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システム ディのニュース
*15:15JST システム ディ Research Memo(5):公教育ソリューション事業、公会計ソリューション事業が大幅増収に(2)
■業績動向
システム ディ<3804>の2022年10月期の売上高は前期比39.0%増の1,222百万円と過去最高を大幅に更新した。高校向けで北海道、新潟県、愛知県の3道県で新たに導入が決定したことにより、2022年10月末の累計導入校数が前期末比860校増加の3,965校(20道県、4政令指定都市、10中核都市:高校約45%、小・中学校約50%、他幼稚園、特別支援学校等)と大幅に増加したことが増収要因となった。また、全国共通のカスタマイズ項目による利益率の高いフロー売上を計上したこともあり、計画を1割程度上振れする要因となった。公立高校の導入校数は1,700校を超え市場シェアで約5割※1とトップの地位を盤石なものとしている。公立高校で高シェアを確立した背景としては、約10年前に業界で初めてクラウド型校務支援サービスの開発・提供を行ったことが大きい。ほかの自治体は導入実績を見て製品の採用可否を判断する傾向にあり、同社製品の利便性の良さやコストパフォーマンスが評価されたものと考えられる。高校向けについては富山県(52校)も受注し、2023年4月の稼働開始に向け導入が順次進んでいる。一方、小・中学校向けに関しては後発だったこともあり、市場シェアは約6%と業界3~4番手となっている※2。
※1 文部科学省「学校基本調査」(令和4年度)によると、全国の公立高校数は3,489校、小・中学校数は28,015校。
※2 小・中学校向けは(株)EDUCOMが約3割のトップシェアを握る(9,100校超、2022年4月)。
なお、奈良市教育委員会の協力の下で開発を進めてきた保護者向け情報デジタル配信サービス「Home services」は、2021年4月より奈良市の一部の小・中学校向けに「School Engine」のオプション機能として運用を開始した。児童生徒に関する活動情報を学校から保護者にインターネットを通じて直接提供するサービスとなる。同社では奈良市での運用と顧客からの要望を基に機能改修を行いつつ、他の自治体への提案活動を開始した段階となっている。なお、料金については「School Engine」の利用料の2~3割程度を想定している。
文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(令和4年度)」によれば、2022年3月時点における全国の公立学校約3.2万校のうち、統合型校務支援システムを導入済みの学校は81.0%(うち、高校は93.1%)と年々上昇傾向にある。文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」では2022年度までに導入率100%を目標としていたことから、2023年3月時点では9割を超える導入率になっているものと見られる。このため、2023年度以降は新規導入校数の需要が一巡し、更新需要が中心となる見通しだ。同社では更新案件の受注獲得に加えて「Home services」のような新たなソリューションを開発・提供することで、成長を目指す。
(4) 公会計ソリューション事業
公会計ソリューション事業では、地方自治体向けの公会計用ソフト「PPP(トリプルピー)」※や各種ソリューションを提供している。「PPP」は2000年に初期バージョンを開発し、2008年にリリースした「Ver.3」で複式簿記を簡単に実施できる機能を搭載、以降、熟成を重ねながら導入自治体数を拡大してきた。現在は「Ver.5」を提供している。
※「PPP」:自治体会計(現金主義・単式簿記会計)を発生主義・複式簿記に基づいて公会計財務諸表と固定資産台帳を作成する機能を持ち、会計制度の新統一基準に完全対応したソフトウェア製品として業界に先駆けて開発したことで、トップシェアを握るまでに成長した。競合先としては、未上場のジャパンシステム(株)や(株)ぎょうせい、TKC<9746>のほか、各地域に開発ベンダーがある。
2022年10月期の売上高は前期比24.6%増の742百万円と5期ぶりに過去最高売上を更新した。2022年10月末の累計導入自治体・関連団体数が前期末比125団体増加の1,285団体(うち、自治体は30府県、8政令都市を含む900超)となり、自治体における導入シェアも50%を超えている。2022年3月にサービスを終了した国策の競合製品(市場シェア約25%)からのリプレイス需要について、大型案件を中心に想定以上に取り込めたことで導入時のフロー売上が大きく伸長したことによる。ただ、こうした特需は第2四半期までで一巡したことから、下期だけで見ると前年同期比12.3%減と減収に転じた。
