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ユニリタ Research Memo(1):注力するクラウドサービスの伸長や、新領域への取り組みで今後に向けて一定の成果

配信元:フィスコ
投稿:2020/12/08 15:11
■要約

1. 会社概要
ユニリタ<3800>は、金融や製造を始め、幅広い業種向けにITシステムの運用管理を行うパッケージソフトウェア及びデータ活用ソリューションの開発・販売・サポートを手掛けている。ITの役割が「守り」(業務効率化やコスト削減等)から「攻め」(ビジネスの競争優位性を実現する手段)へ変化するなか、「システム運用」と「データ活用」領域における強みを活かし、デジタル変革(DX)に取り組む企業の業務課題を直接解決するソリューション提供力を発揮してきた。最近では、サービスモデルの強化(既存製品のクラウド化によるサブスクリプションモデルへの転換)やデジタル技術を活用した社会課題解決(働き方改革や地方創生、一次産業活性化)などにも取り組んでいる。

2. 2021年3月期上期決算の概要
2021年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比0.9%減の4,836百万円、営業利益が同53.7%減の208百万円と期初予想を下回る減収減益となった。売上高は、注力する「クラウド事業」が伸長し、「メインフレーム事業」も堅調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた「プロダクト事業」及び「ソリューション事業」(特に、技術支援サービス)が落ち込んだことで減収となった。損益面でも、減収による収益の下押しに加え、「ソリューション事業」における不採算案件の発生等が売上原価率の悪化を招くとともに、コロナ対応(リモートワーク環境整備等)に伴う販管費の増加により営業減益となった。もっとも、withコロナでのニューノーマル(新常態)を見据え、ステークホルダーとの信頼関係の維持を重視し、1)短期的視点によるコスト対策を行わないこと、2)社内の働き方改革をさらに進めていくこと、を基本方針としており、この点は持続的な成長可能性の観点から評価すべきだろう。また、コロナ禍のもとでも、将来に向けた新たな領域への取り組みを積極的に展開し、一定の成果を残すことができた。

3. 2021年3月期の業績予想
2021年3月期の業績予想について同社は、上期業績の進捗やコロナ禍による不透明な状況等を踏まえ、期初予想を減額修正した。売上高を前期比4.3%減の9,700百万円、営業利益を同53.4%減の500百万円と減収減益と見込んでいる。売上高は、年間を通じて「クラウド事業」が順調に伸びるものの、それ以外の事業については、上期同様、コロナ禍に伴う投資の冷え込みや活動制限による影響等を慎重に見積もり、総じて低調に推移する想定としている。損益面についても、新規事業への先行投資に加え、「プロダクト事業」の新規ライセンス販売の伸び悩みや「ソリューション事業」における役務提供型サービスの落ち込みなどのマイナス影響が残ることを勘案し、営業減益を見込んでいる。

4. 今後の方向性
同社は、2021年3月期を最終年度とする中期経営計画を推進している。「メインフレーム事業」を収益源とし、「クラウド事業」「プロダクト事業」を伸ばす計画であるが、とりわけ需要が拡大している「クラウド事業」を成長分野として位置付けており、独自のクラウド基盤の提供やクラウドサービスの強化、ビジネスSaaSへの新たな取り組みが戦略の目玉となっている。ただ、これまでの成長スピードが想定を下回って推移していることや、今後の成長加速に向けた事業基盤強化のための投資を増やしたこと、足元ではコロナ禍によるマイナスの影響を受けたことから、当初の数値目標の達成は難しい状況となっている。もっとも、「事業構造の変革」に向けた戦略的な取り組みは着実に進展しており、2022年3月期以降の方向性にも大きな変更はないものと考えられる。これまでの取り組みをさらにブラッシュアップし、いかに収穫のステージに入っていくのか、その道筋に注目したい。

■Key Points
・2021年3月期上期はコロナ禍の影響により期初予想を下回る減収減益も、注力する「クラウド事業」は順調に伸び、黒字化を実現。また、既存製品の一部サービス化や新たな領域への取り組みなどでは、今後に向けて一定の成果を残した
・2021年3月期の業績予想を下方修正。上期に引き続き、コロナ禍によるマイナス影響が残る想定
・2022年3月期以降の方向性に大きな変更はない。これまでの取り組みをさらにブラッシュアップし、いかに収穫のステージに入っていくのかに注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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配信元: フィスコ
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