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【QAあり】レジル、通期計画の利益進捗が3Qで100%超 対前年比は約2倍、分散型エネルギープラットフォーム構築を加速

投稿:2024/06/03 11:00

WHO WE ARE

丹治保積氏(以下、丹治):それではレジルの2024年6月期第3四半期の決算説明をいたします。当社は現在、約30年の顧客基盤をもとに、分散型エネルギープラットフォームの構築を目指しています。

MANAGEMENT TEAM

2021年に「第二の創業」として、単純にエネルギーを仕入れて売るのではなく、そこにテクノロジーとファイナンスの要素を加え、日本全体のエネルギーの最適化を図っていく会社を目指し経営のボードを刷新しています。

TOPIC

ここ2年ほど、さまざまな会社の改革に取り組んできました。その結果のひとつとして、おととい(2024年5月13日)には「キャリアオーナーシップ経営AWARD 2024」で部門別最優秀賞を受賞しました。

中堅・中小企業の部、つまり従業員1,000人未満の部の企業文化変革部門で最優秀賞をいただきました。このようなかたちで、第三者の方からも評価をいただきましたので、引き続き事業の推進と成長に向け、がんばっていきたいと思います。

(詳細はこちらをご覧ください)

それではここから、CFOの山本より、第3四半期の業績についてご説明します。

エグゼクティブサマリー(2024年6月期 3Q)

山本直隆氏(以下、山本):2024年6月期第3四半期の決算ハイライトです。エグゼクティブサマリーとして、第3四半期累計業績のハイライトをご説明します。売上高は304億7,600万円でした。

売上高については、前年比で約8パーセントの減少となっています。一方、燃料調整費控除後の売上でいくと前年比13.4パーセント増と、堅調な成長ができたと認識しています。

燃料調整費は、燃料費調整制度により定められた燃料価格の変動に応じ、毎月変わってしまう調整価格ですので、我々のコントロール外の売上とお考えください。

営業利益は26億9,600万円で、前年比で2倍超になっています。同じく親会社株主に帰属する当期純利益も前年比2倍の18億9,500万円、EBITDAについては対前年比約1.7倍の34億1,900万円となっています。

第3四半期のトピックスとしては、一括受電サービスが中心である分散エネルギー事業において、昨年4月に営業を開始した「マンション防災サービス」が3棟441戸成約しています。

電力小売サービスが中心のグリーンエネルギー事業では、販売電力量増加等の営業の進捗があり、堅調に推移しています。

電力会社などのエネルギー企業から、各種バックエンド業務のDX支援サービスを受託しているエネルギーDX事業では、自治体参画の地域新電力会社への業務運用を新たに開始しています。詳細については、後ほどご説明します。

連結業績ハイライト

連結業績ハイライトです。先ほどのサマリーでお伝えした前年比の詳細を記載しています。経常利益についても26億7,600万円と、前年同期の実績を大きく上回りました。EBITDAの34億1,900万円については、次のスライドで詳細をご説明します。

連結EBITDA(増減要因)

連結EBITDAの増減要因です。前年同期の累計は20億2,700万円でした。今期との差額は13億9,200万円で、約14億円の成長をみせました。内訳としては、分散型エネルギー事業が3.7億円、グリーンエネルギー事業が12.4億円、エネルギーDX事業が2.8億円の増加となっています。

分散型エネルギー事業およびグリーンエネルギー事業は、前期は資源高を原因とする特殊要因の燃料調整費高騰等がありましたが、それが落ち着いて巡行の状態に来ていることと、燃料費高騰のヘッジ施策が奏功し、この2事業については利益水準が回復しています。

グリーンエネルギー事業は、営業成果が計画を上振れたため、このような数字で着地しました。エネルギーDX事業については、昨年度末に獲得した新規顧客の通年の寄与があり、利益の伸長に結びついています。

連結業績予想に対する進捗率(3Q累計)

連結業績予想に対する進捗率です。第3四半期の売上高は約304億円で、進捗率は80パーセントです。営業利益と親会社株主に帰属する当期純利益については、すでに進捗率100パーセントを超えています。

特に3月の業績好調により、第3四半期時点で利益項目については進捗率100パーセントとなりました。一方、第4四半期は、今後の成長投資や体制強化の費用、今回の新規上場関連費用などが増加しています。

これらを踏まえつつ適時開示基準等も考慮の上、現状のまま据え置きとしています。

セグメント別収益(2024年6月期3Q累計)

