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橋本総業HD Research Memo(2):取引先と強く結び付いたバリューチェーンを形成

配信元:フィスコ
投稿:2023/09/15 14:12
*14:12JST 橋本総業HD Research Memo(2):取引先と強く結び付いたバリューチェーンを形成 ■会社概要

1. 会社概要
橋本総業ホールディングス<7570>は管工機材・住宅設備機器の1次卸である。水回りに強く、管材や衛生陶器・金具、住宅設備機器、空調機器・ポンプなどの住設・建設関連資材を大手有力メーカーなどから仕入れ、全国の2次卸や工事店、ゼネコンなどへ向けて販売している。1次卸として在庫機能や情報機能、配送機能を十分に生かすことで、メーカーや2次卸など取引先と強く結び付いたバリューチェーン※を形成していることが特長である。近年は、取引先からの要望が多い電材や建材、海外向けなど新たな領域への進出も加速している。

※川上から川下までが一体となった、商流・物流・情報流それぞれに高い付加価値のある流通。


同社は、1890年に橋本久次郎(はしもときゅうじろう)氏が神田岩本町にパイプや継手などを販売する個人商店を開業したことが始まりで、同氏が130年以上にわたる歴史を持つ老舗管工機材商としての基礎を創った。二代目の政次郎(まさじろう)氏は製造卸としてカタログ販売や自社製品の製造を行い、戦後に同社を引き継いだ三代目の政雄(まさお)氏はメーカーの特約店として商売を広げた。そして、現社長である四代目の政昭氏は、「ベストパートナー」としてメーカーや販売先など取引先の満足を向上させるとともに、地域密着営業やM&A、IT技術、システムの活用、海外や新分野への進出、ESG活動など、新たな時代に対応した経営を積極的に推進している。


県別の営業体制で全国をフルカバー
2. グループ体制
同社グループは、持株会社の同社及び橋本総業(株)など連結子会社11社、関連会社5社により構成されている(2023年7月末時点)。このうち橋本総業は、全国に45の営業拠点(本社のほか31支店、12営業所)及び5つの配送センターを擁する最大の子会社である。その他子会社としては、大明工機(株)が全国に12拠点、若松物産(株)が愛知県に2拠点、(株)大和が大阪府に1拠点、(株)永昌洋行が福岡県に2拠点、(株)ムラバヤシが青森県に2拠点、みらい物流(株)が1拠点、みらいエンジニアリング(株)が2拠点を展開している。また、橋本総業(株)の特需部門を統合した橋本総業ファシリティーズ(株)が4拠点、子会社化した山陰セキスイ商事(株)が4拠点となっている。このように県別の営業体制で全国をフルカバーするとともに、工事現場や販売店に密着することで地域のニーズを的確に汲み取り、シェアの拡大につなげている。同社発祥の関東から東海にかけて比較的拠点が充実していることから、関西など西日本方面で拠点拡張の余地が残されていると言える。

各社とも管材類、衛生陶器・金具類、住宅設備機器類、空調機器・ポンプの販売を主たる業務としているが、それぞれに特長がある。橋本総業はオールマイティな品ぞろえと機能を持ち、グループのリーダー格であり成長のけん引役でもある。大明工機は創業70年以上にわたる歴史があり、各種プラント用機器・装置の専門商社としてエンジニアリング産業の一翼を担っている。自動弁の組み立てや各種メンテナンスなど独自の技術を有し、あらゆる産業プラントの環境改善・省エネに貢献することができる。若松物産は空調設備の販売及び施工、大和は関西エリアで鋼管の販売、永昌洋行とムラバヤシは強固な地盤を生かし、地域に密着した営業を展開している。同社と隣接業界の建材商社トップであるJKホールディングス株式会社<9896>は、経営資源・ノウハウの相互活用、営業面などの協力体制の構築を目的に両社の主要事業会社の橋本総業株式会社とジャパン建材株式会社において、業務提携をしている。2021年3月期には子会社のみらい物流とみらいエンジニアリングの活動開始、HASHIMOTOSOGYO(THAILAND)CO.,LTD.の設立、オーテック<1736>との業務提携など、2023年3月期には橋本総業ファシリティーズの設立、山陰セキスイ商事の子会社化など、グループの動きが活発化している。


新たなグループ企業で事業領域を拡大
3. 新たなグループ企業
同社の営業ルートは主に2次卸や工事店を販売先とするルート営業部門と、ゼネコンやサブコン、住宅メーカー向けの特需営業部門に分けられる。特需部門は売上高全体の10%ほどを占め、管材や住宅設備機器といった資材を販売するだけでなく、施工や現場管理の提案・対応、鋼管や樹脂管の切断・加工など、建築工事における幅広いニーズに対応している。こうしたニーズにはサブコン向けの配管資材や鋼管などの販売に強みを持つ大和や、橋本総業の各地特需部門がそれぞれ対応していたが、拡大の余地が大きい領域であることから、2020年9月に大和と橋本総業関西特需部を統合し、関西地区の特需部門強化を図った。また、2023年1月には特需部門の一層の事業成長と意思決定の迅速化を目的に橋本総業ファシリティーズを設立、同年4月に橋本総業(株)の特需部門を統合・承継した。橋本総業ファシリティーズは成長を加速し、2026年3月期に売上高200億円、経常利益8億円を目指す方針である。

同社は山陰セキスイ商事をM&A、2023年7月に子会社化した。積水化学工業<4204>の子会社だったが、住宅設備など化学以外の売上が約20億円あり、同社の西日本を強化するニーズと合致していたためM&Aが成立した。山陰には山陰営業所があるが、当面、協業する方針である。ほかに、2023年4月に、M&Aによりシンクタンク事業やコンサルティング事業を行う(株)日本政策総研を非連結子会社とした。新たなネットワークを形成し、情報発信や公共コンサルを通じてビジネスの多角化を図るとともに、政策・制度提案といった社会貢献等でシナジー効果を見込んでいる。

同社は2020年7月にHASHIMOTO SOGYO(THAILAND)CO.,LTD.を設立し、タイに進出した。当初は住設商品の施工販売による事業拡大を目指したが、コロナ禍によって販売先の事業が縮小しながらも、富裕層物件のリノベーション、物件引き渡し直前に行うQC(Quality Control)のサービスが好評となっている。また、同社はタイに本社がある図面製作会社SHOH PLANNING社と提携して積算・設計事業に乗り出した。もともと積算や設計は中国で行われることが多かったが、中国の人件費が高騰していることを受け、東南アジア、なかでも教育水準の高いタイに同社は白羽の矢を立てた。SHOH PLANNING社は橋本総業ファシリティーズと連携して、取引先からの受注を元にSHOH PLANNINGが作成した設計図により橋本総業ファシリティーズに加工を指示、橋本総業ファシリティーズがプレカットして現場に送るというバリューチェーンを構築した。卸売専業でやってきた同社にとって卸売業以外の新たなサービス領域への進出ということになり、また橋本総業ファシリティーズにとっては大きな差別化ポイントとなった。このほか、タイで最も歴史のある国立大学のチュラロンコン大学と産学連携協定締結した。卒業生を対象にインターンなどを実施して人材の獲得につなげ、HASHIMOTO SOGYO(THAILAND)CO.,LTD.がタイで手掛ける住設事業や、SHOH PLANNING社連携の積算・設計事業を強化する考えである。なお、SHOH PLANNINGはナコンシータマラートに南部支店を開設した模様である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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配信元: フィスコ
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