458円
イノベーションホールディングスのニュース
■事業概要
(4) 飲食店は開業・廃業による入れ替わりが激しく市場機会が豊富
日本の外食産業の市場規模は、テンポイノベーション<3484>資料※1によるとおおむね25~26兆円となっており、安定した巨大マーケットである。そして飲食店数は、同社がターゲットエリアとしている東京都では約8万件、首都圏1都3県合計では約16万件に達しており、さらに東京都の飲食店の従業員数別事業者数では、同社が主な顧客ターゲットとする従業員数1~9人の小規模事業者が約73%を占めている(いずれも同社資料※2による)。
※1 出所:(公財)食の安全・安心財団「外食産業規模推計値」
※2 出所:総務省「平成28年経済センサス-活動調査」
また、飲食店は他の産業との比較で開業・廃業による入れ替わりが激しいため、同社の店舗転貸借事業にとって市場機会は豊富である。同社が保有する転貸借物件数は2020年12月末時点で1,677店まで拡大し、大手飲食チェーンに匹敵する規模に成長しているが、ターゲットエリアとしている東京都だけでも更なる市場開拓余地が大きい。
安定的かつ成長性の高いビジネス
(5) 安定的かつ成長性の高い新たな不動産ビジネス
同社では店舗転貸借事業を、一般的な仲介業やサブリース業ではなく、不動産業における新たなビジネスと位置付けている。一般的な不動産市況の変化や景気に左右されにくく、サブスク(ストック)型収益が積み上がる安定的なビジネスであり、かつ市場開拓余地が大きく成長性の高いビジネスでもある。
店舗の総合プロフェッショナル集団
(6) 特徴・強み
同社の店舗転貸借事業の特徴・強みとしては、住宅は取り扱わずにドメインを店舗(特に飲食店舗)物件に専門特化していること、仲介業務を行わずにサブスク(ストック)型の賃料収益の積み上げに注力していること、所有リスクと資金調達を回避できる転貸ビジネスによって効率的な経営を実践していること、市場性の高い東京23区の中心部で集中的に物件を確保していること、低投資出店・起業と廃棄物抑制(エコロジー)を同時に実現する居抜き物件に特化していることなどがある。
さらに店舗の総合プロフェッショナル集団であることが競合優位性となっている。多くの店舗物件を取り扱ってきた豊富な経験値や飲食店立地の目利きをベースとして、トラブル対応・解決策やトラブル未然防止方法のカルテ化などノウハウの組織化も推進している。また「居抜き店舗.com」で、日々入手する物件情報をスピーディに掲載・更新することで情報価値を高めていることも、出店希望者とのマッチングを実現する強みとなっている。
不動産売買事業は不動産業者とのリレーションシップ強化が目的
3. 不動産売買事業
不動産売買事業は、店舗不動産物件を仕入れて販売している。転売による利益獲得目的というよりも、優良物件確保など店舗転貸借事業を推進するための不動産業者とのリレーションシップ強化を目的としているため、一定の保有枠のなかで資金効率を重視して売買を行っている。
4. リスク要因・収益特性・課題等
不動産業における一般的なリスク要因として不動産市況などがあるが、同社の店舗転貸借事業は一般的な不動産市況の変化や景気に左右されにくい安定性があり、かつ市場開拓余地が大きく成長性の高いビジネスである。また所有リスクと資金調達を回避できる転貸ビジネスであり、金利上昇による直接的な影響を受けない。店舗物件の賃貸借契約における差入保証金等については、賃貸人の破産・倒産等により差入保証金を回収できないリスクがあるが、同社の場合は特定の不動産オーナーに依存しておらず、また当該事項に係るリスクは最終的に転借人が負う契約にしているため、多額の未回収が発生するリスクは小さい。
多くの不動産業者は仲介業務が主力であり、また大手不動産事業者は大型オフィスビルやマンション等の開発・販売・賃貸を主力としている。店舗転貸借事業は小規模飲食店を主な顧客ターゲットとしているため物件仕入ルート構築の難易度が高く、人的先行投資などでサブスク(ストック)ビジネスとしての収益化に長期間を要することもあり、新規参入・展開は限定的である。同社と同様のビジネスを展開する小規模事業者も存在するが、物件仕入や出店者獲得で特に競合する場面は見られない。そのため競合リスクは小さく、店舗転貸借ビジネスの先駆者として同社は競合優位性を有していると言えるだろう。
転貸借契約を締結している店舗出店者が経営悪化等で退店し、後継入居者を獲得できなかった場合は空き家賃が発生することになる。ただし立地や経済条件等で市場性が低いと判断した場合は、不動産オーナーとの賃貸借契約を解約して空き家賃リスクを抑えている。また店舗転貸借契約も特定の飲食チェーンに依存していないため、転貸借出店者が大量退店するリスクも小さい。なお解約率については、2021年3月期はコロナ禍の影響で上昇しているが、コロナ禍以前はおおむね1%程度の低い水準で推移していた。
なおコロナ禍の影響として、緊急事態宣言発出による臨時休業・営業時間短縮の要請で飲食業全般の経営状況が悪化したため、2021年3月期第1四半期(4-6月)には成約件数が減少し、解約件数も増加したが、同第2四半期(7-9月)以降は成約件数が回復基調となり、解約件数も減少している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
