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経済再開で復活「喫茶店」関連株、人流回復で再浮上の狼煙上がる <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2022/11/07 19:30

―“新型コロナ後遺症”も、新たな施策で反転攻勢のタイミング―

 政府がウィズコロナに向けて大きく舵を切ったことで、リオープン(経済再開)の動きが加速している。また、先月11日からの水際対策の大幅緩和に加え、「全国旅行支援」などの景気刺激策を受け、目に見える形で人流も回復。リオープンを背景に、株式市場でもインバウンドやイベント、そして外食などに絡むさまざまな銘柄に業績回復思惑から熱い視線が集まり株価も動意した。こうしたなか人流回復を追い風に、外食関連の一角である「喫茶店」にも注目が集まる。ただ、喫茶店関連株に関しては“新型コロナウイルスの後遺症”ともいえる逆風もあり、もどかしい状況も続く。それでも逆境をはね返すべく、さまざまな施策で復活に向けて動き出している。 喫茶店関連株のいまを点検した。

●敵はテレワークにあり

 喫茶店関連株に復活期待が高まっている。日本フードサービス協会による最新の「外食産業市場動向調査(9月度)」でも、喫茶店業態の売り上げは対前年比で28.2%増となった。8月度についても、同調査によると「営業時間制限がなく、新商品の発表や価格改定により客単価が上昇」したことで同25.7%増となり、復活ロードを着実に歩んでいる姿が浮かび上がる。

 ただ、問題も少なくはない。コーヒー豆など原材料価格の高騰に加え、喫茶店チェーンにとっては“新型コロナの後遺症”ともいえる テレワークの定着が重荷となっている。9月度に関して、同調査では「シルバーウィーク連休の悪天候や台風の影響で、営業できなかった店舗もあった」と分析したが、それ以前は「オフィス街において客足が伸びていない」ことを指摘している。政府はウィズコロナに舵を切ったものの、いまだ在宅勤務を続ける傾向も根強く、オフィス街を中心とする都心部での回復が鈍い状況にあるためだ。そのため対前年比では売り上げ増となるものの、新型コロナ発生前の2019年比となると、前述の9月度調査でも20%近くの減少となっており戻りの鈍さが見えてくる。

●違う立地、違う時間帯で攻める

 喫茶店を運営する側も手をこまねいているわけではない。回復の行く手を遮るテレワークに対して、一部チェーンでは、あえてオフィス街での積極的な戦いを避ける戦略をとり始めている。

 大手喫茶店チェーンに話を聞くと、「テレワークが継続しており、都心部で特にオフィス街において厳しい。コロナ禍以前に戻ることは当分ないだろう」(広報)と冷静に分析。こうした状況を踏まえ「人流が回復するなか、今後も出店を進める。既存店についてはメニュー改定を中心に客単価を維持し、夜はオフィス街を中心に流動人数が回復していないため、主にモーニングとランチタイムで住宅、商店街を中心に強化していく。違う立地、違う時間帯で顧客を取り込めるような施策に注力する」と、視点を変えた攻めの姿勢を示す。

●我が道を行くコメダ

 喫茶業態の関連銘柄には、出来高流動性に乏しいものも少なくないため注意も必要だが、リオープンが進むなかで着実に業績回復ロードを歩むことが予想できるだけに注目は怠れない。業績回復途上であることは、むしろ伸びしろの大きさにつながるともいえそうだ。

 こうした複雑な状況においても、「コメダ珈琲店」を展開するコメダホールディングス <3543> [東証P]の業績は堅調だ。投資家の関心も高い銘柄だが、郊外での展開力に強みを持ち、オフィス街で苦戦する他のチェーンとは一線を画す存在だ。同社の23年2月期第2四半期累計(3-8月)決算は、営業利益で前年同期比1.1%減の37億5600万円となったものの、6~8月期に限れば同5.6%増の18億9500万円と堅調。4月から店舗での商品値上げを実施しており、今期業績への寄与が見込まれるほか、10月には海外で36店舗目となる香港出店を果たし、更なる海外市場開拓への期待も膨らむ。通期では、営業利益段階で前期比9.5%増の80億円を計画しており、3期ぶりの最高益更新を見込む。株価は、25日移動平均線をサポートラインに年初来高値圏で頑強展開をみせている。

