性脂肪も多く含んでいるため、血液中の中性脂肪濃度をVLDL濃度の指標としました。
あらかじめティリロサイドを投与したマウスにLPLの働きを止める物質を投与し、その後の血液中の中性脂肪濃度の変化を測定したところ、ティリロサイドを投与したマウスでは、コントロール群に比べて血中中性脂肪濃度の増加が抑えられていました(図2c)。つまり、細胞での実験と同様に、ティリロサイドは生体内でも肝臓からのVLDLの分泌を抑制したと考えられます。
【まとめ】
以上の結果から、ローズヒップ由来ティリロサイドは肝臓からのVLDL分泌を抑制することで、脂質異常症の予防に寄与する可能性があることが明らかになりました。当社では引き続き近畿大学との共同研究を進め、ティリロサイドの多彩な機能性を明らかにし、皆様の健康維持に役立つ商品の研究開発に努めてまいります。
【参考文献】
1) Ninomiya K, et al. : Bioorg. Med. Chem. Lett., 17: 3059-3064, 2007.
2) Goto T, et al. : J. Nutr. Biochem., 23: 768-776, 2012.
3) Nagatomo A, et al. : Diabetes Metab. Syndr. Obes., 8: 147-156, 2015.
■「日本生薬学会第69回年会」概要
会期:2023年9月9日(土)~10日(日)
HP:https://smartconf.jp/content/jsp69/
会場:東北医科薬科大学小松島キャンパス
<発表概要>
発表時間:2023年9月9日(土)ポスター発表コアタイム:16:15~17:00
演題番号:1P-42
演題:アシル化フラボノール配糖体trans-tilirosideの肝臓からのVLDL分泌に及ぼす影響
発表者:長友暁史¹ ³、河野麻実子³、川上宏智³、萬瀬貴昭¹、森川敏生¹ ²
所属:1)近畿大学薬学総合研究所
2)近畿大学アンチエイジングセンター
3)森下仁丹株式会社
森下仁丹株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長 森下雄司、以下「当社」)は、近畿大学薬学総合研究所・同大アンチエイジングセンター(本部:東大阪市、学長 細井美彦)の森川敏生教授との共同研究において、当社の独自素材であるローズヒップエキスに含まれるティリロサイドに、高脂血症などの脂質異常症を予防する働きがあることを明らかにしました。この成果について、2023年9月9日(土)~10日(日)に東北医科薬科大学で開催される「日本生薬学会 第69回年会」にて発表いたします。
【背景と目的】
「ローズヒップ由来ティリロサイド」(以下ティリロサイド)は、ローズヒップの種子に含まれるポリフェノールの一種です。当社はティリロサイドの機能性にいち早く着目して研究を進め、ティリロサイドがマウスの体重増加を抑制することや、その作用機序として、ティリロサイドが肝臓や筋肉での脂質代謝機能を高めることを明らかにしています¹⁾²⁾。また、ティリロサイドを配合した食品を12週間摂取させるヒト臨床試験を行い、腹部脂肪面積や体重が減少することも確認しています³⁾。
近畿大学薬学総合研究所・同大アンチエイジングセンターの森川敏生教授との共同研究では、ティリロサイドの脂質代謝機能を高める作用のメカニズムについて、主に細胞や動物を用いた実験での検証を進めています。今回その一環として、ティリロサイドがコレステロールの代謝にどのような影響を及ぼすかについて検討を行いました。
【研究概要】
コレステロールは生命にとって重要な脂質の一つであり、身体を構成する細胞を包む細胞膜や各種ホルモン、ビタミンDなどの原料になることから、生体内での代謝は厳密にコントロールされています。 コレステロールは、食品を摂取することによる外因性のものと、肝臓で合成される内因性のものに大別されますが、肝臓で合成されたコレステロールは、中性脂肪やapoBというタンパク質と一緒に、ミクロソームトリグリセリド転送タンパク(MTP)の働きにより超低密度リポタンパク質(VLDL)を形成して肝臓から血中へ分泌されます。血中VLDLは、リポプロテインリパーゼ(LPL)や肝性リパーゼ(HTGL)などの酵素によって分解されて低密度リポタンパク質(LDL)となり、末梢組織にコレステロールや中性脂肪を運搬します。(図1)。
しかし、肥満や生活習慣の変化によりそのコントロールが乱れると、脂質異常症になり動脈硬化などのリスクが増大することが知られています。
そこで、近畿大学・森川教授との共同研究の一環として、中性脂肪の代謝を高める作用のあるティリロサイドが、コレステロールの代謝にどのように影響するのかについて検討を行いました。
ヒトの肝臓由来の細胞であるHepG2細胞をコレステロールに変換される物質を含む培養液で培養すると、細胞内でコレステロールの合成が進み、培養液中のコレステロール含量が増加します。ここにティリロサイドを添加しておくと、ティリロサイドの濃度が上がるにつれて培養液中のコレステロール濃度が低下しました(図2a)。さらに、コレステロールや中性脂肪と共にVLDLが合成されるときに必要なタンパク質apoBの培養液中の濃度も測定したところ、ティリロサイド濃度に依存してapoB濃度が低下していました(図2b)。これら結果から、ティリロサイドには肝臓からのVLDL分泌を低下させる働きがあると考えられたため、マウスを使った検討を実施しました。
先述のとおり、肝臓から分泌されたVLDLは血液中でLPLなどの酵素で分解されるため、LPLの働きを止めた状態で血液中のVLDL濃度変化を測定すれば、肝臓からのVLDL分泌量を評価できます。VLDLはコレステロールの他に中性脂肪も多く含んでいるため、血液中の中性脂肪濃度をVLDL濃度の指標としました。
あらかじめティリロサイドを投与したマウスにLPLの働きを止める物質を投与し、その後の血液中の中性脂肪濃度の変化を測定したところ、ティリロサイドを投与したマウスでは、コントロール群に比べて血中中性脂肪濃度の増加が抑えられていました(図2c)。つまり、細胞での実験と同様に、ティリロサイドは生体内でも肝臓からのVLDLの分泌を抑制したと考えられます。
【まとめ】
以上の結果から、ローズヒップ由来ティリロサイドは肝臓からのVLDL分泌を抑制することで、脂質異常症の予防に寄与する可能性があることが明らかになりました。当社では引き続き近畿大学との共同研究を進め、ティリロサイドの多彩な機能性を明らかにし、皆様の健康維持に役立つ商品の研究開発に努めてまいります。
【参考文献】
1) Ninomiya K, et al. : Bioorg. Med. Chem. Lett., 17: 3059-3064, 2007.
2) Goto T, et al. : J. Nutr. Biochem., 23: 768-776, 2012.
3) Nagatomo A, et al. : Diabetes Metab. Syndr. Obes., 8: 147-156, 2015.
■「日本生薬学会第69回年会」概要
会期:2023年9月9日(土)~10日(日)
HP:https://smartconf.jp/content/jsp69/
会場:東北医科薬科大学小松島キャンパス
<発表概要>
発表時間:2023年9月9日(土)ポスター発表コアタイム:16:15~17:00
演題番号:1P-42
演題:アシル化フラボノール配糖体trans-tilirosideの肝臓からのVLDL分泌に及ぼす影響
発表者:長友暁史¹ ³、河野麻実子³、川上宏智³、萬瀬貴昭¹、森川敏生¹ ²
所属:1)近畿大学薬学総合研究所
2)近畿大学アンチエイジングセンター
3)森下仁丹株式会社
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