ドリームインキュベータのニュース
【QAあり】ドリームインキュベータ、赤字幅縮小 ビジネスプロデュース事業拡張は順調、飛躍に向けて人材育成と収益力強化を推進
要旨
三宅孝之(以下、三宅):株式会社ドリームインキュベータ代表取締役社長の三宅です。本日はお忙しい中、ご参加いただき誠にありがとうございます。2025年3月期第2四半期決算についてご説明します。よろしくお願いします。
本日のサマリーをお話しします。2025年3月期第2四半期の業績です。メイン事業であるビジネスプロデュースの売上高は22億1,000万円、前年同期比プラス6パーセントです。営業利益はマイナス5億1,000万円となりました。
増収傾向は継続していますが、大型プロジェクト終了の時期が重なった影響をカバーしきれず、通期計画比で進捗率30パーセントにとどまる結果となっています。
当該事業はきわめて下期偏重のため、今後上向いていきますが、ここまでのビハインドの影響を鑑み、通期の着地は、売上高は52億円から60億円、純利益はマイナス6億円からプラス2億円の幅になると見ています。
ベンチャー投資については、営業利益4億2,000万円となりました。第1四半期での売却2件を中心としたキャピタルゲインを計上しています。
構造改革の進捗状況です。ビジネスプロデュースは、短期の利益確保は不十分ですが、拡張は着実に進捗していると感じています。今後は、人材の育成を推進し、将来の大きな飛躍につなげていきます。
ベンチャー投資と事業投資を合わせたインキュベーションは、引き続き適切な回収を努めていきます。
株主還元についてです。中間配当は、今年5月の公表どおり10億円で確定とし、残る30億円については全額期末配当とすることにしました。
2025年3月期第2四半期 連結P/L
第2四半期決算についてご説明します。スライドは、連結P/Lの結果です。売上高は全社で28億3,000万円、営業利益はマイナス8,000万円、純利益はマイナス1億7,000万円となっています。
ビジネスプロデュースの売上
ビジネスプロデュースの売上状況です。スライド左側のグラフは、中期経営計画との対比を示しています。通期計画73億円に対して、進捗率30パーセントとなっています。
スライド右側のグラフは、四半期ごとの売上推移です。第2四半期は、大型プロジェクトの終了時期が重なった影響をカバーしきれず、ほぼ第1四半期並み、かつ昨年度の同時期と同じ水準となりました。
月次・四半期での累積売上推移
しかし、スライド右側のグラフのとおり、すでに契約済みである確定売上の推移でみると、前年を上回るペースで積み上げており、第3四半期以降は上向いていくと見ています。
ビジネスプロデューサーの人員数推移
ビジネスプロデューサーの人員数推移です。2023年3月末時点では87名だったビジネスプロデューサーは、2024年9月末までに179名に拡大しました。いったんは十分な人員が確保できたため、今後は採用した人材を立派なビジネスプロデューサーにすべく、育成に注力しています。
ベンチャー投資:ポートフォリオと時価の状況
ベンチャー投資のポートフォリオについてです。中期経営計画での方針は「適切な回収を行っていく」というもので、今期は2社の回収を実施しています。引き続き、適切な回収に努めていきます。
2024年9月 連結B/S
連結B/Sの状況です。2024年3月末に174億円だった総資産は、12億円の前期期末配当により、2024年9月末では159億円となりました。今後も、さらなる資本効率の向上に努めていきます。
中期経営計画(23年3月期~25年3月期)の重点取り組みテーマと進捗
中期経営計画の状況についてご説明します。スライドでは、中期経営計画の重点取り組みテーマと進捗をまとめています。
3年目(2025年3月期)上期進展です。ビジネスプロデュースについては、サービスライン拡張は順調に推移しています。目標に対してまだ成長が不十分な面もあるため、各サービスラインの特性や課題に応じて適切に対応していきます。
陣容拡張においては、大枠では人員確保が進んだだめ、育成に注力していきます。協業拡張においては、新たに電通総研と業務提携を行いました。機能拡張については、コンサルティングフィーモデル以外の多様な収益モデルを実装・実証する段階に入っています。
定量計画は未達の見通しとなっており、打ち手については後ほどご説明します。インキュベーションについては、2社の売却を実行しました。全社経営の株主還元についても、後ほどご説明します。
ビジネスプロデュース事業のサービスライン拡張:多角化により5つのサービスラインを展開
サービスライン拡張についてご説明します。現在、多角化により、5つのサービスラインを展開しており、各サービスラインの特性や課題に応じた対応を進めています。
産業プロデュースとビジネスプロデュースは、DIにとってのコアバリューです。現在は、地方創生、金融、M&Aも含めた新しい方向性を開拓することで、DIのビジネスモデル全体の進化をリードする位置づけです。
人材育成に時間を要するサービスラインであることに加えて、幹部人材を他のサービスラインに配置したため、直近の高成長は難しい領域ではありますが、コアバリューとして堅持していきます。
