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ビックカメラのニュース
■会社概要
1. 沿革
クオールホールディングス<3034>は1992年、現取締役会長の中村勝(なかむらまさる)氏により設立された。1993年に日本橋兜町に調剤薬局第1号店を開設以来、自社出店に加えてM&Aを積極的に活用して調剤薬局店舗網の拡大を進めてきた。その傍ら、関連事業・周辺事業への進出も図り、2003年にはフェーズオン(株)を設立して治験関連事業に進出したほか、2008年にはクオールメディス(株)を設立し労働者紹介・派遣事業を開始した。
その後同社は保険薬局事業とBPO事業の2つの事業セグメントに事業を整理し、経営の効率化と業容の拡大を図ってきたが、さらに2018年10月1日付で持株会社体制へと移行した。同社本体は純粋持株会社としてクオールホールディングス(株)に社名を変更し、コーポレート・ガバナンスの充実やグループの中長期成長戦略の策定、グループ全体の統率などに取り組んでいる。
また、2019年8月には藤永製薬を子会社化し、医薬品製造販売事業にも進出を果たしている。保険薬局事業については安定して収益を獲得できる事業ではあるものの、医療行政の方針(2年に1回の診療報酬改定等)によって収益変動リスクがつきまとう。同社では、経営基盤の強化と安定性をさらに高めていくために、保険薬局事業を補完しつつ、シナジー効果が期待できる事業として医薬品製造販売事業に進出し、CSO事業・医療系人材派遣事業と合わせて事業規模を拡大し、更なるグループの成長を目指す戦略となっている。
なお、2021年3月期より、「BPO事業」としていた報告セグメントの名称を「医療関連事業」に名称変更している。
事業セグメント別の収益の構成比を見ると(2020年3月期実績)、保険薬局事業が売上高の91.9%、営業利益の84.4%を占める主力事業となっている。
『マンツーマン薬局』と異業種連携による『新業態』薬局を展開、M&Aも活用しながら店舗数を拡大
2. 保険薬局事業
(1) 事業規模と業界内でのポジショニング
保険薬局事業セグメントの主な事業内容は調剤薬局の運営となり、2021年3月期第2四半期末の店舗数で見ると、総店舗数819店舗のうち797店舗(約97%)を調剤薬局で占めている。残り22店舗は病院内売店の運営となる。また、セグメント売上高のうち約92%は処方箋売上高(いわゆる調剤売上高)が占めており、残りは薬局やコンビニ、病院内店舗での商品販売や、クオール公式通販サイト内での健康食品、衛生用品等の販売収入となる。
調剤薬局業界における同社のポジショニングについて見ると、店舗数では上場している調剤専門チェーンのなかでアインホールディングス<9627>(2020年7月末で1,081店舗)に次ぐ2番手となり、売上高についてはアインホールディングス、日本調剤<3341>に次ぐ3番手となっている。日本調剤は店舗売上高の大きい門前薬局での展開が多いことから、売上高では同社を逆転している。
(2) 店舗戦略
同社の店舗戦略の特徴の1つとして、タイプの大きく異なる2つの業態で事業を展開していることが挙げられる。1つは『マンツーマン薬局』であり、もう1つはコンビニ大手であるローソン<2651>やビックカメラ<3048>など異業種との連携による『新業態薬局』となる。
マンツーマン薬局とは、通常のクオール店舗を対象とした店舗展開の基本スタンスを表象するコンセプトであり、事業モデルにおける“コアビジネス”でもある。そのポイントは処方元医療機関とクオール薬局との深い連携関係にある。“マンツーマン”という言葉は医療機関との深い連携関係をするために使用されていると弊社では理解している。マンツーマン(1対1)という言葉からは、1つのクオール薬局は1つの処方元医療機関とだけ連携を深めるとイメージしがちだ。しかし実際には、1つの薬局は複数の医療機関と深い連携関係を構築していることが多いもようだ。
マンツーマン薬局では医療機関との連携を生かして効率的でローコストのオペレーションを実現し、その果実を患者のためのサービス向上に資することを目指している。より具体的には、当該店舗がマンツーマン関係にある処方元医療機関の診療科目や地域性等に応じて店舗設計や機能を変化させた店づくりを追求している。その原資はマンツーマン経営の利点である医薬品在庫の効率化をはじめとする店舗の低コスト構造から生み出される。同社はマンツーマン薬局のコンセプトのもと、患者にとって利用価値の高い、患者から選ばれる薬局づくりを店舗戦略の中核に位置付けている。また、医療機関との連携を本質とするマンツーマン薬局のコンセプトは、国が掲げる『患者のための薬局ビジョン』に沿ったものと言え、成長戦略においても重要なポイントとなっている。さらには、2019年の薬機法改正によって2021年8月から導入される認定薬局制度(詳細は後述)においても有効に働くと弊社では見ている。
