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コスモ・バイオのニュース
■コスモ・バイオ<3386>の中長期成長戦略
1. 中期経営計画の概要
中期経営計画(2020年12月期−2022年12月期、経営目標数値は非開示)では、経営ビジョンに「生命科学の研究者から信頼される事業価値を高める」を掲げ、10年後の姿を見据えた事業戦略として、現在の収益柱である研究試薬卸売に加えて、製造・受託サービスのメーカー機能を中心とする第2の収益柱の構築、ライフサイエンスをベースとした研究試薬以外の新市場への展開も推進する方針を打ち出している。
事業戦略としては、新たな事業基盤の創出(新規事業の開拓、資本提携・業務提携)、商社機能の強化(顧客情報管理と活用、原料供給ビジネスの売上拡大、流通改革対策)、製造機能の強化(新商品・受託サービスの拡充、ペプチド・抗体作製サービス事業と鶏卵バイオリアクター事業の成長)、企業価値の向上(生産性向上と効率化、人材育成など)を推進する。
商社機能の強化では、これまで各部署で使用していた顧客管理システムの情報を統合して社内縦断的な顧客管理システムを採用し、更なる情報共有と効率的営業活動を目指す。また代理店に向けた商品情報・購買管理サイトを改修中である。
高収益化に向けた製造機能の強化では、特にペプチド・抗体作製サービス事業と鶏卵バイオリアクター事業の成長・収益化を加速する方針としている。2017年12月期から2019年12月期の2期間で売上高伸び率を見ると、仕入販売が104%、受託サービス仲介が102%だったのに対して、収益性の高い製造は113%、自社受託サービスは258%と大幅伸長している。また製造・自社受託サービスの売上高はコスモ・バイオ単体売上高の1割強を占めるようになった。メーカー機能強化と高収益化が進展していると言えるだろう。
中期経営計画では高収益構造の確立を目指し、メーカー機能を中心とする第2の収益柱の構築、ライフサイエンスをベースとした研究試薬以外の新市場への展開も推進する方針を打ち出した。2020年12月期第2四半期累計は中期経営計画の初年度だが、コロナ禍で事業環境が急変するなかでも影響が限定的にとどまり、おおむね順調なスタートだったとしている。またペプチド・抗体作製サービス事業は順調に拡大し、鶏卵バイオリアクター事業も本格展開で成長加速が期待される。成長ドライバーの製造・自社受託サービスが拡大して中長期的な成長が期待される。
ペプチド・抗体作製サービス事業は順調に拡大
2. ペプチド・抗体作製サービス事業
ペプチド・抗体作製サービス事業はライフサイエンス基礎研究に欠かせない重要な研究ツールの1つである。2016年12月に開始し、順調に拡大しているようだ。
更なる事業拡大に向けて、周辺技術を持つ企業とのアライアンスも推進している。2017年12月には(株)Proteomedix Frontiers(PF)と業務提携し、2018年4月にはAQUAペプチドの配列デザインから合成までの一貫サービスを開始した。
2018年6月にはペプチド創薬ベンチャーのメスキュージェナシスとペプチド創薬支援事業に関して業務提携(2019年4月出資)、2018年9月には名古屋大学発ベンチャーのiBody(株)(IBD)とモノクローナル抗体スクリーニングサービスに関して業務提携、2018年10月にはエムティーアイ<9438>と抗体作製支援システムに関して業務提携、2018年11月にはがん免疫療法開発の(株)Cancer Precision Medicine(CPM)(オンコセラピー・サイエンス<4564>の連結子会社)とペプチド合成に関する委受託基本契約を締結した。
鶏卵バイオリアクター事業を本格展開
3. 鶏卵バイオリアクター事業
鶏卵バイオリアクター事業(鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業)は、遺伝子改変ニワトリ(鶏卵の卵白中に、目的とする有用なタンパク質を大量に生産させるようにゲノム編集した特殊なニワトリ)の鶏卵バイオリアクターを用いて、ユーザーが必要とする目的タンパク質を大量製造・精製する。
国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)及び国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)との共同研究を進め、2017年8月、ヒトインターフェロンβ製造に関する特許実施権を獲得した。2018年7月には産総研が、卵白に有用組み換えタンパク質を大量に含む卵を産む遺伝子改変ニワトリを作製する技術を確立している。
2019年にはヒトインターフェロンβに限定されない特許実施許諾を農研機構から獲得した。2019年7月には、大阪大学発ベンチャーのC4U(株)が保有する特許技術「CRISPR/Cas3」をライセンス導入し、ユーザーが必要とするタンパク質を安価・大量に製造できるようになったため、鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業を開始した。ユーザーニーズに対応して受託製造を本格展開するとともに、将来的には幅広く対応可能な研究用試薬の自社製品としての開発・製造・販売も目指すとしている。
2019年10月には日本全薬工業(株)からゲノム編集ニワトリの作製を受託した。ニワトリが産んだ有用タンパク質(Aタンパク質)を大量に含む鶏卵を納品する。当面は日本全薬工業の開発用の鶏卵納品だが、将来的に日本全薬工業がAタンパク質を用いた製品を上市する場合は、新たに契約を締結して売上げに応じたロイヤルティなどの収益を得られる可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