ビジネスプロデュース・インストレーション(BPI)、Technology & Amplify(T&A)、グローバルSX(GSX)は新しく注力している領域です。これら3つのサービスラインは、顧客の根源的ニーズを汲み取り、より深く・幅広くコミットしていくことで、規模拡大を目指しており、実行や実装・具現化に手応えを感じています。
概ね順調に成長しているため、今後もリソースを配分し、伸ばしていく方針です。ただし、T&Aは立ち上がったものの、成長ポテンシャルに対して不十分な面がありますので、今後はより成長加速するための体制整備と連携を強化していきます。
陣容拡張:人材育成を着実に推進
陣容拡張についてです。採用した多様なプロフェッショナル人材をできるだけ早くビジネスプロデューサーに育成し、成果を創出する組織を目指しています。入り口の採用においては、DIの掲げる「社会を変える 事業を創る。」というミッションに共感し、一緒に体現していきたいという志を持つプロフェッショナルを採用しています。
サービスラインの拡張に伴い、グローバル人材、AIエンジニア、DXコンサルタントなど、これまで以上に多種多様なスキルを有する人材が集まってきています。スライド右側には、採用したプロフェッショナルを育成するための仕組みの一例を記載しています。
入社直後からきめ細かくDIらしさを活かした育成プランを組み、できるだけ早くビジネスプロデューサーとして一人立ちできるように工夫を凝らしています。進化・拡張するビジネスモデルに合わせながら、今後も育成の仕組み改善・強化に継続的に取り組んでいきます。
協業拡張:電通総研と業務提携契約を締結し、強化を継続
協業拡張についてです。第2四半期は、新たに電通総研と業務提携を行いました。ここ数年で、さまざまな事業パートナーとの連携強化を進めていますが、形式的な提携や連携は1つもなく、着実に活動を進化させています。
電通グループとの資本業務提携では、共同での営業及びプロジェクト遂行、商品開発、人材交流などで幅広く協働しています。
日本生命や日本政策投資銀行とは、ソーシャルインパクトボンドを中心に取り組んでいます。JICAとは、日本企業の技術やスタートアップの途上国へのビジネス展開を支援するプロジェクトを実施しています。
YMFG(山口フィナンシャルグループ)とは、「地方創生×ファイナンス」を中心とした多方面・多テーマでの取り組みを行っています。
今回の電通総研との業務提携では、電通グループとの資本業務提携の一環として、デジタル・IT分野をさらに強化していきます。「コンサル×デジタル」での共同営業・プロジェクト遂行スキームを作るとともに、人材交流なども通じて案件をより増やしていきたいと思っています。
機能拡張:多様な収益モデルの実装・実践に取組中
機能拡張については、コンサルティングフィーモデル以外の多様な収益モデルの実装・実践に取り組んでいるところです。スライドには、5つのモデルを記載しています。
新規事業の立ち上げ等においては、クライアントより「最初からリスクをとることは難しい」「戦略構築やその後の実行フェーズを含めて一体的に支援してほしい」などの声を多くいただいています。
そのニーズに応えるべく、多様な収益モデルを実装することによって、DIにとっても収益機会の増加を狙っています。スライド右側に記載のとおり、いずれのモデルも具体的なプロジェクトの実行や提案が進捗しています。
これらの結果を踏まえ、今後注力するモデルの進化や拡大を検討していく予定です。
ここまでの進展を踏まえ、今後の売上拡大や継続成長に繋げていくために必要なこと
ここまでの進展を踏まえ、今後の売上拡大や継続成長につなげていくために必要なことを整理しました。
DIの強みでありコアバリューである新規事業プロジェクトは、年単位で区切りを迎えることが多く、大型顧客化しても継続しにくいという特性があります。DIの事業規模を拡大することは、この影響を一定程度低減する効果がありますが、さらなる影響低減に向けて大型顧客の多数化に努めます。
顧客に寄り添い、複数の案件で支援していきます。これまでの新規事業戦略に加えて、ビジネスプロデュース・インストレーションやT&Aの両サービスラインを軸に、既存事業に対する課題理解を深め、サービスラインを超えた包括的支援につなげていきます。そのために、1つの顧客に複数のシニアメンバーを配置し、幅広いニーズ把握ができる体制を整えます。
1案件の規模・収益力を拡大していきます。事業立ち上げや変革の前段階の支援から、立ち上げ・変革後までを支援します。1つの取り組みで長期にコミットすることを通じて、規模を拡大していきます。
DIが先導・主体となったほうがよい取り組みについては、顧客とのWin-Win関係が保たれる範囲で、DIが主体的にリスクをとるかたちで高い収益を実現していきたいと考えています。
ビジネスプロデュース事業の2025年3月期着地見通し
