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ハウスコム Research Memo(1):2019年8月に東証1部に昇格。2Q単体は増収増益、連結も計画超過

配信元:フィスコ
投稿:2019/12/12 15:21
■要約

ハウスコム<3275>は、賃貸住宅の仲介及び周辺サービスを行う大東建託<1878>グループの成長企業である。住宅需要の高い首都圏と東海圏を中心に直営181店舗及びFC店1店舗(2019年9月末)を展開し、賃貸住宅の仲介件数では業界4位規模である。2011年6月、大証JASDAQ市場(現東証JASDAQ市場)に上場。2019年6月には東証2部、8月には東証1部にそれぞれ昇格した。

2014年3月に代表取締役社長に就任した田村穂(たむらけい)氏は、5年にわたりリーダーシップを発揮し、収益構造を改善・維持しながら、事業規模の拡大を行ってきた。この5年間に、積極的かつ立地を吟味した店舗網の拡大(純増44店舗)、WebやAIなどのITツールの積極活用、リフォーム事業への進出・拡大などを成功させている。会社としては2014年3月期から6年連続の増収増益を達成しており、営業収益は、7,815百万円(2013年3月期)から11,600百万円(2019年3月期)に48.4%増加し、当期純利益は、255百万円(2013年3月期)から891百万円(2019年3月期)に249.4%増加した。

1. 強み
同社は、人材が「リアル店舗」の競争力の源泉であると捉え、採用、教育・研修、定着化のそれぞれの面で重層的な取り組みを行っている。採用においては新卒採用を基本として、年々採用数を増やしている。2016年4月に38名だった新卒社員は、2019年4月には126名が入社するまで伸びた。人材不足が叫ばれる中で採用を増やせる要因としては、地道な大学訪問活動や同じ就活経験を持つ学卒の若手社員が一人ひとりの候補者に丁寧にフォローする体制がある。また、大学生の約半数が利用する奨学金の返済支援制度を導入し、就職活動中の学生からも注目度が高い。2020年4月入社予定の約3分の2が女性であるというのも同社の特長である。定着化においては、「不動産賃貸仲介業は長時間勤務が当たり前」という常識の打破に挑戦しているのが同社の様々な仕組みである。書類関連の業務が多い業界において、早くから不動産テックを活用し、ペーパーレス化に取り組んできた。

2. 業績動向
2020年3月期第2四半期の単体業績は、営業収益で前期比8.7%増の5,728百万円、営業利益で同50.3%増の398百万円、経常利益で同49.8%増の399百万円、四半期純利益で同54.9%増の262百万円となり、堅調な増収とともに大幅増益となった。上期において増収をけん引したのは、仲介件数の増加による仲介手数料の増加(前年同期比151百万円増)、リフォーム事業の成長(同114百万円増)などである。仲介件数増に関しては近年出店した店舗が軌道に乗った影響が大きい。特に北関東や地方都市の店舗が好調である。リフォーム事業に関しては全国7営業所目となる太田営業所(群馬県、2018年6月開店)の業績が伸びたことが寄与した。利益面では、店舗増に伴う人件費増(同187百万円)、その他(地代家賃、情報処理費、市場変更に伴う諸費用等)の増加(同57百万円)があったものの、増収効果が上回り、大幅増益となった。

3. 業績見込み
2020年3月期通期の業績(連結)は、営業収益で13,034百万円、営業利益は1,171百万円、経常利益で1,404百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で924百万円を予想する。単体実績でも前期比増収増益となり、実質7期連続の増収増益となる見込みだ。営業収益に関しては、「新規出店」及び「店舗競争力の強化」、「収益源の多様化の推進」により着実な成長を狙う。「新規出店」は通期12店舗を計画しており、既に5店舗(2019年11月時点)を出店した。「店舗競争力の強化」に関しては、人工知能(AI)やIT重説などの活用が日常的なものとして浸透し顧客の利便性向上や、店舗運営の効率向上の面で寄与する見込み。「収益源の多様化の推進」ではリフォーム事業の強化のためにエスケイビル建材(株)を上期に連結子会社化しており、下期から損益計上される。エスケイビル建材は売上高で668百万円(2018年11月期通期)、営業利益:60百万円(同)の実績であり、一定の額が同社連結業績に上乗せされる見込みである。同社は、2020年3月期より連結決算に移行した。連結子会社となったハウスコムテクノロジーズ(株)(旧ジューシィ出版(株))は、不動産分野の広告事業を主体に行うため、転居シーズン(1月−3月)に売上高、利益が集中する傾向が強く、一方で上期(4月−9月)は連結業績にマイナスの影響を及ぼす。ハウスコムテクノロジーズの通期業績への寄与予想は、売上高で797百万円、営業利益で10百万円。季節変動の大きな事業を連結したと理解したい。

4. 成長戦略
2020年3月期上期は、同社にとって大きな転換点となった。2019年6月には東証2部に昇格、そして8月には東証1部に昇格した。対外的な信用力の向上などが今後期待されるが、社内的には従業員の責任意識の向上などプラスの効果が早くも表れている。それと軌を一にして、経営面では連結経営をスタートさせた。「新規事業の拡大」や「収益源の多様化」などの基本戦略は変わらないが、これからはM&Aを積極活用しながら変革のペースを加速させる方針だ。

5. 株主還元策
同社は株主還元策として配当を実施している。企業価値を継続的に拡大し株主への利益還元を行うことを重要な経営課題と位置付けており、配当性向「30%」の継続を基本方針とする。2019年3月期の1株当たり配当金は年間35.0円(中間17.0円、期末18.0円)、配当性向30.3%と6年連続増配を達成した。2020年3月期は、実質増益の予想を背景に、年間36.0円(中間実績18.0円、期末予想18.0円)、配当性向30.0%と7年連続の増配を予想する。

■Key Points
・首都圏と東海圏を地盤に店舗展開する不動産仲介業界の成長企業。2019年8月に東証1部に昇格。連結経営に移行しM&A(2社)の活用により収益源多様化を加速
・強みは「不動産テック」と「リアル店舗」。人材の採用・教育研修・定着化におけるユニークな取り組みが注目
・2020年3月期通期(連結予想)は既存事業堅調。売上高・各利益とも着実な成長を予想。さらに連結子会社の業績が追加される
・連続増益を背景に安定した増配実績。配当性向30%維持方針。2020年3月期も連続増配を予想
(7期連続)

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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配信元: フィスコ
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