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ノムラシステムコーポレーションのニュース
*13:01JST ノムラシステム Research Memo(1):2023年12月期は大幅増益、人件費が利益圧迫も中期的拡大に期待
■業績動向
ノムラシステムコーポレーション<3940>は1986年2月に設立以来、企業のオープン化コンサルティング業務、それに関連するソリューション提供業務などを展開し、発展を遂げてきた。ITが急速に進化する時代の流れに乗り、ソフトウェア設計・制作請負中心の事業構造から、ERP(Enterprise Resource Planning:基幹系統合システム)パッケージ導入におけるコンサルティング業務に経営資源をシフトしている。同社が注力している次世代戦略事業部では、ライセンス販売を積み重ねており、それをベースにシステム更新需要等で安定的に収益を上げるビジネスのストック化を目指す。ストックビジネスが増えれば、業績が着実に向上するシナリオが描けるためだ。同社は国内ERP市場について年平均成長率8%と堅調に推移すると見ており、クラウド市場やビッグデータ市場の拡大も見込んでいる。コンサルティング企業として同社の成長余地は大きいと弊社は考えている。
同社は、SAP導入コンサルティング、SAP保守サポートセンター運営、Webシステム開発コンサルティング、情報サイトコンサルティングなどを展開している。2001年にドイツのソフトウェア開発企業SAPとサービスパートナー契約を結んだことが、同社が飛躍するきっかけとなった。2009年にはSAPのチャネル・パートナーとなり、SAP ERPのスペシャリスト集団として収益を伸ばした。2016年9月に東京証券取引所(以下、東証)JASDAQ市場への上場を果たし、2018年3月には同2部市場に上場した。同年6月には1部市場に指定替えとなり、2022年4月の東証市場再編では最上位のプライム市場に上場した。その後は国内ユーザーに寄り添ったビジネスを行うために2023年10月20日付でスタンダード市場に移行した。企業プレゼンスを上げたことにより、信頼度が高まり受注が拡大している。
2023年12月期決算は、売上高が2,946百万円(前期比9.3%増)、営業利益が464百万円(同32.0%増)、経常利益466百万円(同25.5%増)、当期純利益360百万円(同40.6%増)となった。期初の計画数値である売上高2,750百万円、営業利益275百万円、経常利益275百万円、当期純利益187百万円との減益予想から、一転して大幅増益の着地となった。
受注は順調に推移した。電力関係の大口案件を直接契約で受注したほか、大手テレビ局グループから受注したSAP S/4HANA導入プロジェクトが引き続き貢献。2020年11月から開始したこのプロジェクトは、納入期限までに完了し、同社の強みであるプロジェクト成功率100%を具現する形となっている。業界では納期どおりに終わるケースは稀で、通常であれば1~2年の遅れが生じるため、期限どおり納入は同社の信頼度を高める結果となった。
総じて見ると、プライム※案件にシフトする一方、既存のFIS(Function Implement Service)が減少する傾向が続いている。FIS案件は外注コストがかかるため売上高全体は伸びが鈍化したものの、近年では利益率が改善傾向にある。全体の売上高に占めるプライム比率は従来35%前後だったが、直近では約40%に上昇した。こうした直接的な受注の増加が顕著となったことで利益率が上昇し、想定数値から上振れる大きな要因になっている。
※クライアントから直接受注し、全工程を同社のコンサルタントが担当する。
一方、次世代戦略事業部のDX事業への先行投資にも力を注いでおり、DX事業への前向きな投資によるコスト上昇が懸念要因ではあるが、今後の成長につながるため不安材料とはならない。とりわけ、この業界では人材育成、確保が重要な課題であり、事業を拡充するための人材投資の活発化が目先の利益を圧迫する要因になるものの、これは中期的に成長する効果をもたらすことになりそうだ。
今後も利益率向上を図るために、プライム案件、準プライム案件の比重をさらに高める方針だ。従来型のFIS案件のように、プライムベンダーから依頼を受け、支援する形で部分的に対応することと比べて、売上総利益率に10ポイントほどの差が生じることから、当面はプライム案件の受注確保が業績向上のカギを握る。
2024年12月期の業績予想は、売上高3,203百万円(前期比8.7%増)と引き続き増収を見込むが、営業利益は324百万円(同30.4%減)、経常利益324百万円(同30.4%減)、当期純利益221百万円(同38.5%減)と減益を見込んでいる。
売上高に関しては、引き続きIT投資の需要が旺盛であるため、増加基調が続く。一方、利益面では人材育成と確保に重点を置いていることで、人的資本投資としての給与引き上げによる影響を375百万円見込んでいるという。2023年12月期の営業利益率は15.8%で、この水準を維持した場合の営業利益見込み数値は506百万円であり、人材育成費用増加の減益要因を考慮すれば、実質的な利益率は前期よりもアップする可能性が高いという計算が成り立つ。
さらに、足元の受注やプロジェクトの進行が順調となっているほか、保守的に業績予想を開示する傾向があるため、現段階で上方修正の余地は広いと見るべきだ。後述する環境面の要因を背景に、受注は順調な拡大が想定されている。また、5年後の飛躍を見込み、引き続き人材投資に力点を置く考えだ。