(4) 飲食店は開業・廃業による入れ替わりが激しく市場機会が豊富
日本の外食産業の市場規模は、テンポイノベーション<3484>資料※1によるとおおむね25~26兆円となっており、安定した巨大マーケットである。そして飲食店数は、同社がターゲットエリアとしている東京都では約8万件、首都圏1都3県合計では約16万件に達しており、さらに東京都の飲食店の従業員数別事業者数では、同社が主な顧客ターゲットとする従業員数1~9人の小規模事業者が約73%を占めている(いずれも同社資料※2による)。
※1 出所:(公財)食の安全・安心財団「外食産業規模推計値」
※2 出所:総務省「平成28年経済センサス-活動調査」
また、飲食店は他の産業との比較で開業・廃業による入れ替わりが激しいため、同社の店舗転貸借事業にとって市場機会は豊富である。同社が保有する転貸借物件数は2020年12月末時点で1,677店まで拡大し、大手飲食チェーンに匹敵する規模に成長しているが、ターゲットエリアとしている東京都だけでも更なる市場開拓余地が大きい。
安定的かつ成長性の高いビジネス
(5) 安定的かつ成長性の高い新たな不動産ビジネス
同社では店舗転貸借事業を、一般的な仲介業やサブリース業ではなく、不動産業における新たなビジネスと位置付けている。一般的な不動産市況の変化や景気に左右されにくく、サブスク(ストック)型収益が積み上がる安定的なビジネスであり、かつ市場開拓余地が大きく成長性の高いビジネスでもある。
店舗の総合プロフェッショナル集団
(6) 特徴・強み
同社の店舗転貸借事業の特徴・強みとしては、住宅は取り扱わずにドメインを店舗(特に飲食店舗)物件に専門特化していること、仲介業務を行わずにサブスク(ストック)型の賃料収益の積み上げに注力していること、所有リスクと資金調達を回避できる転貸ビジネスによって効率的な経営を実践していること、市場性の高い東京23区の中心部で集中的に物件を確保していること、低投資出店・起業と廃棄物抑制(エコロジー)を同時に実現する居抜き物件に特化していることなどがある。
さらに店舗の総合プロフェッショナル集団であることが競合優位性となっている。多くの店舗物件を取り扱ってきた豊富な経験値や飲食店立地の目利きをベースとして、トラブル対応・解決策やトラブル未然防止方法のカルテ化などノウハウの組織化も推進している。また「居抜き店舗.com」で、日々入手する物件情報をスピーディに掲載・更新することで情報価値を高めていることも、出店希望者とのマッチングを実現する強みとなっている。
不動産売買事業は不動産業者とのリレーションシップ強化が目的
3. 不動産売買事業
不動産売買事業は、店舗不動産物件を仕入れて販売している。転売による利益獲得目的というよりも、優良物件確保など店舗転貸借事業を推進するための不動産業者とのリレーションシップ強化を目的としているため、一定の保有枠のなかで資金効率を重視して売買を行っている。
4. リスク要因・収益特性・課題等
不動産業における一般的なリスク要因として不動産市況などがあるが、同社の店舗転貸借事業は一般的な不動産市況の変化や景気に左右されにくい安定性があり、かつ市場開拓余地が大きく成長性の高いビジネスである。また所有リスクと資金調達を回避できる転貸ビジネスであり、金利上昇による直接的な影響を受けない。店舗物件の賃貸借契約における差入保証金等については、賃貸人の破産・倒産等により差入保証金を回収できないリスクがあるが、同社の場合は特定の不動産オーナーに依存しておらず、また当該事項に係るリスクは最終的に転借人が負う契約にしているため、多額の未回収が発生するリスクは小さい。
多くの不動産業者は仲介業務が主力であり、また大手不動産事業者は大型オフィスビルやマンション等の開発・販売・賃貸を主力としている。店舗転貸借事業は小規模飲食店を主な顧客ターゲットとしているため物件仕入ルート構築の難易度が高く、人的先行投資などでサブスク(ストック)ビジネスとしての収益化に長期間を要することもあり、新規参入・展開は限定的である。同社と同様のビジネスを展開する小規模事業者も存在するが、物件仕入や出店者獲得で特に競合する場面は見られない。そのため競合リスクは小さく、店舗転貸借ビジネスの先駆者として同社は競合優位性を有していると言えるだろう。
転貸借契約を締結している店舗出店者が経営悪化等で退店し、後継入居者を獲得できなかった場合は空き家賃が発生することになる。ただし立地や経済条件等で市場性が低いと判断した場合は、不動産オーナーとの賃貸借契約を解約して空き家賃リスクを抑えている。また店舗転貸借契約も特定の飲食チェーンに依存していないため、転貸借出店者が大量退店するリスクも小さい。なお解約率については、2021年3月期はコロナ禍の影響で上昇しているが、コロナ禍以前はおおむね1%程度の低い水準で推移していた。
なおコロナ禍の影響として、緊急事態宣言発出による臨時休業・営業時間短縮の要請で飲食業全般の経営状況が悪化したため、2021年3月期第1四半期(4-6月)には成約件数が減少し、解約件数も増加したが、同第2四半期(7-9月)以降は成約件数が回復基調となり、解約件数も減少している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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