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ALBERT Research Memo(7):ビジネス・アナリティクス市場は年率2ケタ成長が続く見通し

配信元:フィスコ
投稿:2020/07/14 16:07
■ALBERT<3906>の今後の見通し

1. ビジネス・アナリティクス市場の見通し
市場調査会社の調べによると、2018年度国内のビジネス・アナリティクス市場は前年度比13.6%増の2,978億円となり、2026年度まで年率13.8%で成長が続くと見られている。なかでもAI/ディープラーニングを活用したツール・サービスについてはさらに高成長が見込まれており、引き続き金融業や情報通信業、製造業などを中心にAI関連の投資拡大が続くものと予想される。

一方で、こうしたサービスを開発・提供するためのデータサイエンティスト不足は深刻化している。2018年は4.5万人のAI人材の需要があるのに対して、供給数は1.1万人にとどまっており、2020年も8.3万人の需要に対して供給数は3.8万人と需要の伸びに対して供給が追い付かない状況が続く見込みだ。このため、政府によるAI人材の育成計画が始動しているが、AI人材に関する需給ひっ迫感は引き続き多方面で続く見通しだ。同社はデータサイエンティスト育成支援サービスを提供し、同サービスを梃子に新規顧客の獲得も進めていく戦略となっており、今後も市場環境面での追い風が続くと弊社では見ている。


2020年12月期業績は新型コロナウイルス感染症の影響も限定的で、当期純利益を除き2ケタ増収増益となる見通し
2. 2020年12月期の業績見通し
2020年12月期の売上高は前期比24.8%増の2,900百万円、営業利益は同53.0%増の290百万円、経常利益は同49.8%増の290百万円と2ケタ増収増益となる見通しで、唯一、当期純利益のみ同61.1%減の73百万円を見込んでいる。2019年12月期決算において外部機関による調査を実施し、関連費用として190百万円を特別損失として計上することが要因だ。2019年12月期の第4四半期に実施したデータサイエンティスト育成支援事業と受託業務の一部取引について、売上高計上の妥当性に疑義が生じ、外部調査委員会を立て調査を実施した。調査の結果、売上計上要件を満たさないとの指摘があったことから、過年度決算の修正を行うと見られるが、売上金額も小さく(合計57百万円)、影響は軽微と考えられる。同社では再発防止に向けた内部管理体制の強化と役職員への教育に取り組む方針である。

売上高についてはCATALYSTパートナーを中心とした重点顧客との取引深耕を前提に売上成長を見込んでおり、稼働率は75~80%を前提としている。業種別では引き続き重点分野での成長を見込んでいるが、2019年後半にCATALYSTパートナーとなった三井住友FGや日本ユニシス、マクニカ向けプロジェクト開発の受注拡大が期待される。

新たな資本業務提携先の探索は継続しており、提携先間のAI・データシェアリングによる事業創造の検討も進めている。ただ、会社計画には新規提携を機に取り込む案件等による売上を織り込んでおらず、新型コロナウイルス感染症拡大による事業への影響も勘案して着実な事業成長を想定した計画となっている。2020年5月までの新型コロナウイルス感染症の影響について見ると、プロジェクト型サービスのうち現在進行中の受託業務については、リモート環境にて対応可能となっており、影響は出ていない。

一方、自社プロダクトについては、住民の役所等への問い合わせが増加しているほか、受付窓口での非対面でのコミュニケーションの需要が求められるなか、AI・高性能チャットボット「スグレス」の自治体への無償提供を実施している(申込期限は2020年5月29日まで)。提供実績として、福岡県若宮市、兵庫県赤穂市等があり、無償期間終了後に中長期的な取引関係継続に向けた提案を進めていく予定にしている。また、データサイエンティスト育成支援事業については、オンライン形式での講座運営にも対応できる体制に移行しており、影響は出ていない。

なお、同社は新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、2020年4月より厚生省クラスター対策班への分析支援を開始している。7名のチームでビッグデータを収集分析して感染状況の把握と今後の対策に生かしている。今回のプロジェクトは無償ではあるものの、公共分野においてもAIの利活用ニーズはあることから、中長期的な事業性の検討を進めていくとしている。

営業利益の増益要因は、増収効果や稼働率の上昇に加えて、前期に計上した拠点拡大や組織強化に伴う一時的な費用が一巡することも増益要因となる。また、データサイエンティストについては前期末比で50名程度の増員を見込んでいる。このうち、新卒社員で29名を採用しており、残りを中途採用で補充していく。新卒社員は前期の14名から2倍に拡大したが、認知度の向上もあり引き続き高いスキルの人材を確保できたようだ。新卒社員が実際に戦力化するのは下期以降になることを前提としている。リソースが不足しそうな場合は、外部パートナー企業との協業を通じたケーパビリティ拡大によって成長スピードを維持していく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ
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