2,337円
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■事業概要
以下に、ドラフト<5070>の3つの領域について説明する。
(2) オフィス
同社の顧客先は、不動産関連企業、一般企業、オリジナルプロダクト等の販売代理店である。オフィス空間の顧客先であるウォンテッドリー<3991>は、直近3期で従業員数が3倍超になるなど業容を急拡大しており、オフィスの移転を繰り返している。ギークス<7060>は、2020年3月期末の従業員数が391名と直近3期で人員規模が83.6%拡大した。AbemaTVなどのメディア事業などを手掛けるサイバーエージェント<4751>向けでは、約3,000人が働く「Abema Towers(アベマタワーズ)」のオフィスを手掛けた。ユーザーからは、オフィスの拡張・移転のたびに指名が来る。同社ブランドは、急成長する新興企業の経営者の間で知名度が高い。
同社自身も3度の移転を経て、2016年に本社オフィスを渋谷区神宮前(表参道)へ開設した。標榜するユーザーエクスペリエンスの向上を具現化しており、本社はクライアントへのショールームを兼ねている。
a) アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)
同社の提案するオフィス空間のデザインには、ABWの設計思想が取り入れられている。ABWは、オランダのVeldhoen+Companyにより提唱された働き方の概念で、仕事内容に合わせて自由に場所を選び、より生産性の高い働き方を実現する設計思想になる。ABWでは、「高集中」「コワーク」「TV電話」「リチャージ」など10タイプの働き方を定義し、それぞれに最適な環境づくりを目指す。同社のオリジナルプロダクトは、「対話」「高集中」「アイデア出し」などの働き方に対応している。
働き方改革の労働生産性向上に向けた取り組みにより、定型業務などのルーティーンワークがRPAやAIに代替され、職種や業種にかかわらずクリエイティブな作業に適したワークプレイスが求められるようになる。新型コロナウイルス感染症対策として3密回避が求められており、オフィス空間も従来の詰め込み型から、今後は同社が提案するようなクリエイティブな業務に適したデザインに変更されることが予想される。
b) オリジナルプロダクトブランド「201°」
同社グループのデザインに調和しつつ、ABWといった新しい働き方に対応したオリジナルプロダクトの企画・販売を行っている。2017年に販売を開始したブランド名は、「201°」(NIHYAKU-ICHI-DO)。人の平均的な視野と言われる200度に1度の視点を加えることで、もっと自由な視点から物作りをしたいという考えに基づく。第1弾として、簡単に集中スペースを創り出せるブースや、カジュアルな打ち合わせに最適なミーティングベンチを含む全15種類が発売された。どんな空間にも馴染むベーシックな色合いと、素材の質感やディティールの繊細さが人気を集めている。
米国を代表するデザイン雑誌「Interior Design」が主催する国際的なデザイン賞である「The Best of Year Award」において、同ブランドの集中ブース「COOM」がContract Desk Categoryにおいて最優秀賞を受賞した。同年に「201°」のWebサイトは、ドイツ・エッセンのDesign Zentrum Nordrhein Westfalenが主催する国際的なプロダクトデザイン賞「Red Dot Award」のcommunication design/Online部門賞を2018年に受賞している。
c) 海外受賞
上記以外にも、ウォンテッドリーのオフィスが、米国の国際デザインアワード協会が主催する国際的なデザインアワード「IDA Design Award 2015」においてHonorable Mentionを受賞。また、同オフィスは、米Herman Millerが主催するアジア太平洋地域の優れたオフィスを表彰する「Liveable Office Award 2016」においてスモール&ミディアムビジネス部門の大賞に輝いた。さらに、2017年には、NYで毎年開催されるデザイン分野を網羅するコンペティション「Spark Award」にて、同社が設計したディップ<2379>本社オフィスがブロンズ賞を受賞した。
(3) 商業施設
同社のプロジェクトでは、商業施設も海外Awardを受賞している。「IDA Design Award 2015」において、「EARTH coiffure beaute藤枝店」がHonorable Mentionを受賞した。同賞には、ウォンテッドリーオフィスと同時に、2つのプロジェクトが受賞したことになる。
2016年にドイツで開催された建築・インテリアの世界大会「World Architecture Festival / INSIDE」のリテール部門には「Zoff MART自由が丘店」が入選した。アイウェア「Zoff」の新業態となる店舗「Zoff MART」では、2週間ごとに新製品を発売するという驚異的な新製品開発スピードやトレンド感を表現した。新鮮な商品を扱う「スーパーマーケット」をコンセプトにデザインを展開。海外旗艦店としてリニューアルオープンした上海の店舗は、同じ立地と従業員にもかかわらず、売上げが倍増以上となった。日本にも逆輸入され、自由が丘店はZoffブルーのファサードが目を引く路面店となった。
