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*12:43JST BS11 Research Memo(3):質の高い情報を提供できる強みを生かす
■日本BS放送<9414>の事業環境
電通グループ<4324>が公表した「2022年 日本の広告費」によれば、2022年における日本の総広告費は前年比4.4%増の7兆1,021億円であり、コロナ禍前の2019年を超え、1947年の推定開始以来、過去最高となった。2022年上期は、行動制限の緩和や北京2022冬季オリンピック・パラリンピックなどにより好調に推移した。下期は、ウクライナ情勢や欧米の金融政策の転換による経済環境の変化やコロナ禍の再拡大などの悪影響を受けたものの、国内社会・経済の緩やかな回復に伴い、「外食・各種サービス」「交通・レジャー」を中心に広告需要が高まった。特に、社会のデジタル化を背景に、好調なインターネット広告費によって市場全体が成長した。総広告費7兆1,021億円のうち、衛星メディア関連(BS、CS、CATV)の広告費は1,251億円(前年は1,209億円)となったが、同社が属するBS放送は衛星メディア関連市場の70%強を占める。BS放送市場は2000年12月にBSデジタル放送がスタートしたことで本格的に立ち上がり、黎明期の2001~2003年を除くと順調に右肩上がりで成長を続けてきた。編成の多様化により様々なジャンルの番組が増加したため多くの企業による出稿が増加し成長を後押ししている。2020年はコロナ禍の影響を受けて広告市場全体が低調に推移したため、BS放送市場もマイナス成長となったが、2021年は、通販市況が巣ごもり需要の増加によって2020年に引き続き好調に推移したことに加え、コロナ禍で中止となっていたスポーツやそのほかイベントが開催される運びとなり、BS放送の広告収入は増加した。
足元ではテレビメディアにかける広告費は減少傾向にあるが、これはインターネット広告の台頭によるものである。2019年にインターネット広告の構成比がテレビメディアの構成比を上回った。続く2020年、2021年、2022年とインターネット広告の成長は続いており、わずか3年で約1兆円増加し、3兆円規模の市場となっている。これにより、2022年の構成比はテレビメディアが25.4%、インターネット広告が43.5%と、その差がさらに開く結果となった。イベントなどのプロモーションメディア広告については、行動制限の緩和や全国旅行支援策の実施などもあり、各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンが再開したものの、通年では「イベント・展示・映像ほか」「DM」「POP」「フリーペーパー」などが2021年に比べて減少した。その一方、人流が戻ったことで「屋外広告」「交通広告」「折込」などは2021年を上回った。
もっとも、多くの世帯でBSデジタルチューナーが搭載された薄型テレビへの買い替えが進んだことにより、2019年度のBS放送の視聴可能世帯数の割合は77.1%(「BS世帯普及率調査」(ビデオリサーチ調べ))と、8割近くまで伸長している。コロナ禍において視聴者の意識も変わってきたと考えられ、さらにインターネットの情報については正確性において不安な面もあることから、速さよりも内容の正確さが重要視されるテレビの情報番組からの情報収集志向は依然高いと見る。このような状況下で、同社は質の高い情報を提供できる強みを生かしている。また、ウィズコロナの下で通販会社や保険会社などからのCMが増えるなか、地域によって普及差のある地上波に比べ、衛星メディアとして全国に一斉放送されるBSへの魅力が見直されていると弊社では考えている。
環境としては、スポットCMの出稿が増加傾向にある。タイム収入は番組提供というスポンサー出稿だけではなく、番組枠そのものの販売も強化している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<SI>
電通グループ<4324>が公表した「2022年 日本の広告費」によれば、2022年における日本の総広告費は前年比4.4%増の7兆1,021億円であり、コロナ禍前の2019年を超え、1947年の推定開始以来、過去最高となった。2022年上期は、行動制限の緩和や北京2022冬季オリンピック・パラリンピックなどにより好調に推移した。下期は、ウクライナ情勢や欧米の金融政策の転換による経済環境の変化やコロナ禍の再拡大などの悪影響を受けたものの、国内社会・経済の緩やかな回復に伴い、「外食・各種サービス」「交通・レジャー」を中心に広告需要が高まった。特に、社会のデジタル化を背景に、好調なインターネット広告費によって市場全体が成長した。総広告費7兆1,021億円のうち、衛星メディア関連(BS、CS、CATV)の広告費は1,251億円(前年は1,209億円)となったが、同社が属するBS放送は衛星メディア関連市場の70%強を占める。BS放送市場は2000年12月にBSデジタル放送がスタートしたことで本格的に立ち上がり、黎明期の2001~2003年を除くと順調に右肩上がりで成長を続けてきた。編成の多様化により様々なジャンルの番組が増加したため多くの企業による出稿が増加し成長を後押ししている。2020年はコロナ禍の影響を受けて広告市場全体が低調に推移したため、BS放送市場もマイナス成長となったが、2021年は、通販市況が巣ごもり需要の増加によって2020年に引き続き好調に推移したことに加え、コロナ禍で中止となっていたスポーツやそのほかイベントが開催される運びとなり、BS放送の広告収入は増加した。
足元ではテレビメディアにかける広告費は減少傾向にあるが、これはインターネット広告の台頭によるものである。2019年にインターネット広告の構成比がテレビメディアの構成比を上回った。続く2020年、2021年、2022年とインターネット広告の成長は続いており、わずか3年で約1兆円増加し、3兆円規模の市場となっている。これにより、2022年の構成比はテレビメディアが25.4%、インターネット広告が43.5%と、その差がさらに開く結果となった。イベントなどのプロモーションメディア広告については、行動制限の緩和や全国旅行支援策の実施などもあり、各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンが再開したものの、通年では「イベント・展示・映像ほか」「DM」「POP」「フリーペーパー」などが2021年に比べて減少した。その一方、人流が戻ったことで「屋外広告」「交通広告」「折込」などは2021年を上回った。
もっとも、多くの世帯でBSデジタルチューナーが搭載された薄型テレビへの買い替えが進んだことにより、2019年度のBS放送の視聴可能世帯数の割合は77.1%(「BS世帯普及率調査」(ビデオリサーチ調べ))と、8割近くまで伸長している。コロナ禍において視聴者の意識も変わってきたと考えられ、さらにインターネットの情報については正確性において不安な面もあることから、速さよりも内容の正確さが重要視されるテレビの情報番組からの情報収集志向は依然高いと見る。このような状況下で、同社は質の高い情報を提供できる強みを生かしている。また、ウィズコロナの下で通販会社や保険会社などからのCMが増えるなか、地域によって普及差のある地上波に比べ、衛星メディアとして全国に一斉放送されるBSへの魅力が見直されていると弊社では考えている。
環境としては、スポットCMの出稿が増加傾向にある。タイム収入は番組提供というスポンサー出稿だけではなく、番組枠そのものの販売も強化している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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