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フリービットのニュース
■要約
フリービット<3843>は、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)へのインフラ提供やMVNE(Mobile Virtual Network Enabler:仮想移動体通信サービス提供者)としてのMVNO※1への参入支援、バーチャルデータセンター(VDC)※2を中心とするクラウドインフラの提供、インターネット・サービスにおけるコンサルティング、ソリューションなど様々なサービスを、主に法人向けに提供する。また、グループ会社を通じて、個人向けのISPやMVNOサービス、Webマーケティングサービス、集合住宅向けのインターネット関連サービスなどの事業を手掛ける。
※1 Mobile Virtual Network Operatorの略。NTTドコモ<9437>、KDDI<9433>、ソフトバンク<9434>、のような無線通信基盤を有する事業者から回線を借りて独自の通信事業を行う事業者。
※2 データセンターの機能を仮想的に構築し、インターネット上から利用できる仕組みまたはサービス。
2016年9月に連結子会社化した(株)EPARKヘルスケア(現(株)フリービットEPARKヘルスケア(FEH))を核にしてヘルステック事業セグメントをスタート、2017年3月には不動産テック領域進出の足掛かりとして不動産仲介業(株)フォーメンバーズを連結子会社化。2018年9月には総合語学教育サービスを提供する(株)アルクを完全子会社化した。2016年に東証1部に昇格した。
1. 2021年4月期第1四半期の業績動向
2021年4月期第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比0.2%増の13,417百万円、営業利益が同85.3%増の617百万円、経常利益が同105.1%増の586百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が218百万円(前年同期は180百万円の損失)と増収増益となり、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が深刻な期間ではあったが、好調な業績で滑り出した。売上高はほぼ横ばいであったが、セグメント別に明暗が分かれた。成長期にあるヘルステック事業(前年同期比435百万円増)、テレワーク普及が追い風となったインフラテック事業(同153百万円増)や不動産テック事業(同340百万円増)が好調に推移した一方で、エドテック事業(同453百万円減)及びアドテク事業(同439百万円減)はコロナ禍の影響で減収となった。営業利益が前年同期比で80%を超える増加となったのは、主力の不動産テック事業及びヘルステック事業の売上拡大に加え、ヘルステック事業の黒字化の貢献が大きい。
2. 2021年4月期通期の業績見通し
2021年4月期通期の連結業績は、売上高が前期比2.3%減の54,000百万円、営業利益が同26.6%減の1,900百万円、経常利益が同31.5%減の1,700百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が200百万円(前期は619百万円の損失)と減収減益を予想する。第1四半期は好業績で推移したものの、保守的な通期業績予想を据え置いた。保守的な業績予想の背景には、1)コロナ禍の影響が不透明であること、2)中期事業方針「SiLK VISION 2020」が終了し拡大したポートフォリオの構造改革の時期を迎えていること、が挙げられる。コロナ禍の影響に関しては、セグメントにより異なる。インフラテック事業のようにテレワーク普及により追い風となる事業もあれば、エドテック事業の研修サービスのように既にマイナスの影響が出ている事業もある。アドテク事業においては、広告業界全体としてコロナ禍の影響を見極めるために時間を要する見込みである。構造改革は、中期事業方針「SiLK VISION 2020」において獲得した「インフラ」と「プラットフォーム」の両ポートフォリオをwithコロナ時代に合わせ最適化するとともに、人的リソース・技術リソース・保有データなどを最大限に有効活用していくために、ポートフォリオを抜本的に見直す方針だ(後述)。既にヘルステック事業とエドテック事業のオフバランス(連結子会社から外すこと)の方針が発表されており、業績への影響は必至である。前期の2事業の業績は合計で、売上高9,418百万円、営業損失513百万円であった。進行期の事業別の計画は発表されていないが、弊社では一定の増益効果があると見込んでいる。
3. 中長期の成長戦略