●ドトル日レスは業績回復へ道筋

 ドトール・日レスホールディングス <3087> [東証P]は「ドトールコーヒーショップ」や「星乃珈琲店」などさまざまなタイプのカフェ、レストランチェーンを運営するが、ここにきてコロナ禍からの業績回復への道筋が見え始めている。同社の23年2月期第2四半期累計(3-8月)の連結営業損益は、14億7400万円の黒字(前年同期は7億7400万円の赤字)に浮上。通期計画の21億5300万円に対する進捗率は70%近くとなった。日本レストランシステムグループは、「星乃珈琲店」の積極出店で攻勢をかける。ドトールコーヒーグループは、前年比では着実に業績回復をみせている。コロナ禍以前の業績とは開きがあるものの、売上高は確実に回復途上にあり、今後さまざまな施策を講じることで復活への道を歩む方針だ。株価は10月12日に1819円まで買われ年初来高値を更新。その後は調整し1600円近くまで売られたものの、ここにきて浮上機運も漂う。

 茶葉製品最大手の伊藤園 <2593> [東証P]も、傘下企業が喫茶業態の「タリーズコーヒー」を展開している。同社は9月に、23年4月期第1四半期の連結決算を発表し、営業利益は前年同期比4.9%減の60億200万円にとどまった。売上高は日本茶の販売増などで同7.0%増の1132億2500万円となったが、運送費の増加が利益面での重荷となった。タリーズコーヒーの総店舗数は759店舗(7月末時点)に伸びており、この結果として飲食関連事業の売上高は、同20.7%増の84億1400万円となり、稼ぎ頭の一つに成長している。株価は、8月2日に直近高値6590円をつけた後は売られる展開。現在は5000円近辺に位置し上値の重い展開が続くが、じわり値ごろ感も。

●目を配っておきたいサンエー、石光商事

 サンエー <2659> [東証P]は沖縄の流通最大手でスーパー、レストラン、ドラッグストアなどを幅広く展開する。飲食店事業では「珈琲待夢」や「タリーズコーヒー」など喫茶業態にも注力している。沖縄は観光客の復活により入域観光者数が増加、コロナ禍からの立ち直りをみせるなか、同社もその恩恵を受けている。10月5日に発表した23年2月期第2四半期累計(3-8月)決算では、営業利益が前年同期比29.3%増の56億1900万円と大幅な伸びを達成した。

 高級喫茶「椿屋」などを展開する東和フードサービス <3329> [東証S]は、10月26日に23年4月期(単独)の上方修正を発表。売上高、営業利益、経常利益、最終利益をいずれも増額修正したが、そのなか営業利益段階では2200万円から4億2000万円(前期は7億5100万円の赤字)に見直した。7月に入り新型コロナ第7波の影響を受けたものの、想定以上に早い回復状況となっているのが要因。ウィズコロナ対策として進めている物販強化や冷凍商品の開発についても、販路の拡大が進んでいるという。

 老舗のコーヒー輸入商社である石光商事 <2750> [東証S]にも、喫茶店関連の一角として目を配っておきたい。同社は業務用で高いシェアを持ち、コーヒー生豆は、通信販売、量販店や自家焙煎店など家庭用ルートが引き続き好調で販売量が増加。また、新型コロナの感染者数が減少し経済活動の制限が緩和されたことから、業務用ルートの販売も回復している。11日に決算発表を控えるが、これに先立って2日に業績の上方修正を発表。上期業績が好調だったことを受け、23年3月期通期の連結営業利益を従来予想の8億8500万円から15億4000万円(前期比2.2倍)に増額、19期ぶりに過去最高益を更新する見通しとなった。ただ、ここ上昇一途だった株価は、材料出尽くし感から前週末4日に大きく売られており、その行方にも注目が集まりそうだ。

●クリレスHDにも妙味

 外食チェーン大手でグループが「上高地あずさ珈琲」も展開するクリエイト・レストランツ・ホールディングス <3387> [東証P]にも注目。同社が10月14日に発表した23年2月期第2四半期累計(3-8月)の連結決算は、最終利益が前年同期比27.2%減の35億1100万円だった。6~8月期でみると最終利益は同97.6%減と大きく、大幅減益で着地したことで株価は失望売りに急落。営業時間短縮に伴う協力金が大幅に減少したことなどが響いた格好だが、新型コロナ感染拡大の余波で落ち込んだ売上高に相当する売上収益は、直近3ヵ月では回復基調がみられている点はポイント。通期の業績予想は、M&Aの効果やインバウンド需要の回復などを見込み、従来の見通しを据え置いている。

 また、「サンマルクカフェ」を展開するサンマルクホールディングス <3395> [東証P]、そしてチョコ・洋菓子大手で喫茶・レストランも手掛けるモロゾフ <2217> [東証P]も今後に期待。そのほかで、キーコーヒー <2594> [東証P]、銀座ルノアール <9853> [東証S]にも目を配っておきたい。

株探ニュース
配信元: 株探
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