2025年3月期の着地見通しです。ここまでの進捗を鑑みると、計画比での売上は52億円から60億円程度、親会社株主帰属当期純利益はマイナス6億円からプラス2億円程度の着地になると見込んでいます。人員数は、育成強化フェーズに移行していることも踏まえて180名前後を見込んでいます。
株主還元
株主還元についてです。中期経営計画期間中に、「総額100億円の株主還元を実行する」とお約束しました。すでに2023年3月期に20億円の期末配当を実施し、2024年3月期には12億円の期末配当と28億円の自己株式取得を実施しました。
2025年3月期は、今年5月の公表どおり中間配当を10億円で確定とし、残り30億円は全額を期末配当とすることにしました。来期以降の具体案は検討中ですが、基本的にはビジネスプロデュースの安定収益基盤化を進め、しっかりと安定的な還元ができるかたちにしていきたいと考えています。
上期までの振り返りと今後に向けて
上期までの振り返りと今後に向けた総括です。構造改革で目指したビジネスプロデュースの拡張は着実に進み、ここ3年で売上は約2倍、ビジネスプロデューサー数は約3倍の水準にまで達することができました。
ただ、今年度は大型プロジェクトの終了も重なり、計画未達の見込みとなった点は厳に受け止めなければならないと思っています。新規事業支援はDIの大きな差別化であり強みですが、プロジェクトの継続性が相対的に読みにくいことが収益の振れに影響しています。
顧客の包括的支援、1案件の規模・収益力拡大による大型顧客の多数化にスピード感を持って取り組んでいき、安定的な収益源の確保と将来の予見性を高めていきたいと思います。
しかしながら、中長期の成長への手応えは十二分に感じているところです。DI全体の規模を拡大したことにより、顧客向け提案の幅やメンバーのアサインについて柔軟に対応できるようになり、新しい機会に取り組めるようになってきました。
新規事業の前段階で必要な新規事業の体制作り、戦略策定後の実現推進リソース・知見充足、既存事業の変革を必要としている顧客支援への重点的な取り組みなど、定常的なテーマも多い領域で、DIの安定的な収益力の強化につながると考えています。
加えて、採用してきた「人員」が、今後「人材」に成長していけば、将来大きな飛躍ができる見込みです。そのためにも、参画してくれたメンバーの育成に力を入れています。
挑戦者である顧客の枠を超えたチャレンジを、これまで以上のコミットで支援していき、その数を増やすことで、「社会を変える 事業を創る。」というミッションの実現に向けて邁進していきたいと思います。
質疑応答:人員数の計画について
質問者:人員計画196名に対し、人員数180名の着地を見込んでいるとのことでした。計画以下の見込みなのは、計画どおりの売上に届いていないことが理由でしょうか? 中長期成長の手応えがあるのであれば、人員増を継続する方向性もあると思いますが、そのあたりのお考えを教えてください。
三宅:基本的には、おっしゃるとおりです。売上のペースとのバランスをとるため、多少調整を行いました。ただし、方向性を変えたわけではなく、売上とのバランスを常に意識しながら、事業拡大のための人員増は今後も継続していく考えです。
質疑応答:成長鈍化の深刻度合いについて
質問者:四半期別の売上は成長鈍化にも見えますが、深刻さの度合いを教えてください。
三宅:月単位ではどうしてもでこぼこがありますので、四半期別で成長鈍化に見えるタイミングもあります。ただし、年度の売上の積み上げペースは昨年を上回っていますし、下期偏重であるという弊社の特性を踏まえれば成長トレンドは変わっていないと考えています。
事業創造に対するニーズも旺盛にありますので、引き続きこのまま進めていきたいと思っています。
質疑応答:大型顧客多数化の方策について
質問者:大型顧客の多数化を進めていくとのことですが、実現するための方策を教えてください。競合も多い中で、どのようにして選ばれていくのでしょうか?
三宅:これまでは、DIの強みをフックに顧客層の拡大に努めてきました。「交渉力、ビジネスモデリング力、仲間作り力、政策連携力」がDIのコアの強みだと思っています。最近は、これに加えて、産業レベルのアプローチや、地方自治体との接点の多さ、事業の手触り感などが顧客から評価されることも多くなっています。
世の中は戦略以上に「実行」が難しくなっていると感じており、どれだけ実行に戦略変数を持てるかという勝負になっていることがその背景です。
DIが新規事業で培ってきた「枠を超える」というアプローチはこのニーズに非常にマッチしています。すでに先進的な顧客はそこに注目して我々を選んでいただいていますので、今後、既存事業を変革していくような分野でも非常に期待できると考えています。
質疑応答:来期以降の株主還元策について
質問者:株主還元について、来期以降の方針を教えてください。
三宅:大枠の方針としては、ビジネスプロデュースの安定収益基盤化を進め、その収益から安定的に配当したいと考えています。加えて、インキュベーションで回収があった場合には、状況に応じて適宜追加の還元を検討していきたいと思っています。
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