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シュッピンのニュース
■決算概要
1. 2022年3月期決算の概要
(1) 決算の概況
2022年3月期の業績は、売上高が前期比28.0%増の43,453百万円、営業利益が同94.7%増の3,140百万円、経常利益が同96.3%増の3,187百万円、当期純利益が同106.8%増の2,207百万円と、2回目の増額修正予想(2022年1月17日公表)※をさらに上回る増収増益を実現した。
※シュッピン<3179>では、第1四半期決算発表時(2021年8月4日公表)に続き、第3四半期決算発表時(2022年1月17日公表)には、時計事業の上振れや売上総利益率が想定を上回る水準を確保したことを主因として、2回目の増額修正を行った。
売上高は、コロナ禍においても、同社が取り扱う商材(カメラ、高級時計)への需要は変わらず、EC売上及び店舗売上がともに伸長した。特に主軸のEC売上は、好調な外部環境(EC市場の拡大等)や各施策の効果により、カメラ事業を中心に好調に推移しており、第4四半期は過去最高額(四半期ベース)を更新した。一方、コロナ禍の影響が続く店舗売上についても時計事業の伸びにより前期の落ち込みから大きく回復してきた。事業別では、時計事業が戦略的な商品ラインナップ拡充(中古ロレックスの買取強化)が奏功し、EC売上及び店舗売上ともに大きく拡大。特に、国内だけにとどまらずグローバル(インバウンド及びEC越境)でも順調に伸びてきた。また、カメラ事業についても、各メーカーのフルサイズミラーレスへの本格移行が進み、業界全体が盛り上がりをみせるなかで、EC売上を中心に好調に推移している。
利益面でも、増収による収益の押し上げに加え、AIMD導入によるカメラ中古品の売上総利益率の改善や販管費のコントロールにより大幅な営業増益を実現し、営業利益率も7.2%(前期は4.8%)に大きく改善した。
財政状態については、時計事業における戦略的在庫投資の影響等により、総資産は前期末比14.2%増の14,407百万円に拡大した。一方、自己資本は自己株式の取得※1により同14.6%減の5,465百万円に縮小したことから、自己資本比率は37.9%(前期末は50.7%)に低下した。それに伴って有利子負債は長短合わせて前期末比41.5%増の5,560百万円に増加しており、ネットD/Eレシオ※2は0.8倍(前期末は0.3倍)に高まったが、同社のキャッシュ・フロー創出力※3を勘案すれば、返済能力に懸念はない。一方、資本効率を示すROEは37.2%(前期末は17.7%)と大きく改善しており、自己株式の取得等に伴って資本構成が大きく変化したことには注意が必要である。
※1 同社創業者である取締役会長鈴木慶氏より、2021年6月14日付公表の取締役退任とあわせて、同氏が保有する株式の一部売却意向の打診を受け、自己株式2,661,200株(取得価額の総額2,812,888,400円)を取得したもの。取得した自己株式については、消却あるいはM&Aへの活用を含め、今後、検討していく方針である。
※2 (有利子負債−現金及び預金)÷純資産により算出。この比率が高まるほど、財務の安全性は低下する一方、資本効率性は向上するとの見方ができる。
※3 前期のEBITDA(営業利益+減価償却費=3,327百万円)を基準にすると、EBITDA有利子負債倍率は約1.7倍程度に収まっている。
(2) 売上総利益率及び販管費の状況
2022年3月期の売上総利益率(全体)は18.5%と前期と同水準で着地した。時計事業の伸び(セールスミックスの影響※)が売上総利益率を低下させる方向に働いた一方、AIMD導入によるカメラ中古品の売上総利益率の改善が寄与したことにより、想定を上回る水準を維持することができた。また、販管費は、人件費の増加(業績賞与の増加等)のほか、EC強化策やEC売上の伸びに伴う費用の増加があったものの、特殊要因(ポイント引当金の計上方法の変更)による費用減に加え、生産性向上(システム導入やジョブローテーションによる仕組み化の推進)による費用の抑制を図ったことで、販管費率は11.3%(前期は13.8%)に大きく低下した。特に、売上高が拡大するなかでも、広告宣伝費が増えていないところは、同社のビジネスモデルの特徴を示していると言える。
※時計事業の売上総利益率はカメラ事業と比べて相対的に低いため、時計事業の伸び(構成比アップ)は、全体の売上総利益率を低下させる方向に働く。
2. 事業別の業績
(1) カメラ事業(EC比率:88%)
売上高は前期比16.2%増の27,904百万円、セグメント利益は同35.7%増の3,154百万円と順調に伸びた。各メーカーのフルサイズミラーレスへの本格移行が進み、業界全体が盛り上がりを見せるなかで、AIMDの導入や独自の仕組み(AI顔認証、Webマガジン、CGM等)を活用したOne to Oneマーケティングが機能し、EC売上が好調に推移した。一方、店舗売上についてはリソースをECへシフトしながらも前期水準を維持し、回復傾向にあるようだ。損益面では、AIMD効果により中古カメラの売上総利益率が改善し、大幅な増益を実現するともに、セグメント利益率も11.3%(前年同期は9.7%)に向上した。