ミレニアム層をターゲットとするアパレルブランド「STYLE & PLAY GREAT YARD」の表参道店では、若年層への展開を課題としていた老舗スポーツチェーンの新ブランドとして、店舗設計だけでなく音楽、映像、イベントなど包括的なクリエイティブアプローチにより、SNSやソーシャルメディアで話題となった。
(4) 都市開発・環境設計・その他
環境設計とは、オフィスビルディング、商業施設等のエントランス・ロビー・エレベーターホール・周辺植栽等共用スペース、または建物各階の共通デザインコンセプトの立案、設計及び施工等の業務を指す。環境設計の良し悪しが当該建築物のブランドイメージを左右することとなる。都市開発は、街区開発の基本コンセプト立案、具体的デザインの制作、設計及び個別建物の内外装工事等の業務になる。
ここ数年、同社には都市開発や複合施設の環境設計など「街のランドマークとなる施設をデザインしてほしい」というような依頼が増えている。東京都心は言うに及ばず、名古屋や福岡などの主要都市、スマートシティ構想の中心地である千葉県・柏の葉などの多彩なプロジェクトに関わっている。同社では、「次世代に必要な都市とはなにか」を問い直し、デベロッパーと協業した新しい都市の価値提案をしている。
同社の先進的な取り組みが業界で認知され、不動産大手の三井不動産<8801>、三菱地所<8802>、東急不動産(東急不動産ホールディングス<3289>の子会社)、東京建物<8804>など大手デベロッパーとの協働に発展している。三菱地所や三井不動産は、設計監理を専門とするグループ企業を擁している。にもかかわらず、同社の企画・デザイン・設計が採用されているのは、同社のデザインを基軸とするブランド価値が、業界トップ企業に評価されている証左と言える。
国土交通省のプロジェクトである柏の葉スマートシティの「141街区オフィスビル(仮称)計画」では、同社は環境設計を請け負った。壁一面を本棚にしたアトリウムを一般開放し、利用者が減る土日祝日には地域の人々の憩いとなる空間をデザインしている。常識にとらわれない、変化と成長を続ける同社ならではの発想とデザインとなる。東京駅周辺の開発プロジェクトでは、2020年度中に完成予定の「丸の内1-3計画(仮称)」でアネックス棟の中心施設の企画立案から内装設計までを手掛けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<NB>
以下に、ドラフト<5070>の3つの領域について説明する。
(2) オフィス
同社の顧客先は、不動産関連企業、一般企業、オリジナルプロダクト等の販売代理店である。オフィス空間の顧客先であるウォンテッドリー<3991>は、直近3期で従業員数が3倍超になるなど業容を急拡大しており、オフィスの移転を繰り返している。ギークス<7060>は、2020年3月期末の従業員数が391名と直近3期で人員規模が83.6%拡大した。AbemaTVなどのメディア事業などを手掛けるサイバーエージェント<4751>向けでは、約3,000人が働く「Abema Towers(アベマタワーズ)」のオフィスを手掛けた。ユーザーからは、オフィスの拡張・移転のたびに指名が来る。同社ブランドは、急成長する新興企業の経営者の間で知名度が高い。
同社自身も3度の移転を経て、2016年に本社オフィスを渋谷区神宮前(表参道)へ開設した。標榜するユーザーエクスペリエンスの向上を具現化しており、本社はクライアントへのショールームを兼ねている。
a) アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)
同社の提案するオフィス空間のデザインには、ABWの設計思想が取り入れられている。ABWは、オランダのVeldhoen+Companyにより提唱された働き方の概念で、仕事内容に合わせて自由に場所を選び、より生産性の高い働き方を実現する設計思想になる。ABWでは、「高集中」「コワーク」「TV電話」「リチャージ」など10タイプの働き方を定義し、それぞれに最適な環境づくりを目指す。同社のオリジナルプロダクトは、「対話」「高集中」「アイデア出し」などの働き方に対応している。
働き方改革の労働生産性向上に向けた取り組みにより、定型業務などのルーティーンワークがRPAやAIに代替され、職種や業種にかかわらずクリエイティブな作業に適したワークプレイスが求められるようになる。新型コロナウイルス感染症対策として3密回避が求められており、オフィス空間も従来の詰め込み型から、今後は同社が提案するようなクリエイティブな業務に適したデザインに変更されることが予想される。
b) オリジナルプロダクトブランド「201°」
同社グループのデザインに調和しつつ、ABWといった新しい働き方に対応したオリジナルプロダクトの企画・販売を行っている。2017年に販売を開始したブランド名は、「201°」(NIHYAKU-ICHI-DO)。人の平均的な視野と言われる200度に1度の視点を加えることで、もっと自由な視点から物作りをしたいという考えに基づく。第1弾として、簡単に集中スペースを創り出せるブースや、カジュアルな打ち合わせに最適なミーティングベンチを含む全15種類が発売された。どんな空間にも馴染むベーシックな色合いと、素材の質感やディティールの繊細さが人気を集めている。
