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テノックス Research Memo(4):鋼管杭工事と深層地盤改良工事が建設事業の大半を占める

配信元:フィスコ
投稿:2023/01/16 16:24
■事業概要

2. 建設事業
主力の建設事業では、年度によって割合は異なるが、鋼管杭工事と柱状改良による深層地盤改良工事が大半を占める。テノックス<1905>が対象とする構造物は、戸建て住宅から工場、物流施設、中低層ビル・マンションなどの建築構造物、道路・鉄道橋梁や盛土、上下水道施設、土留、擁壁、鉄塔などの土木構造物である。建築物を支えるだけでなく、耐震補強や液状化抑制、環境負荷低減、土砂崩壊の抑制という工事目的なども含まれる。工法は、杭工事がガンテツパイル工法、TN工法、TN-X工法、NSエコパイル工法、ATTコラム工法、CMJ工法など、地盤改良工事がテノコラム工法やピュアパイル工法などがある。TN-X工法とピュアパイル工法は建築構造物のみを対象としているが、そのほかの工法は土木構造物にも利用される。以下に主要な同社工法の詳細を示す。

(1) ガンテツパイル工法(杭)
日本製鉄<5401>クボタ<6326>と共同で研究開発した工法である。地盤にセメントミルクを注入し地盤を撹拌混合して造成した固化体(ソイルセメント柱)の中央に、外面突起付き鋼管を沈設する合成杭である。特長は、ソイルセメント柱による大きな鉛直・周面支持力により、少ない本数で基礎構造物を支えることができること、鋼管の高い靭性を生かし、ソイルセメントと組み合わせることで大きな水平抵抗力を得るという2つの特性を同時に生かせること、地盤を有効に利用し固化体を造成するため建設残土の発生を低減できること、その結果、建設費の抑制や工期の短縮が可能になることなどがある。道路や鉄道の高架橋、上下水道施設など土木分野で幅広く利用されている。

(2) TN-X工法(杭)
日本製鉄と共同で研究開発した工法で、油圧式の拡縮掘削ヘッドにより杭先端部に拡大根固め球根を築造することで、大きな支持力を得る高支持力鋼管杭工法である。2005年に国土交通大臣認定を取得したのちに、大きな杭耐力を必要とする大型物流施設、ホテル、マンション、データセンター、庁舎、病院、空港施設などの重要建築構造物に採用されている。特長は、最大径φ2,400mmの根固め球根によって最大17,900kN※1の高い先端支持力が得られることで、少ない本数で大型構造物を支えることができること、鋼管杭の高い靭性から大地震に強いこと、中掘り方式を採用することで低排土かつφ1,400mmの大口径鋼管杭を70m(施工長)の深度まで施工できること、掘削深度や掘削速度、セメントミルク※2注入量、拡縮翼径などリアルタイムのモニタリングによる品質管理が可能なことなどがある。

※1 kN(キロニュートン):荷重を表す単位。おおむね10kN=1ton。
※2 セメントミルク:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。


(3) ATTコラム工法(杭)
旭化成建材(株)と共同で研究開発した工法で、ソイルセメントコラム(柱状改良体)の中央に羽根付き鋼管杭を埋設するハイブリッド工法である。特長は、ソイルセメントコラムと羽根付き鋼管杭の相乗効果による大きな周面摩擦力と高い靭性で軟弱地盤上でも大きな支持力を期待できること、後述するテノコラム工法を応用することで建設残土を低減できること、狭隘地での施工が可能なことなどがある。中低層建築物やアウトフレーム型耐震補強の基礎として多用されるほか、歩道橋の橋台基礎など狭い現場や狭い搬入路でも利用できるうえ、明確な支持層に着底しない浮き基礎にも対応しているため、高く評価されている。

(4) テノコラム工法(地盤改良)
建築物の基礎工法として地盤改良が認知される先駆けとなった工法で、1984年に同社独自で特許を取得した。スラリー※状にしたセメント系固化材(固化材液)を地盤に注入し、機械的に撹拌混合することでソイルセメントコラムを築造する。特長として、土質を選ばず均一な強度のコラムを築造できること、コラム径や施工機械のラインアップが幅広いため施工仕様や現場条件に合わせられること、リアルタイム施工管理システムによって工期短縮やコスト削減を図れること、低振動・低騒音に加え地下水汚濁や二次公害のない環境にやさしい工法であることが挙げられる。戸建て住宅や集合住宅、大規模ショッピングセンター、中低層ビルなど様々な建築構造物の基礎として採用されるだけでなく、液状化対策や円弧滑り防止など用途は多岐にわたる。阪神大震災や東日本大震災、熊本地震といった大地震の際、テノコラム工法を基礎に採用した構造物が無被害だったことから、同工法への信頼性が改めて高まった。これまでの施工実績は40,000件に達する。

※スラリー:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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配信元: フィスコ
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