収益向上のカギとなるプライム案件は着実に積み上がりそうだ。今後も「高付加価値ソリューションの提供」を目指し、1) 「SAP S/4HANA」のリプレイス需要を取り込むため、SAP認定コンサルタントの資格取得を推進し技術力を強化、2) 「SAP SuccessFactors」拡販のためのクラウドソリューション強化を重点施策とする。さらに、既存のシステムについてクラウドを導入していない企業が多いため、クラウドへの置き換えを進めるといったビジネスチャンスが広がりそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
<SI>
ノムラシステムコーポレーション<3940>は1986年2月に設立以来、企業のオープン化コンサルティング業務、それに関連するソリューション提供業務などを展開し、発展を遂げてきた。ITが急速に進化する時代の流れに乗り、ソフトウェア設計・制作請負中心の事業構造から、ERP(Enterprise Resource Planning:基幹系統合システム)パッケージ導入におけるコンサルティング業務に経営資源をシフトしている。同社が注力している次世代戦略事業部では、ライセンス販売を積み重ねており、それをベースにシステム更新需要等で安定的に収益を上げるビジネスのストック化を目指す。ストックビジネスが増えれば、業績が着実に向上するシナリオが描けるためだ。同社は国内ERP市場について年平均成長率8%と堅調に推移すると見ており、クラウド市場やビッグデータ市場の拡大も見込んでいる。コンサルティング企業として同社の成長余地は大きいと弊社は考えている。
同社は、SAP導入コンサルティング、SAP保守サポートセンター運営、Webシステム開発コンサルティング、情報サイトコンサルティングなどを展開している。2001年にドイツのソフトウェア開発企業SAP
2023年12月期決算は、売上高が2,946百万円(前期比9.3%増)、営業利益が464百万円(同32.0%増)、経常利益466百万円(同25.5%増)、当期純利益360百万円(同40.6%増)となった。期初の計画数値である売上高2,750百万円、営業利益275百万円、経常利益275百万円、当期純利益187百万円との減益予想から、一転して大幅増益の着地となった。
受注は順調に推移した。電力関係の大口案件を直接契約で受注したほか、大手テレビ局グループから受注したSAP S/4HANA導入プロジェクトが引き続き貢献。2020年11月から開始したこのプロジェクトは、納入期限までに完了し、同社の強みであるプロジェクト成功率100%を具現する形となっている。業界では納期どおりに終わるケースは稀で、通常であれば1~2年の遅れが生じるため、期限どおり納入は同社の信頼度を高める結果となった。
総じて見ると、プライム※案件にシフトする一方、既存のFIS(Function Implement Service)が減少する傾向が続いている。FIS案件は外注コストがかかるため売上高全体は伸びが鈍化したものの、近年では利益率が改善傾向にある。全体の売上高に占めるプライム比率は従来35%前後だったが、直近では約40%に上昇した。こうした直接的な受注の増加が顕著となったことで利益率が上昇し、想定数値から上振れる大きな要因になっている。
※クライアントから直接受注し、全工程を同社のコンサルタントが担当する。
一方、次世代戦略事業部のDX事業への先行投資にも力を注いでおり、DX事業への前向きな投資によるコスト上昇が懸念要因ではあるが、今後の成長につながるため不安材料とはならない。とりわけ、この業界では人材育成、確保が重要な課題であり、事業を拡充するための人材投資の活発化が目先の利益を圧迫する要因になるものの、これは中期的に成長する効果をもたらすことになりそうだ。
今後も利益率向上を図るために、プライム案件、準プライム案件の比重をさらに高める方針だ。従来型のFIS案件のように、プライムベンダーから依頼を受け、支援する形で部分的に対応することと比べて、売上総利益率に10ポイントほどの差が生じることから、当面はプライム案件の受注確保が業績向上のカギを握る。
2024年12月期の業績予想は、売上高3,203百万円(前期比8.7%増)と引き続き増収を見込むが、営業利益は324百万円(同30.4%減)、経常利益324百万円(同30.4%減)、当期純利益221百万円(同38.5%減)と減益を見込んでいる。
売上高に関しては、引き続きIT投資の需要が旺盛であるため、増加基調が続く。一方、利益面では人材育成と確保に重点を置いていることで、人的資本投資としての給与引き上げによる影響を375百万円見込んでいるという。2023年12月期の営業利益率は15.8%で、この水準を維持した場合の営業利益見込み数値は506百万円であり、人材育成費用増加の減益要因を考慮すれば、実質的な利益率は前期よりもアップする可能性が高いという計算が成り立つ。
さらに、足元の受注やプロジェクトの進行が順調となっているほか、保守的に業績予想を開示する傾向があるため、現段階で上方修正の余地は広いと見るべきだ。後述する環境面の要因を背景に、受注は順調な拡大が想定されている。また、5年後の飛躍を見込み、引き続き人材投資に力点を置く考えだ。
収益向上のカギとなるプライム案件は着実に積み上がりそうだ。今後も「高付加価値ソリューションの提供」を目指し、1) 「SAP S/4HANA」のリプレイス需要を取り込むため、SAP認定コンサルタントの資格取得を推進し技術力を強化、2) 「SAP SuccessFactors」拡販のためのクラウドソリューション強化を重点施策とする。さらに、既存のシステムについてクラウドを導入していない企業が多いため、クラウドへの置き換えを進めるといったビジネスチャンスが広がりそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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