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ユニリタのニュース
■決算動向
1. 2021年3月期上期決算の概要
ユニリタ<3800>の2021年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比0.9%減の4,836百万円、営業利益が同53.7%減の208百万円、経常利益が同43.6%減の313百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同5.3%減の339百万円と、コロナ禍の影響等により期初予想を下回る減収減益となった。
売上高は、注力する「クラウド事業」が伸長し、「メインフレーム事業」も堅調に推移したものの、コロナ禍の影響を受けた「プロダクト事業」及び「ソリューション事業」(特に、技術支援サービス)が落ち込んだことで減収となった。
損益面でも、減収による収益の下押しに加え、「ソリューション事業」における稼働低下や不採算案件の発生が売上原価率の悪化を招くとともに、コロナ対応(リモートワーク環境整備や在宅勤務手当等)に伴う販管費の増加により営業減益となった。営業利益率も4.3%(前年同期は9.2%)に低下している。もっとも、withコロナでのニューノーマル(新常態)を見据え、ステークホルダー(顧客、パートナー、従業員、採用予定者等)との信頼関係の維持を重視し、1)短期的視点によるコスト対策を行わないこと、2)これまで取り組んできた社内の働き方改革をさらに進めていくこと、を基本方針としており、この点は持続的な成長可能性の観点から評価すべきだろう。また、目標としていた「クラウド事業」の黒字化を達成したことも、今後の収益力強化に向けて明るい材料と言える。なお、保有資産の効率化を図るため、保有上場企業(1銘柄)を売却したことにより、特別利益193百万円を計上している。
財政状態については、「現金及び預金」の減少や「投資有価証券」の売却等により総資産は前期末比0.5%減の14,657百万円に減少した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同1.8%増の11,236百万円に増加したことから、自己資本比率は76.7%(前期末は74.9%)に上昇した。なお、「現金及び預金」は7,865百万円を確保している上、流動比率も296.8%と高水準を維持しており、財務の安全性に懸念はない。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) クラウド事業
売上高は前年同期比30.3%増の552百万円、セグメント利益は2百万円(前年同期は26百万円の損失)と増収増益により黒字化を実現した。クラウドサービス利用ニーズが高まるなか、サービスマネジメント、リモートワーク基盤構築、バックオフィス業務効率化などの主力サービスが伸長した。特に、「LMIS」(統合的なサービスマネジメントのプラットフォーム)及び「infoScoop×Digital Workforce」(業界で初めてセキュリティ機能を実装したリモートワーク基盤)を始め、「DigiSheet」(SaaS型勤怠管理サービス)、「らくらくBOSS」(経費業務管理サービス)の4サービスがそれぞれ同社の強みを活かして順調に伸びている。また、アイネットと共同で推進する「ユニリタクラウドサービス」についても、自動化、帳票、データ連携の既存製品のサービス化等に伴って、まだ小規模ながら大きく成長してきた。利益面でも、増収により損益分岐点を上回り、目標としていた黒字化を実現したところは、今後の収益力強化に向けて評価すべきポイントと言える。
(2) プロダクト事業
売上高は前年同期比9.1%減の1,355百万円、セグメント利益は同49.2%減の80百万円と減収減益となった。既存ユーザ向けの直販営業及びストック型収入である保守サービスの売上については堅調に推移したものの、製品群の中でパートナー販売依存度が高い製品における新規ユーザ向け販売(新規ライセンス販売)が伸び悩んだことや、前期にあった帳票系大型案件の反動減、コロナ禍で人の移動が制限されるなかで地方交通事業者向けのIoTサービス事業が苦戦したことで減収となった。利益面でも、減収に伴う収益の下押しや新規事業への先行投資により減益となった。
(3) ソリューション事業
売上高は前年同期比10.2%増の1,118百万円、セグメント損失は109百万円(前年同期は14百万円の利益)と増収ながら減益となり、セグメント損失を計上した。顧客ビジネスのDX化を支援するコンサルティングサービスを手掛ける子会社2社((株)ビーエスピーソリューションズ、(株)データ総研)の業績が伸長したほか、子会社の(株)無限とともに共同受注したソリューション案件が増収に寄与した。しかしながら、プロダクト事業(新規ライセンスの販売)の伸び悩みに伴う技術支援サービスの落ち込みや、不採算案件対応による機会損失などが減収の要因となった。損益面でも、技術支援サービスの稼働低下や不採算案件の発生により減益となった。
(4) メインフレーム事業
売上高は前年同期比2.6%減の996百万円、セグメント利益は同1.1%減の522百万円となった。金融機関などをはじめとする大手企業のシステム更新ニーズを確実に捉えて堅調に推移した。
(5) システムインテグレーション事業
売上高は前年同期比12.2%減の812百万円、セグメント利益は同93.3%増の35百万円となった。コロナ禍のもと、受注面ではIT投資抑制の影響を受けたものの、利益面ではコアパートナーとの連携強化や選別受注により利益率が向上した。
2. 2021年3月期上期の総括
以上から、2021年3月期上期の業績を総括すると、コロナ禍の影響等により期初予想を下回る減収減益となったところはマイナス材料となったものの、注力するクラウドサービスが順調に伸び、損益分岐点を上回ってきたことや、既存製品(プロダクト事業)の一部でサービス化が進んできたことなどは、同社の目指す「事業構造の変革」に向けた着実な成果として評価することができるだろう。また、コロナ禍の影響を受けながらも、新たな領域への取り組み(詳細は後述)を積極的に展開したことや、これまで取り組んできた働き方改革などの内部施策についても、コロナ禍の下でスムーズに移行・運営できているところは、今後の環境変化(ニューノーマル)への対応に向けて注目すべきポイントと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<YM>
