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サイオスのニュース
■業績動向
1. 2019年12月期業績の概要
サイオス<3744>の2019年12月期の連結業績は、売上高で前期比6.9%増の13,686百万円、営業利益で同81.1%減の54百万円、経常利益で同69.0%減の96百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同85.7%減の32百万円となった。また、同社が経営指標として重視しているEBITDAも、同61.4%減の145百万円となっている。
売上高は、「LifeKeeper」やRed Hat,Inc.関連商品、金融機関向けシステム開発・構築支援などが順調に増加し、過去最高を連続更新した。一方、利益面では、研究開発費や人件費の増加等に加え、金融機関向けシステム開発・構築支援で不採算案件が発生したこと、当第4四半期よりMFP向けソフトウェア製品においてサブスクリプションモデルを導入し、一時的に売上が減少したこと等が減益要因となった。会社計画比で利益が未達となったのも、MFP向けソフトウェア製品の減収と、金融機関向けシステム開発・構築支援における不採算案件の発生が主因となっている。
営業外収支は持分法投資損益が13百万円悪化したものの、投資事業組合運用益やデリバティブ評価益の計上等により吸収し、前期比で21百万円の改善となった。また、特別利益として関係会社株式売却益50百万円を計上したが、これは従来、持分法適用関連会社だった(株)K-ZONE※の株式をすべて売却したことによる。
※KPSの関連会社で投資シミュレーションサイト「トレタビ」の運営を主に展開していた。
なお、同社はサブスクリプションサービスの強化によって収益の安定性を高める戦略を推進している。2019年12月期のサブスクリプションサービス(保守サービス含む)の売上高は前期比8.4%増の1,940百万円となった。先行指標となる前受金についても前期末比6.5%増の1,842百万円と着実に同戦略が進んでいることがうかがえる。なお、前受金が発生する製品・サービスは、「LifeKeeper」、金融機関向け経営支援システム販売等の保守・サポートサービスのほか、「Gluegentシリーズ」やMFP向けソフトウェア製品(サブスクリプションモデル)等がある。
オープンシステム基盤事業、アプリケーション事業ともに増収減益に
2. 事業セグメント別動向
(1) オープンシステム基盤事業
オープンシステム基盤事業の売上高は前期比6.4%増の7,695百万円と過去最高を連続更新したものの、営業利益は同49.0%減の58百万円と減益基調が続いた。
主力製品である「LifeKeeper」の国内販売が順調に推移したことや、2018年12月に吸収合併した(株)サードウェアの製品ラインナップが加わったこと等により、事業継続ソリューションの売上が好調に推移した。また、旺盛なIT投資を背景にRed Hat, Inc.関連商品の売上も堅調な増収となった。一方、利益面では米国子会社における人件費増や、「LifeKeeper」の機能強化(クラウド対応等)に係る研究開発費の増加などが減益要因となっている。
(2) アプリケーション事業
アプリケーション事業の売上高は前期比7.6%増の5,991百万円と3期ぶりの増収に転じたものの、営業損失4百万円(前期は174百万円の利益)を計上した。
金融機関向けシステム開発・構築支援が順調な増収となったほか、「Gluegentシリーズ」も堅調な増収となった。一方で、MFP向けソフトウェア製品については、前述したとおり当第4四半期よりサブスクリプションモデルを導入したこと、また、同モデルでの契約数が想定を上回ったことにより減収となった。なお、新規サービスとしてサブスクリプションビジネス支援プラットフォーム「SIOS bilink(サイオス ビリンク)」や、MFP向けソフトウェア製品のオプションサービスとして企業の秘密情報漏えいを抑止する「AI秘密印検知サービス」の提供を開始したが、まだ認知度向上に取り組む段階である。
一方、利益面では金融機関向けシステム開発・構築支援において上期に複数の不採算案件が発生したこと、MFP向けソフトウェア製品や金融機関向け経営支援システム販売といった利益率の高い自社製品が減収となったことが減益要因となった。MFP向けソフトウェア製品のサブスクリプションモデルへの移行は、当面、減収要因となる。しかし、その減収分は、サービスの付加価値向上や品質改善に取り組むことで、既存顧客の継続率を上げるとともに、新規顧客の獲得を進め、カバーしていく方針となっている。
また、金融機関向けシステム開発・構築支援における不採算案件発生の防止策として、受注前審査の厳格化を図っており、現時点で新たな不採算案件は発生していない。また、金融機関向け経営支援システム販売については当第4四半期に受注した案件の売上計上が翌期にずれ込んだことが減収要因となっており、2020年の回復を見込むと同時に、収益の安定性向上を図るためサブスクリプションモデルの販売を進めるべく、構造改善に取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2019年12月期業績の概要