セグメント別収益です。全社売上高304億7,600万円のうち、分散型エネルギー事業が161億2,500万円、グリーンエネルギー事業がほぼ同額の167億1,600万円、エネルギーDX事業が14億円となっています。

一方、全社EBITDAが34億1,900万円で、売上高対比のEBITDAマージンは11.2パーセントになっています。内訳は、分散型エネルギー事業が30億2,200万円で18.7パーセント、グリーンエネルギー事業が13億円で7.8パーセント、エネルギーDX事業が3億3,700万円で24パーセントとなっています。

全社営業利益は26億9,600万円で、売上高営業利益率が8.8パーセントとなっています。内訳は、分散型エネルギー事業の営業利益が24億2,200万円で営業利益率15パーセント、グリーンエネルギー事業が12億6,000万円で7.6パーセント、エネルギーDX事業が3億円で21パーセントとなっています。

レジルのあゆみ

丹治:ここからは、事業戦略についてです。山本からご説明したとおり、業績は堅調に推移しています。グリーンエネルギー事業に関しても、数年前は利益貢献の低い事業でしたが、今はしっかりと営業体制を整え、収益をしっかりと得られる事業本部になってきており、3事業ともに着実に成長できている実感があります。

この3事業を、次にどのようなかたちで成長させていくのかをご説明します。そもそも当社についてご存じない方もいらっしゃると思いますので、レジルのあゆみを一度ご説明させてください。

当社の社長は、私で3代目になります。もともとは創業者の中村氏が、東大阪で町工場等のコスト削減コンサルティングから事業を始めました。それを長年エネルギー業界の中で実績を挙げてきた平野が引き継ぎ、エネルギーのプロフェッショナルとして電力小売を始め、次の世代の事業を作ってきました。

2021年から、私がそれを引き継ぎ、これら事業に対して新たにテクノロジーという要素を加え、分散型エネルギープラットフォームの構築を目指して、分散エネルギー事業、グリーンエネルギー事業、そしてエネルギーDX事業というかたちで事業を再構成しました。今まさに「第二の創業」と位置づけ、会社を作り直し、次なる成長に向かって進んでいこうとしている状況です。

3つの事業が、相互にシナジーを生み出す経営戦略

私たちが手がけている3つの事業は、相互にシナジーを生み出す経営戦略をとっています。私たちが目指すのは、分散型エネルギープラットフォームです。電気は貯めることができず、発電した分はそのまま使わざるを得ません。つまり発電量と使う量を同じにしなければいけないという制約があります。

後ほどご説明しますが、私たちとしては一括受電というサービスが有する特性、つまりまとまった電力を利用する需要家としての立場を利用して電気料金を安価に提供してもらうだけでなく、このまとまったエネルギーを制御することによって、日本全体の電気の需要の安定化に貢献するビジネスを展開していきたいと考えています。

そのために3つの事業を作りました。スライド内図表の左からご説明します。まず、エネルギーの調達や供給を司るグリーンエネルギー事業です。

次に、中央の分散型エネルギー事業です。電気を最適利用するためにDERをどう制御していくかという事業になります。

最後に、これらを電気関わるオペレーション等を仕組み化して外に展開していくのが、右側のエネルギーDX事業です。「調達・供給する」「制御する」「仕組化して展開する」という3つの流れで行っています。

グリーンエネルギー事業のユーザー企業は、7,500社程度です。分散型エネルギー事業は、マンションへの一括受電サービス導入が約17万8,000世帯です。エネルギーDX事業は、電力会社の契約エンドユーザー数が約40万件です。

今後もこれらを拡大していきたいと考えています。

基幹サービス(一括受電)は、共同住宅を対象とした電力の長期共同購入サービス

そもそもの基盤事業についてご説明します。基幹サービスはマンション一括受電で、共同住宅を対象とした、電力の長期共同購入サービスになります。

「レジルは電力の小売り会社か?」というご質問をよくいただきますが、私たちは売る側の機能だけでなく、使う側、需要家としてのポジションも持っているのが大きな特長です。

17万8,000世帯というのは、実は中堅規模の都市と同じくらいです。つまり住人数で言うと、50万人以上が住んでいる地域に対し、電気の供給として非常に大きな需要家をまとめ、それを購買力にしているかたちになります。

電力会社からこの50万人の方々のバーゲニングパワーを使って電気を安く仕入れ、それを利用者の方に還元するとともに、私たちは利益をいただくというモデルになっています。