米国を代表するデザイン雑誌「Interior Design」が主催する国際的なデザイン賞である「The Best of Year Award」において、同ブランドの集中ブース「COOM」がContract Desk Categoryにおいて最優秀賞を受賞した。同年に「201°」のWebサイトは、ドイツ・エッセンのDesign Zentrum Nordrhein Westfalenが主催する国際的なプロダクトデザイン賞「Red Dot Award」のcommunication design/Online部門賞を2018年に受賞している。
c) 海外受賞
上記以外にも、ウォンテッドリーのオフィスが、米国の国際デザインアワード協会が主催する国際的なデザインアワード「IDA Design Award 2015」においてHonorable Mentionを受賞。また、同オフィスは、米Herman Millerが主催するアジア太平洋地域の優れたオフィスを表彰する「Liveable Office Award 2016」においてスモール&ミディアムビジネス部門の大賞に輝いた。さらに、2017年には、NYで毎年開催されるデザイン分野を網羅するコンペティション「Spark Award」にて、同社が設計したディップ<2379>本社オフィスがブロンズ賞を受賞した。
(3) 商業施設
同社のプロジェクトでは、商業施設も海外Awardを受賞している。「IDA Design Award 2015」において、「EARTH coiffure beaute藤枝店」がHonorable Mentionを受賞した。同賞には、ウォンテッドリーオフィスと同時に、2つのプロジェクトが受賞したことになる。
2016年にドイツで開催された建築・インテリアの世界大会「World Architecture Festival / INSIDE」のリテール部門には「Zoff MART自由が丘店」が入選した。アイウェア「Zoff」の新業態となる店舗「Zoff MART」では、2週間ごとに新製品を発売するという驚異的な新製品開発スピードやトレンド感を表現した。新鮮な商品を扱う「スーパーマーケット」をコンセプトにデザインを展開。海外旗艦店としてリニューアルオープンした上海の店舗は、同じ立地と従業員にもかかわらず、売上げが倍増以上となった。日本にも逆輸入され、自由が丘店はZoffブルーのファサードが目を引く路面店となった。
ミレニアム層をターゲットとするアパレルブランド「STYLE & PLAY GREAT YARD」の表参道店では、若年層への展開を課題としていた老舗スポーツチェーンの新ブランドとして、店舗設計だけでなく音楽、映像、イベントなど包括的なクリエイティブアプローチにより、SNSやソーシャルメディアで話題となった。
(4) 都市開発・環境設計・その他
環境設計とは、オフィスビルディング、商業施設等のエントランス・ロビー・エレベーターホール・周辺植栽等共用スペース、または建物各階の共通デザインコンセプトの立案、設計及び施工等の業務を指す。環境設計の良し悪しが当該建築物のブランドイメージを左右することとなる。都市開発は、街区開発の基本コンセプト立案、具体的デザインの制作、設計及び個別建物の内外装工事等の業務になる。
ここ数年、同社には都市開発や複合施設の環境設計など「街のランドマークとなる施設をデザインしてほしい」というような依頼が増えている。東京都心は言うに及ばず、名古屋や福岡などの主要都市、スマートシティ構想の中心地である千葉県・柏の葉などの多彩なプロジェクトに関わっている。同社では、「次世代に必要な都市とはなにか」を問い直し、デベロッパーと協業した新しい都市の価値提案をしている。
同社の先進的な取り組みが業界で認知され、不動産大手の三井不動産<8801>、三菱地所<8802>、東急不動産(東急不動産ホールディングス<3289>の子会社)、東京建物<8804>など大手デベロッパーとの協働に発展している。三菱地所や三井不動産は、設計監理を専門とするグループ企業を擁している。にもかかわらず、同社の企画・デザイン・設計が採用されているのは、同社のデザインを基軸とするブランド価値が、業界トップ企業に評価されている証左と言える。
国土交通省のプロジェクトである柏の葉スマートシティの「141街区オフィスビル(仮称)計画」では、同社は環境設計を請け負った。壁一面を本棚にしたアトリウムを一般開放し、利用者が減る土日祝日には地域の人々の憩いとなる空間をデザインしている。常識にとらわれない、変化と成長を続ける同社ならではの発想とデザインとなる。東京駅周辺の開発プロジェクトでは、2020年度中に完成予定の「丸の内1-3計画(仮称)」でアネックス棟の中心施設の企画立案から内装設計までを手掛けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<NB>
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