サイオス<3744>の2019年12月期の連結業績は、売上高で前期比6.9%増の13,686百万円、営業利益で同81.1%減の54百万円、経常利益で同69.0%減の96百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同85.7%減の32百万円となった。また、同社が経営指標として重視しているEBITDAも、同61.4%減の145百万円となっている。
売上高は、「LifeKeeper」やRed Hat,Inc.関連商品、金融機関向けシステム開発・構築支援などが順調に増加し、過去最高を連続更新した。一方、利益面では、研究開発費や人件費の増加等に加え、金融機関向けシステム開発・構築支援で不採算案件が発生したこと、当第4四半期よりMFP向けソフトウェア製品においてサブスクリプションモデルを導入し、一時的に売上が減少したこと等が減益要因となった。会社計画比で利益が未達となったのも、MFP向けソフトウェア製品の減収と、金融機関向けシステム開発・構築支援における不採算案件の発生が主因となっている。
営業外収支は持分法投資損益が13百万円悪化したものの、投資事業組合運用益やデリバティブ評価益の計上等により吸収し、前期比で21百万円の改善となった。また、特別利益として関係会社株式売却益50百万円を計上したが、これは従来、持分法適用関連会社だった(株)K-ZONE※の株式をすべて売却したことによる。
※KPSの関連会社で投資シミュレーションサイト「トレタビ」の運営を主に展開していた。
なお、同社はサブスクリプションサービスの強化によって収益の安定性を高める戦略を推進している。2019年12月期のサブスクリプションサービス(保守サービス含む)の売上高は前期比8.4%増の1,940百万円となった。先行指標となる前受金についても前期末比6.5%増の1,842百万円と着実に同戦略が進んでいることがうかがえる。なお、前受金が発生する製品・サービスは、「LifeKeeper」、金融機関向け経営支援システム販売等の保守・サポートサービスのほか、「Gluegentシリーズ」やMFP向けソフトウェア製品(サブスクリプションモデル)等がある。
オープンシステム基盤事業、アプリケーション事業ともに増収減益に
2. 事業セグメント別動向
(1) オープンシステム基盤事業
オープンシステム基盤事業の売上高は前期比6.4%増の7,695百万円と過去最高を連続更新したものの、営業利益は同49.0%減の58百万円と減益基調が続いた。
主力製品である「LifeKeeper」の国内販売が順調に推移したことや、2018年12月に吸収合併した(株)サードウェアの製品ラインナップが加わったこと等により、事業継続ソリューションの売上が好調に推移した。また、旺盛なIT投資を背景にRed Hat, Inc.関連商品の売上も堅調な増収となった。一方、利益面では米国子会社における人件費増や、「LifeKeeper」の機能強化(クラウド対応等)に係る研究開発費の増加などが減益要因となっている。
(2) アプリケーション事業
アプリケーション事業の売上高は前期比7.6%増の5,991百万円と3期ぶりの増収に転じたものの、営業損失4百万円(前期は174百万円の利益)を計上した。
金融機関向けシステム開発・構築支援が順調な増収となったほか、「Gluegentシリーズ」も堅調な増収となった。一方で、MFP向けソフトウェア製品については、前述したとおり当第4四半期よりサブスクリプションモデルを導入したこと、また、同モデルでの契約数が想定を上回ったことにより減収となった。なお、新規サービスとしてサブスクリプションビジネス支援プラットフォーム「SIOS bilink(サイオス ビリンク)」や、MFP向けソフトウェア製品のオプションサービスとして企業の秘密情報漏えいを抑止する「AI秘密印検知サービス」の提供を開始したが、まだ認知度向上に取り組む段階である。
一方、利益面では金融機関向けシステム開発・構築支援において上期に複数の不採算案件が発生したこと、MFP向けソフトウェア製品や金融機関向け経営支援システム販売といった利益率の高い自社製品が減収となったことが減益要因となった。MFP向けソフトウェア製品のサブスクリプションモデルへの移行は、当面、減収要因となる。しかし、その減収分は、サービスの付加価値向上や品質改善に取り組むことで、既存顧客の継続率を上げるとともに、新規顧客の獲得を進め、カバーしていく方針となっている。
また、金融機関向けシステム開発・構築支援における不採算案件発生の防止策として、受注前審査の厳格化を図っており、現時点で新たな不採算案件は発生していない。また、金融機関向け経営支援システム販売については当第4四半期に受注した案件の売上計上が翌期にずれ込んだことが減収要因となっており、2020年の回復を見込むと同時に、収益の安定性向上を図るためサブスクリプションモデルの販売を進めるべく、構造改善に取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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