1. 2021年3月期上期決算の概要
ユニリタ<3800>の2021年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比0.9%減の4,836百万円、営業利益が同53.7%減の208百万円、経常利益が同43.6%減の313百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同5.3%減の339百万円と、コロナ禍の影響等により期初予想を下回る減収減益となった。
売上高は、注力する「クラウド事業」が伸長し、「メインフレーム事業」も堅調に推移したものの、コロナ禍の影響を受けた「プロダクト事業」及び「ソリューション事業」(特に、技術支援サービス)が落ち込んだことで減収となった。
損益面でも、減収による収益の下押しに加え、「ソリューション事業」における稼働低下や不採算案件の発生が売上原価率の悪化を招くとともに、コロナ対応(リモートワーク環境整備や在宅勤務手当等)に伴う販管費の増加により営業減益となった。営業利益率も4.3%(前年同期は9.2%)に低下している。もっとも、withコロナでのニューノーマル(新常態)を見据え、ステークホルダー(顧客、パートナー、従業員、採用予定者等)との信頼関係の維持を重視し、1)短期的視点によるコスト対策を行わないこと、2)これまで取り組んできた社内の働き方改革をさらに進めていくこと、を基本方針としており、この点は持続的な成長可能性の観点から評価すべきだろう。また、目標としていた「クラウド事業」の黒字化を達成したことも、今後の収益力強化に向けて明るい材料と言える。なお、保有資産の効率化を図るため、保有上場企業(1銘柄)を売却したことにより、特別利益193百万円を計上している。
財政状態については、「現金及び預金」の減少や「投資有価証券」の売却等により総資産は前期末比0.5%減の14,657百万円に減少した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同1.8%増の11,236百万円に増加したことから、自己資本比率は76.7%(前期末は74.9%)に上昇した。なお、「現金及び預金」は7,865百万円を確保している上、流動比率も296.8%と高水準を維持しており、財務の安全性に懸念はない。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) クラウド事業
売上高は前年同期比30.3%増の552百万円、セグメント利益は2百万円(前年同期は26百万円の損失)と増収増益により黒字化を実現した。クラウドサービス利用ニーズが高まるなか、サービスマネジメント、リモートワーク基盤構築、バックオフィス業務効率化などの主力サービスが伸長した。特に、「LMIS」(統合的なサービスマネジメントのプラットフォーム)及び「infoScoop×Digital Workforce」(業界で初めてセキュリティ機能を実装したリモートワーク基盤)を始め、「DigiSheet」(SaaS型勤怠管理サービス)、「らくらくBOSS」(経費業務管理サービス)の4サービスがそれぞれ同社の強みを活かして順調に伸びている。また、アイネットと共同で推進する「ユニリタクラウドサービス」についても、自動化、帳票、データ連携の既存製品のサービス化等に伴って、まだ小規模ながら大きく成長してきた。利益面でも、増収により損益分岐点を上回り、目標としていた黒字化を実現したところは、今後の収益力強化に向けて評価すべきポイントと言える。
(2) プロダクト事業
売上高は前年同期比9.1%減の1,355百万円、セグメント利益は同49.2%減の80百万円と減収減益となった。既存ユーザ向けの直販営業及びストック型収入である保守サービスの売上については堅調に推移したものの、製品群の中でパートナー販売依存度が高い製品における新規ユーザ向け販売(新規ライセンス販売)が伸び悩んだことや、前期にあった帳票系大型案件の反動減、コロナ禍で人の移動が制限されるなかで地方交通事業者向けのIoTサービス事業が苦戦したことで減収となった。利益面でも、減収に伴う収益の下押しや新規事業への先行投資により減益となった。
(3) ソリューション事業
売上高は前年同期比10.2%増の1,118百万円、セグメント損失は109百万円(前年同期は14百万円の利益)と増収ながら減益となり、セグメント損失を計上した。顧客ビジネスのDX化を支援するコンサルティングサービスを手掛ける子会社2社((株)ビーエスピーソリューションズ、(株)データ総研)の業績が伸長したほか、子会社の(株)無限とともに共同受注したソリューション案件が増収に寄与した。しかしながら、プロダクト事業(新規ライセンスの販売)の伸び悩みに伴う技術支援サービスの落ち込みや、不採算案件対応による機会損失などが減収の要因となった。損益面でも、技術支援サービスの稼働低下や不採算案件の発生により減益となった。
(4) メインフレーム事業
売上高は前年同期比2.6%減の996百万円、セグメント利益は同1.1%減の522百万円となった。金融機関などをはじめとする大手企業のシステム更新ニーズを確実に捉えて堅調に推移した。
(5) システムインテグレーション事業
売上高は前年同期比12.2%減の812百万円、セグメント利益は同93.3%増の35百万円となった。コロナ禍のもと、受注面ではIT投資抑制の影響を受けたものの、利益面ではコアパートナーとの連携強化や選別受注により利益率が向上した。
2. 2021年3月期上期の総括
以上から、2021年3月期上期の業績を総括すると、コロナ禍の影響等により期初予想を下回る減収減益となったところはマイナス材料となったものの、注力するクラウドサービスが順調に伸び、損益分岐点を上回ってきたことや、既存製品(プロダクト事業)の一部でサービス化が進んできたことなどは、同社の目指す「事業構造の変革」に向けた着実な成果として評価することができるだろう。また、コロナ禍の影響を受けながらも、新たな領域への取り組み(詳細は後述)を積極的に展開したことや、これまで取り組んできた働き方改革などの内部施策についても、コロナ禍の下でスムーズに移行・運営できているところは、今後の環境変化(ニューノーマル)への対応に向けて注目すべきポイントと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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