もう1つの業態である、異業種との連携による新業態薬局の展開は、2009年6月の薬事法改正により、コンビニやドラッグストア、スーパーなどの他業種店舗が登録業者として一般用医薬品(いわゆる大衆薬)を販売可能となったことが背景にある。これを機に他業種から調剤薬局事業に参入する流れを受けて、それを迎え撃つ施策として同社は既述の2社との事業連携に踏み切り、その後も他異業種との事業連携等を逐次推進してきている。
事業連携を通じた店舗が“新業態”とされるのは、既述の“マンツーマン薬局”との対比において、ターゲット顧客層が異なるためだ。マンツーマン薬局では顧客層がある程度絞り込まれ、医薬品在庫などもそれを念頭において効率化されたものとなっている。一方、新業態薬局は人通りの多い立地で不特定多数の顧客をターゲットとする、いわゆる面対応型薬局となる。このため、店舗の在庫投資等の点ではマンツーマン薬局よりも負担が増えるが、より多くの来店客数(すなわち処方箋応需枚数)を期待できる。マンツーマン薬局をコアモデルと位置付けつつ、新業態でも展開することで顧客層の拡大を図るというのが同社の狙いだ。
なお、地域別の出店数では関東が最も多く339店舗(構成比41.4%)となっており、次いで関西が133店舗(同16.2%)、甲信越が111店舗(同13.6%)となっている。東京を創業地として店舗展開してきたことから関東圏が多いが、2016年3月期末からの増加数で見ると、甲信越で98店舗、関西で49店舗とそれぞれ大きく伸ばしている点が注目される。甲信越では2016年10月に新潟に拠点を置く(株)共栄堂を子会社化したこと、関西でも2018年から2020年にかけて複数のM&Aを実施したことが主な増加要因となっている。同社では店舗拡大戦略として、自力出店に加えてM&Aによる店舗拡大を積極推進していることも大きな特徴となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
1. 沿革
クオールホールディングス<3034>は1992年、現取締役会長の中村勝(なかむらまさる)氏により設立された。1993年に日本橋兜町に調剤薬局第1号店を開設以来、自社出店に加えてM&Aを積極的に活用して調剤薬局店舗網の拡大を進めてきた。その傍ら、関連事業・周辺事業への進出も図り、2003年にはフェーズオン(株)を設立して治験関連事業に進出したほか、2008年にはクオールメディス(株)を設立し労働者紹介・派遣事業を開始した。
その後同社は保険薬局事業とBPO事業の2つの事業セグメントに事業を整理し、経営の効率化と業容の拡大を図ってきたが、さらに2018年10月1日付で持株会社体制へと移行した。同社本体は純粋持株会社としてクオールホールディングス(株)に社名を変更し、コーポレート・ガバナンスの充実やグループの中長期成長戦略の策定、グループ全体の統率などに取り組んでいる。
また、2019年8月には藤永製薬を子会社化し、医薬品製造販売事業にも進出を果たしている。保険薬局事業については安定して収益を獲得できる事業ではあるものの、医療行政の方針(2年に1回の診療報酬改定等)によって収益変動リスクがつきまとう。同社では、経営基盤の強化と安定性をさらに高めていくために、保険薬局事業を補完しつつ、シナジー効果が期待できる事業として医薬品製造販売事業に進出し、CSO事業・医療系人材派遣事業と合わせて事業規模を拡大し、更なるグループの成長を目指す戦略となっている。
なお、2021年3月期より、「BPO事業」としていた報告セグメントの名称を「医療関連事業」に名称変更している。
事業セグメント別の収益の構成比を見ると(2020年3月期実績)、保険薬局事業が売上高の91.9%、営業利益の84.4%を占める主力事業となっている。
『マンツーマン薬局』と異業種連携による『新業態』薬局を展開、M&Aも活用しながら店舗数を拡大
2. 保険薬局事業
(1) 事業規模と業界内でのポジショニング
保険薬局事業セグメントの主な事業内容は調剤薬局の運営となり、2021年3月期第2四半期末の店舗数で見ると、総店舗数819店舗のうち797店舗(約97%)を調剤薬局で占めている。残り22店舗は病院内売店の運営となる。また、セグメント売上高のうち約92%は処方箋売上高(いわゆる調剤売上高)が占めており、残りは薬局やコンビニ、病院内店舗での商品販売や、クオール公式通販サイト内での健康食品、衛生用品等の販売収入となる。