(2) 時計事業(EC比率:39%)
売上高は前期比65.5%増の14,364百万円、セグメント利益は同216.2%増の1,129百万円と大きく拡大した。戦略的に取り組んでいる商品ラインナップの拡充(中古ロレックスの買取強化)やロレックス価格の高騰も追い風となり、EC売上及び店舗売上ともに大きな伸びを実現した。特に、コロナ禍においても店舗売上が大きく回復したのは、短期滞在の外国人や一時帰国の日本人などによる免税売上の伸びが寄与したことが理由である。また、越境EC(海外モール)も大きく伸びており、免税売上と合わせると、カメラも含めてグローバル向けに約73億円(前期比2.2倍)を売り上げたことになる。したがって、中古ロレックスの買取強化により国内最大級の在庫量を確保するとともに、世界最大級のオンラインマーケットプレイス「eBay」や高級腕時計マーケットプレイス「Chrono24」(クロノ24)への出展などを通じて、海外での知名度が上がってきたことが業績の伸びに寄与したと考えられる。また、レディース腕時計専門店「BRILLER」(ブリエ)についてもSNSを中心とした情報発信により徐々に知名度が高まってきたようだ。損益面でも、増収による収益の押し上げに加え、中古品が好調であったことにより売上総利益率が改善し大幅な増益を実現。セグメント利益率も7.9%(前期は4.1%)に向上した。
(3) 筆記具事業(EC比率:84%)
売上高は前期比4.1%減の391百万円、セグメント利益は5百万円(前期は30百万円の損失)と減収ながら黒字転換した。コロナ禍の下、営業戦略に基づいた業務時間の短縮やサプライチェーン混乱による影響も受け、EC売上及び店舗売上ともに伸び悩んだ。一方、損益面では、利益率の改善や費用削減により損益改善を図った。
(4) 自転車事業(EC比率:92%)
売上高は前期比6.5%減の792百万円、セグメント利益は前期比横ばいの40百万円となった。コロナ禍における需要増(移動手段としての活用や運動不足の解消等)が一巡し、売上高は前期比で減収となったが、損益面では、自社サイト比率の向上により利益率が改善し、前期と同水準の利益を確保できた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 2022年3月期決算の概要
(1) 決算の概況
2022年3月期の業績は、売上高が前期比28.0%増の43,453百万円、営業利益が同94.7%増の3,140百万円、経常利益が同96.3%増の3,187百万円、当期純利益が同106.8%増の2,207百万円と、2回目の増額修正予想(2022年1月17日公表)※をさらに上回る増収増益を実現した。
※シュッピン<3179>では、第1四半期決算発表時(2021年8月4日公表)に続き、第3四半期決算発表時(2022年1月17日公表)には、時計事業の上振れや売上総利益率が想定を上回る水準を確保したことを主因として、2回目の増額修正を行った。
売上高は、コロナ禍においても、同社が取り扱う商材(カメラ、高級時計)への需要は変わらず、EC売上及び店舗売上がともに伸長した。特に主軸のEC売上は、好調な外部環境(EC市場の拡大等)や各施策の効果により、カメラ事業を中心に好調に推移しており、第4四半期は過去最高額(四半期ベース)を更新した。一方、コロナ禍の影響が続く店舗売上についても時計事業の伸びにより前期の落ち込みから大きく回復してきた。事業別では、時計事業が戦略的な商品ラインナップ拡充(中古ロレックスの買取強化)が奏功し、EC売上及び店舗売上ともに大きく拡大。特に、国内だけにとどまらずグローバル(インバウンド及びEC越境)でも順調に伸びてきた。また、カメラ事業についても、各メーカーのフルサイズミラーレスへの本格移行が進み、業界全体が盛り上がりをみせるなかで、EC売上を中心に好調に推移している。
利益面でも、増収による収益の押し上げに加え、AIMD導入によるカメラ中古品の売上総利益率の改善や販管費のコントロールにより大幅な営業増益を実現し、営業利益率も7.2%(前期は4.8%)に大きく改善した。
財政状態については、時計事業における戦略的在庫投資の影響等により、総資産は前期末比14.2%増の14,407百万円に拡大した。一方、自己資本は自己株式の取得※1により同14.6%減の5,465百万円に縮小したことから、自己資本比率は37.9%(前期末は50.7%)に低下した。それに伴って有利子負債は長短合わせて前期末比41.5%増の5,560百万円に増加しており、ネットD/Eレシオ※2は0.8倍(前期末は0.3倍)に高まったが、同社のキャッシュ・フロー創出力※3を勘案すれば、返済能力に懸念はない。一方、資本効率を示すROEは37.2%(前期末は17.7%)と大きく改善しており、自己株式の取得等に伴って資本構成が大きく変化したことには注意が必要である。