「SiLK VISION 2024」の戦略骨子にはいくつかのキーワードがある。「Trusted Internet(安全・安心に〇〇ができる)」「データを軸にしたポートフォリオ運営」「垂直統合or非グループ化」などである。「Trusted Internet(安全・安心に〇〇ができる)」は、これまでも同社が訴求してきた構想ではあるが、ブロックチェーンを活用して、インフラ自体をTrusted化し、新常態を“あんしん”なものにする。既に自動車分野ではブロックチェーンを活用した取り組みが開始されている。「データを軸にしたポートフォリオ運営」は、ビッグデータの高度な活用が、決定的な競争力を生み出す時代に入ったことが背景にある。同社グループにおいては、これまでグループ各社の独自性を優先してきたが、今後はグループ企業間をまたぐデータ連携に積極的に取り組む。グループ企業にまたがる役員人事が増えているのはその一環である。「垂直統合or非グループ化」は、事業領域をコア領域に集中させ、グループを再編する際のアプローチである。同社のコア領域とは「インフラ」と「プラットフォーム」であり、これらをTrusted化することが目指す強みとなる。アプローチは3段階に分かれる。1段階目は、「子会社化と構造改革」、2段階目は「データ連携体制の整備」、そして3段階目が「垂直統合or非グループ化」である。コア領域と親和性が高い事業は垂直統合となり、コア領域と親和性が高くない事業は非グループ化されることになるだろう。既に、事例が出てきている。モバイルに関しては、2019年12月にトーンモバイル事業をカルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)(CCC)グループより承継しており、垂直統合の一事例となる。また、直近ではフリービットEPARKヘルスケアとアルクの株式譲渡が決議されており、非グループ化の事例となるだろう。
■Key Points
・インターネットやモバイルのインフラ提供に強みを持つメガベンチャー。今年度から創業者の石田宏樹(いしだあつき)氏が復帰し、構造改革を断行
・2021年4月期第1四半期は増収増益。テレワーク拡大によりインフラテック事業や不動産テック事業が好調な反面、アドテク事業とエドテック事業はコロナ禍により減速
・2021年4月期は大規模な構造改革が進行中。ヘルステック事業とエドテック事業のオフバランスにより、増収効果が期待できる(弊社予想)
・「SiLK VISION 2024」のキーワードは、「Trusted Internet」と「データを軸にしたポートフォリオ運営」「垂直統合or非グループ化」。ヘルステック(FEH)とエドテック(アルク)の譲渡を決議
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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フリービット<3843>は、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)へのインフラ提供やMVNE(Mobile Virtual Network Enabler:仮想移動体通信サービス提供者)としてのMVNO※1への参入支援、バーチャルデータセンター(VDC)※2を中心とするクラウドインフラの提供、インターネット・サービスにおけるコンサルティング、ソリューションなど様々なサービスを、主に法人向けに提供する。また、グループ会社を通じて、個人向けのISPやMVNOサービス、Webマーケティングサービス、集合住宅向けのインターネット関連サービスなどの事業を手掛ける。
※1 Mobile Virtual Network Operatorの略。NTTドコモ<9437>、KDDI<9433>、ソフトバンク<9434>、のような無線通信基盤を有する事業者から回線を借りて独自の通信事業を行う事業者。
※2 データセンターの機能を仮想的に構築し、インターネット上から利用できる仕組みまたはサービス。
2016年9月に連結子会社化した(株)EPARKヘルスケア(現(株)フリービットEPARKヘルスケア(FEH))を核にしてヘルステック事業セグメントをスタート、2017年3月には不動産テック領域進出の足掛かりとして不動産仲介業(株)フォーメンバーズを連結子会社化。2018年9月には総合語学教育サービスを提供する(株)アルクを完全子会社化した。2016年に東証1部に昇格した。
1. 2021年4月期第1四半期の業績動向
2021年4月期第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比0.2%増の13,417百万円、営業利益が同85.3%増の617百万円、経常利益が同105.1%増の586百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が218百万円(前年同期は180百万円の損失)と増収増益となり、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が深刻な期間ではあったが、好調な業績で滑り出した。売上高はほぼ横ばいであったが、セグメント別に明暗が分かれた。成長期にあるヘルステック事業(前年同期比435百万円増)、テレワーク普及が追い風となったインフラテック事業(同153百万円増)や不動産テック事業(同340百万円増)が好調に推移した一方で、エドテック事業(同453百万円減)及びアドテク事業(同439百万円減)はコロナ禍の影響で減収となった。営業利益が前年同期比で80%を超える増加となったのは、主力の不動産テック事業及びヘルステック事業の売上拡大に加え、ヘルステック事業の黒字化の貢献が大きい。