分散型エネルギー事業 | 競合状況と参入障壁①

この分散型エネルギー事業は、今17万8,000世帯、マンション2,200棟にサービスを提供しています。

スライドの左側に当社のポジショニングを示しました。この事業の対象は、日本全国にすでに建っているマンションの約690万世帯です。この既築マンションに対して、私たちは管理会社と連携し、一括受電サービスの提供を進めています。

競合他社の多くは基本的には新築に対して展開しています。毎年10万戸ぐらいずつ増えていますが、デベロッパー1社に対して他社1社というかたちで、1対1のパートナーシップを組みながら展開しています。

一方で私たちは、既築の690万世帯に対して展開しており、特に約8割の管理会社とネットワークを持っているというのが非常に大きく、新築分野に関しても今後、導入を進めていきます。

分散型エネルギー事業 | 競合状況と参入障壁②

一括受電サービスの領域において、私たちは22.7パーセントのシェアがあります。他方、昨今は電力の仕入れ価格が上がり、オペレーションコストも上がる中、ボリュームディスカウントのスケールメリットが得づらい中小規模事業者の割合も29.8パーセントあります。

この29.8パーセントが、私たちの今後のリプレイスターゲットになるのではないかと考えています。すでに昨年1社から事業の譲渡についてお話をいただきました。マンション管理組合から直接、「電気料金を上げられるため、お願いできませんか?」というお話をいただくことも増えており、リプレイスしていくことで、さらに成長したいと考えています。

つまり営業拡大の推進力として、オーガニックでの営業と同業他社からのリプレイスの2つを引き続き活用していきたいと思っています。

分散型エネルギー事業 | サービス提供件数推移

その結果、足もとでのサービス提供数は確実に伸びています。一時期、当社の方針で新規の営業リソースを減らしていましたが、現在は営業リソースを回復させ、他社からのリプレイスも推進しており、引き続き堅調に伸ばしていきたいと考えています。

グリーンエネルギー事業 | 再生可能エネルギー比率向上を推進

2つ目の事業はグリーンエネルギー事業です。電力の小売事業として再生可能エネルギーを販売します。営業方針については「再生可能エネルギーを買ってください」ではなく、「電気料金等が、他の新電力に比べて優れているので導入していただけませんか?」としており、お客さまは後になって、実は再生可能エネルギーを使っていたと気づかれることがあります。

これは、私たちは「脱炭素を難問にしない」というミッションを掲げ、提供するエネルギーを再生可能エネルギーにする会社を目指しています。昨年6月にその決定をしてから、再生可能エネルギーの比率は全体の66.4パーセントまで上がっています。もっと早い段階で達成できるとは思いますが、2030年度までに100パーセントの達成を目指しています。

エネルギーDX事業 | 顧客ターゲット層と拡大への方向性

3つ目の事業はエネルギーDX事業です。顧客数が着実に伸びており、スライド左側のグラフのとおり、1年で約1.5倍増加するなど非常に成長している事業となっています。新電力と自治体参画新電力を中心に、新しいお客さまを増やしています。

エネルギーDX事業 | 提供業務拡大の方向性

私たちは、分散型エネルギー事業やグリーンエネルギー事業で培ったシステム、ノウハウ、BPOのリソースを各エネルギー企業に提供しています。スライドでお示ししているのは表の右側に行けば行くほど契約年数が長くなるとともにサービス導入メニューも広がっています。

最初は、コールセンターのサポートなどから入るのですが、品質も高く、コストの削減力も大きいため、「この業務をお願いできませんか?」「システムのサポートをしてくれませんか?」といったかたちで、業務の幅を広げながら収益を上げています。

この収益モデルは顧客企業のエンドユーザー数×単価となっていますが、この単価については、業務の範囲で決めるようになっているため、提供業務が増えれば増えるほど単価が上がっていく仕組みです。

エネルギーDX事業 | 顧客基盤・収益の拡大に向けた面的アプローチ策

今までは大手の新電力会社を中心にサービスを導入いただき、ニーズに合ったシステムや業務ノウハウの提供により、私たち自身の力を磨いてきたと共に、これらの業務役割を増やすことにより、単価を向上させてきたというのがこれまでのフェーズです。

このノウハウとシステムをいよいよ標準化し、大手よりも規模の小さい電力会社への提供を開始しています。実は4月から1件、すでに自治体参画の新電力と契約し、すでにサービスも開始しています。国内約900都市が、脱炭素に関して「2030年までのカーボンニュートラル」を宣言しています。

