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サイオスのニュース
■今後の見通し
3. 中期経営計画について
(1) 基本方針と経営指標の目標値
サイオス<3744>は新たな中期経営計画(2020-2022年)を発表した。サブスクリプションによるビジネスモデルの変化を好機と捉え、長期的な成長のための礎を固める3年間と位置付け、サブスクリプションモデルへの転換を進めていくことを打ち出した。
経営指標の目標値としては、2022年12月期にEBITDAで560百万円、ROICで14.7%を掲げている。ROICを経営指標としたのは、実際に投じた資金に対するリターンを示す指標となるためだ。ROEは有利子負債を積み増して利益を拡大すれば水準は上昇するが、逆に財務リスクも上昇する恐れがある。同社は財務体質の改善を図りながら、収益拡大と収益性の向上を目指している。
EBITDA及びROICを向上するための施策として、顧客満足度の向上、既存製品・サービスの強化や新製品・サービスの投入などにより事業基盤を強化していくと同時に、販管費の最適化や有利子負債の圧縮による財務基盤の強化を推進していくことを挙げている。これら施策によって創出されたキャッシュ・フローを、「人材」「研究開発」「イノベーションを生み出す企業カルチャー」に投資し、持続的成長を実現可能とする事業基盤を構築していく方針だ。
(2) サブスクリプションモデルへの転換
今回、サブスクリプションモデルへの転換を打ち出した背景としては、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)投資が加速するなかで、従来のソフトウェア販売モデル(売り切りモデル)からサブスクリプションモデルへの移行が急激に進行していることが挙げられる。
サブスクリプションモデルのメリットをユーザー側から見ると、初期導入費用の低減、解約が容易、常に最新化された製品・サービスの利用が可能といった点が挙げられる。一方、事業者側にとっては、サービス開始当初は先行投資負担が重いものの、損益分岐点を超えた後は安定した売上及び利益を創出でき、事業計画を立てやすくなること、継続的な顧客の利用情報収集によって製品・サービス品質の向上に取り組むことができることなどが挙げられる。
同社では顧客のDX支援のためには、サブスクリプション方式での製品・サービス提供が重要であり、長期的な成長を実現していくうえで必要不可欠なビジネスモデルとして捉えており、今後サブスクリプションモデルへの転換を推進していくことにした。自社製品・サービスの売上高は2019年12月期の4,470百万円から2022年12月期は6,260百万円と年率11.9%成長を見込んでいる。このうち、サブクスリプションの売上高は年率16.9%成長の3,100百万円となり、自社製品・サービスに占める売上比率は2019年12月期の43.4%から49.5%まで上昇する見込みだ。2020年12月期の売上比率が43.0%と若干低下するが、これは金融機関向け経営支援システム販売等の販売増を見込んでいるため。2021年12月期以降はサブスクリプションの売上成長スピードも加速していく見通しとなっている。
(3) 事業基盤の強化施策
a) 既存製品・サービスの強化
既存製品・サービスの強化では「LifeKeeper」を中心とした事業継続ソリューションの強化に取り組んでいる。国内外においてクラウドシフトが進んでおり、そのニーズを取り込むべく、クラウド対応の「LifeKeeper」の開発に注力している。海外では米国や欧州を中心に民間、政府機関から受注を拡大していく方針だ。海外売上比率は2019年12月期で5.6%と低いものの、「SIOS AppKeeper」のサービスを2020年1月より開始するなど、今後も着実な成長が期待される。
また、MFP向けソフトウェア製品では企業における情報セキュリティ対策のソリューションとして、「AI秘密印検知サービス」を2019年9月より提供開始している。「LogキャプチャNX Plus」※のオプションサービスとなるもので、MFPを使って社内限の重要文書をコピーや印刷、FAX送信しようとした場合に、あらかじめ当該文書に印字されている秘密印をAIで解析、検知して、管理者に自動通知する仕組みとなる。電子メールなどの情報セキュリティ対策は各社強化しているものの、紙ベースの情報セキュリティ対策のソリューションは特徴的である。
※MFPで利用者が行なった操作を画像ログと操作ログとして保存するソフトウェア(標準価格25万円~、月額保守料金500円/台、Logキャプチャストレージサービスパック月額料金1,000円/台)
b) 新製品・サービスの強化
新製品・サービスの強化では、サブスクリプションビジネスを支援するプラットフォーム「SIOS bilink」のβ版を2019年6月より提供開始している。サブスクリプションビジネスを展開する事業者に対して、業務負担の軽減並びに生産性向上に寄与するサービスとなる。第1弾として毎月の使用量に応じた課金設定や原価配賦、レベニューシェア等を自動計算し、運用負荷をなくす「リカーリングルールエンジン」の提供を開始している。今後、Microsoftと共同セミナーを開催しながら認知度向上を図っていくほか、「API連携」や「ログ管理解析基盤」「収益最大化を支援する付加機能」などの開発も順次行い、サブスクリプションビジネスをトータルで支援するプラットフォームサービスとして普及拡大を目指していく。サービスの提供形態は、SaaS版とオンプレミス版を用意しており、SaaS版ではMicrosoft Azureをクラウド基盤として利用する。利用料金は月額10万円からで個別見積りとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 中期経営計画について