2. 2021年4月期通期の業績見通し
2021年4月期通期の連結業績は、売上高が前期比2.3%減の54,000百万円、営業利益が同26.6%減の1,900百万円、経常利益が同31.5%減の1,700百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が200百万円(前期は619百万円の損失)と減収減益を予想する。第1四半期は好業績で推移したものの、保守的な通期業績予想を据え置いた。保守的な業績予想の背景には、1)コロナ禍の影響が不透明であること、2)中期事業方針「SiLK VISION 2020」が終了し拡大したポートフォリオの構造改革の時期を迎えていること、が挙げられる。コロナ禍の影響に関しては、セグメントにより異なる。インフラテック事業のようにテレワーク普及により追い風となる事業もあれば、エドテック事業の研修サービスのように既にマイナスの影響が出ている事業もある。アドテク事業においては、広告業界全体としてコロナ禍の影響を見極めるために時間を要する見込みである。構造改革は、中期事業方針「SiLK VISION 2020」において獲得した「インフラ」と「プラットフォーム」の両ポートフォリオをwithコロナ時代に合わせ最適化するとともに、人的リソース・技術リソース・保有データなどを最大限に有効活用していくために、ポートフォリオを抜本的に見直す方針だ(後述)。既にヘルステック事業とエドテック事業のオフバランス(連結子会社から外すこと)の方針が発表されており、業績への影響は必至である。前期の2事業の業績は合計で、売上高9,418百万円、営業損失513百万円であった。進行期の事業別の計画は発表されていないが、弊社では一定の増益効果があると見込んでいる。
3. 中長期の成長戦略
「SiLK VISION 2024」の戦略骨子にはいくつかのキーワードがある。「Trusted Internet(安全・安心に〇〇ができる)」「データを軸にしたポートフォリオ運営」「垂直統合or非グループ化」などである。「Trusted Internet(安全・安心に〇〇ができる)」は、これまでも同社が訴求してきた構想ではあるが、ブロックチェーンを活用して、インフラ自体をTrusted化し、新常態を“あんしん”なものにする。既に自動車分野ではブロックチェーンを活用した取り組みが開始されている。「データを軸にしたポートフォリオ運営」は、ビッグデータの高度な活用が、決定的な競争力を生み出す時代に入ったことが背景にある。同社グループにおいては、これまでグループ各社の独自性を優先してきたが、今後はグループ企業間をまたぐデータ連携に積極的に取り組む。グループ企業にまたがる役員人事が増えているのはその一環である。「垂直統合or非グループ化」は、事業領域をコア領域に集中させ、グループを再編する際のアプローチである。同社のコア領域とは「インフラ」と「プラットフォーム」であり、これらをTrusted化することが目指す強みとなる。アプローチは3段階に分かれる。1段階目は、「子会社化と構造改革」、2段階目は「データ連携体制の整備」、そして3段階目が「垂直統合or非グループ化」である。コア領域と親和性が高い事業は垂直統合となり、コア領域と親和性が高くない事業は非グループ化されることになるだろう。既に、事例が出てきている。モバイルに関しては、2019年12月にトーンモバイル事業をカルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)(CCC)グループより承継しており、垂直統合の一事例となる。また、直近ではフリービットEPARKヘルスケアとアルクの株式譲渡が決議されており、非グループ化の事例となるだろう。
■Key Points
・インターネットやモバイルのインフラ提供に強みを持つメガベンチャー。今年度から創業者の石田宏樹(いしだあつき)氏が復帰し、構造改革を断行
・2021年4月期第1四半期は増収増益。テレワーク拡大によりインフラテック事業や不動産テック事業が好調な反面、アドテク事業とエドテック事業はコロナ禍により減速
・2021年4月期は大規模な構造改革が進行中。ヘルステック事業とエドテック事業のオフバランスにより、増収効果が期待できる(弊社予想)
・「SiLK VISION 2024」のキーワードは、「Trusted Internet」と「データを軸にしたポートフォリオ運営」「垂直統合or非グループ化」。ヘルステック(FEH)とエドテック(アルク)の譲渡を決議
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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