地域が脱炭素にシフトし、自分たちで電力を調達し、自分たちで使うためには、小規模な電力会社が必要になるため、結果として自治体が参画した新電力が必要になります。私たちはこの自治体参画新電力に対し、新しく標準化されたパッケージを提供していこうと考えています。

では、従来のサービスと何が違うのかと言いますと、リードタイムが非常に短いということです。4月から提供しているところについても2ヶ月で導入できました。大規模なところだと約6ヶ月、準備期間を考慮すると9ヶ月くらいかかっていたのと比べると非常に短期間と言えます。

また、これまでのビジネスモデルは、大規模な電力会社にノウハウを提供し、ユーザーが増えると役務の幅も広がり、結果として収益が伸びていくというのが私たちのビジネスモデルでした。

今度はそれに加えて、自分たちがマンションを持っている需要家としての立ち位置、またグリーンエネルギー事業で電力を販売している立ち位置を活用し、業務のノウハウに合わせて自治体参画新電力にサービス・ソリューションを提供し、業務の効率化や余剰電気の買い取り、自治体参画新電力の「需要家を増やしたい」というところについてもサポートします。

そのようなソリューションで、地域における脱炭素を支援できるビジネスモデルの展開を図っていこうと考えています。

エネルギーDX事業 | 地方自治体のカーボンニュートラルを支援

自治体とのつながりでは、自治体参画新電力のサポートはもちろんですが、昨今は、1970年代に建てられた市営住宅・県営住宅の建て直しが始まっており、年間約10万戸ほど増えていると言われています。この共同住宅については、マンションで培った一括受電や防災サービスの導入を進めます。

バイオマス発電の余剰電力では、当社が需要家であり電力の販売会社でもあることから、余剰電力を有効活用します。さらに自治体参画の新電力の運用については、サービスをしっかりと提供していくことで、ここまでご説明した3事業がソリューションとして、新しいお客さまの層に広がっていくと考えています。

目指す姿:分散型エネルギープラットフォーム

ここからは中長期的に目指す方向性です。

私たちの目指す姿は、分散型エネルギープラットフォームです。これからも日本は太陽光発電が増えていきますが、その結果として太陽光発電の余剰電力が発生します。日中の電気料金は卸価格の0.01円ですが、夜になると15円になる地域もあります。

このような昼と夜との電気料金の差は、これからますます大きくなります。したがって、昼に電気を貯めて夜に電気を使ったり、余っている電気があればそれを売ってユーザーに利益を還元したりといったDERの制御により電力の最適利用に貢献するプラットフォームを構築していきます。

これを仕組み化し、電力会社や自治体に提供することで、日本全体を地産地消の分散型エネルギー社会にできるよう、しっかりと仕組み作りをしたいと考えています。

実現に向けたマイルストーン

実現に向けたマイルストーンです。まず、住んでいる方をつなげていきます。次にDER、つまり分散型電源、蓄電池・太陽光発電設備などをつなげていきます。さらに建物をつなげ、複数の建物をAIで制御することで、どのように最適化するかということのソリューションも完成しています。

最後にプラットフォームというかたちで、電力会社にこの仕組みを提供しながら、新しい分散型エネルギープラットフォームの実現を進めていこうと考えています。

再生可能エネルギーが普及し、電力取引市場が本格稼働

現在、再生可能エネルギーが普及し、電力の取引市場は本格稼働しています。これから日中0.01円の電気が増えていくため、今年4月に立ち上がった需給調整市場で販売したり、容量市場に活用したり、エネルギーを最適化したりすることで収益を得るビジネスを進めていきます。

脱炭素実現・レジリエンス向上に向けて、掛け算でビジネスモデルを構築

その実現に向けた施策・商材として「マンション防災サービス」について説明します。これまで一括受電というかたちでマンションにサービスを提供していましたが、マンションに受変電設備を置き、電気代を下げるだけでなく、受変電設備をコントロールできる私たちだからこそ可能な、初期費用無料で蓄電池、太陽光、EV充電設備を置かせていただくビジネスを開始しました。

それが、「マンション防災サービス」です。すでに3棟441戸と契約しました。このサービスは、マンションが災害等で停電した時に蓄電池から電気を供給し、エレベーターを動かし、トイレの水を流す水道ポンプを動かすものです。

ただし平時は、蓄電池は動きません。余っている電気を活用し、昼間に貯めて夜に使うか、貯めた電気を売ることで、電気料金削減に貢献します。

このサービスに欠かせない蓄電池は、CONNEXX SYSTEMS社と一緒に開発しました。マンション専用の、出力が高く小型化された蓄電池で、これから本格的に導入を進めていく予定です。

