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―2020年度から大きく変わる英語教育、教育産業で需要期待が一気に高まることに―
約10年ぶりに学習指導要領が見直され、英語教育が2020年度から大きく変わる。小学校3年生から英語教育がスタートする一方、中学校では英検準2級、高校では英検2級以上の取得を目指した授業が展開される。国際化が進む新時代に対応するのが狙いで、ガラパゴス化しているといわれてきた日本の英語教育に本格的なメスが入ることになる。
英語は国際共通語として最も中心的な役割を果たしており、世界のコミュニケーションツールとなっている。世界では英語を母語や公用語、準公用語とする人々が多いとされているほか、国家戦略として小学校段階における英語教育を実施する国も急速に増加している。アジアの非英語圏を見ると、1996年にタイが必修化し、97年には韓国、2001年には中国が段階的に必修化を開始している。EUにおいては、母語以外に2つの言語を学ぶべきとし、早い時期からの外国語教育を推進している。
●英語は幼児期から慣れ親しむ時代に
日本の学校英語はこれまで、社会で役に立たないと批判されていた。そのため、小中高校すべての授業内容を大きく変え、外国人と十分なコミュニケーションがとれる英語能力を養う外国語教育が必須となる。なお、新しい学習指導要領に基づく英語教育は、小学校が20年度、中学校が21年度、高校が22年度にスタートする。
小学校ではこれまで、5、6年生が外国語活動という体験型学習をしていたが、20年度から3、4年生が取り組むことになる。教科ではないため成績には関係ないが、より早い段階で国際共通語の英語と親しんでもらう形となる。一方、文科省によると、18年の調査で全国の約3割の小学校が新学習指導要領に沿う授業時間で外国語学習や英語の授業を先行実施しているという結果が出ている。
そのため、地域によっては英語の理解力に差が出てくることが考えられ、そのまま中学校、高校、大学における格差拡大につながるとの懸念がされている。そういった意味でも英語学習を早い段階から始めることは英語に対する抵抗をなくし、子どもたちの可能性を広げるという見方ができる。今後はますます幼児期から英語と慣れ親しむといった流れに向かうと考えられる。
子どもたちがこういった状況に対応していくには、当然、学校教育だけでは不十分であり、学校外の英語教育など教育産業の在り方も問われており、少子化の中で大きな需要が生まれることが必至だ。内閣府によると、昨年10月から幼児教育・保育の無償化がスタートしており、幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスの子どもたち、住民税非課税世帯の0歳から2歳児クラスまでの子どもたちの利用料が無料になっているという。こういった負担軽減策によって、英語教育に資金を振り向ける流れも広がりがみられると見込まれる。
●中核銘柄は学研とベネッセHD
関連銘柄は教育関連が中心となるが、中核的な銘柄としては、学研ホールディングス <9470> 、ベネッセホールディングス <9783> が挙げられる。
学研HDでは、「話せるようになる」オンライン英語学習サービス「Kimini」を展開している。好きな時間にレッスンを受けられ、通学型のスクールに比べて割安である点が特徴だ。また、マンツーマンのレッスンのため、特に発話のトレーニングにおいては非常に効果的とされている。学研教室では、子どもの発達段階に合わせた教材を提供する。
ベネッセHDは、子会社のベネッセコーポレーションにおいて、学校向け事業を中心に、オンライン英会話 事業を展開している。また、18年にはオンライン英会話サービスを提供するぐんぐん(東京都港区)の発行済株式を追加取得し資本業務提携を拡大させ、オンライン英会話事業領域の強化を図っている。
●レアジョブはじめ中小型株にも有力銘柄目白押し
中小型株では、オンライン英会話サービス「レアジョブ英会話」を運営しているレアジョブ <6096> [東証M]が注目だ。6000人を超えるフィリピン人講師が在籍しており、ノンネイティブスピーカーとして世界的に高い英語力を誇る。
その他、ジャストシステム <4686> は、タブレットを使った小中学生向け通信教育 「スマイルゼミ」を展開。子どもたちが楽しく英語を学べる教材であり、「たくさん聞いて・たくさん話す」仕掛けが充実している。また、英語学習、外国語、翻訳、辞典・辞書などのパソコンソフトを扱う。
EduLab <4427> [東証M]は英検協会などと共同で英語学習支援のインターネットサービスを提供している。増進会ホールディングスの事業会社である「Z会グループ」と18年12月に資本業務提携を締結しており、20年4月からZ会の通信教育「幼児コース」年中・年長受講者を対象とする英語学習教材「きいてわくわく えいごパーク Z会グループ×英検Jr.」の提供を開始する。
●クラウド型教材配信のチエル、学習塾関連も注目
クラウド型教材配信サービス「CHIeru.net」を展開するチエル <3933> [JQ]は、ICT製品による教育現場への貢献や、教育に関するセミナーを開催する。昨年には、ノートパソコンやスマートフォンなどのモバイル端末を利用した語学学習システム「CaLabo MX」を教育機関向けに発売しており、英語4技能の学習を支援するコンテンツを多数搭載している。
アルー <7043> [東証M]は、法人や個人向けに人材育成サービスを提供しており、教室での研修や海外派遣研修、英会話教育などを展開している。スマートフォンで短期間かつ効率的にビジネス英会話を学ぶことをコンセプトにした英会話モバイルマンツーマントレーニングサービス「ALUGO(アルーゴ)」を提供する。
JPホールディングス <2749> は保育園や学童クラブなどを運営する、子育て支援 最大手である。保育園・学童クラブ・児童館といった子育て支援施設の合計は297施設となる。それぞれの年齢・発達に合わせた「英語・体操・リトミック」など、多様な知育プログラムを開発している。
そのほかリソー教育 <4714> 、京進 <4735> [東証2]、早稲田アカデミー <4718> など、学習塾 を展開する企業にも、大きな需要が生まれる公算が大きい。
株探ニュース
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