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―ウィズコロナで都市部に人戻る、不動産やインフラ、消費セクターに注目―
東京への人口流入が再拡大している。コロナ禍の影響が徐々に薄れるなか、これまで控えられていた就職や転勤などに伴う引っ越し需要が増加したとみられる。神奈川など近隣県への人口流入も継続しており、首都圏一極集中の長期トレンドに大きな変化はないようだ。極端な人口集中の是正は引き続き求められるところだが、現状として都市部に人が集まる傾向が進んでいるとあれば、株式投資の観点からはそうした状況に対応した銘柄をウォッチしたいところだろう。人口流入が続く首都圏を地盤とする銘柄を幅広くピックアップした。
●東京の転入超過3年ぶり拡大、転入超維持は27年連続
総務省が1月末に公表した2022年の「住民基本台帳人口移動報告」によると、東京の転入超過数(転入者数から転出者数を引いた値)は3万8023人となり、超過幅が3年ぶりに拡大した。新型コロナウイルス感染拡大以降に大幅な減少傾向をたどり、21年には5433人にまで落ち込んでいた。7万~8万程度で推移していたコロナ禍前の水準には遠く及ばないものの、今回の再流入の勢いを見ると元の状況に戻るのは思いのほか早いかもしれない。
周辺の神奈川、埼玉、千葉も転入超過の状態が続いている。これら近隣県を含む東京エリアの超過数も増加に転じており、社会全体がウィズコロナへと進むなかで都市部に再び人が戻ってきていることがわかる。コロナ禍を機に人口の都市集中に歯止めがかかるとの見方もひと頃多く聞かれたが、一時的な転入超過数の減少こそあれ、人口移動の大きな潮流を変えるまでには至らなかったようだ。特に首都東京への流入は顕著で、東京エリアは1996年以降、27年連続で転入超過を維持している。
こうしたなか、首都圏で事業を展開する企業に活路を見出すのはどうだろうか。人口流入によって継続的な需要が見込まれる点はポイントで、銘柄選別をする上で念頭に置いておくのも悪くないだろう。不動産やインフラ、小売りなど、さまざまな分野から該当する銘柄を取り上げてみた。
●まずは不動産セクターをチェック
人口流入が続く首都圏の土地需要は高く、各所で再開発が相次いでいる。都心部を中心にオフィスビルや商業施設を多数手がける三井不動産 <8801> [東証P]や三菱地所 <8802> [東証P]、住友不動産 <8830> [東証P]、ヒューリック <3003> [東証P]、野村不動産ホールディングス <3231> [東証P]など、まずは不動産大手を押さえておこう。
首都圏を中心に展開する不動産関連株としては、分譲マンションの日神グループホールディングス <8881> [東証P]、「ガーラ」ブランドの投資用ワンルームマンションで知られるFJネクストホールディングス <8935> [東証P]のほか、THEグローバル社 <3271> [東証S]、ファーストコーポレーション <1430> [東証P]、アグレ都市デザイン <3467> [東証P]なども挙げられる。飲食店向けに特化した店舗賃貸業のテンポイノベーション <3484> [東証P]も面白い。
東京23区を軸に展開しているものでは、新日本建物 <8893> [東証S]やグッドコムアセット <3475> [東証P]、タスキ <2987> [東証G]、グローバル・リンク・マネジメント <3486> [東証P]、プロパティエージェント <3464> [東証P]など。
●鉄道、エネルギーなど社会インフラ関連
鉄道株ではJR東日本 <9020> [東証P]を筆頭に、東急 <9005> [東証P]、京成電鉄 <9009> [東証P]、東武鉄道 <9001> [東証P]、小田急電鉄 <9007> [東証P]、京王電鉄 <9008> [東証P]、西武ホールディングス <9024> [東証P]、京浜急行電鉄 <9006> [東証P]、相鉄ホールディングス <9003> [東証P]の関東大手私鉄8社をマーク。バス大手の神奈川中央交通 <9081> [東証P]もある。
エネルギー分野では、小売り自由化で地域独占がなくなったものの、引き続き首都圏を地盤としている東京電力ホールディングス <9501> [東証P]と東京ガス <9531> [東証P]。このほかエネルギーの範疇にある銘柄として、ガソリンスタンドのCAPITA <7462> [東証S]、サンオータス <7623> [東証S]に目を向けておきたい。
金融機関では、神奈川地盤のコンコルディア・フィナンシャルグループ <7186> [東証P]をはじめ、千葉銀行 <8331> [東証P]、東京きらぼしフィナンシャルグループ <7173> [東証P]、京葉銀行 <8544> [東証P]などがある。
●食品スーパーや外食、ドラッグストアなど消費関連
日常の消費を支える 食品スーパーでは、首都圏最大手のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス <3222> [東証S]に注目。東京多摩地区が地盤のいなげや <8182> [東証P]、埼玉地盤のヤオコー <8279> [東証P]、ベルク <9974> [東証P]も見逃せない。
外食では全国展開する各大手企業に加え、スポーツ観戦ができる英国風パブを運営するハブ <3030> [東証P]、中華食堂「日高屋」を展開するハイデイ日高 <7611> [東証P]、定食屋チェーンの大戸屋ホールディングス <2705> [東証S]を押さえておきたい。 ドラッグストアではサンドラッグ <9989> [東証P]、クリエイトSDホールディングス <3148> [東証P]、家電販売ではノジマ <7419> [東証P]、ピーシーデポコーポレーション <7618> [東証P]などがある。
●保育施設や塾なども
政府や東京都による少子化対策への期待から、株式市場では子育て支援関連株に依然高い関心が集まっている。なかで、首都圏を中心に保育施設を展開するグローバルキッズCOMPANY <6189> [東証P]、Kids Smile Holdings <7084> [東証G]、AIAIグループ <6557> [東証G]、さくらさくプラス <7097> [東証G]に妙味がありそうだ。
子育て支援のテーマと近い位置にある習い事関連では、学習塾のリソー教育 <4714> [東証P]、東京個別指導学院 <4745> [東証P]、早稲田アカデミー <4718> [東証P]が挙げられる。その他の分野では、東京23区でシェアトップの廃棄物処理業者である要興業 <6566> [東証S]、首都圏でカラオケ店を運営する鉄人化計画 <2404> [東証S]、神奈川を地盤とする冠婚葬祭サービス大手の平安レイサービス <2344> [東証S]などがある。
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