調剤薬局業界における同社のポジショニングについて見ると、店舗数では上場している調剤専門チェーンのなかでアインホールディングス<9627>(2020年7月末で1,081店舗)に次ぐ2番手となり、売上高についてはアインホールディングス、日本調剤<3341>に次ぐ3番手となっている。日本調剤は店舗売上高の大きい門前薬局での展開が多いことから、売上高では同社を逆転している。
(2) 店舗戦略
同社の店舗戦略の特徴の1つとして、タイプの大きく異なる2つの業態で事業を展開していることが挙げられる。1つは『マンツーマン薬局』であり、もう1つはコンビニ大手であるローソン<2651>やビックカメラ<3048>など異業種との連携による『新業態薬局』となる。
マンツーマン薬局とは、通常のクオール店舗を対象とした店舗展開の基本スタンスを表象するコンセプトであり、事業モデルにおける“コアビジネス”でもある。そのポイントは処方元医療機関とクオール薬局との深い連携関係にある。“マンツーマン”という言葉は医療機関との深い連携関係をするために使用されていると弊社では理解している。マンツーマン(1対1)という言葉からは、1つのクオール薬局は1つの処方元医療機関とだけ連携を深めるとイメージしがちだ。しかし実際には、1つの薬局は複数の医療機関と深い連携関係を構築していることが多いもようだ。
マンツーマン薬局では医療機関との連携を生かして効率的でローコストのオペレーションを実現し、その果実を患者のためのサービス向上に資することを目指している。より具体的には、当該店舗がマンツーマン関係にある処方元医療機関の診療科目や地域性等に応じて店舗設計や機能を変化させた店づくりを追求している。その原資はマンツーマン経営の利点である医薬品在庫の効率化をはじめとする店舗の低コスト構造から生み出される。同社はマンツーマン薬局のコンセプトのもと、患者にとって利用価値の高い、患者から選ばれる薬局づくりを店舗戦略の中核に位置付けている。また、医療機関との連携を本質とするマンツーマン薬局のコンセプトは、国が掲げる『患者のための薬局ビジョン』に沿ったものと言え、成長戦略においても重要なポイントとなっている。さらには、2019年の薬機法改正によって2021年8月から導入される認定薬局制度(詳細は後述)においても有効に働くと弊社では見ている。
もう1つの業態である、異業種との連携による新業態薬局の展開は、2009年6月の薬事法改正により、コンビニやドラッグストア、スーパーなどの他業種店舗が登録業者として一般用医薬品(いわゆる大衆薬)を販売可能となったことが背景にある。これを機に他業種から調剤薬局事業に参入する流れを受けて、それを迎え撃つ施策として同社は既述の2社との事業連携に踏み切り、その後も他異業種との事業連携等を逐次推進してきている。
事業連携を通じた店舗が“新業態”とされるのは、既述の“マンツーマン薬局”との対比において、ターゲット顧客層が異なるためだ。マンツーマン薬局では顧客層がある程度絞り込まれ、医薬品在庫などもそれを念頭において効率化されたものとなっている。一方、新業態薬局は人通りの多い立地で不特定多数の顧客をターゲットとする、いわゆる面対応型薬局となる。このため、店舗の在庫投資等の点ではマンツーマン薬局よりも負担が増えるが、より多くの来店客数(すなわち処方箋応需枚数)を期待できる。マンツーマン薬局をコアモデルと位置付けつつ、新業態でも展開することで顧客層の拡大を図るというのが同社の狙いだ。
なお、地域別の出店数では関東が最も多く339店舗(構成比41.4%)となっており、次いで関西が133店舗(同16.2%)、甲信越が111店舗(同13.6%)となっている。東京を創業地として店舗展開してきたことから関東圏が多いが、2016年3月期末からの増加数で見ると、甲信越で98店舗、関西で49店舗とそれぞれ大きく伸ばしている点が注目される。甲信越では2016年10月に新潟に拠点を置く(株)共栄堂を子会社化したこと、関西でも2018年から2020年にかけて複数のM&Aを実施したことが主な増加要因となっている。同社では店舗拡大戦略として、自力出店に加えてM&Aによる店舗拡大を積極推進していることも大きな特徴となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
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