分散型電源(DER)のAIによる複数制御

蓄電池についても、1棟だけではありません。私たちはすでに直近成約した3棟441戸に、これから蓄電池を設置していくわけですが、これらに置かれた蓄電池をAIで制御することで、1棟だけにとどまらず、複数のマンションでの最適化を行っています。

これから2,200棟あるマンションに蓄電池を設置し、電池の巨大なネットワークを作っていきたいと考えています。

マンション防災サービスの営業強化

「マンション防災サービス」は大変好調で、現在いろいろなところからお声がけいただいています。今まで一括受電というのは、「マンションの修繕積立金に困っている」「修繕積立金が不足しているため、一括受電サービスを入れて電気料金を安くし、その分を修繕積立金に回したい」といったケースがメインでした。

しかし、日本全国で修繕積立金が不足しているマンションは34.8パーセントと言われており、残りの65.2パーセントに対しては、この新しい「マンション防災サービス」を商材として営業ができてるようになりましたので、今後しっかり成長していくのではないかと思っています。

新築領域への進出 | 不動産関連企業のスコープ3の削減に貢献

先ほどのとおり、「マンション防災サービス」は、これまでの「修繕積立金が足りない」というケースだけでなく、新築マンションの分野にも進出していこうと考えています。すでに受注をいただいていますが、住居特化型のJ-REIT社が保有する賃貸マンションの新規物件でも導入が決まっています。

今までは、既存の690万世帯に対して営業をしていましたが、これからは毎年10万戸ずつ増えていく新築マンションに対し「マンション防災サービス」を提供することで、既存のマンション・新築のマンション両面で、分散型エネルギー事業を進めていきます。これにより、しっかりとした積み上げ型の成長を期待できます。

マンション防災サービスを起点としたDERの拡販

マンションで培ったノウハウで、グリーンエネルギー事業では7,500社に電気を供給していますが、将来的には企業だけでなく工場等より規模の大きい施設にも同じような仕組みを提供していく考えです。

エネルギーDXは現在提供している大手の新電力に加え、これから各自治体に対して顧客層をどんどん広げることで、分散型エネルギープラットフォームの仲間を増やすという、会社の成長戦略を考えています。

成長ロードマップ

ようやく私たちは、グリーンエネルギー事業を、基盤と言えるほどしっかり収益が上がる事業にしました。この上に、マンション一括でサービスを行っている積み上げ型の分散型エネルギー事業を安定的に伸ばしていきます。

今までは、受変電設備を入れ替えることによって電気料金の割引を提供するベネフィットでしたが、それに加えて防災というかたちでマンションのレジリエンスを強化する、マンション防災サービスという新たな付加価値を作りました。

これまでは既築マンション690万世帯に対して営業力を使っていましたが、マンション防災サービスによって、新築マンションにも進出することができます。プロダクトとしても領域としても増やすという両面で、引き続き堅調に成長させていきたいと思っています。

エネルギーDXは、1年で1.5倍成長している分野です。こちらは、大手電力会社の開拓を進めています。資源価格の高騰によってみなさまが次に向かっていく課題は、どのように業務効率化を進めるかということです。

長年自分たちで培った業務プロセスを変えることは、やはり非常に難しいです。そこに第三者として私たちが加わることで、約40パーセントのコスト削減を達成できるという自信を持っていますので、引き続き大手電力会社への提供を進めていきます。

また、新規の小規模な電力会社に対しても、今までのノウハウを標準化し、パッケージとして提供することで、1.5倍の成長を続けていきたいと考えています。

第3四半期は非常に良い成績になったと思います。引き続き、株主のみなさまとの約束について、利益、件数ともに着実にコミットしていきたいと思いますので、ご支援、ご協力をお願いします。ありがとうございました。

質疑応答:上場によるビジネスへの効果と、顧客の信頼への影響について

Q:上場したことで、ビジネスにどのような効果が期待できますか? また、顧客の信頼にどのようなインパクトがありますか?

丹治:上場に際しては、投資も含めてご協力いただきありがとうございました。上場したメリットはいくつかあります。

1つ目は、人材採用についてです。採用に関して、現在は新卒採用もしていますが、デジタル人材の中途採用という面において、メリットが非常に大きいと思っています。

2つ目は、自治体向けのビジネスを広げていく中で、上場企業というだけで信頼感がまったく違うということを感じています。したがって、この信頼感を活用させていただき、案件獲得に繋げると共に、よりパートナーシップをもって取り組んでいきたいと思っています。

3つ目は、今後いろいろな会社に対して買収を行っていくと思いますので、資金の手当をできる基盤があるということが、不安なく事業を進めていく礎になっていると考えています。

質疑応答:第3四半期の計画に対する累計利益について

:第4四半期はコスト先行とのことですが、第3四半期累計利益は、計画に対してどの程度上振れないし下振れしましたか?