(5) ソフトエンジニアリング事業
ソフトエンジニアリング事業では、幅広い業種の民間企業や金融機関、公益法人、学校法人等に、文書・契約書等の管理システム等を開発・販売している。具体的には「規程管理システム」や「契約書作成・管理システム」など社内のコンプライアンスやコーポレートガバナンスの強化を支援するためのソフトウェア製品で、高機能かつコストパフォーマンスに優れている点が高く評価され、ここ数年着実に売上を伸ばしている。
2022年10月期の売上高は前期比7.8%増の282百万円となった。民間企業だけでなく学校法人や金融機関、医療法人等の幅広い業界で顧客開拓が進んだことにより、期末の累計顧客数が前期末比48件増加の595件と順調に拡大したことに加え、既存顧客向けバージョンアップ案件の獲得等が増収要因となった。ここ数年、コンプライアンスやガバナンス強化に取り組む企業が増えていることや、ニッチ市場で競合製品が少ないことも安定した成長につながっていると考えられる。
(6) 薬局ソリューション事業・その他
薬局ソリューション事業は連結子会社のシンクが手掛けている事業で、大阪府内の小規模の独立系調剤薬局に対してレセプトコンピュータ(レセコン)の「GOHL2」/「OKISS」を中心に各種業務システムを提供している。2022年10月末の累計顧客数は前期末比横ばいの1,229店舗となり、売上高は保守サポート収入を中心にここ数年安定して推移している。
テナント収入も含めた2022年10月期の売上高は前期比33.5%増の103百万円となった。新たに始まった薬局へのオンライン資格確認システムの導入支援サービスが増収要因である。オンライン資格確認システムとは、患者がマイナンバーカードを利用して医療機関や薬局を利用する際に、マイナンバーカードの個人情報と加入している医療保険の資格を確認するためのシステムで、顔認証カードリーダーを使って確認を行う。レセプトコンピュータの再設定作業も必要となるため、導入にあたってはレセプトコンピュータを設置したシステム業者が基本的に担当することになる。同システムの導入費用については補助金で大半を賄われており、言わば特需的な位置付けとなる。補助金の申請期限が2023年6月末までとなっているため、2023年10月期でほぼすべての薬局で導入が完了すると見られる(2023年1月29日時点で大阪府内の薬局の登録率は81.8%)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YI>
システム ディ<3804>の2022年10月期の売上高は前期比39.0%増の1,222百万円と過去最高を大幅に更新した。高校向けで北海道、新潟県、愛知県の3道県で新たに導入が決定したことにより、2022年10月末の累計導入校数が前期末比860校増加の3,965校(20道県、4政令指定都市、10中核都市:高校約45%、小・中学校約50%、他幼稚園、特別支援学校等)と大幅に増加したことが増収要因となった。また、全国共通のカスタマイズ項目による利益率の高いフロー売上を計上したこともあり、計画を1割程度上振れする要因となった。公立高校の導入校数は1,700校を超え市場シェアで約5割※1とトップの地位を盤石なものとしている。公立高校で高シェアを確立した背景としては、約10年前に業界で初めてクラウド型校務支援サービスの開発・提供を行ったことが大きい。ほかの自治体は導入実績を見て製品の採用可否を判断する傾向にあり、同社製品の利便性の良さやコストパフォーマンスが評価されたものと考えられる。高校向けについては富山県(52校)も受注し、2023年4月の稼働開始に向け導入が順次進んでいる。一方、小・中学校向けに関しては後発だったこともあり、市場シェアは約6%と業界3~4番手となっている※2。
※1 文部科学省「学校基本調査」(令和4年度)によると、全国の公立高校数は3,489校、小・中学校数は28,015校。
※2 小・中学校向けは(株)EDUCOMが約3割のトップシェアを握る(9,100校超、2022年4月)。
なお、奈良市教育委員会の協力の下で開発を進めてきた保護者向け情報デジタル配信サービス「Home services」は、2021年4月より奈良市の一部の小・中学校向けに「School Engine」のオプション機能として運用を開始した。児童生徒に関する活動情報を学校から保護者にインターネットを通じて直接提供するサービスとなる。同社では奈良市での運用と顧客からの要望を基に機能改修を行いつつ、他の自治体への提案活動を開始した段階となっている。なお、料金については「School Engine」の利用料の2~3割程度を想定している。