1. 中期経営計画の概要
中期経営計画(2020年12月期−2022年12月期、経営目標数値は非開示)では、経営ビジョンに「生命科学の研究者から信頼される事業価値を高める」を掲げ、10年後の姿を見据えた事業戦略として、現在の収益柱である研究試薬卸売に加えて、製造・受託サービスのメーカー機能を中心とする第2の収益柱の構築、ライフサイエンスをベースとした研究試薬以外の新市場への展開も推進する方針を打ち出している。
事業戦略としては、新たな事業基盤の創出(新規事業の開拓、資本提携・業務提携)、商社機能の強化(顧客情報管理と活用、原料供給ビジネスの売上拡大、流通改革対策)、製造機能の強化(新商品・受託サービスの拡充、ペプチド・抗体作製サービス事業と鶏卵バイオリアクター事業の成長)、企業価値の向上(生産性向上と効率化、人材育成など)を推進する。
商社機能の強化では、これまで各部署で使用していた顧客管理システムの情報を統合して社内縦断的な顧客管理システムを採用し、更なる情報共有と効率的営業活動を目指す。また代理店に向けた商品情報・購買管理サイトを改修中である。
高収益化に向けた製造機能の強化では、特にペプチド・抗体作製サービス事業と鶏卵バイオリアクター事業の成長・収益化を加速する方針としている。2017年12月期から2019年12月期の2期間で売上高伸び率を見ると、仕入販売が104%、受託サービス仲介が102%だったのに対して、収益性の高い製造は113%、自社受託サービスは258%と大幅伸長している。また製造・自社受託サービスの売上高はコスモ・バイオ単体売上高の1割強を占めるようになった。メーカー機能強化と高収益化が進展していると言えるだろう。
中期経営計画では高収益構造の確立を目指し、メーカー機能を中心とする第2の収益柱の構築、ライフサイエンスをベースとした研究試薬以外の新市場への展開も推進する方針を打ち出した。2020年12月期第2四半期累計は中期経営計画の初年度だが、コロナ禍で事業環境が急変するなかでも影響が限定的にとどまり、おおむね順調なスタートだったとしている。またペプチド・抗体作製サービス事業は順調に拡大し、鶏卵バイオリアクター事業も本格展開で成長加速が期待される。成長ドライバーの製造・自社受託サービスが拡大して中長期的な成長が期待される。
ペプチド・抗体作製サービス事業は順調に拡大
2. ペプチド・抗体作製サービス事業
ペプチド・抗体作製サービス事業はライフサイエンス基礎研究に欠かせない重要な研究ツールの1つである。2016年12月に開始し、順調に拡大しているようだ。
更なる事業拡大に向けて、周辺技術を持つ企業とのアライアンスも推進している。2017年12月には(株)Proteomedix Frontiers(PF)と業務提携し、2018年4月にはAQUAペプチドの配列デザインから合成までの一貫サービスを開始した。
2018年6月にはペプチド創薬ベンチャーのメスキュージェナシスとペプチド創薬支援事業に関して業務提携(2019年4月出資)、2018年9月には名古屋大学発ベンチャーのiBody(株)(IBD)とモノクローナル抗体スクリーニングサービスに関して業務提携、2018年10月にはエムティーアイ<9438>と抗体作製支援システムに関して業務提携、2018年11月にはがん免疫療法開発の(株)Cancer Precision Medicine(CPM)(オンコセラピー・サイエンス<4564>の連結子会社)とペプチド合成に関する委受託基本契約を締結した。
鶏卵バイオリアクター事業を本格展開
3. 鶏卵バイオリアクター事業
鶏卵バイオリアクター事業(鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業)は、遺伝子改変ニワトリ(鶏卵の卵白中に、目的とする有用なタンパク質を大量に生産させるようにゲノム編集した特殊なニワトリ)の鶏卵バイオリアクターを用いて、ユーザーが必要とする目的タンパク質を大量製造・精製する。
国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)及び国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)との共同研究を進め、2017年8月、ヒトインターフェロンβ製造に関する特許実施権を獲得した。2018年7月には産総研が、卵白に有用組み換えタンパク質を大量に含む卵を産む遺伝子改変ニワトリを作製する技術を確立している。
2019年にはヒトインターフェロンβに限定されない特許実施許諾を農研機構から獲得した。2019年7月には、大阪大学発ベンチャーのC4U(株)が保有する特許技術「CRISPR/Cas3」をライセンス導入し、ユーザーが必要とするタンパク質を安価・大量に製造できるようになったため、鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業を開始した。ユーザーニーズに対応して受託製造を本格展開するとともに、将来的には幅広く対応可能な研究用試薬の自社製品としての開発・製造・販売も目指すとしている。
2019年10月には日本全薬工業(株)からゲノム編集ニワトリの作製を受託した。ニワトリが産んだ有用タンパク質(Aタンパク質)を大量に含む鶏卵を納品する。当面は日本全薬工業の開発用の鶏卵納品だが、将来的に日本全薬工業がAタンパク質を用いた製品を上市する場合は、新たに契約を締結して売上げに応じたロイヤルティなどの収益を得られる可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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