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エコモット Research Memo(3):強みは「つなぐ力」「構築力」「組織力」(1)

配信元:フィスコ
投稿:2020/01/09 15:03
■事業概要

1. 事業内容と売上高構成
エコモット<3987>は、IoTインテグレーション事業の単一セグメントであるが、提供スタイル・ソリューションで売上高を区分している。2019年3月期の売上高(1,611百万円)の内訳は、顧客毎のニーズに対応したIoT導入を支援するデータコレクトプラットフォーム「FASTIO」のインテグレーションソリューションが221百万円(構成比13.8%)であった。用途・業種別ソリューションで分かれるパッケージサービスは、建設情報化施工支援ソリューション「現場ロイド」のコンストラクションソリューションが710百万円(同44.1%)、融雪システム遠隔監視ソリューション「ゆりもっと」のモニタリングソリューションが189百万円(同11.8%)、交通事故削減ソリューションである「Pdrive」のGPSソリューションが489百万円(同30.4%)であった。

2. 資本提携と業務提携
IoTシステムの構築は、モノが介在する現実社会とインターネットのサイバー空間をカバーするため、各分野で優位性を持つ企業とのアライアンスが必要となる。同社は、「つなぐ力」「システム構築力」「組織力」などの領域でエッジを効かせた製品やサービスの提供を得意としている。IoTプラットフォームを自社開発しているが、クラウドインフラとしては、アマゾン・ドット・コムのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やマイクロソフトのMicrosoft Azureを利用している。アマゾンからは、札幌に本店を置く企業としては初めてテクノロジーパートナーとして認定された。また、業務・資本提携をしているKDDIとは、「IoTクラウド Standard」の強化、5G等の新技術を活用した通信デバイスの共同開発、KDDI顧客基盤への営業活動強化等により協業している。

(1) テラスカイとの資本・業務提携
アプリケーション分野と関連するテラスカイ<3915>と2016年1月に業務・資本提携を行い、出資を受けた。2019年3月期末の保有株式比率は1.4%、第8位の株主になる。テラスカイは、同社のIoTソリューションをクラウド・インテグレーションシステムに活用している。

(2) KDDIとの資本・業務提携
2019年1月に、KDDIとの関係強化による法人向けIoTビジネスの拡大を目的に、資本・業務提携を行った。KDDIは、同社株の21.0%を取得して第2位株主となり、2019年6月にKDDIのビジネスIoT推進本部副本部長の柿嶋憲(かきしまけん)氏が同社の社外取締役に就任した。それ以降、両社の協業の推進力が増している。なお、同社との取引に当たっては市場価格に基づいて価格交渉の上、一般的取引条件と同様に決定している。また、両社の対等かつ良好な関係を志向しており、経営判断・業務執行における自主独立性が尊重されている。

KDDIは、エコモットの創業事業である融雪システム遠隔監視ソリューション「ゆりもっと」の開発時に技術協力をするなど、同社の発展に深く関与してきた。現在注力している建設情報化施工支援ソリューション「現場ロイド」と交通事故削減ソリューション「Pdrive」のパッケージサービスでも、多くのKDDI回線を活用している。また、パートナー企業とのマッチングや顧客紹介の恩恵を受けており、顧客への共同提案も行っている。

今後は、同社の「つなぐ力」と、KDDIの持つ通信、プラットフォーム、アプリケーションの強みを生かし、前述した3つのIoTパッケージサービスに続く新たな業種業界に特化した新規パッケージの共同開発及び共同販売に取り組む。第1ステップとして、「KDDI IoTクラウド Standard」を中心として、安定運用強化と機能拡張により、既存ユーザーへの売上単価アップと新規ユーザーの売上拡大を図る。第2ステップでは、共同開発を直近のLTE・LPWAから5G等の新技術を活用した通信デバイスへと拡大し、「KDDI IoTクラウド Standard」をKDDI IoTプラットフォームの1コンポーネントとして機能させることで、未攻略市場への侵攻と売上単価増を目指す。同時に、同社はセンサーのラインナップを拡充する。KDDIの決算説明会資料のIoT市場に関するページには同社のロゴマークが登場しており、同社の役割が重視されていることがうかがえる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)


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配信元: フィスコ
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