山本:第3四半期単体で見ると、売上的には数パーセントの増加でしたが、原価にあたる電力の調達がうまくいった関係で、売上総利益及び営業利益は10パーセント程度増加しました。

質疑応答:第4四半期の予算計画と体制強化について

:第4四半期は赤字という認識でよいでしょうか? また、体制強化とは具体的にどのようなことを想定していますか?

山本:第4四半期は、当初予算としては赤字ではなく黒字の計画になっています。先ほどご説明したように、やや厳しめの予算を前提としています。直近の調達状況を踏まえると利益が出るかもしれないのですが、いずれにしろ今期の通期の予算を修正するほどの変化ではないと考え、業績予想については据え置きとしています。

丹治:決して業績が悪いというわけではないのですが、来期に向けて、マーケティングなど次の成長への準備に一定の資金をかける計画を立てています。そのような意味では、年度の計画をしっかり守れるとお考えいただければと思います。

質疑応答:連結EBITDAの増減益の数値詳細について

:連結EBITDAの増減益の数値詳細を教えてください。特にグリーンエネルギー事業は、期中に市場変動の影響をどれくらい受けているのでしょうか?

山本:具体数値をお答えするのは差し控えます。なお、グリーンエネルギー事業の利益の12億4,400万円増の内訳は、販売量の増加とそれにプラスして資源価格高騰へのヘッジ施策が奏功しているところもありますので、そのミックスで考えていただければと思います。

丹治:端的に申し上げると、営業が想定よりもうまくいったということと、計画段階では来期に向けての仕入れが良くなり、その結果が3月に前もって出たとご理解ください。

質疑応答:来期の成長ドライバー、マイルストーン、蓄電池の販売について

:来期の成長ドライバーと、マイルストーンの時間軸を教えてほしい。また、蓄電池の販売の可能性はありますか?

丹治:来期の成長ドライバーは、分散型エネルギー事業のマンション一括受電サービスの導入件数と、エネルギーDX事業の契約ユーザー数の2つになると思います。

マイルストーンの時間軸に関しては、現段階では「住んでいる方をつなげる」と「DERをつなげる」というところまではしっかりと成果になっています。「建物をつなげる」に関しては、技術的に出来上がったところですので、あとはマンションに置いている蓄電池が連携すれば、成果になると考えています。

プラットフォームを展開していく部分に関しては、現在、ID管理や料金計算などの業務に関するプラットフォームを提供しています。この後に、蓄電池の制御システムや、電力取引市場と連携したシステムの提供というかたちで機能追加を進めていくことにより、プラットフォーム化ができると考えています。

時間軸については具体的なお答えを控えますが、そこまで時間がかからないタイミングで、まずは形を作るところまで持っていきたいと思っています。

蓄電池については、単体での販売は考えていません。あくまでマンション、企業に設置し、それをコントロールするという前提で、私たちが販売するか、資産として置くかというかたちになります。

しかし、すでに売られている蓄電池を私たちが制御するということはありますので、販売企業と連携しながら取り組んでいきたいと思っています。

質疑応答:リプレイスターゲットへの営業について

Q:リプレイスターゲットに対する営業はどのようなリソースで、どのように行っていくのでしょうか?

丹治:リプレイス対象は10社程度あり、2つのアプローチを行う予定です。1つ目は、私たちが企業に対してご支援できることはないかを直接お話ししていくことです。

2つ目は、私たちはある程度、対象マンションのロングリストを持っていますので、管理会社を通じてマンションに困っていないかをヒアリングしながら進めていくということを考えています。

質疑応答:来期のマンションの顧客数について

Q:来期もマンションの顧客は17万8,000件程度で推移するのでしょうか?

丹治:増えていくと思いますが、しっかり数字が出た段階でみなさまに共有していきたいと思います。

質疑応答:グリーンエネルギーの条件について

Q:グリーンエネルギーの条件が良くなったというのは売値、もしくは調達のどちらでしょうか?

丹治:両方です。調達についての改善に加え、販売面でのKPIをしっかり決めて営業できる体制が出来上がったことが大きいと考えています。

配信元: ログミーファイナンス
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