(1) 基本方針と経営指標の目標値
サイオス<3744>は新たな中期経営計画(2020-2022年)を発表した。サブスクリプションによるビジネスモデルの変化を好機と捉え、長期的な成長のための礎を固める3年間と位置付け、サブスクリプションモデルへの転換を進めていくことを打ち出した。
経営指標の目標値としては、2022年12月期にEBITDAで560百万円、ROICで14.7%を掲げている。ROICを経営指標としたのは、実際に投じた資金に対するリターンを示す指標となるためだ。ROEは有利子負債を積み増して利益を拡大すれば水準は上昇するが、逆に財務リスクも上昇する恐れがある。同社は財務体質の改善を図りながら、収益拡大と収益性の向上を目指している。
EBITDA及びROICを向上するための施策として、顧客満足度の向上、既存製品・サービスの強化や新製品・サービスの投入などにより事業基盤を強化していくと同時に、販管費の最適化や有利子負債の圧縮による財務基盤の強化を推進していくことを挙げている。これら施策によって創出されたキャッシュ・フローを、「人材」「研究開発」「イノベーションを生み出す企業カルチャー」に投資し、持続的成長を実現可能とする事業基盤を構築していく方針だ。
(2) サブスクリプションモデルへの転換
今回、サブスクリプションモデルへの転換を打ち出した背景としては、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)投資が加速するなかで、従来のソフトウェア販売モデル(売り切りモデル)からサブスクリプションモデルへの移行が急激に進行していることが挙げられる。
サブスクリプションモデルのメリットをユーザー側から見ると、初期導入費用の低減、解約が容易、常に最新化された製品・サービスの利用が可能といった点が挙げられる。一方、事業者側にとっては、サービス開始当初は先行投資負担が重いものの、損益分岐点を超えた後は安定した売上及び利益を創出でき、事業計画を立てやすくなること、継続的な顧客の利用情報収集によって製品・サービス品質の向上に取り組むことができることなどが挙げられる。
同社では顧客のDX支援のためには、サブスクリプション方式での製品・サービス提供が重要であり、長期的な成長を実現していくうえで必要不可欠なビジネスモデルとして捉えており、今後サブスクリプションモデルへの転換を推進していくことにした。自社製品・サービスの売上高は2019年12月期の4,470百万円から2022年12月期は6,260百万円と年率11.9%成長を見込んでいる。このうち、サブクスリプションの売上高は年率16.9%成長の3,100百万円となり、自社製品・サービスに占める売上比率は2019年12月期の43.4%から49.5%まで上昇する見込みだ。2020年12月期の売上比率が43.0%と若干低下するが、これは金融機関向け経営支援システム販売等の販売増を見込んでいるため。2021年12月期以降はサブスクリプションの売上成長スピードも加速していく見通しとなっている。
(3) 事業基盤の強化施策
a) 既存製品・サービスの強化
既存製品・サービスの強化では「LifeKeeper」を中心とした事業継続ソリューションの強化に取り組んでいる。国内外においてクラウドシフトが進んでおり、そのニーズを取り込むべく、クラウド対応の「LifeKeeper」の開発に注力している。海外では米国や欧州を中心に民間、政府機関から受注を拡大していく方針だ。海外売上比率は2019年12月期で5.6%と低いものの、「SIOS AppKeeper」のサービスを2020年1月より開始するなど、今後も着実な成長が期待される。
また、MFP向けソフトウェア製品では企業における情報セキュリティ対策のソリューションとして、「AI秘密印検知サービス」を2019年9月より提供開始している。「LogキャプチャNX Plus」※のオプションサービスとなるもので、MFPを使って社内限の重要文書をコピーや印刷、FAX送信しようとした場合に、あらかじめ当該文書に印字されている秘密印をAIで解析、検知して、管理者に自動通知する仕組みとなる。電子メールなどの情報セキュリティ対策は各社強化しているものの、紙ベースの情報セキュリティ対策のソリューションは特徴的である。
※MFPで利用者が行なった操作を画像ログと操作ログとして保存するソフトウェア(標準価格25万円~、月額保守料金500円/台、Logキャプチャストレージサービスパック月額料金1,000円/台)
b) 新製品・サービスの強化
新製品・サービスの強化では、サブスクリプションビジネスを支援するプラットフォーム「SIOS bilink」のβ版を2019年6月より提供開始している。サブスクリプションビジネスを展開する事業者に対して、業務負担の軽減並びに生産性向上に寄与するサービスとなる。第1弾として毎月の使用量に応じた課金設定や原価配賦、レベニューシェア等を自動計算し、運用負荷をなくす「リカーリングルールエンジン」の提供を開始している。今後、Microsoftと共同セミナーを開催しながら認知度向上を図っていくほか、「API連携」や「ログ管理解析基盤」「収益最大化を支援する付加機能」などの開発も順次行い、サブスクリプションビジネスをトータルで支援するプラットフォームサービスとして普及拡大を目指していく。サービスの提供形態は、SaaS版とオンプレミス版を用意しており、SaaS版ではMicrosoft Azureをクラウド基盤として利用する。利用料金は月額10万円からで個別見積りとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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