※1 同社創業者である取締役会長鈴木慶氏より、2021年6月14日付公表の取締役退任とあわせて、同氏が保有する株式の一部売却意向の打診を受け、自己株式2,661,200株(取得価額の総額2,812,888,400円)を取得したもの。取得した自己株式については、消却あるいはM&Aへの活用を含め、今後、検討していく方針である。
※2 (有利子負債−現金及び預金)÷純資産により算出。この比率が高まるほど、財務の安全性は低下する一方、資本効率性は向上するとの見方ができる。
※3 前期のEBITDA(営業利益+減価償却費=3,327百万円)を基準にすると、EBITDA有利子負債倍率は約1.7倍程度に収まっている。
(2) 売上総利益率及び販管費の状況
2022年3月期の売上総利益率(全体)は18.5%と前期と同水準で着地した。時計事業の伸び(セールスミックスの影響※)が売上総利益率を低下させる方向に働いた一方、AIMD導入によるカメラ中古品の売上総利益率の改善が寄与したことにより、想定を上回る水準を維持することができた。また、販管費は、人件費の増加(業績賞与の増加等)のほか、EC強化策やEC売上の伸びに伴う費用の増加があったものの、特殊要因(ポイント引当金の計上方法の変更)による費用減に加え、生産性向上(システム導入やジョブローテーションによる仕組み化の推進)による費用の抑制を図ったことで、販管費率は11.3%(前期は13.8%)に大きく低下した。特に、売上高が拡大するなかでも、広告宣伝費が増えていないところは、同社のビジネスモデルの特徴を示していると言える。
※時計事業の売上総利益率はカメラ事業と比べて相対的に低いため、時計事業の伸び(構成比アップ)は、全体の売上総利益率を低下させる方向に働く。
2. 事業別の業績
(1) カメラ事業(EC比率:88%)
売上高は前期比16.2%増の27,904百万円、セグメント利益は同35.7%増の3,154百万円と順調に伸びた。各メーカーのフルサイズミラーレスへの本格移行が進み、業界全体が盛り上がりを見せるなかで、AIMDの導入や独自の仕組み(AI顔認証、Webマガジン、CGM等)を活用したOne to Oneマーケティングが機能し、EC売上が好調に推移した。一方、店舗売上についてはリソースをECへシフトしながらも前期水準を維持し、回復傾向にあるようだ。損益面では、AIMD効果により中古カメラの売上総利益率が改善し、大幅な増益を実現するともに、セグメント利益率も11.3%(前年同期は9.7%)に向上した。
(2) 時計事業(EC比率:39%)
売上高は前期比65.5%増の14,364百万円、セグメント利益は同216.2%増の1,129百万円と大きく拡大した。戦略的に取り組んでいる商品ラインナップの拡充(中古ロレックスの買取強化)やロレックス価格の高騰も追い風となり、EC売上及び店舗売上ともに大きな伸びを実現した。特に、コロナ禍においても店舗売上が大きく回復したのは、短期滞在の外国人や一時帰国の日本人などによる免税売上の伸びが寄与したことが理由である。また、越境EC(海外モール)も大きく伸びており、免税売上と合わせると、カメラも含めてグローバル向けに約73億円(前期比2.2倍)を売り上げたことになる。したがって、中古ロレックスの買取強化により国内最大級の在庫量を確保するとともに、世界最大級のオンラインマーケットプレイス「eBay」や高級腕時計マーケットプレイス「Chrono24」(クロノ24)への出展などを通じて、海外での知名度が上がってきたことが業績の伸びに寄与したと考えられる。また、レディース腕時計専門店「BRILLER」(ブリエ)についてもSNSを中心とした情報発信により徐々に知名度が高まってきたようだ。損益面でも、増収による収益の押し上げに加え、中古品が好調であったことにより売上総利益率が改善し大幅な増益を実現。セグメント利益率も7.9%(前期は4.1%)に向上した。
(3) 筆記具事業(EC比率:84%)
売上高は前期比4.1%減の391百万円、セグメント利益は5百万円(前期は30百万円の損失)と減収ながら黒字転換した。コロナ禍の下、営業戦略に基づいた業務時間の短縮やサプライチェーン混乱による影響も受け、EC売上及び店舗売上ともに伸び悩んだ。一方、損益面では、利益率の改善や費用削減により損益改善を図った。
(4) 自転車事業(EC比率:92%)
売上高は前期比6.5%減の792百万円、セグメント利益は前期比横ばいの40百万円となった。コロナ禍における需要増(移動手段としての活用や運動不足の解消等)が一巡し、売上高は前期比で減収となったが、損益面では、自社サイト比率の向上により利益率が改善し、前期と同水準の利益を確保できた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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