文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(令和4年度)」によれば、2022年3月時点における全国の公立学校約3.2万校のうち、統合型校務支援システムを導入済みの学校は81.0%(うち、高校は93.1%)と年々上昇傾向にある。文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」では2022年度までに導入率100%を目標としていたことから、2023年3月時点では9割を超える導入率になっているものと見られる。このため、2023年度以降は新規導入校数の需要が一巡し、更新需要が中心となる見通しだ。同社では更新案件の受注獲得に加えて「Home services」のような新たなソリューションを開発・提供することで、成長を目指す。
(4) 公会計ソリューション事業
公会計ソリューション事業では、地方自治体向けの公会計用ソフト「PPP(トリプルピー)」※や各種ソリューションを提供している。「PPP」は2000年に初期バージョンを開発し、2008年にリリースした「Ver.3」で複式簿記を簡単に実施できる機能を搭載、以降、熟成を重ねながら導入自治体数を拡大してきた。現在は「Ver.5」を提供している。
※「PPP」:自治体会計(現金主義・単式簿記会計)を発生主義・複式簿記に基づいて公会計財務諸表と固定資産台帳を作成する機能を持ち、会計制度の新統一基準に完全対応したソフトウェア製品として業界に先駆けて開発したことで、トップシェアを握るまでに成長した。競合先としては、未上場のジャパンシステム(株)や(株)ぎょうせい、TKC<9746>のほか、各地域に開発ベンダーがある。
2022年10月期の売上高は前期比24.6%増の742百万円と5期ぶりに過去最高売上を更新した。2022年10月末の累計導入自治体・関連団体数が前期末比125団体増加の1,285団体(うち、自治体は30府県、8政令都市を含む900超)となり、自治体における導入シェアも50%を超えている。2022年3月にサービスを終了した国策の競合製品(市場シェア約25%)からのリプレイス需要について、大型案件を中心に想定以上に取り込めたことで導入時のフロー売上が大きく伸長したことによる。ただ、こうした特需は第2四半期までで一巡したことから、下期だけで見ると前年同期比12.3%減と減収に転じた。
(5) ソフトエンジニアリング事業
ソフトエンジニアリング事業では、幅広い業種の民間企業や金融機関、公益法人、学校法人等に、文書・契約書等の管理システム等を開発・販売している。具体的には「規程管理システム」や「契約書作成・管理システム」など社内のコンプライアンスやコーポレートガバナンスの強化を支援するためのソフトウェア製品で、高機能かつコストパフォーマンスに優れている点が高く評価され、ここ数年着実に売上を伸ばしている。
2022年10月期の売上高は前期比7.8%増の282百万円となった。民間企業だけでなく学校法人や金融機関、医療法人等の幅広い業界で顧客開拓が進んだことにより、期末の累計顧客数が前期末比48件増加の595件と順調に拡大したことに加え、既存顧客向けバージョンアップ案件の獲得等が増収要因となった。ここ数年、コンプライアンスやガバナンス強化に取り組む企業が増えていることや、ニッチ市場で競合製品が少ないことも安定した成長につながっていると考えられる。
(6) 薬局ソリューション事業・その他
薬局ソリューション事業は連結子会社のシンクが手掛けている事業で、大阪府内の小規模の独立系調剤薬局に対してレセプトコンピュータ(レセコン)の「GOHL2」/「OKISS」を中心に各種業務システムを提供している。2022年10月末の累計顧客数は前期末比横ばいの1,229店舗となり、売上高は保守サポート収入を中心にここ数年安定して推移している。
テナント収入も含めた2022年10月期の売上高は前期比33.5%増の103百万円となった。新たに始まった薬局へのオンライン資格確認システムの導入支援サービスが増収要因である。オンライン資格確認システムとは、患者がマイナンバーカードを利用して医療機関や薬局を利用する際に、マイナンバーカードの個人情報と加入している医療保険の資格を確認するためのシステムで、顔認証カードリーダーを使って確認を行う。レセプトコンピュータの再設定作業も必要となるため、導入にあたってはレセプトコンピュータを設置したシステム業者が基本的に担当することになる。同システムの導入費用については補助金で大半を賄われており、言わば特需的な位置付けとなる。補助金の申請期限が2023年6月末までとなっているため、2023年10月期でほぼすべての薬局で導入が完了すると見られる(2023年1月29日時点で大阪府内の薬局の登録率は81.8%)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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