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●悪材料の織り込み進むが、中国景気の動向を注視
株式市場は軟弱な地合いが継続している。日本をはじめ主要国の株価は、3月にいったん底打ちを確認した格好となり、鋭角的なリバウンド相場を演じたものの、その後は再び下値を探る動きで、日経平均株価は3月の年初来安値をうかがう動きとなってきた。
ウクライナ情勢に好転する兆しが見えず、戦闘状態が長期化する様相を呈しており、原油価格をはじめ商品市況が落ち着きを取り戻す気配は感じられない。原材料価格の上昇に歯止めがかからず、企業収益を引き続き圧迫しそうな状況だ。
世界的にみて企業業績の悪化が懸念されている訳だが、米国では金融当局がインフレ抑制に向けタカ派の態度を示しており、5月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では50ベーシスポイントの利上げが確定的。さらに、年内に利上げのペースが急ピッチで進むとみられ、米国ではリセッションの可能性さえ指摘されている。
一方で、金利について国内に関して言えば、日銀は金融緩和姿勢を変えることはなく、日米金利差拡大からドル高・円安が進行。20年ぶりの円安水準となっている。原油価格の上昇などを併せて考えれば、円安が原料高に拍車をかけることは想像に難くない。株式市場では「悪い円安」の側面が強調され、株価を抑える要因になっている。
こうした世界的に景気が停滞される局面において、リーマン・ショックの時もそうだったように、中国景気に期待がかかるところだが、今回はそうなっていないのが痛いところだ。新型コロナウイルスについて中国政府は「ゼロ・コロナ」政策に固執し、感染拡大が顕著な上海ではロックダウン(都市封鎖)となるなど、景気の低迷が懸念される状況となっている。
時系列で起きた事象を整理してみると、3月安値からのリバウンドが一巡した後、日本株に関しては、この中国の景気悪化懸念が大きな下げ要因になっているかもしれない。米金利上昇、ウクライナ、原油高は株価に織り込んだとみられるが、当面は中国景気を注視する動きとなりそうだ。
●円安を加味した業績見通しを吟味して選別
このように環境面は非常に厳しいものがある。米国では大型ハイテク株が、金利上昇によって割安感が薄れ、深い押しを演じているが、これを受けて日本株についてもグロース株は上値が重くなる可能性が高い。
しかしながら、絶対的な水準でみると、日本株は割安感が強いのも事実。日経平均株価で2万7000円割れの水準はPERが12倍台。これは過去数年のレンジで下限にあたる。企業業績についても、円安を背景に輸出関連株に上向く銘柄が目立つ。確かに、原油高、円安で内需関連企業は厳しいところが少なくないものの、円安の影響は差し引きで判断すべきであろう。
個別銘柄で言うと、おそらく円安によって、業績は二極化となりそうだ。日経平均株価は大きな上昇は見込めないまでも、連休明けには好決算銘柄が支えることになるとみられる。円安を加味した業績見通しを吟味することによって、銘柄選別を誤らなければ、うまく立ち回ることが可能な相場であると判断できそうだ。
・【雨宮さんが予想する日経平均株価レンジ:2万5800円~2万9000円】
◆雨宮さん勝負のポートフォリオ12銘柄
○村田製作所 <6981> [東証P]
円安進行でビジネス上のポジションが一段と優位に。日本製の電子部品が世界を席巻し、そのリード役に。
○ジェイ エフ イー ホールディングス <5411> [東証P]
サプライチェーンの問題が残るも自動車向けなど拡大期待。値上げにより市況高のメリットを享受する。
○電通グループ <4324> [東証P]
新型コロナウイルスの感染拡大で縮小していた各種イベントが徐々に復活することでビジネスチャンスが膨らむ。アフターコロナ関連の視点で。
○日揮ホールディングス <1963> [東証P]
資源価格の急騰を背景に、将来的にプラント需要が拡大する可能性が大。ドル高・円安が収益面でプラス材料に。
○インテリックス <8940> [東証P]
中古マンション再生販売専業の最大手。マンション市況の好調の波が、中古マンション市場にも波及している。
○アートスパークホールディングス <3663> [東証S]
イラスト制作ソフト販売や車載機器向けのソフトなどが好調に推移。NFT (ノンファンジブル・トークン)や メタバース分野への展開も期待。7月にセルシスに社名変更予定。
○スパークス・グループ <8739> [東証P]
育成中である「未来創生3号ファンド」が、京都大学発のスタートアップでペロブスカイト太陽電池の開発を手掛けるエネコートテクノロジーズに投資。
○レノバ <9519> [東証P]
日本国内の電力不足で、政府が再生エネなど積極的に拡大する方針を示す。ベトナムでの洋上発電展開も注目材料に。
○ディップ <2379> [東証P]
人材サービス事業でシェア向上を図って実施した大規模な広告宣伝投資が奏功。23年2月期は大幅増益の見通し。
○パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス <7532> [東証P]
コロナ禍に関係なく積極的に出店していることが注目される。郊外店舗から都心部駅前に出店を切り替え、アフターコロナ後の インバウンドにも期待。
○三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]
構造改革による販管費削減が進んだ模様で、収益は予想を上回る回復に。将来のインバウンド回復を見込めば、中・長期的には逆張りのチャンスに。
○Kudan <4425> [東証G]
メタバース関連の本命格。将来性を考慮すれば、戻り歩調を鮮明にしてきたここは買いのチャンスになる。
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。
(2022年4月27日記)
★4月29日~5月5日に「ゴールデンウイーク特集」などを一挙、“42本”配信します。ご期待ください。
→→ 「ゴールデンウイーク特集」の記事一覧をみる
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